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Trademark Appeal Case

カタログの指定商品該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30875(T2005−30875/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2441510号商標(以下「本件商標」という。)は、「FOR YOU」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年4月7日に登録出願、第26類「新聞、雑誌、叢書、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成4年8月31日に設定登録され、その後、平成14年7月23日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。なお、指定商品については、平成16年7月28日、第6類「金属製彫刻」、第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」、第16類「新聞,雑誌,叢書,書画,写真,写真立て」、第19類「石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻」及び第20類「額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

2 請求人の主張の要旨

請求人は、「本件商標の指定商品中第16類『新聞,雑誌,叢書及びこれに類似する商品』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由、答弁並びに審尋についての回答に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した(なお、請求人は、証拠方法を乙号証と表示しているが、一般的に用いられている表示方法に倣い、請求人の提出に係る証拠であるから、甲号証の表示をもって扱った。)。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中第16類「新聞,雑誌,叢書」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用していないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁(第1回)

(ア)被請求人は、自身の通常使用権者である住商オットー株式会社(以下「住商オットー」という。)が本件商標を使用している旨主張しているが、乙第1号証の1によれば、住商オットーが本件商標の通常使用権者である旨の記載がないから、同人が本件商標の通常使用権者であるかは明らかにされていない。

(イ)被請求人が使用している旨主張する商標は、本件商標と社会通念上同一ではない。すなわち、本件商標は、アルファベット文字「FOR YOU」を黒色のゴシック体にて横一列に書してなる商標であるが、乙第5号証の1ないし16及び乙第6号証に使用されている商標は、中抜き文字で背景が透過される構成となっているから、被請求人が使用している商標は本件商標と社会通念上同一とはいえず、同人が本件商標を使用していたとはいえない。

(ウ)被請求人は、乙第5号証の1ないし16及び乙第6号証をもって本件商標が雑誌兼叢書兼カタログについて使用されていた事実がある旨主張しているが、当該雑誌兼叢書兼カタログは商標法上の商品に該当しない。

(a)商標法上の商品とは、「特許庁編 工業所有権法逐条解説 第16版」によれば、「商取引の目的たりうべき物」と定義されている(甲第1号証)のに対し、乙第5号証の1ないし16及び乙第6号証は、いわゆる商品カタログであり、住商オットーが販売する洋服、下着、靴、服飾雑貨等が紹介され、商品番号及び価格が付されているものである。購買者は、この商品カタログを見て、インターネット、郵便、ファクシミリ等で商品番号を指定することにより商品を購入することができるが、当該商品カタログは、それ自体が独立して商取引の対象とされているものではなく、その中に掲載された商品の販売に付随して、当該商品の情報(価格、色、サイズ、素材など)を記載したものにすぎない。

また、当該商品カタログの裏表紙の下部には、小さく価格が付されているが、住商オットーは、この商品カタログを商品購入者の希望に応じて無料で配布しているので(甲第2号証)、当該価格表示は、現実には意味を有しないものと推測されることからも、当該商品カタログ自体が独立して商取引の対象とされているものでないことは明らかである。

(b)被請求人は、「雑多な記事を掲載して定期的に刊行されている点で雑誌に該当し」、「同じ形式・体裁で編集され、継続的に刊行されている点から叢書に該当する」との主張をしているが、いずれも認められるべきではない。特集ページ、インタビュー記事などが掲載されているが、いずれも当該商品カタログに掲載された商品の情報の域を出ないものであり、さらに、通常書物に付される「奥付」についても明らかにされていないこともあり、当該商品カタログは商標法上の「雑誌」、「叢書」には該当しない。

(エ)被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が使用されている旨主張しているが、乙第5号証の1ないし16及び乙第6号証では、「2004年秋冬号」等の文字や「カタログ有効期限」が記載されているのみであり、発行日が明らかにされていないから、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標の使用をした事実は明らかではない。

(オ)以上のとおりであり、被請求人には、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標の使用をした事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

(3)答弁並びに審尋についての回答に対する弁駁(第2回)

(ア)被請求人は、審尋についての回答書で、住商オットーが本件商標の通常使用権者である旨主張するが、被請求人が提出した資料によっても、住商オットーが通常使用権者であることは認められない。

