sokuhyo

Trademark Appeal Case

先使用商号と商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90676(T2005−90676/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4895884号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4895884号商標(以下「本件商標」という。)は、「STADIO RUA」の文字を標準文字で書してなり、平成17年3月30日に登録出願され、第25類「被服」及び第41類「電子出版物の提供,音楽の演奏の興行の企画又は運営,音楽の演奏,放送番組の制作,写真の撮影」を指定商品及び指定役務として、平成17年9月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、登録異議申立人(企業組合STUDIO RUA 以下「申立人」という。)の商号と極めて類似するものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第10号に該当する。

また、「STUDIO RUA」は、申立人の業務に係るものを表示するものとして広く需要者に認識されてきたものである。申立人企業組合代表理事中目朋子は、平成12年10月以降、同人の名称として、「STUDIO RUA」を使用し業務を営んできたほか、平成17年3月30日には山形県知事に対して法人設立の申請をしたものであり、商標権者(出願人)は、これらを十分熟知しながら、申立人の業務を妨害する目的で本件商標登録出願を行ったものと思料される。

よって、同法43条の2の規定に基づき、本件商標の登録は、取り消されるべきである。

3 当審が通知した取消理由

(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

(ア)申立人(「企業組合STUDIO RUA」)の代表である中目朋子(堀井朋子 以下「中目」という。)は、フリーアナウンサー、ラジオパーソナリティー、TVリポーターなどを行っていたが、2003(平成15)年2月14日に、イベントやブライダルのプロデュース、TV・ラジオCMの企画・演出、スタイリスト、ホームページの制作・管理、CD・DVDの制作等を行う組織として、「STUDIO RUA」を設立した(甲第3号証)。

(イ)中目は、平成15年2月より、本件商標権者である丹野孝則(以下「丹野」又は「商標権者」という。)らとともに、音楽バンド「MOON−MATIC」(第1期)として、CDの制作活動を行い、CDアルバム「DearestMoon」(以下「本件CDアルバム」という。)が同年11月22日に完成し、発売された(甲第9号証の陳述書及び平成15年12月4日付け契約書))。

(ウ)中目、丹野らは、本件CDアルバムの流通、販売等に関する契約を行い、平成15年12月4日付けで契約書を作成した。該契約書では、本件CDアルバムを制作した当時の「MOON−MATIC」を第1期とし(第1条)、その後の「MOON−MATIC」を第2期とする記載があり、第5条には、「平成15年11月29日以降、第2期『MOON−MATIC』(代表=中目朋子《堀井朋子》)が展開する活動・販売・宣伝・及び名誉・権利において、丹野孝則《=s.f.Taka》は、一切妨害しないこと。なお、『MOON−MATIC』としての固有名称・権利はこの日より代表である中目朋子本人が統一・所有し、・・・」と記載されている。

(エ)中目及び丹野がそれぞれ署名、押印した平成15年12月4日付け誓約書には、「私くし丹野孝則は、今後、内部・外部に対する中目朋子《堀井朋子》本人としての仕事・名誉・生活その他損害の全てに関わる発言と行動を行使しないことを約束します。」、「本日付で 前金として『STUDIO RUA』に貸した金100万円を代表である中目朋子より返却されたことを証明します。」等の記載がある。

(オ)平成17年3月30日に、「企業組合STUDIO RUA」設立の山形県知事齋藤弘宛ての中小企業等協同組合設立認可申請が、発起人代表中目よりなされた(甲第6号証)。

(カ)丹野は、本件商標の登録出願と同日の平成17年3月30日に、「MOON−MATIC」の文字からなる商標を登録出願した(甲第9号証)。

(キ)丹野の署名、押印された山形国際ホテル代表者宛ての、平成17年10月31日差出しの書留内容証明郵便物(以下「内容証明」という。)には、「貴社ウエブサイト運営に関する質問」として、「貴社運営のウエブサイトページ上に記載されている『Studio Rua』に関し、・・・私が商標権者である『STUDIO RUA』(商標登録4900480号登録済)に著しく酷似しております。つきましては貴社におかれてStudio Ruaを同ページ上に記載した経緯、意図、理由等を至急ご回答賜りたくここに書面をもって申し入れます。」と記載されている(甲第9号証に添付の内容証明)。

