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Trademark Appeal Case

タイ王宮カリーの品質表示

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2005−22913(T2005−22913/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「タイ王宮カリー」の文字を標準文字で表してなり、第29類「カレー」及び第30類「カレーライス,べんとう」を指定商品として、平成16年12月7日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、当審における平成18年5月31日付け手続補正書により、第29類「カレー」及び第30類「カレーライス」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、『タイ王宮カリー』の文字を普通に用いられる方法で書してなるが、タイの王宮に伝わる料理を『タイ王宮料理』と称する場合があり、カレーが同国の代表的な料理として我が国においても親しまれていることをも踏まえると、全体としては、『タイの王宮に伝わるカレー』程度の意味合いを容易に理解し得るものであり、取引者、需要者をして、タイの王宮に伝わる、素材、味などの内容を再現しようとしたカレーである旨を表示するものとして認識させるにとどまるものであるから、これを、その指定商品中、『カレー,カレーライス,カレーを使用したべんとう』に使用したときは、その商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記1のとおり、「タイ王宮カリー」の文字を書してなるところ、その指定商品である「カレー」及び「カレーライス」との関係もあって、「タイ王宮」と「カリー」の各文字を連綴してなると容易に理解、認識されるものである。そして、本願商標の構成中の「カリー」の文字は、例えば「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」(株式会社 三省堂:発行)によれば「カレー」と同義語であるとされ、該「カレー」の文字は、「改訂 調理用語辞典」(社団法人 全国調理師養成施設協会:編集発行)によれば、「kari,cary,carry,curry,currieなどとつづる。語源はインド南部タミール語のkariで、ソース,汁を意味する。...また、カレーとは、スパイスミックスとしてのカレー粉,ソース,カレー料理の総称でもある。」等を意味する語である。同じく、「タイ王宮」の文字は、「タイ国王の宮殿」程の意味合いを理解するものであるところ、近時、以下に述べる各種新聞記事等において、タイの王宮に伝わる料理を「タイ王宮料理」と称していることが覗えるものであり、後続の「カレー料理」の意味を有する「カリー」の文字との関係をも考慮すると、「タイ王宮」の文字部分は「タイ王宮料理」の語と同義的に採択・使用されていると理解、認識されるとみるのが相当である。

ところで、上記した「タイ王宮或いはタイ王宮料理」又は「タイ王宮カリー(カレー)」の文字(語)について、食品、料理(調理)関連業界における採択・使用の実情は、以下の各種新聞記事情報(G−Search)或いはインターネットのウェブサイトに認めることができる。

(1)「えんぴつ横丁」の見出しのもと、「...○...カービングはタイ王宮料理を彩る飾りつけのこと。...」との記載が認められる。(琉球新報夕刊 1998.02.13)

(2)「『深夜テレビから』眠れない夜は... 料理の鉄人」の見出しのもと、「...テーマ食材はワタリガニ。高級な食材であり、タイ王宮料理でも代表的な食材の一つだ。酒井が作るプリンセス直伝のタイ王宮料理に対して、鉄人の神戸勝彦がどのようなメニューで勝負するかも、見どころだ。」との記載が認められる。(毎日新聞大阪夕刊 1998.07.30)

(3)「【週末を楽しく!パーティークッキング】タイ料理研究家・酒井美代子さん」の見出しのもと、「...さかい・みよこ タイ料理研究家。...1985(昭和60)年より3年間、在タイ日本大使館勤務の夫に伴ってバンコクに在住。その間、国立栄養大学などでタイ料理全般、特にタイ王宮料理を学ぶ。」との記載が認められる。(産経新聞東京朝刊 2004.06.05)

(4)「バンコクのタイ料理学校」と題するウェブサイトの「タイ王宮料理学校 Royal Thai School of Culinary Arts」の項中に、「タイ料理を本格的な設備、環境のもとで学びたいという海外のプロの料理人やホームシェフからの要望に応え、1997年に文部省公認の料理学校として設立されました。...コース概要 タイ王宮料理(7科目)とタイ地方料理(3科目)があります。...タイ王宮料理 ・イントロダクション ・スターター、アペタイザー ・肉料理/カレー ・魚料理/シーフード ・デザート ・フルーツ・ベジタブルカービング ・タイ王宮バンケット...」との記載が認められる。(http://studyinthailand.com/special_school/rtsca/index.html)

