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Trademark Appeal Case

結合商標の称呼と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2005−468(T2005−468/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成15年12月26日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4207374号商標(以下「引用商標」という。)は、「SALVATORE」及び「サルヴァトーレ」の文字を二段に書してなり、平成6年12月20日登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同10年11月6日に設定登録されたものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲のとおり、「毛利」の文字を朱色の毛筆体により縦書きに書してなり、その下段に「Salvatore」の文字を比較的大きく、さらにその下段に小さく「Cuomo」の文字をそれぞれ横書きしてなるものである。本願のかかる構成からすると、「毛利」、「Salvatore」及び「Cuomo」の各文字部分は、ぞれぞれ、大きさや態様も異なることもあって、各文字部分が独立して一個の単位を構成しているというのが相当である。したがって、本願商標の各文字部分は、外観上、常に不可分一体の関係にあるものということはできない。また、本願商標は、前記した独立して把握される部分が、相互に何ら共通性を有しないことから、これらを常に一体のものとして把握しなければならない格別の理由があるということもできない。

一般に、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているのでない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。そして、この場合、1つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一または類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当であることは、判例にも示されているところであるから(最高裁昭和38年12月5日判決 民集17巻12号1621頁)、本願商標からは、上記各文字部分が独自に識別標識として機能し、それぞれの構成文字より「モウリ」、「サルヴァトーレ」又は「サルバトーレ」及び「クオモ」又は「キュオモ」の称呼を生じるというのが相当である。

これについて、請求人は、趣旨として、本願商標は、その構成中にイタリア料理のシェフとして著名であり、かつ、請求人会社の取締役である「Salvatore Cuomo」氏の名前を織り込んだものであるところ、本願商標において、単に「Salvatore」と「Cuomo」の欧文字が上下二段に構成されているという形式上の観点から、これらを別異のものとして認識され得ると原査定が判断したのは机上の空論にすぎない旨主張し、また、原査定では、拒絶理由通知において、本願商標は、その構成中にイタリア料理のシェフとして有名な「Salvatore Cuomo」の文字を有してなるから、商標法第4条第1項第8号に該当するとしておきながら、拒絶査定においては、本願商標の構成中「Salvatore」及び「Cuomo」の文字は、常に一連一体として広く知られた語義を形成するものとは認められないと認定しているのは全く矛盾するものであると論難し、そして、現実の社会(取引市場)では「Salvatore Cuomo」氏がイタリア料理のシェフとして有名であり、「毛利 Salvatore Cuomo」レストランとして広く一般に紹介されているから、本願商標は、「Salvatore Cuomo」として一体のものとして捉えることにより、同氏がプロデュースするレストランの商標として理解され認識され、よって、本願商標からは「モウリサルヴァトーレクオモ」の称呼が自然と生じる旨主張し、平成17年3月28日付け手続補足書をもって甲第1号証ないし第19号証を提出する。

なるほど、請求人の提出に係る甲各号証によれば、請求人会社の取締役でもある「Salvatore Cuomo」氏が、本件商標登録出願を請求人が行うことにつき承諾していること(甲第1号証)、同氏が1998年から1999年にかけてイタリア料理に関する書籍を数冊著作・出版していること(甲第3号証ないし第5号証)、同じく、1999年から2003年までの間、数本のテレビ番組に継続的に出演したこと(甲第6号証ないし第9号証)、インターネット上において、同氏や同氏の経営に係るレストランに関する紹介を行っているサイトが相当数存在すること(甲第11号証ないし第14号証)、及び2004年中に同氏の経営に係るレストランの紹介記事が数件の雑誌に掲載されたこと(甲第15号証ないし第18号証)等から、イタリア料理人としての「Salvatore Cuomo」氏の名称及び同氏の経営に係るイタリア料理店が、近年、マスメディア等にも採り上げられ、相当程度の知名度を獲得してきたものと推察することはできる。

しかしながら、当審において職権により行った調査によれば(最新のインターネット検索は2006年8月30日及び31日に実施。http://www.ystable.co.jp/、http://www.ystable.co.jp/restaurant/mohri/index.html、http://www.ystable.co.jp/corporate/history.html等、請求人ホームページより。)、本願商標を付した請求人の経営に係る店舗は、現時点においては東京都港区六本木の一店舗に限られるものであり、また、「Salvatore Cuomo」氏の名称も、本願の指定商品・役務は、子供、婦人等誰でもが需要者となる商品・役務であることを考慮すると、我が国内の一般国民までに及ぶ著名性を獲得しているということはできないものであるから、本願商標に接する需要者がこれより常に、請求人が主張するように「モウリサルヴァトーレクオモ」もしくは「サルヴァトーレクオモ」という一体不可分の称呼をもって認識するとまではいい得ないものである。

そして、1個の商標から2個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは上記最高裁判例を引用するまでもなく顕著な事実であるから、本願商標に接する需要者が、これより「Salvatore Cuomo」の文字を一連の名称、称呼として認識する場合がある一方で、これを不可分一体とはせず、その構成文字の大きさの相違や、「Salvatore」の文字が、国際的に著名なブランドである「Salvatore Ferragamo」などにより、我が国国民にとっては、比較的馴染みのあることから、これより「Salvatore」の文字部分に着目して単に「サルヴァトーレ」又は「サルバトーレ」の称呼をもって取引に供する場合も少なくないとみることは、何ら矛盾するものではない。

一方、引用商標は、上記のとおりの構成よりなり、その構成文字に相応して「サルヴァトーレ」又は「サルバトーレ」の称呼を生ずること明らかである。

そして、観念については、「SALVATORE」の文字が「救世主」の意味合いを有するイタリア語であることは請求人も指摘するところであるが、本願指定商品及び指定役務の取引者、需要者は、我が国の一般国民全般に及ぶというべきであるから、我が国におけるイタリア語の普及度にかんがみれば、本願商標、引用商標のいずれからも特段の観念を生じないというのが相当である。

してみれば、本願商標と引用商標とは、その外観において相違することを考慮しても、「サルヴァトーレ」又は「サルバトーレ」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。そして、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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