結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2006−30170(T2006−30170/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1194407号商標(以下「本件商標」という。)は、「プロ」の文字を横書きしてなり、昭和46年10月26日に登録出願、第9類「産業機械器具、動力機械器具(電動機を除く)風水力機械器具、事務用機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品及び附属品(他の類に属するものを除く)機械要素、たゞし、かいばおけ、養鶏用かご、印刷または製本機械器具、管継手、パツキング、ガスケツトおよびこれらの類似商品を除く」を指定商品として、同51年4月12日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
(ア)取消事由
本件商標は、片仮名「プロ」を書してなるものであるところ、継続して3年以上日本国内において、商標権者(又は通常使用権者)によって指定商品中「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」については一度も使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
(イ)取消原因
請求人は、本件請求に先立って職業的調査機関に依頼して当該商標権者の業務内容、取扱商品の範囲、そして特に片仮名で「プロ」と書してなる本件商標の使用の実態について、我が国での取引先に対する照会等を含め鋭意詳細に調査を実行した。しかしながら、本件請求に係る指定商品については、当該商標権者は該当する業務を行っておらず、そのような商品について本件商標が使用されたことを示す資料を発見することが出来なかった。また、現在においては何ら有効な専用使用権または通常使用権の登録もされておらず、それらの存在を窺わせる資料も存在しない。
したがって、本件商標は前記商品については過去3年間にわたって日本国内では使用されなかったものと推認される。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人が使用していると主張する商標と本件商標は異なる。
被請求人は、「ガス漏れ、侵入泥棒等を感知して警報する『遠隔セキュリティシステム』について、予告登録日である平成18年2月28日前3年以内に使用している。」とし、更にこの「遠隔セキュリティシステム」が被請求人独自の開発に係るものであって、現在迄継続して販売している旨を述べ、乙第1号証から乙第13号証までを提出している。乙第3号証は「遠隔セキュリティシステム」に係る商品説明書とみられ、その表紙下部や、各頁の左上の余白部分に欧文字「SecurityPRO」とその上に接して小さく片仮名「セキュリティプロ」が表されている。乙第7号証においても同様の表示が見られる。
しかし、これらには「Security」と「PRO」、「セキュリティ」と「プロ」が一連に表されている。また、乙第4号証及び乙第5号証にも「セキュリティプロ」の記述がある。元々「プロ」の語は「専門家」を表す用語で、一般に当該商品が業務用であるとか、品位が高いものであることを示唆する弱い商標であることもあって、上記表示は、「Security」と「PRO」、「セキュリティ」と「プロ」がまとまりよく表され、一連一体の関係をもって使用されていると見るべきであり、「PRO」又は「プロ」自体の使用であるとは言えない。
乙第3号証の表紙右上に「PRO」の文字が表示されているが、被請求人の取扱う商品群について使用している商標(甲第1号証)を表したシールを貼付したに過ぎない。
(イ)被請求人は、乙第7号証から乙第11号証により、自社の別館及び薬品工場に遠隔セキュリティシステムを工事設置し、これらが商品見本であると主張する。
しかし、被請求人は医薬品や毒物劇物を扱っており、現に過去に複数回泥棒被害に遭った経験があるというのに、自社の建物や工場において需要者の立ち入りを必要とする商品見本の設置をするということは理解しにくいことである。
(ウ)また、このセキュリティシステムは株式会社オンディインターナショナル(以下「オンディインターナショナル」という。)が設置工事をしたとのことであるが、同社の製品カタログ(甲第2号証)によれば、当該商品は商標「HELPER 24S」に係るものである。
乙第7号証の写真において、該当部分には欧文字「SecurityPRO」と片仮名「セキュリティプロ」が表されている。被請求人によれば、予告登録後の平成18年4月7日に撮影されたものであるが、いつから「SecurityPRO」と「セキュリティプロ」の表示が付されていたのか不明である。
(エ)以上のとおり、被請求人の答弁及び乙号証によっては、本件商標が予告登録前3年以内に使用されていたことが立証されていないものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、本件商標を、商標登録原簿(乙第2号証)に示す商品区分第9類の指定商品について所有しており、その指定商品の内「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」に該当するガス漏れ、侵入泥棒等を感知して警報する「遠隔セキュリティシステム」について、予告登録日である平成18年2月28日前3年以内に使用している。
