Trademark Appeal Case
称呼類似と末尾音の差異
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2006−60024(T2006−60024/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
請求人の所有に係る登録第4716448号商標(以下、「本件商標」という。)は、「バリアフリーペイブ」の片仮名文字と「BARRIER FREE PAVE」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成11年11月2日に登録出願、平成15年8月19日に審決がされ、第19類「セメント及びその製品」を指定商品として、同年10月10日に設定登録されたものである。
第2 イ号標章
被請求人が商品「舗装用コンクリート平板」について使用する標章として請求人の示すイ号標章は、「バリアフリーペイバー」の片仮名文字を横書きしてなるものである。
第3 請求人の主張
請求人は、「商品「舗装用コンクリート平板」に使用するイ号標章は、商標登録第4716448号の商標権の効力の範囲に属する。」との判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第39号証(枝番を含む。)を提出している。
1.請求の理由の要点
本件商標は、「バリアフリーペイブ」の片仮名文字と「BARRIER FREE PAVE」の欧文字を二段に横書きしたものであるところ、上段の片仮名文字部分より「バリアフリーペイブ」の称呼が生ずるものである。
これに対し、イ号標章は、「バリアフリーペイバー」の片仮名文字を横書きしてなるものであるから、該文字に照応して「バリアフリーペイバー」の称呼が生ずるものである。
したがって、両者は称呼上類似する標章であり、また、本件商標に係る指定商品、第19類「セメント及びその製品」とイ号標章の使用商品「舗装用コンクリート平板」とは、同一又は類似する商品である。
2.判定請求の必要性
請求人は、本件請求に係る本件商標の商標権者であり、被請求人が商品「舗装用コンクリート平板」にイ号標章を使用していることについて、平成17年6月3日、本件商標に係る商標権(以下「本件商標権」という。)と牴触する旨の通知をし、その後、被請求人から回答があり交渉を行ったが、納得できる回答を得ることができなかったため、本件商標権の効力の範囲につき、特許庁に本判定を求めた次第である。
3.本件商標の説明
(1)本件商標は、「バリアフリーペイブ」の片仮名文字と「BARRIER FREE PAVE」の欧文字を二段に横書きし、上段の片仮名文字部分は、下段の欧文字の読みを表記したものであり、また、各文字部分は同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で一連に表示されてなり、その指定商品を第19類「セメント及びその製品」とするものである。
(2)請求人は、本件商標をその指定商品中「舗装用コンクリートブロック」(以下、「本件商品」という。)に使用しているが、この商品は、ブロックの継ぎ目を残したまま、これと同じ幅の溝をブロック表面全体に形成し、「車椅子の走行時に振動を殆ど感じさせない快適性」を実現したものであり、デザイン性も高く評価されている。
(3)本件商標使用開始時の平成11年から現在までの間、この種商品の市場において本件商標の他に「バリアフリー」を含む造語を商標としたものは被請求人のイ号標章があるにすぎない。
4.イ号標章の説明
被請求人は、同じ書体、同じ大きさの片仮名文字「バリアフリーペイバー」を横書きしてなるイ号標章を、商品「舗装用コンクリート平板」の商品名として平成16年3月作成の新商品カタログに表示し、現在も被請求人のホームページによると、該商品の販売を行っている。
5.イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
(1)本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、上段の片仮名文字部分より「バリアフリーペイブ」なる称呼のみが生じるものであり、また、本件商標を取り扱う業界において、「バリアフリーペイブ/BARRIER FREE PAVE」の文字が商品の品質等を表す語として使用されている事実がないことから、全体として特定の意味をもたない造語といえるものである。
(2)一方、イ号標章は同じ大きさ、同じ書体の片仮名文字「バリアフリーペイバー」と外観上まとまりよく書されたものであり、しかも、この種商品の業界では「バリアフリーペイバー」の文字が商品の品質表示等として一般的に使用されている事実もないから、本件商標と同様に外観上の一体感により「バリアフリーペイバー」の称呼のみが生じ、かつ、全体として特定の意味をもたない造語と考えるのが相当である。
(3)本件商標とイ号標章とは、いずれも造語であるため、観念については比較することができず、外観において相違するとしても、称呼において類似するものである。
