結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2005−30787(T2005−30787/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4395453号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成11年6月30日に登録出願、第33類「焼酎,その他の日本酒,洋酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同12年6月30日に設定登録、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の要点を次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第24号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求理由の要点
(ア)本件商標は、出願当時、請求人の日本国販売代理店であった株式会社巨林ジャパン(以下「巨林ジャパン」という。)の代表者朴正植が、正当な理由なく、商標権に相当する権利を有する請求人の承諾なく出願したものである。
(イ)請求人(デソン ディスティリング カンパニー リミテッド/DAESUN DISTILLING CO.LTD。漢字名称:大鮮酒造株式会社)は、1930年設立の韓国大手の焼酎メーカーである。
請求人は、1996年に、韓国において、本件商標「C1」及び商標「シーウォン」(「C1」のハングル読み、日本語で「シーワン」に相当する。)を付した「焼酎」の販売を開始した。当該商品は、発売当初から継続的なヒット商品となっており、釜山の焼酎市場において90%以上の市場占有率を誇る請求人商品の主力商品である。また、商標「C1」は請求人の業務に係る商品「焼酎」を示す商標として、少なくとも韓国では周知の商標となっている(甲第12号証ないし甲第14号証)。
本件商標は、請求人の上記ヒット商品「C1」焼酎の商標と同一であり、両者の指定商品は同一又は類似するものである。
(ウ)請求人は、1998年10月に、被請求人が代表を務める巨林ジャパンと、請求人の製品「C1」焼酎の輸出契約を結び、日本国における販売権を与えたが、巨林ジャパンの「C1」焼酎の販売不振、総額約6億9千万ウォン(約7千万円)の無利子貸与金の返済の遅滞、本件商標の商標権移転の条件として、請求人に対する15億ウオン(約1億6千万円)もの金員の要求等、信頼関係及び取引関係を継続し難い事由によって、2005年4月30日に巨林ジャパンとの契約を解除した。
また、併せて、巨林ジャパンに対し、本件商標権移転の履行を求めたが未だ行われていない。
(エ)本件商標は、請求人の業務に係る商品の商標であって、被請求人が使用する権利を専有できるものではない。
また、本件商標は、請求人の業務に係る外国周知商標ともいえるところ、被請求人が代表権を有する巨林ジャパンが、もはや請求人の真正品の輸入販売権を有しない一方、酒類の輸入販売業者として、請求人以外の者の商品の取引が可能であることに鑑みても、被請求人が本件商標の独占排他権を有することは、商取引の秩序上からも妥当ではない。
(オ)よって、本件商標は、代理人の不当な出願による登録であるから、商標法第53条の2の規定により、その登録は取り消されるべきである。しかも、本件商標の登録は、外国周知商標について真に権利を有する者の利益を害し、取引の秩序を乱すおそれもあるから(商標法第4条1項19号若しくは同第7号該当)、被請求人が請求人への本件商標の商標権移転を行わない限り、本件商標の登録は取消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁の要点
(ア)請求人は、本件商標と類似する商標について、韓国登録第346142号商標、同第353133号商標及び同第638395号商標を有する。
韓国登録第346142号商標及び同第353133号商標(以下「引用各商標」という。)より生ずるものと認められる「シーウォン」及び「シウォン」の称呼と、本件商標より生ずるものと認められる「シーワン」の称呼とは称呼上類似するものである。
また、当該ハングル文字は「爽やか、清らか、涼しい」という意味の韓国語「シウォンハダ」の意にも通じるため、英語の「Clean」の意に通じる。
そして、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品とは同一又は類似する。
よって、本件商標は、引用各商標と類似する。
さらに、登録第638395号は、2005年「平成17年」11月9日の登録であるが、韓国における当該商標の登録は、日本と同様に先後願の要件における審査が行われる当該国において、請求人の当該商標と同一類似の商標に関して他者の商標権がないことを示すものであり、当該商標よりは、「シーワン」「シーウォン」及び「シウォン」の称呼を生じるものであるから、本件商標とは類似する。
したがって、請求人は、本件商標と同一又は類似する商標についてパリ条約同盟国において商標権(商標権に相当する権利)を有する者であって、かつ、本件商標と同一類似の周知商標の所有者である。
(イ)請求人は、本件商標と同一のラベルデザインについて韓国において意匠権(韓国意匠登録第0203728号)を有している。
