結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2005−31266(T2005−31266/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1996365号商標(以下「本件商標」という。)は、「TRYCROSS」の欧文字と「トライクロス」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和60年3月22日登録出願、第12類「輸送機械器具、その部品及び附属品」を指定商品として、同62年11月20日に設定登録されたものである。
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第12類『自転車、航空機のタイヤ及びチューブ、自動車のタイヤ及びチューブ』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証の1ないし同第3号証の15を提出した。
本件商標は、その指定商品中、第12類「自転車、航空機のタイヤ及びチューブ、自動車のタイヤ及びチューブ」については、少なくとも、過去3年以上にわたり商標権者により日本国内において使用された事実が存しない。
また、本件商標には使用権は設定されておらず(甲第2号証)、調査した限り、本件商標について他に使用許諾されている等の事実も存在しない。
よって、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)被請求人である宮田工業株式会社は、本件取消審判の予告登録日である平成17年11月9日前の三年以内に本件商標を指定商品「自転車及びその部品及び附属品」に使用していると主張し、その使用を立証する証拠として、乙第2号証ないし乙第22号証2を提出している。
しかしながら、請求人は、その内容を検討した限りでは、被請求人が本件取消審判の予告登録日である平成17年11月9日前の三年以内に本件商標を指定商品「自転車及びその部品及び附属品」に使用しているという事実の存在を認識するに至らないものである。
乙第2号証ないし乙第22号証2が提出されたにもかかわらず、使用の事実を確信できない理由について、それぞれの乙号証に係る理由は後段で説明するが、本取消審判請求に至るまでに、請求人と被請求人との間で本件商標の譲渡あるいはライセンス取得について交渉していた事実が存在している。
(2)交渉開始に至るまでの事情を説明すると、請求人は、米国カリフォルニア州所在のスペシャライズド バイシクル コンポーネンツ インコーポレイテッド(以下「スペシャライズド社」という。)の製造販売する自転車の日本における輸入販売代理店である。スペシャライズド社及び請求人は、日本において「TRICROSS」の商品名で自転車を販売することを希望し、日本における先行商標調査を行った結果、被請求人が所有する本件商標が、「TRICROSS」商標の使用及び登録についての障害となることが判明した。そこで、請求人は、被請求人による本件商標の使用について調査をしたところ、使用されていないのではないかという感触を得たので、交渉を開始することを決断した。交渉の経緯については、甲第3号証の1ないし甲第3号証の15を提出する。
さらに、請求人は、被請求人との交渉の過程で、本件商標の使用に関する説明を被請求人に一度ならず求めたのに対し、単に「使用している」と述べるだけで、証拠を示すことも、使用について事情説明することもなかった。
また、平成17年に2度にわたり、本件商標の過去3年間の使用について調査したが、被請求人が本件商標を付した製品を販売している形跡は、なかった。
これらの事情から、本件商標を付した製品は過去には製造販売されていたかもしれないが、事実・実態としては、交渉開始時にすでに販売を終了、あるいは、中止していたことは間違いないと考えられる。
(3)以上に述べた背景を踏まえ、以下、被請求人によって提出された乙第2号証ないし乙第22号証2について検証する。
まず、乙各号証の証拠全体についての請求人の見解を述べると、本件商標を付した自転車(以下「本件製品」という。)の販売を立証するために提出された証拠は、被請求人の社内の集計データや社内資料と、本取消審判請求後に被請求人の販売代理店に依頼して作成させた証明書のみであり、本件製品を平成17年11月9日前の三年以内に販売した事実を示す納品伝票、請求
