結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−89014(T2006−89014/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4088843商標(以下「本件商標」という。)は、「BABYBEE」の文字を書してなり、平成8年2月2日に登録出願、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同9年12月5日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第16号証を提出した。
(1)無効の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
(2)理由の詳細
(ア)請求人会社は、1992年以来現在に至るまで、米国で「BABY BEE」の文字からなる商標を乳幼児向けのせっけん類や化粧品等に関して継続的に使用している(甲第3号証ないし同第8号証)。
甲第4号証は、請求人が1993年に発行した製品カタログであり、甲第5号証は1996年版のカタログであって、請求人は、被服、枕などにも「BABY BEE」商標を使用しているが、ほとんどが化粧品、石けんで占められている。甲第5号証には「BURT’S BEESWAX」、「REBOUND」などの商標が商品群ごとに使用されているが、乳幼児向けのブランドである「BABY BEE」が最初に紹介されており、請求人にとって重要な商標であることを物語っている。
請求人の商品は、防腐剤や人工的な色素を一切排除したナチュラルさが最大の特徴である。このことが、自然回帰や環境保護意識の高まりにつれて米国の消費者を惹き付け、今日に至る事業の拡大につながっている。
(イ)被請求人は、1996年(平成8年)2月以前に、「BABY BEE」商標が付された商品をTeiji Fujii氏とその妻(以下「Fujii氏ら」といい、被請求人とFujii氏らをまとめていう場合は「被請求人ら」と総称する。)を通じて被請求人の店舗で販売を開始し、その数年後には、被請求人が直接輸入・販売する取引形態に変えて取引を継続し、「BURT’S BEES(バーツビー・米国)日本総発売元」を名乗って販売している。ただし、請求人と被請求人の間に販売代理店契約のような正式な契約はない(甲第6号証ないし同第8号証)。
そして、被請求人は、「BURTSBEE」商標も本件商標と同日に登録出願している。
(ウ)本件商標は、全体として造語であり、請求人の「BABY BEE」商標とスペースの有無を除いて同一である。しかも、被請求人の「BURTSBEE」商標も請求人のハウスマークである「BURT’S BEES」と実質的に同一といえるほど酷似している。
このような商標が偶然の一致で案出されるとは考えられない。
以上のことからして、被請求人は、「BABY BEE」商標の存在及びその評判を知悉した上で、かつ請求人と取引関係を結びながら、本件商標を登録出願したことは疑う余地がない。
(エ)請求人は、これまで被請求人らに本件商標を日本で登録することについて承諾したことは一切ない(甲第7号証及び同第8号証)。のみならず、つい最近に至るまで、被請求人が本件商標及び「BURTSBEE」商標を登録していることを知らなかった。
請求人は、現在、日本における販売ルートの見直しを進めており、その一環として被請求人らに取引の中止を通告したところ、Fujii氏から本件商標及び「BURTSBEE」商標の登録を知らされた(甲第9号証。その書信(電子メール)の内容の要旨は、後掲4の(1)の(ク)のとおりである。)。
被請求人らは、請求人から商品を購入して日本で販売するだけの立場であり、これまで、それ以上の何らかの権限を請求人から与えられた事実は皆無である。にもかかわらず、自分たちが無断で登録した本件商標及び「BURTSBEE」商標を盾に、自ら製造販売するなと脅かしつつ、商標権の買取りを求めるなどというのは、商標法の精神に反し、取引の秩序を乱す行為として、到底許されるべきことではない。
(オ)他人が採択した(又は採択しようとしている)商標であることを知りながら、これを剽窃的に登録出願する行為は、公正な取引秩序を乱すものであるとして、商標法第4条第1項第7号を適用すべきことは、もはや確立した考え方になっているといっても過言ではない(甲第10号証ないし同第16号証)。健全な法感情に照らして考えても、他人が採択した商標を先回りして登録出願する行為は、条理上許されるべきではない。また、公正な取引秩序の維持を究極の法目的とする商標法の精神から考えても、かかる行為は認められるべきではない。
したがって、商標の剽窃的行為に対し公序良俗違反の概念を適用する考え方は妥当である。
(3)結論
本件では、被請求人が請求人の「BABY BEE」商標の存在を知っており、請求人との間で取引関係を有しているのであるから、「他人が使用している商標であることを知りながら登録出願した」ものであることに疑問の余地は全くない。しかも、請求人から取引中止を通告されるや、にわかに商標登録を持ち出して買取りや取引継続を強要するに至っており、まさに商標権を悪用していることは明白である。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
被請求人は、本件審判請求に対して、答弁していない。
(1)請求人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、石けんや化粧品を取り扱う米国の会社であり、1992年(平成4年)2月から「BABY BEE」商標をこれらの商品に使用しており、これらの石けんや化粧品などは米国及び世界各国で販売されている(甲第3号証ないし同第8号証)。
