Trademark Appeal Case
地名と霊場巡りの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−3461(T2005−3461/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「台湾三十三観音霊場巡り」の文字を標準文字で書してなり、第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,水先案内,水先案内に関する情報の提供,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,旅行に関する相談及び情報の提供(宿泊に関するものを除く。),他人の携帯品の一時預かり,駐車場の提供,駐車場の管理,自動車の貸与,車いすの貸与,自転車の貸与」を指定役務として、平成16年3月11日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『台湾三十三観音霊場巡り』の文字を普通に用いられる方法で書してなるが、古くから三十三観音(三十三体の異なった観音)を安置した霊場を巡礼することが行われており、インターネットのウェブサイトにおいても『坂東三十三観音霊場巡り、鎌倉三十三観音霊場巡り、三陸三十三観音霊場巡り』のように地名を付して、現在でも行われていることが認められる。そうすると、本願商標は、『台湾にある三十三観音の霊場を巡礼すること』の意味を容易に認識させるものであるから、これを本願指定役務中、例えば『主催旅行の実施,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,旅行に関する相談及び情報の提供(宿泊に関するものを除く。)』等について使用するときは、単にその役務の内容(質)を表示してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「台湾三十三観音霊場巡り」の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中、「台湾」の文字部分は、我が国でも一般によく知られた、「中国福建省と台湾海峡をへだてて東方2百キロメートルにある島。」の名称であり、また、「三十三観音」の文字部分は、「33体の異形の観音。楊柳・竜頭・持経・円光・遊戯・白衣・蓮臥・滝見・施薬・魚籃・徳王・水月・一葉・青頸・威徳・延命・衆宝・岩戸・能静・阿耨・阿摩提・葉衣・瑠璃・多羅・蛤蜊・六時・普悲・馬郎婦・合掌・一如・不二・持蓮・灑水。」を意味する語である。そして「霊場巡り」の文字部分については、「神社・仏閣などのある神聖な地を順に回ること」の意味合い(広辞苑第五版)をそれぞれ認識させるものである。
そうとすると、これらの意味を有する各文字を一連に書してなる本願商標「台湾三十三観音霊場巡り」の文字からは、原審説示のごとき「台湾の三十三観音を安置した霊場を巡拝すること」の意味合いを認識・理解するものというのが相当である。
ところで、地名(地方名)と「三十三観音霊場巡り」の文字からなる語が、その地名(地方)に存在する「三十三観音を安置した霊場を巡拝すること」を意味する語として使用されていること、及び旅行を内容とする役務を取り扱う業界においても、役務の質・内容を表示するものとして取引上、普通一般に使用されている事実が存在することは、例えば、以下のような新聞記事及びインターネットのウェブサイト上の記載などにより、裏付けられるところである。
(1)「三陸三十三観音霊場巡り」の見出しのもと、「三陸三十三観音霊場巡りとは?三陸三十三観音霊場は、海と山が入り組んだ変化に富む三陸海岸に沿い、日本三景松島を起点に宮古、浄土ヶ浜に至る三十三の寺々の観音を巡礼する行程395Kmにわたる『こころの旅』の道です。」との記載がある。(http://www.k-macs.ne.jp/~daichi/33no1.html)
(2)「山鹿郡三十三観音霊場巡り[観光ガイド〉山鹿郡33観音霊場巡り]管理者:山鹿市役所」の見出しのもと、「■山鹿郡三十三観音霊場巡りとは、四国八十八ヶ所、西国三十三ヶ所霊場などに代表される、霊場の中の一つが、実は山鹿にも残されています。霊場巡礼とは、中世に始まった観音信仰の名残りで、信仰を深めるために聖人にちなんだ霊場を旅することで形を変えながらも今日に受け継がれてきました。」との記載がある。(http://www.y-kankoukyoukai.com/hpgen/LINK/navi.cgi?mode=view&class=3&part=5)
(3)「かながわ文庫 1月20日=神奈川」の見出しのもと、「50歳を過ぎ、『仕事で忙しいだけで良いのか』と一念発起し、7年かけて鎌倉三十三観音霊場巡りを達成。」との記載がある。(2006.01.20 読売新聞 東京朝刊 33頁)
(4)「“地域版”霊場巡り 古寺訪ね歴史発見 歩いて健康づくり」の見出しのもと、「◆近所にあった!『八十八か所』『三十三観音』地域の古い寺院を訪ね歩く『地方霊場巡り』が静かな人気となっている。地域の歴史を再発見したり、健康づくりのきっかけにしたりと、身近なところから歩き始める魅力は少なくない。『四国八十八か所』などの有名な霊場巡りを模したコースが各地に設けられており、旅行会社や寺院の巡拝団がコースに組み入れる例も増えている。◆全国に300か所 東京のベッドタウンとして高層マンションが立ち並ぶ千葉県西部の行徳・浦安地区。市川市と浦安市にまたがるこの地区で、地元郷土史グループ代表の永石幸さん(61)らが毎年春、『行徳・浦安三十三観音霊場巡り』を開いている。」との記載がある。(2001.06.21 読売新聞 東京朝刊 25頁)
(5)「鎌倉三十三観音霊場巡りの旅」の見出しのもと、「鎌倉郡三十三所霊場に比べて寺院の点在する範囲は小さいですが、全ての寺院が鎌倉市内にある為、比較的短期間で巡ることができます。ガイドブック(『古寺巡礼シリーズ・鎌倉三十三ヶ所』平幡良雄著、満願寺教化部刊)には二日で巡れるコースが紹介されています。」との記載がある。(http://rama33.web.fc2.com/kamakura/kamakura33.html)
(6)「四大霊場【ツアー紹介】」の見出しのもと、「坂東三十三観音霊場とは 熱心な観音信者だった鎌倉将軍・源頼朝から実朝の時代に開創された東国最大の観音霊場です。東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬の一都六県にまたがり、鎌倉を発願地として館山を結願地とする巡礼地の全長は1,300キロにも及びます。・・・旅のポイント 1.宿泊コースと日帰りコースをご用意しております 2.全コース僧侶の先生が同行いたします 3.札所に精通した添乗員が同行いたします」との記載がある。(http://www.club-t.com/theme/kokoro/tour/yondai/index_bando.htm)
(7)「奈良交通グループホームページ」の見出しのもと、「霊場巡拝バスツアーのコース一覧に「西国三十三ヶ所観音霊場めぐり」の記載がある。(http://www.narakotsu.co.jp/ryoko/bt/reijo/index.html)
これらの実情にかんがみれば、本願商標をその指定役務中、「主催旅行の実施,旅行者の案内」等の役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その役務が、「台湾の三十三観音霊場を巡拝すること」に関するものであると認識し、役務の質・内容を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
また、本願商標を前記役務以外の役務について使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
なお、請求人は、台湾に三十三観音霊場を創設したのは、請求人の尽力によるところが大きいこと、台湾には、これまで三十三観音霊場巡りという観念も霊場を巡拝するという慣習もなかったこと、さらに我が国において三十三観音の霊場は、混同されることなく明確に区別されていることから、本願商標は、「台湾にある三十三観音の霊場を巡拝すること」の意味を容易に認識することはない旨主張しているが、上記の実情よりすれば、請求人の主張は、採用することができない。
また、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、それは商標の構成態様等において本件とは事案を異にするものであり、その判断が本件の判断を左右するものではなく、本願商標については、上記認定のとおりであるから、この主張についても採用することができない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるからこれを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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