書、領収書など、本件製品の具体的な取引に使用する伝票類等が全く提出されていない。これらの伝票類は、通常の会社であれば、少なくとも3年程度は保管されているものなので、これらが一切提出されていないことには違和感を覚える。また、提出された証拠で立証しようとする販売行為は、すべて被請求人とその販売代理店との間の取引行為であって、それも事実上販売代理店の証明のみにより証明されているものである。一方、本件製品が一般ユーザーに販売されたことを証明する証拠は、一切提出されていない。
(4)次に、より詳しく被請求人より提出された証拠について検証する。
乙第2号証は、本件製品が掲載されたカタログであるが、このカタログの発行日は、平成13年6月8日であるので、このカタログでは、17年11月9日前の三年以内に本件製品を販売した事実を立証することはできない。
したがって、このカタログは、本件製品の販売態様や車種番号、販売価格等を特定するために提出されたものと思われる。一方、本件製品について、このような古いカタログしか提出できなかったのは、このカタログ以降、本件
製品の積極的な宣伝・広告行為が行われなかった事実を推測させる。すなわち、このカタログ発行以降、本件製品の販売の終了あるいは中止があったことを示唆するものである。
乙第3号証1及び乙第3号証2は、2003年度(平成15年度)及び2004年度(平成16年度)の本件製品の売上明細をプリントしたものであるが、このような売上明細一覧は、パーソナルコンピュータの表計算ソフトウェアで簡単に作成できるものであり、乙第3号証1及び乙第3号証2をもって2003年度及び2004年度に本件製品が販売された事実が立証されたとはいえない。また、この売上明細一覧において、本件製品は、車種番号「CTC220」及び「CTC240」により特定されていると考えられるが、乙第2号証からカタログの発行時に本件製品がCTC220やCTC240で特定されていたことは判明しても、2003年度及び2004年度において本件製品がこの車種番号により同様に特定できることについての立証もない。
乙第4号証1、乙第4号証2、乙第5号証及び乙第6号証は、平成15年5月3日及び4日に被請求人が地元の産業振興と市内工業製品の宣伝紹介をするイベントに出展した際に本件製品を販売するための製品の引渡しを立証しているようであるが、これは過去に販売していた製品をチャリティーバザールに提供するために「物品持出証」で死蔵品を持ち出したものにすぎず、到底販売行為とはいえない。さらに、乙第5号証の物品持出証兼受領書には本件商標の表示はなく、本件製品は、車種番号「CTC220」のみにより特定されていると考えられるが、乙第2号証からカタログの発行時に本件製品がCTC220で特定されていたことは判明しても、2003年度において本件製品がこの車種番号により同様に特定できることについての立証もない。また、乙第5号証において、「CTC220 B30」の文字は、他の車種を記入した文字とは、明らかに異なっており不自然である。
乙第7号証1及び2、乙第8号証1及び2、乙第9号証1及び2、乙10号証1及び2、乙第11号証、乙第12号証、乙第13号証、乙第14号証1及び2、乙第15号証は、いずれも本取消審判請求後に、乙第2号証で提出したカタログの写しにより本件製品の商品名・車種名を特定させた上で被請求人が販売代理店に本件製品の販売を証明させた証明書、あるいは当該証明書と被請求人の社内資料である得意先元帳の写しとの組合せにより、本件製品を販売した事実を立証しようとするものである。
ここで、乙第7号証2、乙第8号証2、乙第9号証2、乙10号証2、乙第14号証2及び乙第16号証のような得意先元帳のデータは、パーソナルコンピュータの表計算ソフトウェア等で簡単に作成できるものであり、これらの得意先元帳のプリントアウトにより客観的に本件製品が販売された事実が立証されたとはいえない。また、この得意先元帳において、本件製品は、車種番号「CTC220」あるいは「CTC240」により特定されていると考えられるが、本件商標の使用を直接確認できるものではなく、さらに、に、乙第2号証からカタログの発行時に本件製品がCTC220あるいはCTC240で特定されていたことは判明しても、2003年度及び2004年度において本件製品がこの車種番号により同様に特定できることについての立証もない。