(5)「PRICE CLUB onLine」と題するウェブサイトの「商品詳細」の項中に、「商品名 タイ王宮カレー(フライドライス付き)250g...商品説明 ...タイ王宮で受け継がれてきた伝統レシピをそのままに再現したオーセンティックなカレーです。...」、同じく「商品名 タイ王宮カレー 180g...商品説明 ...タイ王宮で受け継がれてきた伝統レシピをそのままに再現したオーセンティックなカレーです。」との記載が認められる。(http://www.price-club.co.jp/cgi-bin/nshop/shop/goods_detail.cgi?CategoryID=000)

(6)「全て手作り!王宮料理教室のタイグリーンカレー」と題するウェブサイトの「ワンディディー先生のグリーンカレー」の項中に、「〜タイの王宮料理教室のレシピをそのままに〜...タイのバンコクにある王宮料理教室のワンデイー氏のレシピを忠実に再現。...」との記載が認められる。(http://www1.ocn.ne.jp/~(〜線)sjk/curry.htm)

(7)「タイレストラン サワディー 渋谷道玄坂店(料理)/ホットペッパー.jp」と題するウェブサイトの「主な料理メニュー」の項中に、「...渡り蟹のまろやかカレー王宮風...」との記載が認められる。(http://www.hotpepper.jp/s/H000001171/food.html)

これらの実情によれば、食品、料理(調理)関連業界においては、「タイ王宮料理」はタイ料理の一分野として存在し、一般にも知られているものであり、該「タイ王宮料理」を学ぶために、タイ国内においても、1997年に文部省公認の料理学校が設立されており、その料理学校の「タイ王宮料理」の科目中には、肉料理としてカレーが含まれていることが認められる。また、近時、「レトルトパウチされた調理済みカレー」の商品名に「タイ王宮カレー」の語を付した商品が発売されており、該文字は、その商品説明にも見られるように、「タイ王宮で受け継がれている伝統レシピを再現したカレー」であるという、商品の品質(内容)を表示していると把握される記載が認められるし、同じく、タイ(料理)レストランのメニューにも、王宮風のカレーを指称したと理解される「カレー王宮風」の文字を含む料理名が採択・使用されていることが認められる。

そして、これらの実情を総合すれば、この種業界においては、「タイ王宮料理」の語は、「タイ料理の料理名、或いはその伝統的な調理法」を、「王宮カレー」の語は、「王宮の伝統レシピにより調製したカレー(カレーの製法)」を、それぞれ表示する語と認識されていると判断するのが相当である。

そうとすれば、前記1のとおり、「タイ王宮カリー」の語を書してなる本願商標よりは、全体として「タイ王宮の伝統レシピにより調製したカレー」の意味合いを、容易に理解するものといわなければならない。

してみれば、本願商標は、これをその補正後の指定商品「カレー」及び「カレーライス」に使用しても、これに接する需要者をして、「タイ王宮の伝統レシピにより調製したカレー或いはカレーライス」であると理解させるに止まり、単に商品の品質(製法、調理法)を表示したものと認識させるにすぎないと判断するのが相当である。。

したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。

なお、請求人(出願人)は、当審における「請求の理由」において、「標準文字からなる商標は、短い文字列で自他商品を識別するものであるから、1字ごとの持つ意味合いはきわめて大きいのであり、この観点からして、「タイ王宮カリー」の語が、品質等を表すとはいえない。また、本願商標は、「タイ」、「王宮」、「カリー」の語を結合した造語というべきであり、通常は「カレー」と呼ばれるものを特に「カリー」とした点でも、普通に用いられる態様とはいえない。これら述べたように、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではなく、登録されてしかるべきある。」旨述べているが、本願商標については、その指定商品との関係を考慮すると、「タイ王宮料理」の語と同義的に採択・使用されていると理解、認識される「タイ王宮」と、世人におけるカタカナ語の表記、或いは調理、料理の業界においても、共に「カレー」と同義に理解、認識される「カリー」の語を連綴してなると判断され、全体として「タイ王宮の伝統レシピにより調製したカレー」の意味合いを容易に理解するものであって、商品の品質(製法、調理法)を表示したものと認識させるにすぎないものであることは上記のとおりである。そして、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、原審開示の高裁判決以外の高裁判決においても、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁、平成12年(行ケ)76号判決)。」と判示されていることもあり、「タイ王宮カリー」の語が、食品、料理(調理)関連業界において、商品「カレー」及び「カレーライス」の品質を表すために普通に使用されている事実がないことのみによって、本願商標が当該法条に該当することを否定することはできないから、請求人の上記主張は採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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