Trademark Appeal Case
人名商標の称呼一体性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−467(T2005−467/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類及び第43類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成15年12月26日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、同16年9月1日付け手続補正書により、第30類「ピザ」及び第43類「飲食物の提供」に補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4207374号商標(以下「引用商標」という。)は、「SALVATORE」及び「サルヴァトーレ」の文字を二段に書してなり、平成6年12月20日登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同10年11月6日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、その構成中の左3分の1の部分に赤塗りの正方形が配置され、該正方形中に白抜きでサインと思しき文字が描かれ、その下部に極小さく欧文字で「PIZZA SALVATORE CUOMO」と横書きされ、そして、構成中の中央部から右部にかけては、「PIZZA」と「SALVATORE」の欧文字が大きく赤色の斜体字で二段に書され、さらに、「SALVATORE」の文字の右端の「ORE」の上部に小さく赤色の斜体字で「CUOMO」の文字が書されてなるものである。
しかして、上記の如く中央部から右部にかけて二段に書してなる「PIZZA」と「SALVATORE」の文字は、他の構成文字や図形と比べて圧倒的に顕著に表されてなるものであり、かつ、図形部分を含めた本願商標全体、あるいは、特段の意味合いを有するとは認められない「CUOMO」の文字を含めた右部の赤色斜体字全体をもって常に一体不可分の商標として捉えるべき格別の理由も認められないことから、本願商標に接する者は、この顕著に表されてなる「PIZZA」及び「SALVATORE」の文字部分をもって自他商品・役務の識別標識と認識することが多いものとみるのが相当である。加えて、その構成中の「PIZZA」の文字は、「発酵させた小麦粉の生地を薄くのばし、トマト・ソースや野菜・魚介・チーズなどさまざまな具をのせ、焼いた食物。ピザ−パイ。ピッツァ。」(岩波書店「広辞苑(第五版)」2235頁)を意味する英語として、一般に理解・把握されている語であり、本願指定商品及び指定役務との関係では、商品の品質又は役務の質を表示するものであることから、本願商標に接する取引者、需要者は、「SALVATORE」の文字部分に着目して、単に「サルヴァトーレ」又は「サルバトーレ」の称呼をもって取引に当たることも少なくないというのが相当である。
これについて、請求人は、趣旨として、本願商標は、その構成中にイタリア料理のシェフとして著名であり、かつ、請求人会社の取締役である「Salvatore Cuomo」氏の名前を織り込んだものであるところ、本願商標から生ずる称呼の理解、認定にあたっては、本願商標を構成する文字の態様、配色、その他構成全体(例えば、赤塗り四角形内の直筆サインや欧文字など)から、本願商標の右側に表された文字は「SALVATORE」と「CUOMO」とに分断するべきではないこと、また、現実の社会(取引市場)では「Salvatore Cuomo」氏がイタリア料理のシェフとして有名であることからも、本願商標は「SALVATORE CUOMO」として一体のものとして捉えることにより、同氏がプロデュースするピッツァレストランの商標として理解され認識され、よって、本願商標からは「ピッツァサルヴァトーレクオモ」の称呼が自然と生じる旨主張し、平成17年4月15日付け手続補足書をもって甲第1号証ないし第21号証を、及び同18年5月9日付け上申書をもって甲第22号証ないし第36号証を提出する。
なるほど、請求人の提出に係る甲各号証によれば、請求人会社の取締役でもある「Salvatore Cuomo」氏が、本件商標登録出願を請求人が行うことにつき承諾していること(甲第1号証)、同氏が1998年から1999年にかけてイタリア料理に関する書籍を数冊著作・出版していること(甲第3号証ないし第5号証)、同じく、1999年から2003年までの間、数本のテレビ番組に継続的に出演したこと(甲第6号証ないし第9号証)、インターネット上において同氏や同氏の経営に係るレストランに関する紹介を行っているサイトが相当数存在すること(甲第11号証ないし第15号証)、及び2004年中に同氏の経営に係るレストランの紹介記事が数件の雑誌に掲載されたこと(甲第16号証ないし第20号証)等から、イタリア料理人としての「Salvatore Cuomo」氏の名称及び同氏の経営に係るイタリア料理店が、近年、マスメディア等にも採り上げられ、相当程度の知名度を獲得してきたものと推察することはできる。
しかしながら、当審において職権により行った調査によれば(最新のインターネット検索は2006年8月30日に実施。http://www.ystable.co.jp/、http://www.salvatore.jp/restaurant/info.html、http://www.ystable.co.jp/corporate/history.html等、請求人ホームページより。)、本願商標を付した請求人の経営に係る店舗は、現時点においては東京近郊に限られるものであり、また、「Salvatore Cuomo」氏の名称も、本願の指定商品・役務は、子供、婦人等誰でもが需要者となる商品・役務であることを考慮すると、我が国内の一般国民までに及ぶ著名性を獲得しているということはできないものであるから、本願商標に接する需要者がこれより常に、請求人が主張するように「ピッツァサルヴァトーレクオモ」と一体不可分の称呼をもって認識するとはいい得ないものである。そして、構成中の左の赤塗り正方形内のサインと思しき文字にしても、その下部の極小の欧文字にしても、右部を構成する文字の称呼を特定させるに十分なほど明瞭に判別できる構成にはなっておらず、そうすると、簡易迅速を旨とする取引の実際においては、右部に顕著に書してなる赤色斜体字に看者の注意が注がれ、上記のごとく「SALVATORE」の部分を識別標識として抽出して、これより「サルヴァトーレ」又は「サルバトーレ」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。
一方、引用商標は、上記のとおりの構成よりなり、その構成文字に相応して「サルヴァトーレ」又は「サルバトーレ」の称呼を生ずること明らかである。
そして、観念については、「SALVATORE」の文字が「救世主」の意味合いを有するイタリア語であることは請求人も指摘するところであるが、本願指定商品及び指定役務の取引者、需要者は、我が国の一般国民全般に及ぶというべきであるから、我が国におけるイタリア語の普及度にかんがみれば、本願商標、引用商標のいずれからも特段の観念を生じないというのが相当である。
してみれば、本願商標と引用商標とは、その外観において相違することを考慮しても、「サルヴァトーレ」又は「サルバトーレ」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。そして、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。