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Trademark Appeal Case

権利不要求の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2005−13603(T2005−13603/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「駿河屋寿駿庵」の文字を標準文字で書してなり、第30類「菓子及びパン,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、平成16年11月15日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の3件である。

(1)登録第316732号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)に表示するとおり、昭和13年6月6日登録出願、第43類「煉羊羹」を指定商品として、同14年5月22日に設定登録され、その後、4回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、該登録に係る権利は、現に有効に存続しているものである。

(2)登録第553169号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)に表示するとおり、昭和26年9月17日登録出願、第43類「羊羹」を指定商品として、同35年7月21日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、更に、指定商品については、第30類「羊羹」とする書換登録が平成13年2月14日になされ、該登録に係る権利は、現に有効に存続しているものである。

(3)登録第553170号商標(以下「引用商標3」という。)は、「駿河屋」の文字を書してなり、昭和26年10月22日登録出願、第43類「羊羹」を指定商品として、同35年7月21日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、更に、指定商品については、第30類「羊羹」とする書換登録が平成12年10月4日になされ、該登録に係る権利は、現に有効に存続しているものである。(以下、これらをまとめて「引用各商標」という。)

3 当審の判断

(1)本願商標と引用商標1における権利不要求との関係について

請求人は、上記引用商標1中の「駿河屋」の文字自体に付いては権利を要求しない、いわゆる権利不要求の宣言を持って登録せられたものであり、「駿河屋」部分の単独の権利についてこれを行使しないことをもって登録せられたものであると主張しているので、先ず、この点について判断する。

権利不要求とは、「商標の要部と認められるおそれのある部分が分離しては自他商品の識別力を有しないか、または慣用商標に該当するため登録を受けることができない場合でも、商標全体として識別力が認められるならば、その部分自体について権利を要求しないことを申し出たときには、その商標を登録しようとする制度」であり、旧法(大正10年法律第九十九号)において認められていた制度である。

そして、権利不要求は、その部分についての禁止権を放棄する出願人の意思表示にすぎないものであり、その申し出があるからといって、その部分を当該商標から排除して考察すべきではなく、商標に対する権利不要求部分を有する既登録商標との類否判断については、権利不要求部分を除いた部分についての要部観察にのみ終わることなく、権利不要求部分も含んだ全体についても考察して類否判断をなすべきである。

このことは、以下の判例に照らしても妥当なものといえる。

(a)「引用商標等において権利不要求の部分がある場合においても、商標の類否の判定は、当該権利不要求部分も含めて全体としてなされるべきことは、所論のとおりであるが、・・・」(最高裁判所第1小法廷 昭和46年1月21日判決 昭和42年(行ツ)第9号)

(b)「旧商標法第2条第2項の規定による権利不要求は、いわゆる禁止権放棄の意思表示として私法上の効力に関するものであって、登録法上の効力、すなわち登録商標と抵触する商標の 登録を排除する効力を放棄するものではなく、登録された以上、権利不要求がされた商標でも類否の判断に当っては、商標を全体として比較検討すべきことは、一般の場合と異ならない。(東高裁 昭和53年12月20日判決 昭和52年(行ケ)第209号)

したがって、「駿河屋」の部分につき権利不要求の申し出がされていたかどうかは、本願における商標の類否判断には直接的にはもちろん、間接的にも何らの影響を及ぼさないものというべきであって、請求人の上記主張は採用することができない。

(2)本願商標と引用各商標との類否について

次に、本願商標と引用各商標との類否について判断するに、本願商標は、上記1のとおり「駿河屋寿駿庵」の文字を書してなるところ、その構成中の「屋」文字は、寄席・料理屋などの屋号につける語として、また、「庵」の文字は、料理屋などの家の名に添える語として一般に使用されているものであり、屋号、店名等の末尾に採用されることの多い文字であって、これらの構成文字が単独で出所の識別標識としての機能を果たすというよりは、むしろ、「庵」の文字を含めて一体として一つの屋号、店名等を表すものと理解され、該「駿河屋寿駿庵」の文字も、構成全体をもって屋号、店名等を表した一体不可分の一種の造語として把握されると見るのが自然である。

そして、「駿河屋寿駿庵」の文字よりなる本願商標は、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔よりなるものであり、かつ、各構成文字は、外観上まとまりよく一体的に書されているばかりでなく、これより生ずると認められる「スルガヤジュスンアン」の称呼も一気に称呼し得るものであって、これより、全体として特定の屋号を表わすものと認識されるというのが相当である。

そうすると、本願商標は、その構成文字全体に相応して「スルガヤジュスンアン」の称呼のみが生ずるものというべきである。

他方、引用商標1は、別掲のとおりの構成よりなるところ、これに接する取引者、需要者は、その構成中顕著に表されている「駿河屋」の文字部分を自他商品の識別標識としての機能を果たす部分として認識し、取引に当たることも決して少なくないものというべきである。そして、これより生ずると認められる「スルガヤ」の称呼も一気に称呼し得るものであって、これより、特定の屋号を表わすものと認識されるというのが相当である。

また、引用商標2及び引用商標3は、それぞれ「駿河屋」の文字を表してなるものであるから、該構成文字より「スルガヤ」の称呼を生ずるものである。

そこで、本願商標より生じる「スルガヤジュスンアン」の称呼と、引用各商標より生じる「スルガヤ」の称呼とを比較するに、両称呼は、その構成音数を著しく異にするものであるから、称呼上相紛れるおそれのないものである。さらに、両者は観念及び外観においても明らかに相違するものである。

してみれば、本願商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。

したがって、本願商標と引用各商標が称呼上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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