Trademark Appeal Case
欧文字1字差の類似判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90209(T2006−90209/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4927847号商標(以下「本件商標」という。)は、「GCI」の文字を標準文字としてなり、平成17年7月5日に登録出願、第36類「投資及びこれに関する情報の提供,投資に関するコンサルティング及びこれに関する情報の提供」を指定役務として、平成18年2月10日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきであるとして、以下のように申し立てた。
(1)引用商標
申立人が引用する商標は、「GCE」の文字を書してなる国際登録第864095号商標(平成17年3月17日を国際登録日とし、「stocks and bonds brokerage;stock exchange quotations;financial and monetary infomation(邦訳:株式及び債権の売買の媒介・取次ぎ又は代理,株式市況に関する情報の提供,金融又は財務に関する情報の提供)」ほか、第36類に属する国際登録簿に記載の役務を指定役務とする。)(以下「引用商標」という。)である。
(2)理由の要旨
ア 引用商標の周知性について
申立人は、商業銀行業務と投資銀行業務の双方の営業活動を展開するいわゆるユニバーサルバンクであり、フランス国内においては第3位の店舗網を有し、ヨーロッパでも有数の大手金融機関である。そして、申立人は銀行業、投資信託業、保険業等の事業分野ごとに各種の商標を使用して事業を展開しているが、これらの各事業が申立人が中核企業となっている企業グループの傘下にあり、申立人はこの企業グループを表象するものとして引用商標を使用している。
したがって、引用商標は、指定役務を表象する商標としてヨーロッパにおいて広く知られている商標である。また、金融市場のグローバル化、インターネットをはじめとする情報通信技術の急速な発達という実情に鑑みれば、世界的にも有力な金融市場を有するヨーロッパにおいて周知性を獲得している商標は、ヨーロッパのみならず日本国内においても周知性を獲得した商標である考えるのが自然であるから、引用商標は、ヨーロッパのみならず日本においても周知性を獲得した商標である。
イ 商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり、引用商標は本件商標の出願時点において、既に周知性を獲得し商標であり、引用商標の上記した指定役務は、本件商標の指定役務に類似し、両商標とも欧文字3文字から構成され、特定の観念を生じない造語であるから観念上比較することはできないが、外観及び称呼において類似するものである。
ウ 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、総合的な金融サービスを提供するユニバーサルバンクであり多角的な経営を展開していること、引用商標は、申立人の提供する役務を表示するものとしてヨーロッパのみならず日本国内においても周知性を獲得していること、及び引用商標の指定役務は本件商標の指定役務に類似する役務を包含していること等の事情を考慮すると、本件商標を使用することによって、申立人と本件商標権者が経済・組織的に何らかの関係があるものであるかのごとく需要者に誤認されるおそれが極めて高い。
エ 商標法第4条第1項第19号について
引用商標が種々の金融サービスを提供するユニバーサルバンクである申立人の提供する役務を表示する商標として周知であり、本件商標権者は、同じ事業を営む者として引用商標の存在を知っているべきであったにもかかわらず、本件商標を出願し登録を取得していることから、引用商標がまだ日本国内において登録されていないことを奇貨としてその信用にただ乗りしようとする不正の目的があるものと推認される。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、特定の観念を生じさせない造語と認められる「GCI」の文字からなるものであり、その構成文字に相応して「ジーシーアイ」の称呼を生ずるものである。一方、引用商標は、「GCE」の文字からなり、その構成文字に相応して「ジーシーイー」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じさせない造語からなるものである。
そして、両商標は、その構成において1文字目「G」、2文字目「C」を同じにするとしても、3文字目の「I」と「E」とに差異を有することは容易に看取し得るものであり、「I」と「E」とはその字形が近似したものとは到底いい難い字体であるばかりでなく、両者のかかる短い綴り構成にあっては、その差異は判然と識別できるものであって、外観において相紛れるおそれはないというべきである。
また、欧文字3文字からなる商標の称呼については、欧文字一字毎に称呼される以外に特定の称呼を生じる既成語、或いは音節が形成されるようなものは別として、通常は一字毎に区切って発音される実情にあるというべきであり、本件商標「GCI」から生ずる「ジーシーアイ」の称呼と引用商標「GCE」から生ずる「ジーシーイー」の称呼とは、冒頭からの「ジー」「シー」を同じくするが、語尾においての「アイ」と「イー」との差異を有するものであって、その「アイ」と「イー」との差異が比較的簡素な称呼全体の音感に与える影響は決して小さいものとはいえず、これらを一連に称呼しても、両者は聞き誤ることなく、別個のものとして聴別し得るものである。さらに、両商標は、観念において相紛れる余地はないから、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標に類似する商標と判断することはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とが類似するものでないことは上述のとおりであり、両者は別個・別異の出所を表す商標として把握されるものというべきであって、両商標を殊更に関連付けてみなければならない格別の事由も見出せないし、また、申立人提出の証拠によっては引用商標が申立人の役務について相当程度の使用を認め得る以上に、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する需要者が、引用商標を想起、連想して、当該役務を申立人あるいは同人と組織的又は経済的に関係を有する者の業務に係る役務と誤信し、その出所を混同するおそれがあるとすることはできない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
上述のとおり、本件商標が引用商標に類似するといえないこと、そしてたとい、本件商標権者が申立人と同じ事業を営む者であり、引用商標の存在を知っていたとしても、そのことから直ちに、同人が申立人の信用にただ乗りせんとする目的をもって本件商標を使用すると断ずることはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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