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Trademark Appeal Case

商標使用の定義と証拠の有効性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−31200(T2005−31200/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3226880号商標(以下「本件商標」という。)は,「ポーラ」の片仮名文字と「POLA」の欧文字を上下二段に横書きしてなり,平成4年4月30日登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同8年11月29日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標における「寒冷地及び異常気象の状態において使用されるアウトドア用のエスキモージャケット(衣服)・ダウンジャケット・ズボン・帽子及びこれらに類似する商品」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。

1 請求の理由

本件商標は,「ポーラ」の片仮名文字と「POLA」欧文字を二段に横書きしてなり,「国際分類第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として平成8年11月29日に設定登録がなされ,現在,存続している。

しかしながら,本件商標は,その指定商品中「寒冷地及び異常気象の状態において使用されるアウトドア用のエスキモージャケット(衣服)・ダウンジャケット・ズボン・帽子及びこれらに類似する商品」について,過去3年間日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がない。

よって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定により,その登録を取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人が平成18年1月11日付けにて提出した答弁書に対し,請求人は次のように弁駁する。

被請求人は,本件商標を「帽子」に使用している証拠として乙第1号証ないし乙第3号証を提出し,本件商標を「ジャケット,パンツ」に使用している証拠として,乙第4号証ないし乙第6号証を提出している。

そして,乙第1号証ないし乙第6号証は,いずれも,株式会社ポーラ化粧品本舗に関する書類である。

(2)被請求人は,株式会社ポーラ化粧品本舗が,本商標権の通常使用権者であると答弁書で主張しているが,甲第1号証に示すように,株式会社ポーラ化粧品本舗の通常使用権は本商標権の登録原簿に登録されてなく,また,答弁書においても株式会社ポーラ化粧品本舗が本商標権の通常使用権者であることを立証する証拠は,何ら提出されていない。

よって,乙第1号証ないし乙第6号証は,本件商標が通常使用権者により「帽子,ジャケット,パンツ」に使用されていたことを立証する証拠にはなり得ない。

(3)仮に,株式会社ポーラ化粧品本舗が本件商標権の通常使用権者であると仮定したとしても以下の理由により,乙第1号証ないし乙第6号証は,本件商標を通常使用権者が「帽子,ジャケット,パンツ」に使用していたことを立証する証拠には,なり得ない。

商標法第2条第3項第8号には,「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」は,標章の使用に該当すると規定されている。

そして,同号中の「取引書類」の中には,商品カタログが含まれている。

しかし,商標法第2条第3項第8号は,単にカタログに標章が記載されていれば,そのカタログに掲載されている全ての商品について標章の使用と認めるという規定ではなく,あくまで,商品に関して標章が付されていた場合に標章の使用と認める規定であり,標章が商品に関して付されていない場合には,標章の使用とは,認められるべきではない。

ここで,被請求人が提出した乙第1号証及び乙第4号証のカタログを参照すると,これらのカタログは,全体で100頁以上の頁数からなる冊子であり,その中に非常に多数の商品が掲載されているにもかかわらず,「POLA」の文字は表紙の右上と裏表紙の左上に比較的小さく表示されているにすぎず,それ以外には,一切表示されていない。

また,被請求人の主張によれば,カタログに記載の商品は,箱に入れて販売されているとのことであるが,被請求人が提出した乙第2号証,乙第3号証,乙第5号証及び乙第6号証から明らかなように,商品を入れた箱にも「POLA」文字は表示されていない。

さらに,「帽子,ジャケット,パンツ」等の商品は,商品のタグ等に標章が付されていることが多々あるが,答弁書において被請求人が商品そのものに標章が付されていることを立証する証拠を提出していないことから,商品そのものにも「POLA」の文字が表示されていないことは,容易に想像がつく。上記したように,「POLA」の文字は,商品そのものにも,商品の包装にも一切表示されてなく,100頁以上の冊子の表紙の左上と裏表紙の右上に小さく表示されているだけであり,到底,100頁以上の頁数からなる冊子に掲載されている帽子,ジャケット,パンツを含めた全ての商品に「POLA」の文字が標章として付されているとはいえるものではない。