すなわち、両者は、いずれも8音構成よりなり、その8音中7音までが一致するものであり、末尾において「ブ」と「バー」の差異を有するにすぎず、該差異音もともにハ行に属する濁音であり、いずれも有声の破裂音であるから、その調音点、調音方法を同じくする発音の近似した音であり、しかも称呼上目立たない末尾に位置するものである。
そうすると、両者をそれぞれ全体として称呼するときは、互いに相紛らわしく、また、本件商標に係る指定商品中には、イ号標章の使用商品「舗装用コンクリート平板」が含まれている。
よって、被請求人が商品「舗装用コンクリート平板」に使用するイ号標章は、本件商標権の効力の範囲に属するものと考えるのが相当である。
6.被請求人の答弁に対する弁駁
(1)本件商標とイ号標章の類否判断
被請求人は、「バリアフリー」なる語が一般的に用いられている識別性のない語であることを根拠として、本件商標とイ号標章を部分的に対比した結果、両者が類似しないと結論づけているが、両者はいずれも商標全体として認識されるものであるといえ、商標の類否判断においても、本件商標が「バリアフリーペイブ」と、イ号標章が「バリアフリーペイバー」とのみ称呼されると考えるのが相当である。
さらに、本件商標とイ号標章は、実際の取引の場において、商標全体としてのみ使用され、かつ、全体としてのみ認識されている実情にある。
よって、本件商標とイ号標章は、いずれも外観上の一体性及び取引実情より、商標全体としてのみ認識され、全体として称呼されるものであるため、称呼上類似するものであり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、両者は互いに類似するものである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の判定を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)を提出している。
1.本件商標とイ号標章は非類似である。
(1)本件商標とイ号標章の類否について比較検討するに、両者を構成する前半部の「バリアフリー」は「建物、歩道等において、歩行者が歩く際の障害物を解消すること」を意味する語として日常的に使用されている語であり、特に、本件商標に係る指定商品を取り扱う業界においては、製品が障害物を解消する仕様であるという意味で、一般的に用いられている識別性のない語である。
(2)本件商標の要部は「ペイブ」であり、イ号標章の要部は「ペイバー」である。
「ペイブ」と「ペイバー」の類否を検討すると、語尾に「ブ」と「バー」の明確な相違がある。
「ブ」は両唇の閉鎖による有声破裂音で濁った音であるのに対し、「バ」は両唇を合わせて破裂する有声子音で強く響く音で、かつ、長音であるため、両者の称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者の差異は明瞭である。
2.本件商標は、そもそも、単に商品の品質を表示するにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録されるべきものではない。したがって、請求人は、判定請求の適格性を欠くものである。
(1)本件商標構成中前半の「BARRIER FREE」「バリアフリー」の文字は「社会生活における様々な障害をなくそうとする概念」等の意味合いを有し、構成中後半の「PAVE」「ペイブ」の文字は、「舗装道路」、「舗装材」等を意味する外来語として業界で使用されている。
(2)してみれば、本件商標は全体として「バリアフリーに適した舗装道路、舗装材」として認識されるにすぎないものであって、現在このような高齢者や障害のある人たちが社会参加しやすい環境づくりのために、バリアフリー歩行環境の確保を目的とした商品が多数存在していることよりすれば、本件商標をそのような商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)上述の理由を十分な証拠に基づき無効審判を請求するので、本件判定事件の審理を待ってほしい。
第5 当審の判断
1.本件判定の前提
本件商標権は、上記第1のとおり、商標の構成を横二段に書した片仮名文字「バリアフリーペイブ」と欧文字「BARRIER FREE PAVE」とからなり、その指定商品を第19類「セメント及びその製品」とするものであって、拒絶査定不服審判(不服2000−20881)において、「本願商標は、その構成の前半部の「バリアフリー/BARRIER FREE」の文字に続けて「ペイブ/PAVE」の文字を連結したものとみられ得るところであるが、それらの文字は「バリアフリー/BARRIER FREE」が「障壁のない」を意味し、「ペイブ/PAVE」が「敷く(石、れんがなどを道路などに)、舗装する」を意味する英語とその発音を表すものであるとしても、その商標全体として、本願商標の指定商品における品質等を具体的に表すものであるとは理解し難いものであり、・・・この商標は、自他商品を識別する機能を果たし得るものである」旨認定、判断し、平成15年8月19日に登録すべきものとするとの審決がされて、同年10月10日に設定登録されたものである。
そして、本件判定請求は、本件商標から生じる称呼「バリアフリーペイブ」とイ号標章「バリアフリーペイバー」から生じる称呼「バリアフリーペイバー」とが類似し、かつ、本件商標の指定商品と被請求人の取り扱いに係る商品「舗装用コンクリート平板」とは、同一又は類似する商品であるから、被請求人が当該商品に使用するイ号標章は、本件商標権の効力の範囲に属するものとの判定を求めるものである。