また、乙第7号証1、乙第8号証1、乙第9号証1、乙10号証1、乙第11号証、乙第12号証、乙第13号証及び乙第14号証1は、取消審判請求後に、被請求人が証明書のフォームを準備し、販売代理店に当該フォームに押印と日付の記入により証明書を作成させたものである。本件製品の製造販売業者である被請求人とその販売代理店との関係から、販売代理店が被請求人から証明書の作成を依頼されれば、内容を十分把握せずに簡単に押印してしまうことは、十分あり得ることである。何よりも、被請求人が本件製品を販売代理店に販売した事実を証明するのであれば、販売代理店への納品書、販売代理店に対する請求書、販売代理店の被請求人への支払いを示す振込依頼書や送金通知等、被請求人の販売代理店への領収書、のような具体的な取引書類を提出するのが通常の立証方法である。このような証拠は一切提出されず、販売行為を立証するための証拠としてこのような証明しか提出されないとすると、具体的な取引書類が提出できない事情があると推測されてもやむを得ない。なぜならば、請求人は被請求人との交渉開始時に取消審判請求の可能性を示唆しているので、被請求人が取消審判請求に対抗するための証拠を準備する時間は十分にあったからである。したがって、乙第7号証1、乙第8号証1、乙第9号証1、乙10号証1、乙第11号証、乙第12号証、乙第13号証、乙第14号証1及び乙第15号証が提出されても、到底本件商標の使用を確信させるには至らない。
乙第17号証は、販売代理店が平成16年9月18日に仕入れた自転車を店内で撮影した写真をもって本件商標の使用を立証しようとするものであるが、販売代理店側からこの自転車の納品書や請求書や支払いを示す送金通知等直接の取引書類が提出されているのならともかく、そのような書類も提出されないのであれば、撮影年月日が本取消審判請求後であるので、撮影された自転車が平成16年9月18日に仕入れた本件製品であることを客観的に示すものは何もなく、撮影された写真により平成17年11月9日前の三年以内に本件商標を使用した事実を確信させる程度の立証がなされたとはとてもいえない。
乙第19号証及び乙第21号証は、「TRYCROSS」貼マーク及び塗装の仕様書であるが、これを提出することによる立証の趣旨は不明である。これらの仕様書の日付は、97年12月2日、99年11月9日となっており、平成17年11月9日前の三年以内に本件商標を使用した事実との関連について何の言及もない。
また、乙第20号証1及び乙第21号証1は、貼マークであり、乙第20号証2及び乙第21号証2は、その貼マークを出庫したことを示す部品振替伝票であるが、これらを提出することによる立証の趣旨も不明である。部品振替伝票であるので、販売を証明するものではなく、ましてや本件商標を使用した製品の販売ではない。しかも、このように過去の部品の伝票は、提出できるのに、製品を販売した納品書等の伝票が提出されないということは、本件製品の販売がなかったことを示唆するものである。さらに、乙第20号証2及び乙第21号証2の部品振替伝票の日付は、05年11月28日となっているが、これが2005年11月28日を示すものであれば、この日付は、本取消審判の請求前三月から審判請求の登録日前の間であって、かつ、請求人が被請求人に対して取消審判の可能性を伝えた後のものであるので、商標法第50条第3項の規定により本件商標の使用に該当しないものである。
(5)請求人と被請求人との交渉の経緯及び乙第2号証ないし乙第22号証2の内容を検討した限りでは、被請求人が本件取消審判の予告登録日である平成17年11月9日前の三年以内に本件商標を指定商品「自転車及びその部品及び附属品」に使用しているという事実の存在を認識できる程度の証拠は提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第2項の規定によって、取消を免れないものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
(答弁の理由)
(1)被請求人は、本件審判請求の予告登録前の三年以内に本件商標を指定商品「自転車並びにその部品及び附属品」に使用した事実について、以下のとおり立証する。
(2)本件商標の使用について
(2−1)被請求人は、2001Vo1.4総合カタログ(乙第2号証)において、本件商標を付した自転車を掲載し、販売している。本カタログ第45頁左下欄に、欧文字「TRYCROSS」の商標及び片仮名文字「トライクロス22/24」を表示している。「22」と「24」は、タイヤサイズを表したものであり、タイヤサイズ22インチの車種略号「CTC−220」は、¥29800、タイヤサイズ24インチの車種略号「CTC−240」は、¥30800が標準現金販売価格である。
また、自転車「トライクロス22/24」は、フラッシュライトシルバー(カラー記号「SL」)・ポピーレッド(カラー記号「R2」)・フラッシュMブルー(カラー記号「B30」)の三色があることを表示している。したがって、商品の受注・流通・在庫の管理において、車種略号とカラー記号の組合せにより、商品の特定を行っているものである。