(ク)弁護士 倉岡憲雄から丹野に、平成17年12月20日付け通知書により、「当職が企業組合STUDIO RUA代表理事 中目朋子の委任を受けた代理人であること」、「貴殿におかれては直ちに登録を取り下げること。」、「商標(「STUDIO RUA」)を使用しそうなところには警告文を出すというような行為をしないよう警告する。」、「貴殿(丹野)が通知人らの業務を妨害し名誉を毀損する行為に及んだ場合には、法的措置をとること。」等を内容とする通知がされた(甲第9号証に添付の「通知書」)。

(ケ)企業組合シーケンシャルデジット代表理事・歯科医師 丹野孝則名で当該企業組合印が押印され、相手先を「各位」とし、「お通知」と題する平成17年12月31日付け文書には、前記(8)の通知書(写し)を添付し、「平成17年10月14日付にて商標『STUDIO RUA』は、本組合代表理事が商標権者として登録されています。調査した結果、堀井朋子こと中目朋子様が制作した電子出版物・興行等で本商標を使用した形跡を確認することができました。」、「別添通知書によれば、あたかも本組合が不法的手段を行使して権利化したかの如く詭弁的論理をもって、今後とも本商標を中目様が継続使用することを正当化するとともに、その協議には一切応じない等、中目様は誠意を持って解決する意思がない旨の記載があり、本組合としても大変理解に苦しむところであります。」、「今後、本件に関し友好的な当事者間協議を拒否し事件化する旨の意思が中目様にある以上、本商標を機軸とする本組合事業展開を妨害する卑劣な行為と判断し、中目様に対し、商標法第36条に基づく差止請求と商標法第78条・82条による刑事責任追及をする予定です。このような事情により、各位におかれ本事件に関わり不必要な嫌疑がかからないよう本書面にて通知します。」等の内容が記載されている(甲第9号証に添付の「お通知」)。

(コ)甲第9号証の中目による平成18年1月10日付け陳述書には、

・平成16年の始めから平成17年にかけて、丹野より中目に交際を希望する電話やメールが再三あったこと。

・本件アルバムのCDジャケットの撮影やポスター等のデザインは、CD制作の指揮をとっていた丹野からSTUDIO RUAに一任され、STUDIO RUAが制作した。なお、制作にかかった経費は、月ごとに丹野からSTUDIO RUAに支払われる約束であったこと。

・丹野に交際の申し出を断ったとたんに、威圧的な態度に豹変されたこと。

・真夜中でも所かまわず電話やメールをしてきたこと。

・丹野の言動のエスカレートにより、中目は、体調を壊し、平成16年11月に警察に被害届を提出し、受理されたこと。

・中目がアナウンサーをしている放送局の職場や上司、中目の得意先、取引先に中目の立場を脅かす方向に文章を綴った内容の手紙が送られてきたこと。

・丹野からSTUDIO RUAの取引先関係各社に平成17年10月31日着の内容証明が送られ、STUDIO RUAが一部の取引先ホテルの業者会から外されたこと。

・丹野より12月15日午後3時10分(なお、内容から平成17年と推認できる。)に携帯電話に「『STUDIO RUA』は、丹野孝則が商標権者となったことを通知します。本メール到着以後、この商標に関し、堀井様が私に無断で継続使用することを禁止します。堀井様が将来にわたり、本商標を継続使用する有無の意思表示を3日以内にご報告ください。・・・本商標を無断使用を継続された場合、上記報告を期日以内に解答が無い場合は、不誠実と判断し法的検討に入ります。」と記載された電子メールが送られてきたこと。

・(平成17年)12月18日13時47分に「誠意のない回答だな。・・法律的に徹底的に戦う。さて、明日からサッソク行動に移す。俺の商標を使われそうなところには、警告文を出す。」と記載された電子メールが送られてきたこと。