上記回答書に添付の「COOPERATION AGREEMENT(協力契約)」(乙第16号証)には契約日が記載されてないので、何時作成されたものなのか不明である。

また、当該協力契約には、本件商標「FOR YOU」について全く記載がなく、同書面をもって住商オットーが通常使用権者であるとは認められず、その余の資料をもってしても、同人が本件商標の通常使用権者であることが明らかでない。

(イ)被請求人は、弁駁に対する答弁書において、答弁の理由に添付した乙第5号証の1ないし16及び乙第6号証が、商標法上の雑誌或いは叢書に該当すると主張するが、それは認められない。

「雑誌」とは、広辞苑第3版(岩波書店)によれば、「雑多なことを記載した書物。号を追って定期的に刊行する出版物。」と、また、明鏡国語辞典(大修館書店)においては、「簡易な装丁で様々な記事・読み物・論文・写真などを載せ、定期的に発行する書物。週刊誌・月刊誌・季刊誌など」と、さらに、大辞泉(小学館)では、「雑多な事柄を記載した書物、複数の筆者が書き、定期的に刊行される出版物。週刊・月刊・季刊などがある。」と、それぞれされている。

これらの定義によれば、商標法上の「雑誌」とは、「複数の筆者が書き、様々な記事・読み物・論文・写真などを載せ、定期的に刊行する書物」であると解されるが、被請求人の提出したいわゆる商品カタログは、「筆者」というものは存在し得ず、またインタビュー記事なども掲載されているが、これらの記事は自社商品の販売促進を行う広告にとどまるものであって、商標法上の「雑誌」には該当しない。

また、「叢書」とは、「種々の書物を集めて大きくまとめたもの。四庫全書・群書類従の類。一定の形式に従って継続して刊行される出版物。シリーズ。」(広辞苑)とされ、例えば、「歴史物語叢書」(大辞泉)、「故実叢書、中国古語叢書」(明鏡国語辞典)などが該当する。

したがって、乙第5号証の1ないし16及び乙第6号証が、同じタイトル・形式で継続して刊行されるとしても、一定期間の後にカタログ有効期限が終了し役割を終えることを前提とした、いわゆる商品カタログは、商標法上

の「叢書」には該当しない。

3 被請求人の答弁及び審尋に対する回答の要旨

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む。)を提出した(なお、被請求人は、証拠方法を甲号証と表示しているが、一般的に用いられている表示方法に倣い、被請求人の提出に係る証拠であるから、乙号証の表示をもって扱った。また、審尋に対する回答書に添付書類として提出された乙第1号証ないし乙第3号証は、答弁書に添付書類として提出した乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)と証拠番号が重複することから、乙第14号証ないし乙第16号証として扱った。)。

(1)答弁の理由

(ア)請求人は、本件商標がその指定商品中第16類「新聞,雑誌,叢書」について使用されていないとして、その取り消しを請求している。

本件商標の構成は、「FOR YOU」の文字からなり、その指定商品中「新聞」とは、「社会の出来事の報道や論評を、広い読者を対象に伝達するための定期刊行物」であり(乙第2号証)、「雑誌」とは、「複数の筆者が書き、定期的に刊行される出版物」であり(乙第3号証)、「叢書」とは、「同じ形式・体裁で編集され、継続的に刊行される一群の書物」である(乙第4号証)と認められる。

(イ)本件商標は、被請求人の通常使用権者である東京都中央区日本橋箱崎町16−9所在の住商オットーが、1988年以来、現在に至るまで、日本国内において継続して使用しており、使用商品は、住商オットーの商品案内を主たる内容とした刊行物である(乙第5号証の1ないし16及び乙第6号証)。

例えば、乙第6号証として提出する刊行物の一部の写しの表紙には、本件商標と極めて類似するタイトルに「FOR YOU」の文字が表示され、目次或いは特集ページなどが商品案内とともに掲載されているし、また、裏表紙には、2004年秋冬号、保存版の表示もみられ、その発行は本件審判の請求の登録日である平成17年8月8日の前3年以内である。

当該刊行物は、雑多な記事を掲載して定期的に刊行されている点では、雑誌に該当し、また、商品案内の部分はカタログに該当するものであり、さらに、そのタイトルは、同じ形式・体裁で編集され、継続的に刊行されている点から叢書に該当するものである。