前記2001Vol.4総合カタログにおいて特定できる販売商品の自転車は、包装箱には、「CTC220 R2」等の車種記号が表示されて出荷される。次に、例えば、「CTC 220 R2」と表示された包装箱には、商品の自転車及び販売ツールとしてのプライスカードが収容されている。このプライスカードには本件商標の「TRYCROSS」及び「トライクロス」が表示されている。
次に、商品の車体、車輪、装備部品、カゴなどの付属品を取り出すと、車体は、包装箱に表示された「R2」の記号のとおりカラーは、「ポピーレッド」である。そして車体の下パイプには、本件商標の「TRYCROSS」が表示されている。また、車体の立パイプには、「CTC220 R2」の車種記号も表示されている。
(2−2)上記本件商標を付した自転車の販売状況について、被請求人の2003年売り上げ明細(乙第3号証1)及び2004年売り上げ明細(乙第3号証2)より販売先、売上日、車種及び台数を特定する。
次に、前記2003年及び2004年売り上げ明細の特定された事実について、乙第4号証ないし乙第18号証により個別に立証する。
(2−3)平成15(2003)年5月3日・4日に、「第48回大岡越前祭」が、第48回大岡越前祭実行委員会の主催、茅ヶ崎市・茅ヶ崎商工会議所等の後援により開催され(乙第4号証1)、被請求人は、その開催趣旨に賛同し、「ちがさき産業フェア」に出展すべく、代理店制度の下に製品展示及び取引代理店の出店斡旋を行った(乙第4号証2)。この結果「製品展示及び取引代理店」の販売業務は、地元自転車店が共同して担当し、市民への製品販売として実施された。そして、この取引は、当社の代理店である株式会社第一商会(以下「第一商会」という。)を中心に行われた。そこで、「大岡越前祭」開催日の直前の4月30日に自転車「CTC220 B30」の取引の発生がある(被請求人得意先元帳、乙第7号証2)。この「大岡越前祭」において、注文を受けたことにより5月7日において、第一商会から「CTC220 B30」1台の追加注文を受け、これを販売した。この販売は、第一商会が被請求人本社に来て、直接商品の引渡しを行った。その商品の引渡しにおいて、注文品の物品持出証兼受領書にサインをもらっているので、引渡し事実を立証するため物品持出証兼受領書(乙第5号証)を提出する。また、物品持出証兼受領書にサインを行って商品の引取りに来た事実に相違ないことを立証するために、物品持出証兼受領書証明書(乙第6号証)を提出し、さらに「CTC220 B30」の車種を特定し、かつ、販売事実を販売証明書(乙第7号証1)及びこの販売による代金請求事実を示す被請求人得意先元帳(乙第7号証2)により立証する。
(2−4)被請求人は、株式会社かいた屋本店へ、平成15年6月27日に、本件商標が使用された自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 B30」を1台販売した。この事実を譲受人である株式会社かいた屋本店の証明書(乙第8号証1)及びこの販売による代金請求事実を示す被請求人得意先元帳(乙第8号証2)により立証する。
(2−5)被請求人は、共和サイクルへ、平成15年6月27日に、本件商標が使用された自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−22O B30」を1台販売した。この事実を譲受人である共和サイクルの証明書(乙第9号証1)及びこの販売による代金請求事実を示す被請求人得意先元帳(乙第9号証2)により立証する。
(2−6)被請求人は、ミナミサイクルヘ、平成15年6月23日に、本件商標が使用された自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 B30」を1台、及び自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 SL」を1台、販売した。この事実を譲受人であるミナミサイクルの証明書(乙第10号証1)及びこの販売による代金請求事実を示す被請求人得意先元帳(乙第10号証2)により立証する。
(2−7)被請求人は、酒谷 くみの木店へ、平成15年6月25日に、本件商標が使用された自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 R2」を1台、自転車「トライクロス24」車種略号「CTC−240 R2」を1台、及び、自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 B30」を1台、それぞれ販売した。この事実を譲受人である酒谷 くみの木店の証明書(乙第11号証)により立証する。(以下、販売による代金請求事実を示す被請求人得意先元帳の提出を省略するが、元帳は、それぞれ存在するので、必要により提示する。)