・その後、弁護士に相談したこと。

等の趣旨の内容が陳述されている。

(2)以上の事実を総合すると、以下の事実を認定することができる。

(ア)中目は、平成15年2月に自らを代表者としてSTUDIO RUAを設立した。また、同じ頃、中目は、商標権者らとともに「MOON−MATIC」の名称でCDアルバムの制作を開始したのであり、商標権者は、「SUTUDIO RUA」が中目が代表を務める組織の名称であり、その営業標識であることを認識していたこと。

(イ)丹野は、中目に交際を求め、中目が断り続けると、丹野の言動の内容がエスカレートし、中目は体調を崩し、平成16年11月に、警察に被害届を出したこと。

(ウ)商標権者は、上記(1)のとおり、「STUDIO RUA」が中目の重要な営業標識(商標)であることを認識しているにもかかわらず、「STADIO RUA」の文字からなる本件商標を中目の承諾を得ることもなく中目の業務に関連する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年3月30日に出願したこと。加えて、商標権者は、同日に、同様に中目が代表を務める「MOON−MATIC」の名称についても商標登録出願したこと。

(エ)商標権者は、本件商標が設定登録された平成17年9月22日から1月程度しか経過していない、平成17年10月末に中目及びSTUDIO RUAの関係先である山形国際ホテル等に、「STUDIO RUA」に関する内容証明を送付し、このような内容証明が送付されたことにより、STUDIO RUAは、一部取引先との取引を停止されたこと。

(オ)商標権者は、平成17年12月15日に中目に「SUTUDIO RUA」の商標を無断で継続使用することを禁止する旨の電子メールをしたこと。

(カ)商標権者は、中目の代理人弁護士による平成17年12月20日付け通知書を受領後の平成17年12月31日付けで「各位」宛てで、中目に対し、商標法第36条に基づく差止請求及び商標法第78条及び第82条による刑事責任を追及する予定であること及び、それに関わり不必要な嫌疑がかからぬように本書面にて通知する、とする通知を作成したこと。

(3)ところで、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(ア)商標の構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字、図形、又は、当該商標を指定商品あるいは指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、あるいは、社会の一般道徳観念に反するような商標、(イ)特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標、(ウ)特許法以外の法律によって、その使用等が禁止されている商標等が含まれる、と解すべきである。そして、上にいう、社会の一般道徳観念に反するような場合には、ある商標をその指定役務について登録し、これを排他的に使用することが、当該商標をなす用語等につき当該商標出願人よりもより密接な関係を有する者等の利益を害し、剽窃的行為である、と評することのできる場合も含まれ、このような商標を出願し登録する行為は、商標法第4条第1項第7号に該当するというべきである(東京高裁平成14年7月16日 平成14年(行ケ)94号)と解される。

(4)これを本件についてみると、本件商標は、前記1のとおり「STADIO RUA」の文字を書してなるものであるから、これより「スタジオルア」の称呼を生じ、中目が使用する「STUDIO RUA」の標章は、同じく「スタジオルア」の称呼をもって取引に資しているものであるから、両者は類似の商標と認められ、そうすると、中目の「STUDIO RUA」の標章の使用は、本件商標登録の禁止権の範囲に当たるものであって、本件商標の存在により、その使用が制限される可能性があるものと考えられる。

そして、前記2で認定した商標権者の行為は、「SUTUDIO RUA」の標章が中目の営業標識として使用していることを知りながら、その標章が商標登録されていないことを奇貨として、中目との交際を主な目的に、本件商標登録を取得したものといわざるを得ず、本件商標を商標権者が取得し、これを排他的に使用した場合は、「SUTUDIO RUA」の標章について商標権者より密接な関係を有する申立人及びその代表者である中目の利益を害するものであり、剽窃的であって、不正の目的をもって登録出願をしたというのが相当である。

したがって、本件商標の登録出願の経緯には、著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、商取引の秩序を乱すものであるから、このような登録出願に基づく本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する商標であり、本件商標の登録は、同号に違反してされたものである。

4 当審の判断

本件に関し、審判長は、商標権者に対し平成18年7月21日付けで前記3の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もなかった。

そして、上記の取消理由は妥当なものと認められ、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。