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Trademark Appeal Case

「食べる活性炭」の識別性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−20695(T2004−20695/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「食べる活性炭」の文字を標準文字で書してなり、第29類、第30類及び第31類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年10月31日に登録出願されたものであるが、指定商品については、平成16年7月20日付け及び同18年4月17日付けの手続補正書をもって、最終的に、第29類「活性炭を主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品,アルギン酸塩を主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品,アルギン酸塩及び活性炭を主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品,マンナン塩を主成分とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品,マンナン塩及び活性炭を主成分とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品」及び第31類「飼料」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶理由

原査定は、「活性炭を主原料としたいわゆる健康食品や活性炭を添加した食品が、体内の有害物質を除去する目的で販売されている事実があるところ、本願商標の指定商品には「活性炭を主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品」や「アルギン酸塩及び活性炭を主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品」といった活性炭を原材料にした加工食品が含まれているから、本願商標を、当該商品に使用したときは、これに接する需要者、取引者は「食用の活性炭」程度の意を容易に認識するものであり、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて職権に基づく証拠調べを行ったところ次の事実を発見したので、平成18年3月2日付け及び同9月6日付けで、請求人にその結果を通知した。

1 炭が、人に食されているという事実について

(1)「岩波 国語辞典 第五版」(岩波書店、1997年2月16日発行)の「活性炭」の項に「特に吸着性を強めた炭素。吸着剤として、・・・(中略)・・・下痢止めなどに使う。」と記載がある。

(2)「食用炭」のウエブサイト(www.wanwantuuhan.co.jp/page030.html)に、「そこで、食用炭を食べ腸壁にこびり付いた有害物質や毒素を、食用炭に空いた無数の孔に吸着させ、便と一緒に排出させるのです。」「食用炭は古くから民間療法として用いられていて、現在でも、医療、食品など様々な分野で使われている人体には、完全無害な物です。食用炭は、医療用・日本薬局方として誤飲などの救急医療の現場で用いられています。」との記載がある。

(3)「日刊スポーツ」(2000年10月18日付け、20頁)に、「ライフ パワーの食材「食べる炭」」の見出しの下、「最近「食べる炭」が話題を呼んでいる。炭のさまざまな効果が注目され、空気の清浄、浄水、消臭などに利用している方は多分多いことでしょう。これらの効果は、炭にある、目に見えないごくごく小さな無数の穴(樹木の細胞が穴になったもの)によるもので、毒素やにおい、化学物質、水分などをこの穴が吸着してくれるのです。実は昔、「薬用炭」といって、食べ物などに当たって中毒症状を起こした時の解毒剤、また水分を吸着する効果から下痢止め薬として、すでに炭を食べていたそうです。知らず知らずのうちに、体内に取り入れられ、蓄積される残留農薬や食品添加物をはじめ、ダイオキシンや環境ホルモンなども炭が吸着してくれるため、この力を利用した健康食として「食べる炭」が登場しました。アルギン酸カルシウムという海草類の細胞壁成分で炭をくるみ、便通をよくして、吸着した毒素類をスムーズに体外に排せつできるように加工されているものもあります。取りすぎた脂肪分なども吸着して体外へ排せつしてくれるので減量効果もあるといわれています。この「食べる炭」にはさまざまな種類があり、粉末タイプや、ティーバッグに入っていて、料理の際に材料と一緒になべに入れて煮込み、素材の添加物などを除去するタイプのもの、粒状になっていていろいろな料理に混ぜ込んでトッピングできるもの、また「炭そば」などもあります。体内浄化に「炭」を食事にちょっと取り入れる程度に試してみては、いかがでしょうか。」との記事がある。

2 活性炭を主原料としたいわゆる健康食品や活性炭素を添加した食品が、体内の有害物質を除去する目的で販売されている事実について。

(1)「元気ショップ桃太郎」のウエブサイト(http://www.rakuten.co.jp/momotarou/770163/)に、「食べる竹炭」の記載がある。

(2)「自然食品専門店 こうげん堂」のウエブサイト(www.kougendo.co.jp/newsite/newkenkoutan.html )に、「健康炭・食べる炭素 昭和45年(1970年)に開発されて以来、30年間知る人ぞ知る高い波動の常飲できる炭素の凄い効果」の記載がある。

(3)「信玄煎餅:信玄煎餅の金精軒」のウエブサイト(www.rakuten.co.jp/kinseik/242786 )に、「竹炭入り信玄煎餅」の記載がある。

(4)「みち庭」のウエブサイト(www12.plala.or.jp/michiniwa/htm/menu_chikutan.html )に、「竹炭そば」の記載がある。

(5)「おおばこ」のウエブサイト(www.rakuten.co.jp/oobako/607806/604317 )に、「炭を食べる民間療法 竹炭豆」の記載がある。

(6)「みえ福祉用具産業支援ネットワーク」のウエブサイト(www.fynet.pref.mie.jp/clinic_g2.asp?GOOK_JCODE=200107&GAMEN=b)に、「食竹炭(ショクチクターン)は産学官共同研究により生まれた健康のための『食べる炭』です。食竹炭は安全な天然由来植物の孟宗竹を炭化、超微粉化、特殊加工処理した健康補助食品です。」の記載がある。

