Trademark Appeal Case
ダックスとタックスの称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−14156(T2005−14156/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ダックス」の片仮名文字を横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成16年6月18日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、次の(1)ないし(3)のとおりである。
(1)登録第753147号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「タックス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和40年9月3日に登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、同42年8月29日に設定登録され、その後、3回にわたり、商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第1687141号商標(以下、「引用B商標」という。)は、「TACSS」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年6月3日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同59年5月29日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権存続期間の更新登録がされたものである。
そして、指定商品については、平成16年10月27日に、指定商品を第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第2707415号商標(以下、「引用C商標」という。)は、「DUCK」の欧文字と「ダツク」の片仮名文字を二段に併記してなり、昭和63年5月9日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成7年5月31日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がされたものである。
そして、指定商品については、平成17年10月5日に、指定商品を第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用海草のり,洗濯用コンニャクのり,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯 ,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤」とする指定商品の書換登録がされたものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「ダックス」の片仮名文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して、「ダックス」の称呼が生ずるものである。
また、該文字が特定の意味合いを有する既成語を表したものとは認められず、本願商標からは直ちに特定の観念は生じないものというべきである。
(2)引用商標について
引用A商標は、「タックス」の片仮名文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「タックス」の称呼が生ずるものであり、英語の「TAX」、すなわち「税金」の観念を想起させるというべきものである。
引用B商標は、「TACSS」の欧文字よりなるところ、該文字は特定の意味合いを有する既成語を表したものとは認められないことから、この種欧文字に接する場合の通例として、我が国において最も親しまれている英語又はローマ字式の読み方をもって称呼されるのが一般的であることよりすれば、該文字からは、「タックス」の称呼が生ずるというべきである。
引用C商標は、「DUCK」及び「ダツク」の文字を二段に併記してなるところ、「DUCK」の欧文字部分が「カモ、アヒル」等の意を有する英語であることから、引用C商標からは、片仮名文字部分に相応する「ダツク」の称呼とともに、「ダック」の称呼及び「カモ、アヒル」の観念が生ずるものである。
(3)指定商品について
本願商標の指定商品は「薬剤」であるところ、引用AないしC商標は、いずれもその指定商品中に「薬剤」を含んでいるものであるから、引用AないしC商標の指定商品中には、本願商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれているものである。
ところで、商標の類否は、商品の取引の実情を明らかにし得るかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当とされるところ、近時、医療現場において、名称の誤認による薬剤の取り違えで、患者が重症に陥ったり、死亡するに至る事故が相次ぎ、厚生労働省においても、医療関係者に対し、医薬品等の安全対策について情報提供するとともに、すべての医療用医薬品にバーコードを付与したり、特許が切れた新薬と同じ成分を使って開発メーカー以外の複数のメーカーが作る「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」について申請される品名を薬の正式名称で統一する旨通知する等の措置をしている。
また、医療現場以外の薬局店における需要者は、一般の人々といえるものである。
(4)本願商標と引用A商標の類否について
「薬剤」の取引分野における上記(3)の実情を踏まえた上で、本願商標と引用各商標との類否について検討するに、まず、本願商標と引用A商標は、「ダックス」の文字と「タックス」の文字をそれぞれ横書きしてなるものであるところ、たとえ、外観において、「タ」の濁点の有無の差異及び本願商標がゴシック体で表されているのに対し、引用A商標は特異な態様ではない毛筆書体で表されているという書体の差異を有しているとしても、この程度の差異によっては、外観上明らかに非類似であるとはいい得ず、時と所を異にしてみるときは、全体として近似した印象を受けるというべきであるから、両商標は、外観において互いに相紛らわしいものというのが相当である。
次に、称呼についてみるに、両商標は、構成音数を同じくし、語頭音が「タ」の濁音か清音かの差異を有するのみで、その他の音を共通にするものである。
そして、該差異音についても、「ダ」の音が有声の破裂音であり、「タ」の音が無声の破裂音であることから、両者の差異は、声帯の振動の有無という点のみであって、調音の場所や調音の方法を同じくするものである。
そうとすれば、たとえ、該差異音が語頭に位置するとしても、両称呼を明確に聴別できるものとはいい難く、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が近似し、互いに相紛らわしいものというのが相当である。
また、本願商標が特定の意味合いを有しない造語というべきものであることからすれば、観念については、両者を比較することができない。
してみれば、これらを総合的に考察するに、本願商標と引用A商標は互いに類似する商標であるというのが相当である。
(5)本願商標と引用B商標の類否について
本願商標と引用B商標の類否についてみるに、本願商標から生ずる「ダックス」の称呼と引用B商標から生ずる「タックス」の称呼とが類似するものであることは、上記(4)に示したとおりであるから、両商標は、称呼において類似するものである。
また、両商標は、ともに特定の意味合いを有しない造語というべきものであることからすれば、観念については、両者を比較することはできない。
してみれば、本願商標と引用B商標は、外観上における相違を考慮しても、称呼上類似する商標というのが相当である。
(6)本願商標と引用C商標の類否について
本願商標と引用C商標の類否についてみるに、本願商標より生ずる「ダックス」の称呼と引用C商標より生ずる「ダック」の称呼とは、語尾における「ス」の音の有無の差異を有するのみであって、「ダック」の音を共通にするものである。
そして、この「ス」の音は、それ自体が響きの弱い無声摩擦音であるばかりでなく、比較的聴取され難い語尾に位置することから、この音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が近似し、互いに相紛らわしいものというのが相当である。
また、本願商標が特定の意味合いを有しない造語というべきものであることから、観念については、両者を比較することができない。
してみれば、本願商標と引用C商標とは、外観上における相違を考慮しても、称呼上類似する商標というのが相当である。
(7)まとめ
したがって、本願商標は引用AないしC商標と類似するものというのが相当であり、かつ、引用AないしC商標の指定商品中には、本願商標の指定商品と同一又は類似のものが含まれているものであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。