(ウ)したがって、これらの事実から、本件商標は過去3年以内に雑誌兼叢書兼カタログに使用されていた事実があるから、本件審判の請求は成り立たないこと明らかである。

(2)弁駁に対する答弁

(ア)請求人は、住商オットーが、本件商標の通常使用権者であることについて疑問を呈するが、これについては、審尋に対する回答書により明らかなとおりであるので、当該回答書の内容及び資料を援用する。

(イ)通常使用権者が使用する商標が、本件商標と社会通念上同一ではないとの主張がされているが、提出した証拠に表示された商標「FOR YOU」は、商標法第50条にいう本件商標と社会通念上同一と認められるものであり、該主張は全くの誤りである。

(ウ)請求人は、本件商標が付されている出版物(乙第5号証の1ないし16及び乙第6号証)が以下の理由から商品ではないと主張しているので、それらの点について述べる。

(a)当該出版物が独立して商取引の対象とされていない。

上記出版物は、単なる広告用具としての単純なカタログではなく、商品として対価を受けて一般の書籍の販売ルートを通して書籍店において販売されており、そのことは下記(d)において説明するとおりである。

(b)当該出版物が無償で配布されているから、独立した商品ではない。

上記出版物は、1回に100万〜200万冊印刷されるものであり、通信販売のプロモーションのためにその一部が無償で配布されることがあるが、無償配布されるのは例外的な場合であり、独立して商取引の対象とされている限り、商品であることに違いは生じない。

(c)当該出版物が雑誌或いは叢書ではない。

上記出版物は、インタビュー等も含む多くの情報を特別な基準をもって整理し結集しているものであって、雑誌の性質をもつものであり、また、その形式・体裁が一定の基準により編集され、定期的に継続して刊行されているものであるから、叢書の性質もあわせもつものであるから、本件商標が付された出版物は、独立して取引の対象とされている雑誌兼叢書兼カタログであることは明らかである。

(d)当該出版物の裏表紙の下部に小さく価格が付されているが、無料で配布されているものであるから、独立して商取引の対象とされていない。

乙第7号証ないし乙第12号証によって、上記出版物の販売の流れを確認することは容易であり、これにより2004年の夏から秋にかけて、書籍取次会社及び全国小売店を介して一般顧客に販売されている事実が証明されたことから、本件商標が付されている出版物が、商品であることに何ら問題はないものである。

(エ)請求人は、当該出版物には奥付がなく発行日が明らかにされていないので、本件審判の請求の登録日前3年以内に本件商標が使用されているか明らかでないとの主張をしているが、雑誌兼叢書兼カタログの性質をもつ上記出版物の表紙に「2004年秋冬号」(乙第5号証の11)或いは「フォーユー2005年冬号」(乙第5号証の16)との記載があれば、この種の出版物を取扱う業界では、そこに記載された時期に配布されていることは疑う余地がないものであるから、本件審判の請求の登録日である平成17年8月8日より前の3年間、即ち、平成14年8月8日から平成17年8月7日までの3年間に販売されていることは明らかである。

また、請求人は、当該出版物に奥付がないとの主張をしているが、奥付は日本における出版物には付されることが多いが、これが必ずもなければいけないものでもない(乙第13号証)。

上記出版物においては、裏表紙に「住商オットー株式会社」、「その住所」、「電話番号」及び「ドメイン名」が表示されており、奥付と同じ効果を備えた記載があるから、通常の奥付という外観をもつものがないだけであって、実質的なものは表示されているものである。

(オ)以上により、本件商標が、雑誌兼叢書兼カタログに使用され、2004年春から秋にかけて日本国内において販売されたことが明らかにされたことから、本件商標は、審判請求の登録日前3年以内に日本国内においてその指定商品に使用されているものである。

(3)審尋に対する回答

本件商標の使用関係については、住商オットーの歴史及び本件商標の登録の経緯を以下に説明する(乙第14号証及び乙第15号証)。

(ア)被請求人と住友商事株式会社(以下「住商」という。)との双方が出資して、日本において通信販売事業を行う会社を設立することになって住商オットーが設立され、その事業は、被請求人が指導することとなり、何人かの役員を住商オットーに派遣した。