意匠権と商標権は異なることは承知している。
しかしながら、当該意匠権を本件商標登録取消しの根拠証拠の一つに挙げたのは、本件商標が、明らかに、本件請求人の創作及び使用に係る商標であることを立証するためである。
(ウ)本件商標は、その出願当時、請求人の商品「C1」焼酎の日本輸入販売代理店の代表取締役であった被請求人によって、請求人の承諾を得ずに出願されたものである。
被請求人は、本件商標出願時、請求人の商品「C1」焼酎の日本輸入販売代理店であった巨林ジャパンの代表取締役であることを認め、当事者であることを認めている。
また、被請求人は、出願時、本件商標出願について、請求人の承諾を得ていなかったことを認めている。
被請求人は、巨林ジャパンと請求人との間で取り交わした契約書において、請求人が本件商標を登録したことについて事後的に承諾したことを主張している。
しかしながら、被請求人が、本件商標登録の事後的承諾の根拠とする契約書第11条においては、「契約解除と同時に商標権に対する全ての権利も甲(請求人)に帰属され、また、日本国商標法上 甲に帰属させる諸般の手続に対して協力する。」ことが合意されている。
以上のとおり、結果として、本件商標は、その出願時、請求人の代理人であった巨林ジャパンの代表取締役であった被請求人が、請求人の承諾なく出願したものである。
(エ)被請求人は、本件商標を付した商品の販売元としての巨林ジャパンの取引上の信用は保護されるべきであると主張している。
しかしながら、本件商標が請求人大鮮(デソン)酒造株式会社の商品「C1」焼酎の商標として知られている実情からは、請求人の商品の販売元ではない巨林ジャパンの代表取締役の被請求人が本件商標の商標権者でなければ、巨林ジャパンの取引上の信用が保護できないとは思われない。
また、甲乙各号証にみても、本件商標が付された商品は、大鮮(デソン)酒造株式会社の「C1」焼酎として、請求人の本国での実績や声望の下に宣伝され、韓国の大鮮(デソン)酒造の「C1」焼酎として取引がなされていることは認められても、請求人の業務上の信用を上回る程の被請求人の業務上の信用が本件商標に化体しているとは認められない。
請求人の業務に係る商品「C1」焼酎の周知性や、請求人が本件商標と同一又は類似の商標を日本市場において使用できなくなる場合の不利益、取引者・需要者の出所混同の虞に鑑みれば、本件商標は、被請求人が専有し自由に使用する権原を有すべき商標ではない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由の要点を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
(1)請求人が、商標法53条の2に基づいて商標権の取消審判の請求をするためには、パリ条約同盟国である大韓民国において「商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る)」を有している必要がある。
大韓民国においては、請求人提出の証拠(甲第9号証ないし甲第11号証)をみても明らかなとおり、わが国と同様登録制による商標権と意匠権という2種類の権利が存在しており、商標権と意匠権とは別々の権利として明確に区別されている。法は、「商標に関する権利」について、括弧書きにおいて「商標権に相当する権利」に明確に限定しているところ、大韓民国においては登録制による商標権制度が存在する以上、「商標権に相当する権利」とは商標として登録されているものに限定される。
請求人が権利を有する韓国意匠登録第203728号はあくまでも意匠権であるから、「商標に相当する権利」にはあたらず、「商標に関する権利」に該当しない以上、同権利は、請求人による本件商標の取り消し審判請求の根拠とはならない。
(2)請求人は、大韓民国において韓国商標登録第346142号にかかる商標(以下「請求人商標」という。)について「商標に関する権利」を有しているが、本件商標は、請求人商標と同一又は類似の関係に無い。
本件商標と請求人商標とを対照してみると、本件商標は、中心部に縦に配置された「CLEAN」の文字の左側にアルファベットの「C」を、右側にアラビア数字の「1」を組み合わせた図形からなるものであるのに対し、請求人商標は、ハングル2文字からなっている。両商標は、図形商標と文字商標という相違があり、また、使用されている言語も全く異なる等、共通点が全く見られないものであるから、両商標を見た一般世人が、両者を誤認混同して認識することはありえない。
(3)被請求人が代表取締役を務める巨林ジャパンは、1998年(平成10年)10月、請求人との間で、請求人商品「C1」焼酎の輸出契約を締結し、以後2005年4月に請求人から契約解除通知がなされるまでの約6年半にわたり、上記「C1」焼酎の日本国内での輸入販売業務を行ってきた。
被請求人は、本件商標の出願に際し、請求人の承諾を得ていなかった。
しかしながら、その後、両者の間には、新しい輸出契約が締結された。
そして、新しい輸出契約書(乙第1号証)の第11条(2)において「乙がシーワン(C1)焼酎の商標使用のため日本特許庁に商標権を取得したことに対して認定する」ことが規定されている。
このように、請求人は、被請求人が行った本件商標の登録出願を、事後的にではあるが明確に承諾している。
さらに、本件商標の登録は、2000年(平成12年)6月30日であるが、2001年(平成13年)1月に締結された輸出契約書(乙第2号証)でも同様の規定が存在する。