(4)まとめ

以上のとおり,被請求人は,株式会社ポーラ化粧品本舗が本件商標権の通常使用権者であることを立証する証拠を何ら提出していないので,乙第1号証ないし乙第6号証は本件商標が通常使用権者により「帽子,ジャケット,パンツ」に使用されていたことを立証する証拠にはなり得ず,また,株式会社ポーラ化粧品本舗が本件商標権の通常使用権者であると仮定したとしても,乙第1号証及び乙第4号証に記載の「POLA」の文字が商品について付されているとはいえるものではない。

よって,請求の趣旨のとおり審決を求めるものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし同第6号証を提出した。

答弁の理由

(1)請求人は「本件商標は,その指定商品中『寒冷地及び異常気象の状態において使用されるアウトドア用のエスキモージャケット(衣服)・ダウンジャケット・ズボン・帽子及びこれに類似する商品』について,過去3年間日本国内において,商標権者,専用使用権者のいずれも使用した事実がないので,商標法第50条第1項の規定により,その登録を取り消されるべきである。」と主張している。

しかしながら,本件商標は以下に述べるように,指定商品中の帽子,パンツ,ジャケットについて本件審判請求前3年以内に使用していた。

(2)乙第1号証は商品「帽子」について使用している事実を立証する2004年1月発行のカタログであり,該商品については,本件商標の通常使用権者である被請求人会社のグループ企業の(株)ポーラ化粧品本舗による訪問販売という形態により販売をしているものであり,その際の取扱商品については,このカタログにより注文を受けて販売するという方法で,取扱商品の「帽子」についてはカタログのP.114に「帽子」(デザイン番号HH62,デザイン番号63)が掲載されており,これらにはそれぞれ商品番号も付与されている。

販売商品は,箱入りとして販売し,その包装箱にはカタログと同一のデザイン番号,商品番号及びその他記載のシール(乙第2号証)が貼付されている。

商品「帽子」の2004年における月別売上については,売上一覧(乙第3号証)にあるとおりの売上となっており,デザイン番号及び商品番号においてもカタログと一致しており,販売されていた事実についても明らかなものである。

そして,その使用商標はカタログ掲載商品について「POLA」というブランドをもって販売しているものであり,カタログの表紙の上段に「POLA」と記載し使用する事により,該カタログに掲載されている商品については,「POLA」印の商品として認識され出所表示機能を果しているものであり,商品「帽子」について使用していることは明らかな事実である。

(3)乙第4号証は商品「ジャケット」「パンツ」について使用している事実を立証する2005年1月発行のカタログであり,該商品についても商品「帽子」と同様に通常使用権者である(株)ポーラ化粧品本舗による訪問販売という形態によるものであって,取扱商品「ジャケット」については,カタログのP.105に「カジュアルジャケット」(デザイン番号HJ27)が,「パンツ」についてはP.104に「カジュアルパンツ」(デザイン番号HP31)及びP.110に「イージーパンツ」(デザイン番号HP32)が掲載されており,これらにはそれぞれ商品番号も付与されている。

また,「帽子」同様に包装箱にもカタログと同一のデザイン番号,商品番号及びその他記載のシール(乙第5号証)が貼付されている。

「ジャケット」「パンツ」の2005年における月別売上についても,売上一覧(乙第6号証)にあるとおりの売上となっており,デザイン番号及び商品番号においてカタログと一致しており,販売されている事実も明らかなものである。

そして,その使用商標は商品「帽子」同様カタログ掲載商品について「POLA」というブランドをもって販売しているものであり,カタログの表紙の上段に「POLA」と記載し使用する事により,該カタログに記載されている商品については「POLA」印の商品として認識され,出所表示機能を果しているものであり,商品「ジャケット,パンツ」について使用していることは明らかな事実である。

(4)次に,本件商標は「ポーラ」と「POLA」の文字よりなるものであるが,本件指定商品との関係においても,「ポーラ」及び「POLA」は防護標章が認められており,共に「ポーラ」の称呼をもって認識されており,本件被請求人の所有に係る商標として周知著名なものである。