これに対し、被請求人は、本件商標及びイ号標章の構成中前半部「バリアフリー」は、本件商標指定商品の取り扱いに係る業界においては、製品が障害物を解消する仕様であるという意味で一般的に用いられている識別性のない語である旨述べて、両者の要部は前者が「ペイブ」であり、後者は「ペイバー」であるから、本件商標はイ号標章と外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似であるとし、また、本件商標は、そもそも商品の品質を表示するにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するから、その登録に対して十分な証拠に基づき無効審判を請求する旨答弁している。
してみると、本件判定請求にあって、被請求人は、商標法第26条第1項第2号(商標権の効力が及ばない範囲)について、特に争うものでなく、別途無効審判を請求するとして、その事情を述べるに止まり、本件商標が商品の品質表示であるとするような的確な証拠を提出するものでないから、俄に当該条項により本商標権の効力が制限されるものとすることはできない。
また、当審において、上述審決の認定、判断に誤りがあるとすべき格別な理由も見出すことができない。
2.本件商標とイ号標章の類否について
そうすると、本件商標は、「バリアフリーペイブ」及び「BARRIER FREE PAVE」全体として、自他商品識別標識として機能するものというべきであり、かかる構成においては、「バリアフリー」及び「BARRIER FREE」の文字を捨象して「ペイブ」及び「PAVE」の文字のみをもって取引に資するというよりは、むしろ、構成全体をもって認識され、把握されるというのが相当である。
また、構成全体に相応して生ずる「バリアフリーペイブ」の称呼も、やや冗長であるとしても、よどみなく一連に称呼し得るものであって、さらに、その構成全体からは、特定の観念は生じないというべきである。
してみれば、本件商標からは、その構成文字全体に相応して生ずる「バリアフリーペイブ」の称呼のみが生ずるものである。
他方、イ号標章は、「バリアフリーペイバー」の片仮名文字を横書きしてなるところ、構成中の「バリアフリー」の文字が「障壁のない」を意味し、「ペイバー」が「pave」の名詞形で「舗装工、舗装機械」等の意を有する「paver」の表音と理解されるものであるとしても、その構成全体として、「舗装用コンクリート平板」における品質等を具体的に表すものとはいい難く、むしろ、その構成全体からは、特定の観念は生じないものというべきであるから、イ号標章は、本件商標と同様に、その構成において、「バリアフリー」の文字を捨象して「ペイバー」の文字のみをもって取引に資するというよりは、むしろ、構成全体をもって認識され、把握されるというのが相当である。
また、構成全体に相応して生ずる「バリアフリーペイバー」の称呼も、やや冗長であるとしても、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうとすれば、イ号標章からは、その構成文字全体に相応して、「バリアフリーペイバー」の称呼のみが生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「バリアフリーペイブ」とイ号標章から生ずる「バリアフリーペイバー」の称呼について比較するに、両者は、「バリアフリーペイ」までの音を共通にするものの、語尾における「ブ」と「バー」の音が相違するものであり、該差異音は、「ブ」の音が短く切れるように称呼されるのに対し、「バー」の音が、語尾の「バ」の音が長音を伴っているため、全体として滑らかな感じに称呼されること等から、これらをそれぞれ一連に称呼する場合は、語調語感が異なって、互いに聞き誤るおそれはない
というのが相当である。
また、両者の構成はそれぞれ前記のとおりであるから、外観上も区別し得るものであり、観念については比較することができない。
してみれば、本件商標とイ号標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似のものというのが相当である。
3.結語
以上のとおり、本件判定請求に係る商品「舗装用コンクリート平板」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものといわざるを得ない。
なお、被請求人は、本件商標に対し無効審判を請求し、その結果を待ってほしい旨主張しているが、このような場合にその審理を保留しなければならないという規定があるわけでもなく、また、前記のとおり、本件商標とイ号標章は非類似のものであって、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないというべきであるという点からすれば、当該無効審判の結果を待たなくてはならない特段の理由は見い出せないから、前記被請求人の主張は採用できない。
よって、結論のとおり判定する。
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