被請求人は昭和38年1月31日に会社設立して以来、事業目的は、乙第1号証の通りであり、「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」に該当する「遠隔セキュリティシステム」は事業の目的に包含される商品である。
(2)使用の事実の立証
(ア)商標権者の遠隔セキュリティシステムは、商品類似群「09G04」に属する。
請求人が主張する本件商標の指定商品中「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」については、調査をしたとのことであるが、確かにバイク或るいは自動車等乗物に関する盗難警報機に対する使用実績はない。
然し、商標権者の使用する「遠隔セキュリティシステム」は同じ類似群に属する商品であり、その商品に対する本件商標の使用の証明によって、審判請求の根拠は解消する。
(イ)本件商標は片仮名「プロ」であるが、「PRO」との英文字商標を用いても実質的に同一商標である。
商標は、商品との関係に於いて、自他商品識別機能、出所表示機能、品質保証機能、広告機能を有するものであり、取引社会に於ける取引市場での誤認混同を防止する上から、本件商標が「プロ」である処、英文字「PRO」を用いたとしても、取引市場に於いて誤認混同を引き起こす憂いは全くなく、実質的に同一の商標機能を果たしている為、片仮名表示と英文字表示との使用に於ける違いがあったとしても、法律上の使用事実を判断する基準に於いて問題はない。
この判断は、「登録商標の不使用による取消審判」と題する審査基準に於いても容認されているものである。
次に、「セキュリティシステム」とは、警報装置一般に対する英語表現であり、日本の取引市場に於いて、理解できない人は皆無であり、その「セキュリティ」とは、安全、無事、安全保障、警備(態勢)等を意味することは周知の事実であり、その「Security」と本件商標と実質的同一である「PRO」とを、英文字の大きさ及び書体を意識的に異なる状態で、連接させた使用状況は、一般的に用いられている普通名称の「Security」と「PRO」とが連接して使用されても、この「Security」「PRO」は、一連一体不可分の別異の感覚を表現する言葉とはなり得ないものであって、「Security」及び「PRO」の夫々が本来的に有する「Security」の観念と、それとは異なる自他商品の識別力を有する「PRO」との商標とから成ることは、社会常識として認められる使用形態である。
即ち、「Security」及び「PRO」の二つの表示や意味観念を自然に想起するのが一般常識であり、両者からかけ離れた独自の商標機能を発揮している訳ではないので、普通名称である「Security」に対する「プロ」と「PRO」とは実質的に社会通念上同一と認められる商標の使用となる。
(ウ)商標権者が本件商標を使用している事実
(a)乙第3号証に示す商標権者の「遠隔セキュリティシステム」に関するパンフレットは、原本であり、株式会社リョーイン中部PM営業所(名古屋市中村区岩塚町字高道1番地)が印刷して、平成17年11月22日に納入したものであり、乙第5号証、乙第6号証に於いて納品書及び代金支払いの事実を示している。
乙第5号証の納品書から納品日が平成17年11月22日であることが分かる。
乙第5号証の納品書に於ける支払い金額の合計数値に対して、その消費税を加算した額から、振込手数料を差し引くと、乙第6号証に示す支払い伝票に於いて、掲載される数値と「株式会社リョーイン中部PM営業所」の預金口座に対する振込送金額と一致する。
商標権者は、乙第3号証に示すパンフレットを受領と同時に、商標権者自ら不特定多数の顧客等に配布したり、説明したり、営業活動を始めた。一般的顧客ばかりでなく、商標権者の業務範囲に於ける出入業者には、顧客として商標権者の「遠隔セキュリティシステム」を購入してくれる様に、働きかけ且つ購入希望者がいれば、紹介してくれる様に依頼している。
乙第4号証は、パンフレットと共に配布された定価表であり、この定価表の金額は、本体価格だけの値段を表示している。
後に説明する乙第8号証、乙第9号証の納品書は工事費込みの値段である。
乙第3号証のパンフレットの表紙に於いて、「遠隔セキュリティシステム」に関する「PRO」と最上段に表示すると共に、最下段には「Security PRO」と表示して、出所の誤認混同を防ぐ出所表示機能等商標機能をもたらす商標を表示している。
乙第3号証のパンフレットに於ける説明内容に関しては、空巣・侵入盗、ピッキング・ストーカー、火災感知器等の機能を有する説明と通報システムについて詳しく説明されている。
全頁に於いて、「Security PRO」との商標表示をしており、「Security」業務に関する「PRO」という名称を有するシステムが商標権者の商品であることを明確に示している。
「Security PRO」との英語スペルの判読が苦手な老人等への配慮から、小さく「セキュリティプロ」との片仮名表示も補助的に添えている。この「セキュリティプロ」との補助的な称呼上の援助を得た後、明確な「Security PRO」との正式な商標機能を正しく理解するものである。
最終頁の最下段には、出所を明確にすべく英文字「PRO」との商標を明確に表示し、「共立機巧株式会社」と販売元を明らかにして出所の誤認混同を防止している。
(b)商標権者は、商品見本とする遠隔セキュリティシステムを工事設置した事実がある。