よって、本件取消審判の請求は、商標法第53条の2の要件を充足していないものであるから、その請求は成り立たない。
(4)加えて、「シーワン(C1)」焼酎の商標ラベルの裏面には販売元として「株式会社巨林ジャパン」の名称が表示されている。
また、パンフレット(乙第3号証)や封筒(甲第4号証)にも、「株式会社巨林ジャパン」を併記してきた。
そして、日本国内での輸入販売は、1998年より既に6年に及んでいる。
したがって、取引先には、巨林ジャパンが本件商標を付した商品の販売元であるとして浸透し、強く認識されている。
(1)商標法第53条の2に規定する商標登録の取消しの審判を請求することができる要件は、1)「登録商標がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするもの」であり、2)「その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたもの」である。
(2)請求人が本件取消審判の請求において引用する、韓国意匠登録第0203728号、韓国商標登録第346142号及び弁駁書において追加した韓国商標登録第353133号登録及び韓国商標登録第638395号について検討する。
まず、韓国意匠登録は、商標法第53条の2において「商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)」と明確に規定しているものであるから、韓国意匠登録が本件取消審判の請求の根拠とはなり得ないこと明らかである。
また、韓国商標登録第638395号は、2005年「平成17年」1月31日出願、2005年「平成17年」11月1日登録に係るものであり、これは、本件商標の登録日である2000年「平成12年」6月30日より後のものであるから、当該商標も本件取消審判の請求の根拠とはなりえないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本件取消審判の請求の根拠となり得るのは、韓国商標登録第346142号及び韓国商標登録第353133号登録(以下「引用各商標」という。)であると認められる。
そこで、本件商標と引用各商標の類否について検討するに、本件商標は別掲のとおり、緑色の「C」の文字、白抜きの「1」の文字及び緑色の「CLEAN」の文字と木の葉を描いたとみられる緑色の図形及びその他の図形よりなるものであるから、これよりは、「シーワン」及び「クリーン」の称呼を生じるものと認められる。
他方、引用各商標は、いずれもハングル語の2文字からなるところ、近年ハングル語を我が国において目にする機会が増えているとしても、その文字自体から発音あるいは意味を理解することができる程に親しまれている語とはいえないから、引用各商標から特定の称呼及び観念を生じないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用各商標は、前記のとおりの構成よりなるから、外観上区別できるものであって、称呼及び観念は比較できないものであるあるから、本件商標と引用各商標は、外観、称呼及び観念の何れにおいて非類似の商標であるといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第53条の2にいう「登録商標が......商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標」に該当しないものである。
(3)請求人は、「本件商標は、出願当時、請求人の日本国販売代理店であった巨林ジャパンの代表者朴正植が、正当な理由なく、商標権に相当する権利を有する請求人の承諾なく出願したものである。」旨主張している。
そこで、請求人提出に係る甲各号証について精査するに、請求人提出に係る甲第3号証(巨林ジャパンの会社概要)には「平成10・9 韓国(株)大鮮酒造 日本総代理店 契約締結」とあるが、その事実を証する書面(例えば、契約書等)の提出はない。
また、甲第5号証には、請求人と巨林ジャパンの商品「C1焼酎」の取引を示すオーダーシートがあるが、これは、両者の商品取引の事実を示すものであって、両者の契約関係を表すものではない。
結局、請求人提出に係る甲各号証中で、両者の契約関係を明確に確認できる書面は、甲第22号証及び甲第23号証の輸出契約書のみである。
しかしながら、甲第22号証の輸出契約書の契約年月日は1999年(平成11年)10月11日、甲第23号証の輸出契約書の契約年月日は2001年(平成13年)1月であり、該契約年月日は、本件商標の登録出願日である1999年(平成11年)6月30日より後のものである。
してみれば、本件商標の登録出願は、商標法第53条の2にいう「その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたもの」に該当しないものである。
(4)したがって、商標法第53条の2の規定に基づいてなされた、請求人の本件審判請求は、その請求の要件を満たしていないものいわざるを得ないものであるから、本件商標についての登録は、商標法第53条の2の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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