したがって,「ポーラ」「POLA」の文字よりなる本件商標において「POLA」のみの使用においても,これからは,「ポーラ」の称呼のみを生ずるものとして認識されるものであって,「ポーラ」と「POLA」よりなる本件商標の使用の範囲であり,社会通念上同一の範囲と認められる商標である。

そうとすれば,本件商標と社会通念上同一のものと認められる「POLA」よりなる商標を商品「帽子,ジャケット,パンツ」について本件審判請求前3年以内において使用していたことは明白な事実である。

これらの商品は,請求人の請求に係る指定商品に包含される商品について本件商標を使用していたものである。

(5)よって,本件商標は,商標法第50条第1項に該当するものではなく,答弁の趣旨どおりの審決を求めるものである。

第4 当審の判断

被請求人より提出された乙各号証によれば,以下のことが認められる。

(1)乙第1号証は,商品カタログ(カラー)と認められるところ,表紙の右上に「POLA」と表示されている。また,裏表紙には同じく「POLA」と上部に表示され,その下に本件商標の通常使用権者と認め得る「株式会社ポーラ化粧品本舗」と表示されおり,最下部には,このカタログの発行年月と認められる「2004年1月発行」の文字が小さく表示されている。

そして,このカタログの114頁の右上には商品「帽子」が2点(デザイン番号HH62,デザイン番号HH63)がカラー写真付きで掲載されており,これらにはそれぞれ商品番号も付与されていることが認められる。

乙第2号証は,商品を箱入りで販売する際に貼付されるシール(写し)と認められるところ,このシールには上記した帽子のデザイン番号(HH62)(HH63)がサイズ,カラー等と共に記載されている。

乙第3号証は,「帽子」の2004年1月から12月までの月別売上一覧と認められるものであり,上記のカタログの表示と一致するデザイン番号及び商品番号毎の各月別の販売数・販売額がそれぞれ記入されている。

乙第4号証は,2005年1月発行の商品カタログ(カラー)であり,乙第1号証のカタログと同様に表紙と裏表紙に「POLA」の文字が表示され,通常使用権者の略称と認められる「ポーラ化粧品」の表示があり,カタログの105頁には取扱商品「カジュアルジャケット」(デザイン番号HJ27)が,「パンツ」については104頁に「カジュアルパンツ」(デザイン番号HP31)及び110頁に「イージーパンツ」(デザイン番号HP32)がそれぞれ掲載されており,商品番号も付与されている。

また,前記の「帽子」と同様に包装箱に貼付されるシール(乙第5号証)に,カタログと同一のデザイン番号,商品番号が記載され,さらに,「ジャケット」「パンツ」の2005年1月から12月までの月別売上一覧(乙第6号証)において,デザイン番号及び商品番号毎の各月別の販売数・販売額がそれぞれ実数で記入されている。

(2)前記(1)で認定した事実によれば,上記商品カタログ及び各商品の月別売上一覧は,その掲載内容及び記載内容から商品「帽子,ジャケット,パンツ」が取引の実際に使用されたと認め得るものであり,かつ,各カタログの表紙及び裏表紙に表示されている「POLA」の文字は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。

また,各カタログの発行年月・月別売上一覧の記載年月は,いずれも本件審判の請求の登録日(平成17年10月19日)前3年以内と認められる。

そして,本件商標を商品に付して販売した者「株式会社ポーラ化粧品本舗」は,本件商標の商標権者である被請求人(会社)のグループ企業と認められるものであり,本件商標の通常使用権者であるとするを相当とする。

なお,通常使用権は,専用使用権と異なり,(商標登録原簿に)登録しなければその効力を生じないというものではない。

そうすると,本件商標は,通常使用権者によって,本件審判の請求の登録日前3年以内に日本国内において,本件取消請求に係る指定商品中に含まれる「帽子,ジャケット,パンツ(ズボン)」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認め得るところである。

(3)したがって,本件商標は,その指定商品中の請求に係る商品「寒冷地及び異常気象の状態において使用されるアウトドア用のエスキモージャケット(衣服)・ダウンジャケット・ズボン・帽子及びこれらに類似する商品」について,商標法第50条第1項の規定により,その登録を取り消すことはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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