(イ)本件商標は、朋友出版株式会社(以下「朋友出版」という。)が権利者として設定登録されたのち、被請求人がこれについて専用使用権の設定をうけ、さらに、住商オットーが通常使用権者となって、現実に本件商標の使用を開始した。

(ウ)このような経緯から、本件商標は、現在、被請求人が保有しているが、初めから住商オットーがその通常使用権者として継続して使用している次第である。

4 審尋の要旨

当審は、職権により平成18年5月16日付けで以下の内容の審尋を発した。

被請求人は、答弁書において、「本件商標は、通常使用権者である住商オットーが、1998年以来、現在に至るまで、日本国内において、同人の商品案内を主たる内容とした刊行物に継続して使用している。」旨主張し、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出しているが、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、住商オットーが、本件商標の通常使用権者であることを明確に立証しているものとは認められないばかりでなく、請求人も答弁書に対する弁駁においてその点を指摘していることから、住商オットーが、本件商標の通常使用権者であることを客観的に明らかにする証拠等を提出されたい。

5 当審の判断

(1)本件商標の使用者について

本件は、当事者間において、本件商標の使用者に関して争いがあったので、審判長は被請求人に対し、その立証を求めたところ、被請求人は、「本件商標は、通常使用権者である住商オットーが、定期的に一定のスタイルを持った刊行物に継続して使用している」旨主張して、乙第14号証ないし乙第16号証を提出した。

そこで、乙第14号証ないし乙第16号証を検討するに、以下の事実が認められる。

乙第14号証は、「住商オットーの15年 1986〜2001」と題する社内報(抜粋)と思しき書誌の写しであり、1986年9月11日にOTTO VERSAND社(被請求人)と住商との共同出資で日本における通信販売事業を展開するため、住商オットーメールオーダー株式会社(以下「住商オットーメールオーダー」という。)が設立登記され、その後、同年11月に住商オットーに商号を変更したこと、住商オットーでは、カタログの発刊と商品展開における過程の1988年1月〜6月期に総合カタログ「FOR YOU」を発刊したこと、また、当該カタログは他の2種のカタログとともに、年間合計6回にわたり定期発刊される体制となったこと、さらに、その書誌の冒頭には、15年間に発刊された「FOR YOU」を含めた各種カタログの表紙写真が掲載されていることが認められる。

乙第15号証は、平成18年6月6日付けで住商オットーのマーケティング営業部長が作成した「説明書」と題する書面であり、住商オットーは、被請求人と住商とが通信販売を主たる目的として1986年8月15日に設立した合弁会社であること、本件商標は、朋友出版が登録出願したものであって設定登録ののち、被請求人がこれについて平成14年8月31日まで専用使用権を設定しており、その後、被請求人に譲渡されたこと、また、このような経緯から、住商オットーは被請求人から本件商標の通常使用権の許諾を受けて使用していたこと、そして、被請求人、住商、住商オットーの関係から、個々の商標の使用に関し、被請求人と住商オットーの間で書面を作成したことはないし、それら商標の使用料は、被請求人からの各種ノウハウ等の全てに対して支払うものであり、具体的に本件商標の使用料を算出していない旨の記載がされている。

乙第16号証は、被請求人と住商オットーメールオーダー(住商オットーの旧名称)との間の通信販売業務のノウハウに関する協力を内容とする契約書(抜粋)とその訳文の写しであり、被請求人は住商オットーメールオーダーに対し、メールオーダービジネスのノウハウを提供すること、同じく、スタッフを送り、日本において使用するために役立つ具体的なノウハウを提供する旨の記載がされている。

以上において認定した事実によれば、1986年8月15日に、被請求人と住商との共同出資で、通信販売事業を展開するため、住商オットーが設立(設立登記は同年9月11日)されたものであり、同社では、1988年1月〜6月期に総合カタログ「FOR YOU」を発刊し、その後、年間2回にわたり定期刊行されていること、また、本件商標は、被請求人による専用使用権の設定を経て、1986年9月以降、同人が権利者となっていること、さらに、住商オットーは被請求人から本件商標の通常使用権の許諾を受けて使用していること、そして、被請求人と住商オットーの間では、個々の商標の使用に関しての契約等の書面を作成しておらず、それら商標の使用料は、被請求人からの通信販売事業に対する各種ノウハウに対して支払うものであって、具体的に本件商標の使用料を算出していないこと、を推認することができる。