乙第7号証(1)〜(8)は、商標権者の販売商品である「遠隔セキュリティシステム」を商品見本として「本社別館」及び「薬品工場(第一工場)」の二箇所に設置している状況を示し本件商標の使用を立証している。
乙第8号証は、平成17年11月25日に、前記本社別館に於いて、「遠隔セキュリティシステム」を設置工事したオンディインターナショナル(名古屋市千種区桜ヶ丘230番地)から平成17年12月19日付で発送された納品書であり、乙第9号証は、平成17年11月18日に、前記「薬品工場(第一工場)」に於いて、「遠隔セキュリティシステム」を設置工事した上記の「オンディインターナショナル」から平成17年11月30日付で発送された納品書である。
乙第10号証は、商標権者が乙第8号証に示す「オンディインターナショナル」からの納品書に対する代金の送金明細書である。
乙第11号証は、商標権者が乙第9号証に示す「オンディインターナショナル」からの納品書に対する代金の送金明細書である。
(c)本件審判請求予告登録前3年以内に本件商標が「遠隔セキュリティシステム」について使用された事実の証明者。
本件審判請求予告登録前3年以内に本件商標が商標権者の販売商品である「遠隔セキュリティシステム」について使用された事実に対する2名の証明者は、有限会社神野商店 社長神野金一(名古屋市中村区野田町字経田52番地)、東海鉛化工業所 津田尚久(名古屋市港区品川町2丁目4番地)である。
前者は、平成17年12月1日に、後者は、平成17年12月8日に、夫々商標権者が「PRO」との商標を付した「遠隔セキュリティシステム」について、パンフレットを配布し始めた平成17年11月22日以来発売している中、商標権者の当該商品販売担当者である技術開発室森本廣一から、上記の弊社商品の購入を検討する客として、夫々上記の商品説明を受けた後、別紙商品のパンフレット(乙第3号証)及び価格表(乙第4号証)を受領したことを証言している。
(3)結論
商標権者は、請求人がいうように、確かに商標権の権利範囲である指定商品中「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」について、商標権者は本件商標を一度も使用した事実がないという主張は正しい。
然しながら、その主張する「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」として法律上認められる商品として、「遠隔セキュリティシステム」に付いて、本件商標とは表示態様が英文字「PRO」に異なっていても取引社会に於ける取引市場では実質的に同一と認識され、社会通念上同一と認められる商標として、出所の誤認混同を引き起こす惧れのない商標使用の実態が認められる場合には、本件商標の実質的な使用として、「PRO」であったり、或いは片仮名表示での「セキュリティプロ」との使用も認められるものであると共に、商標法第2条第3項第8号の規定により、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に本件商標を付して使用していることは、本件審判請求の根拠を欠いているものである。
被請求人は、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番を含む。)を提出し、本件商標を、乙第2号証に示す商品区分第9類の指定商品についてついて所有しており、その指定商品中の「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」に該当するガス漏れ、侵入泥棒等を感知して警報する「遠隔セキュリティシステム」(以下「使用商品」という。)について、予告登録日である平成18年2月28日前3年以内に使用していた旨主張している。
そこで、被請求人の提出に係る前記証拠についてみるに、乙第3号証のパンフレットによれば、使用商品の内容が紹介されており、使用商品は、請求に係る商品「乗物用盗難警報器及びこれに類似する商品」の範疇に属するものと認められ、そして、最終頁の左下に被請求人の名称及び図形等と共に「PRO.」の文字が表示されていることから、使用商品には本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていたものといわざるを得ない。
また、乙第5号証の納品書によれば、平成17年11月22日に印刷された前記パンフレットが被請求人に納品されている事実が認められ、そのパンフレットは、少なくもその時点より需要者等に配布されていたとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、被請求人の提出に係る証拠を総合勘案すれば、被請求人が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品に属すると認められる使用商品について使用していたものといわなければならない。
なお、請求人は、乙第3号証の表紙右上に「PRO」の文字が表示されているが、被請求人の取扱う商品群について使用している商標(甲第1号証)を表したシールを貼付したに過ぎない旨主張しているが、本件については、前記認定のとおりであるから、この点に関する請求人の主張は採用の限りでない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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