(イ)請求人は、「BABY BEE」商標のほかに「BURT’S BEES」の文字からなる商標を使用しており(以下、これらの商標を一括していう場合は「請求人商標」という。)、請求人商標については、米国、英国及びアイルランドで商標登録を得ており、香港、台湾及びカナダでは登録出願をしている(甲第8号証)。
(ウ)1993年(平成5年)及び1996年(平成8年)の請求人の商品カタログには、請求人商標が石けんや化粧品の個別商品標識又は代表的出所標識として表示されている(乙第4号証、同第5号証及び同第8号証)。
(エ)被請求人は、1996年2月以前から、Fujii氏らを通じ、あるいは直接我が国において請求人の商品を輸入し販売しており(甲第7号証及び同第8号証)、インターネット上の被請求人の「会社概要」を掲載したページの「事業内容」欄に、「BURT’S BEES(バーツビー・米国)日本総発売元」と表示している(甲第6号証)。
(オ)被請求人は、「BABYBEE」の文字からなる本件商標、及び「BURTSBEE」の文字からなる商標(以下、これらを一括していう場合は「被請求人商標」と総称する。)を平成8年2月2日に登録出願し登録を得た(甲第1号証、甲第2号証、同第8号証及び同第9号証)。
(カ)請求人は、何人にも、請求人商標及びこれらの類似商標を我が国で商標登録することを承諾したことはない(甲第7号証及び同第8号証)。
(キ)請求人は、2005年(平成7年)7月20に、被請求人らに取引を中止する旨を内容とする書信を送付した(甲第9号証)。
(ク)Fujii氏は、2005年(平成7年)10月5日に、請求人に書信(電子メール)を送付した(甲第9号証)。
その内容は以下のとおりである(原文は英語。一部省略した。)。
「我々は、貴社が我々との取引を中止し、今後は日本向けの製品を我々に販売しない旨の貴信(2005年7月20日付)を受領した。
過去7年間にわたり、我々は日本においてBurt’s Beesブランド及びそのイメージを確立するために多大な投資を行った。そして我々はBurt’s Bees及びBaby Bee商標を浸透させた。
日本におけるパートナーと詳細に検討をした。一つの選択肢は、Burt’s Bees及びBaby Bee商標に関する我々の商標権に基づき、日本並びにアジア諸国において製品を製造し、販売を続けることである。
しかしながら、我々は貴社の今後の販売計画に協力するつもりがある。もし貴社が日本での販売を考えているのであれば、我々が日本で登録し現在も保有しているBurt’s Bees及びBaby Bee商標に関する商標権を買い戻すことを希望するのではないかと思われる。我々はこれらの無体財産を提供しても良いが、全体としてである。」
(2)以上の各事実によれば、次のとおり認定・判断することができる。
請求人は、1992年(平成5年)2月から石けんや化粧品等について「BABY BEE」商標の使用を開始し、1993年(平成5年)頃には、請求人商標を使用した石けんや化粧品を米国などで販売しており、これらの商標には、一定の請求人の業務上の信用が化体しているということができる。
我が国においては、被請求人が、平成8年2月以前から輸入・販売を開始し、被請求人自身、「BURT’S BEES(バーツビー・米国)日本総発売元」と称して宣伝している。
その後、平成8年2月2日に、被請求人は、本件商標を登録出願したが、請求人は、被請求人らに我が国において請求人商標及びこれらに類似する商標を登録することを許可していなかった。
請求人と被請求人らとの取引は、その後数年続いたが、請求人より取引を中止するとの書信を受けた被請求人らは、Fujii氏を通じて、「本件商標権に基づき日本及びアジア諸国で製品を製造し販売を続ける」、「一定の条件の下に本件商標を請求人に譲渡してもよい」旨を内容とする上掲の書信(電子メール)を請求人に送付した。
これら事実に反する証拠はない。
(3)次に、本件商標と「BABY BEE」商標(以下「請求人使用商標」という。)について検討する。
本件商標は、前記のとおり「BABYBEE」の文字よりなり、平成8年2月2日に登録出願され、第3類「せっけん類、化粧品」等を指定商品とするものである。
これに対し、請求人使用商標は、請求人が1992年(平成4年)2月頃から石けんや化粧品などに使用している「BABY BEE」の文字からなる商標である。
そこで、本件商標と請求人使用商標を対比すると、構成文字がすべて同じであって、わずかにスペースの有無の差異を有するのみであり、両商標は、主要な構成部分を同一にする酷似のものといわなければならない。そして、第三者が容易に創作し得るものとはいい難い造語商標からなるものである。
(4)以上によれば、本件商標は、請求人使用商標を知り得る立場にあった状況下に登録出願され、請求人使用商標に酷似する結果を招来しているのであるから、被請求人は、請求人使用商標を知悉した上で、請求人使用商標にわずかに手を加えた商標を採択し登録出願したものと推認せざるを得ない。
また、被請求人らが請求人に送付した書信によれば、被請求人らは、請求人との取引を有利な条件で継続する目的、あるいは、本件商標を有利な条件で買い取らせることを目的に本件商標の登録を得たものと推認することも可能であるというべきである。
(5)そうとすれば、被請求人は、請求人使用商標が我が国において登録出願され登録されていないことを奇貨として、請求人の了解を得ずに、本件商標を無断で登録出願し登録を得たものであり、このような被請求人らの行為、目的に基づいて登録された本件商標は、国際信義に反するものであって、公正な取引秩序を乱すおそれがあり、公の秩序を害するおそれがあるといわなければならない。
(6)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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