そうとすると、通常使用権は書面による契約でなくとも成立するものであって、商標登録原簿への登録が効力発生要件でもないものであり、提出された乙第14号証ないし乙第16号証及び被請求人の主張の趣旨に照らせば、本件に関しては、被請求人と住商オットーとの間で、通常使用権の許諾があったものと解するのが取引の経験則に照らし自然というべきである。

したがって、本件審判における本件商標の使用者は、通常使用権者である住商オットーであるといわなければならない。

(2)使用商標及び使用商品並びに使用時期について

被請求人の提出した乙第6号証ないし乙第10号証によれば、以下の事実が認められる。

乙第6号証は、「FOR YOU Active」と題する商品案内を主たる内容としたカタログ型の刊行物(抜粋)の写しであり、表紙と思しき頁には、籠文字風に「FOR YOU」の、筆記体で「Active」の、また、同頁中には「フォーユー・アクティブ2004年秋冬号」、「住商オットー」の各記載が、次頁は該刊行物の目次と見られる頁で、「[特集]ファッション対談」、「−あの人がきれいな理由−」、「吉岡美佳×蜂谷裕喜」の記載が、そして、最終頁には、住所の記載と共に「住商オットー株式会社」、「定価250円(本体価格239円)」、「カタログ有効期限2005年2月28日」の各記載が認められる。

乙第7号証は、書籍小売店が、出版物の追加配布を求める際に用いる帳票(いわゆる「スリップ」)を複数枚まとめたものの写しであり、その帳票の一つには、「日販」、「補充注文」、「紀伊國屋玉川店」、「住商オットー」、「フォーユー」、「冊数 1冊」、「受注日04年06月11日」の各記載が認められる。

乙第8号証の1及び2は、住商オットー社内の支払依頼書(控)の写しとその支払依頼の起因に係る日本出版販売株式会社(以下「日販」という。)の住商オットーに対する請求書の写しであり、当該支払依頼書(控)には、「作成日付:2004/10/04」、「取引日付 2004/09/30」、「取引先 日本出版販売」、「支払金額 409,500」の、また、当該請求書には、「発行年月日:04年09月30日」、住所の記載と共に「(社名)住商オットー(株)」、「開発品新刊送品手数料」、「9/2搬入『フォー・ユー秋冬特集号』」、「合計金額 409,500」の各記載が認められる。

乙第9号証は、株式会社大阪屋(以下「大阪屋」という。)の住商オットーに対する書籍返品伝票の写しであり、「出版社名 住商オットー株式会社」、「04年12月2日(作成日)」、「フォーユーアクティブ2004年秋冬号(書名)」、「40(冊数)」、「239(本体価格)」の各記載が認められる。

乙第10号証は、日販の住商オットーに対する書籍返品計算書控の写しであり、「住商オット (取引先名)」、「04101(記帳年月日)」、「フォーユー 2004年秋冬号(書名)」、「420(冊数)」、「239(本体価格)」、「16.10.12(受領印の日付)」の各記載が認められる。

以上において認定した事実によれば、住商オットーが、籠文字風の「FOR YOU」と、筆記体の「Active」の文字を書してなり、「フォーユー・アクティブ2004年秋冬号」と併記して表題される、ファッション対談を特集記事とし、自社の商品案内を内容とした秋冬季刊発行型で、2005年2月28日を有効期限とする刊行物を、定価250円(本体価格239円)で、出版取次会社の日販、大阪屋を介して書籍小売店で販売したこと、また、住商オットーは、前記出版取次会社に仲介手数料を支払ったこと、そして、当該刊行物の小売店よりの返品420冊が日販を介して行われ、平成16年10月12日に、他の書籍の返品と共に住商オットーで受領されたことを推認することができる。

ところで、請求人は、「被請求人の使用商標は、中抜き文字で背景が透過される構成となっており、『FOR YOU』を黒色のゴシック体にて横一列に書してなる本件商標とは、社会通念上同一ではない」と述べ、また、「被請求人は、本件商標が雑誌兼叢書兼カタログに使用されていた旨主張しているが、当該商品は、それ自体が独立して商取引の対象とされているものでないし、特集ページ等が掲載されているが、カタログに掲載された商品の情報の域を出ないものであって、『奥付』も明らかでないから、雑誌、叢書には該当しない」と述べ、さらに、「被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が使用されている旨主張しているが、『2004年秋冬号』、『カタログ有効期限』等が記載されているのみであり、発行日が明らかにされていない」と述べている。