(2−8)被請求人は、リンリン甲子園店へ、平成15年7月18日に、本件商標が使用された自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 R2」を1台、販売した。この事実を譲受人であるリンリン甲子園店の証明書(乙第12号証)により立証する。
(2−9)被請求人は、平成15年6月26日に、加納トミタサイクルヘ、本件商標が使用された自転車「トライクロス24」車種略号「CTC−240 R2」を1台、及び、自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 B30」を1台、それぞれ販売した。この事実を譲受人である加納トミタサイクルの証明書(乙第13号証)により立証する。
(2−10)被請求人は、平成15年7月12日に、CSサトウヘ、本件商標が使用された自転車「トライクロス24」車種略号「CTC−240 R2」を1台、及び自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 B30」を1台、販売した。この事実を譲受人であるCSサトウの証明書(乙第14号証1)及びこの販売による代金請求事実を示す被請求人得意先元帳(乙第14号証2)により立証する。
(2−11)被請求人は、株式会社長生運送(以下「長生運送」という。)へ、平成16年9月18日に、本件商標が使用された自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 R2」を2台、及び自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−240 SL」を1台、それぞれ販売した。この事実を譲受人である長生運送の証明書(乙第15号証)、及び、この販売による代金請求事実を示す被請求人得意先元帳(乙第16号証)により立証する。
また、長生運送が被請求人の近くに所在するので、今回の取消審判請求に対応するため、在庫状況につき、問い合わせたところ、上記自転車「トライクロス22」車種略号「CTC−220 R2」について、包装箱の状態で在庫があるので、店舗であるMCS湘南店内において、撮影を依頼し、証明書(乙第17号証)を作成してもらった。
なお、自転車の組立及び販売が長生運送の業務範囲であることを長生運送の登記簿謄本(乙第18号証)により、立証する。
(3)次に、被請求人は、車種(MBCTC248/228)の「TRYCROSS」貼マーク仕様書(乙第19号証)により、登録商標の使用事実を立証する。その仕様の貼マークの現品(乙第20号証1)は、現在、在庫の貼マークを部品振替伝票(乙第20号証2)により出庫したものであることを立証する。
(4)前記販売自転車(CTC240/220)に使用している本件商標「TRYCROSS」の貼マークを、貼マーク仕様書(乙第21号証)により使用の事実を立証する。そして、その仕様の貼マークの現品(乙第22号証1)は、在庫中の貼りマークを部品振替伝票(乙第22号証2)により出庫したものであることを立証する。貼マーク仕様書で、車種がMBCTC240/220と記載されるが、カタログ等では、車略記号と表示するように「MB」の記号は省略され、前記のように、CTC240、CTC220と記載されるものである。
(5)以上のように、本件商標は、被請求人により、指定商品「自転車」について、本件審判請求登録日(平成17年11月9日)前三年以内に使用がなされているから、商標法第50条第1項に該当しないものである。
被請求人より提出された乙各号証によれば、以下のことが認められる。
(1)乙第2号証は、被請求人の商品カタログ(抜粋)と認められるところ、裏表紙の横隅に「平成13年6月8日発行」、その最下部には「仕様は2001年6月1日現在」と小さく表示されている。そして、この商品カタログの45頁には、4種(ブランド)の自転車が掲載されており、その左下に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付された自転車(CTC−240(フラッシュシルバーSL))の写真が掲載され、「トライクロス22/24」として、車種略号「CTC−220」及び「CTC−240」について、それぞれ標準現金販売価格、シフト段数、タイヤサイズ、カラーの商品説明が記載されている。