(7)「ここちeくらし」のウエブサイト(http://www.rakuten.co.jp/shimadzu/452707/488802/601181/)に、「たべる炭パウダースティック」の記載がある。

(8)「炭パワーで超活性スーパーアクティブ・カーボンダイエット『カーボンバーナー』」のウエブサイト(www.147841.jp/pitem/21952183 )に、「商品詳細 名称:食用竹炭加工食品」の記載がある。

3 「食べる活性炭」の語が、使用されている事実について

(1)「健康プラザパル」のウエブサイト(http://www.rakuten.co.jp/pal/538242/539669/540139/)の「竹炭 70g」の項に「医療現場で使われている「薬用炭」が持つ吸着・解毒作用を生かし、さらに排出できるように研究・開発されたものが「食べる活性炭」です。これを毎日食べることにより、・・・(中略)・・・■目安:1日朝晩2回4粒を目安にお召し上がりください。」との記載がある。

(2)「つるはし便りバックナンバー ブラウン・ランドーン博士の不思議な方法」のウエブサイト(http://64.233.167.104/search?q=cache:162VhLyHSFkJ:ww6.tiki.ne.jp/~jubishi/tsuruhasi_vol2.html+%E3%81%A4%E3%82%8B%E3%81%AF%E3%81%97%E4%BE%BF%E3%82%8A%E3%80%80%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%92%E5%8F%B7&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1 )の「★★チャコール(活性炭)療法★★」の項に「チャコールとは活性炭、炭ですねー。竹炭や備長炭の優れた力は近年よく知られようになりました。チャコール湿布というすばらしい方法もありますが、それは後日にご紹介するとして、今回は『食べる活性炭』のお話です。・・・(中略)・・・外国のサプリではカプセルに入ったチャコールを見かけます。大変便利ですが、日本ではこのような形ではあまり見かけません。しかし、微粉末にした炭・竹炭は、炭を扱うお店で売られています。粉末では大匙1杯程・水に溶かして飲みます。」との記載がある(注:『』は、当審において加えたものである。)。

(3)「羽ばたけ!大空 翼とともに」のウエブサイト(http://bunn2.jugem.jp/?eid=173)の「腸内環境を整え★体質改善しましょう!」の項に、「現代食生活のパートナー、『食べる活性炭』で、必要な栄養素は体内に有害成分は体外に排出しましょう。腸のおそうじ役をひきうけます。あなたの体を守る健康法です。」「話題の「食べる炭」健康法」との記載がある(注:『』は、当審において加えたものである。)。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

(1)商標法第3条第1項第3号として掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(昭和53年(行ツ)第129号判決 最高裁判所 昭和54年4月10日判決言渡)。

(2)これを本件についてみるに、本願商標は、「食べる活性炭」の文字よりなるところ、上記第3で示した事実よりすると、「食べる活性炭」の表示をもって、薬用炭を主原料としたいわゆる健康食品が、体内の有害物質等を除去する目的で販売されていること、また、活性炭(薬用炭)は特に吸着性を高めた炭素であり、炭と同様に吸着剤として下痢止め等に使用されていることが認められるものである。

してみれば、本願商標「食べる活性炭」をその指定商品中「活性炭を主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品」、「アルギン酸塩及び活性炭を主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品」、「マンナン塩及び活性炭を主成分とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液体状又はゼリー状加工食品」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、商品に活性炭が配合されていると理解し、これより「従来の食用炭の吸着性をより高め、体内の有害物質を除去し、体内浄化作用・効果が上げられた商品」であることを把握するに止まり、自他商品識別標識としては認識しないというのが相当である。また、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。

2 請求人の意見

上記第3の通知に対して、請求人は、指定商品を補正するとともに、「「活性炭」は食用に供されることはないから、本願商標はその指定商品について、十分な識別力を有する。」旨意見を述べている。

しかしながら、「活性炭」とは「粉末状、顆粒状またはペレット状の無定形炭素.」(マグローヒル科学技術用語大辞典 改訂第3版、299頁、株式会社日刊工業新聞社、2000年3月15日発行)であり、活性炭を含む商品は、上記第3 2に示すようにすでに市販されているところである。

また、「炭」と「活性炭」とに吸着能力、吸着速度等の差異があるとしても、いずれも炭素の一つであることよりすれば、これらの商品の取引にあって、一般需要者が、両者の品質、効能などの差異を明確に理解してこれに当たるとはいい難いものであり、このことは、「食べる炭」の語と「食べる活性炭」の語が同じ意味合いで使用されている実情があることからも認められるものである(第3 3)。

仮に、「食べる活性炭」の表示をもって使用される商品が現実に存在しなくとも、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質等を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであるから(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日判決言渡)、本願商標がその指定商品の品質等を表すものであるとすることの妨げにはならないというべきである。

したがって、この点に関する請求人の意見は採用できない。

その他、述べる請求人の意見も、前記認定を左右するに足りないものである。

3 結語

以上よりすれば、本願商標は、これをその指定商品中「活性炭を原料とする商品」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の原材料、品質を表示するものとして把握、認識するにとまるものであり、かつ、なんぴともその使用を欲するものであるといえるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものである。

また、前記以外の指定商品に使用するときは、活性炭を原料とするものであるかの如くに理解するおそれがあり、当該商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。

したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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