そこで、上記請求人の主張に関して、第一に、使用商標について検討するに、乙第6号証において、商品案内を内容とした秋冬季刊発行型の刊行物に表示され、独立して商標としての機能を果していると認められる「FOR YOU」の文字は、籠文字風とはいえ、字形を同一幅で、同大に書された構成態様から、前記1のおりの構成よりなる本件商標とは、ゴシック体の範疇で書してなる外観において同一視されるものであって、同一の称呼及び観念をも生ずるものであるから、両者は、社会通念上同一と認められ、登録商標の使用にあたると判断するのが相当である。

第二に、使用商品について検討するに、被請求人が、本件商標は雑誌兼叢書兼カタログに使用していたとして提出した証左の一つである乙第6号証は、前記のとおり、住商オットーが作成し、「FOR YOU」と「Active」の文字を書してなり、「フォーユー・アクティブ2004年秋冬号」と併記して表題される、ファッション対談を特集記事とし、自社の商品案内を内容とした秋冬季刊発行型で、掲載商品の内容に有効期限があり、定価が250円(本体価格239円)と定められた刊行物である。そして、前記刊行物の内容が、自社商品の案内に限定されず、特集記事を含む多様性を有する特徴があり、かつ、秋冬号の表示より季刊の定期発行性の高いものであること、さらに、近時、通信販売業界において、カタログ的な要素に加え、特集記事をその内容とする刊行物を「カタログ雑誌」と指称し商品化している実情がみられることをも併せ勘案すれば、当該刊行物は「雑誌」に包含される「通信販売用カタログ雑誌」に相当すると認め得るものである。また、前記刊行物には「定価250円(本体価格239円)」が表示されており、出版取次会社を介して書籍小売店で販売していたという被請求人の答弁の趣旨及び乙第9号証(書籍返品伝票)の「フォーユーアクティブ2004年秋冬号(書名)」、「40(冊数)」、「239(本体価格)」の、乙第10号証(書籍返品計算書控)の「フォーユー 2004年秋冬号(書名)」、「420(冊数)」、「239(本体価格)」の各記載をも総合すれば、本件商標の使用商品は、「通信販売用カタログ雑誌」であって、出版取次会社を介して書籍小売店で販売する商品であり、それ自体が独立して取引の対象となる商標法上の商品であるといわなければならない。

第三に、使用時期について検討するに、本件商標は、住商オットーが作成し、「FOR YOU」を含み、出版取次会社を介して書籍小売店で販売されている通信販売用カタログ雑誌に使用していること上記のとおりであって、当該商品には、「2004年秋冬号」、「カタログ有効期間2005年2月28日」の記載がされているものである。そして、この種通信販売の対象とする商品には、販売商品の使用時期(季)や販売〆切期日を明記するものであって、申込者は、それらに合わせて購入申込みを行う必要から、商品情報(カタログなど)を入手すると解することは、取引の経験則に照らし自然というべきである。そうとすると、前記通信販売用カタログ雑誌は、秋冬物の販売を始める2004年9月以降、遅くとも販売〆切期日の2005年2月28日以前までの間に、販売されたものとみるのが相当であり、乙第9号証(書籍返品伝票)の「出版社名 住商オットー株式会社」、「04年12月2日(作成日)」、「フォーユーアクティブ2004年秋冬号(書名)」、「40(冊数)」、「239(本体価格)」の、また、乙第10号証(書籍返品計算書控)の「住商オット (取引先名)」、「04101(記帳年月日)」、「フォーユー 2004年秋冬号(書名)」、「420(冊数)」、「239(本体価格)」、「16.10.12(受領印の日付)」の各記載をも総合すれば、本件商標の使用時期は、『奥付』についての検討をするまでもなく、2004年9月以降、遅くとも2005年2月28日以前までの間であって、本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものと推認できる。

してみれば、請求人の上記主張は、いずれも理由のないものというべきである。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標の通常使用権者である住商オットーが、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件取消請求に係る商品中の「通信販売用カタログ雑誌」に使用していたといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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