乙第3号証1は、「2003年度トライクロス(CTC)売り上げ明細」(写し)であり、乙第3号証2は、「2004年トライクロス(CTC)売り上げ明細」(写し)と認められるところ、これらの書類には、2003年度は9店舗、2004年は1店舗の販売代理店別の「受注No」、「受注日」、「売上日」、「車種」、「金額」等がそれぞれ記入されている。そして、車種として記載されている「CTC220」及び「CTC240」は、上記商品カタログの車種略号と同一といえるものであり、これらの売上日は、2003年4月30日から2004年9月18日である。
乙第7号証2は、「得意先元帳」(写し)と認められるところ、この書類の上部には、先の販売代理店の一である「(株)第一商会」が表示され「2003年5月31日締」と記載されていて、同代理店の受注日、受注受No及び品名(記号)等が一覧できるように作成されていることが認められる。そして、これらの記載事項を見ると、乙第3号証1の「2003年度トライクロス(CTC)売り上げ明細」に記入されているものと同じ受注No(H0430)、受注日(03430)、車種(CTC220)等が他の売り上げ品名(黒く伏せてある。)と共に記載されていることが認められる。
さらに、乙第8号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)の各「得意先元帳」(写し)には、上記乙第7号証2の「得意先元帳」と同様に、乙第3号証1又は乙第3号証2に記入されているものと符合する受注No、受注日、車種等がそれぞれ記載されていることが認められる。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、上記商品カタログ、「2003年度トライクロス(CTC)売り上げ明細」、「2004年トライクロス(CTC)売り上げ明細」及び各「得意先元帳」は、その掲載内容及び記載内容から商品「自転車」が取引の実際に使用されたと認め得るものであり、かつ、商品カタログに表示されている「TRYCROSS」及び「トライクロス」の各文字は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
また、商品カタログの発行年月は、請求人の主張するとおり平成13年6月8日であるが、裏表紙の最下部に表示されている「仕様は2001年6月1日現在」の記載内容からすれば、単なる消耗品ではない該商品カタログの掲載商品が「2003年度トライクロス(CTC)売り上げ明細」及び各「得意先元帳」上で記載されている年月日に、受注され、売り上げられたと認め得るものであるから、これらの記載年月日よりすれば、いずれも本件審判の請求の登録日(平成17年11月9日)前三年以内と認め得るものである。
なお、請求人は、弁駁書において「本件取消審判請求に至るまでに、請求人と被請求人との間で本件商標の譲渡あるいはライセンス取得について交渉していた事実が存在している。」、「事実・実態としては、交渉開始時にすでに販売を終了、あるいは、中止していたことは間違えない。」旨を証拠を提出して縷々主張している。しかしながら、本件商標については、前記認定のとおり、その使用が認められるものであるから、請求人のこれらの主張は、採用の限りでない。
また、請求人は、被請求人により、提出された証拠は、被請求人の社内の集計データや社内資料と、本取消審判請求後に被請求人の販売代理店に依頼して作成させた証明書のみであり、納品伝票、請求書、領収書など、本件製品の具体的な取引に使用する伝票類等が全く提出されていないことから、信憑性に疑問を呈する旨の主張をしているが、提出された得意先元帳は、当該取引先ごとの約1月の取引を月末締めで明細とし、合計の請求額等が記載されたものであり、格別不自然なものということはできないし、また、これが不使用による商標登録の取消しを免れるためにのみ作成された虚偽の証拠であると認めるに足りる証拠の提出はない。
そうすると、本件商標は、被請求人(本件商標権者)によって本件審判の請求の登録日前三年以内に日本国内において、本件取消請求に係る指定商品中に含まれる「自転車」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができる。
(3)したがって、本件商標は、その指定商品中の「自転車、航空機のタイヤ及びチューブ、自動車のタイヤ及びチューブ」について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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