Trademark Appeal Case
図形商標の構成態様類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90149(T2006−90149/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4921406号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成17年2月17日に登録出願、第9類「未記録のDVD,録画済みのDVD,コンピュータ用プログラムを記憶させたDVD」を指定商品として、同18年1月13日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、下記の2件の登録商標を引用している(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。)。
(a)登録第4231776号商標は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成8年1月16日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年1月22日に設定登録されたものである。
(b)登録第4601073号商標は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成13年6月22日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年9月6日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、共に、「ディーブイディー」の称呼を生じ、デジタル多用途ディスク(DVD)の観念を想起させ、外観の基本的構成を同一にするものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、互いに相紛らわしい類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
申立人は、日立株式会社、ソニー株式会社、松下電器産業株式会社、タイムワーナーインク、東芝株式会社等10社を株主として2000年4月に設立された法人であり、デジタル多用途ディスク(DVD)のフォーマット技術をライセンスし、該フォーマット技術にしたがってフォーマットされ、一定の基準を満たしたデジタル多用途ディスクであることを示すために、引用商標の使用をライセンス許諾することを主たる業務としている会社である(甲第3号証)。殆ど全てのDVDが申立人の提供するフォーマットの様式でフォーマットされており、わが国その他の外国で流通しているDVDの殆どに引用商標が使用されている(甲第4号証の1、2)。また、申立人商標は、日本のみならず、世界46ヶ国で登録されている(甲第5号証)。そして、ライセンシーは、未記録のDVD、映画等を録画した録画済みのDVDにも引用商標をディスク本体、そのケース、包装、またその広告に広く使用している(甲第6号証)。
してみれば、引用商標は、本件商標の指定商品の分野において周知、著名であることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記の事情からみれば、本件商標は、申立人商標を流用したものといわざるを得ないものであり、商標権者は明らかに、申立人所有の著名商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する目的で使用するものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)以上、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、中央部分を楕円状に白抜きしてなる黒色の楕円図形を表し、「DVD」の文字を、当該楕円図形に文字の一部が重なり、かつ、当該楕円図形と重なっている文字部分が白色に反転するように表してなるところ、該「DVD」の文字中央の「V」の文字は両側の「D」の文字に比べて、やや小さく、かつ、細く表されるとともに、該文字の上端部には、両側の「D」に接する長めの横棒が配されているものである。
他方、引用商標は、別掲(2)に示したとおり、中央部分を楕円状に白抜きしてなる黒色の楕円図形を表し、当該楕円図形の上方に、「DVD」の文字を表した構成からなるところ、該「DVD」の文字は、極めて太い線をもって、両側の「D」の文字と「V」の文字とが結合するように、特徴のある書体をもって表されており、「V」の文字の先端部分は、楕円状円盤に接するように下方に伸ばして表されているものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、これらの商標は、いずれも「DVD」の文字と楕円図形とを構成要素としている点において共通にするところがあるとしても、本件商標は、「DVD」の文字を楕円状円盤の中に沈めたかのように不可分一体的に構成されているのに対して、引用商標は、「DVD」の文字が楕円状円盤の上方に遊離した状態に表されており、その構成態様において顕著な差異を有しているものということができる。
そして、この差異が、これら商標の外観に与える影響は大きく、図形全体から受ける視覚的印象を明らかに異にするものというべきであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、本件商標構成中の「DVD」の文字部分については、その指定商品「未記録のDVD,録画済みのDVD,コンピュータ用プログラムを記憶させたDVD」との関係からみて、該文字部分のみが分離抽出されて、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認められないから、「ディーブイディー」の称呼及び「デジタル多用途ディスク」の観念を生ずることはないものというべきであり、他に、本件商標から特定の称呼、観念を生ずることはないものというべきである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念については比較すべくもないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
上記のとおり、本件商標と引用商標とは十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
してみれば、その余の要件について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならず、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する目的で出願されたものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号にも該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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