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Trademark Appeal Case

称呼類似と著名商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89079(T2004−89079/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4769256号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4769256号商標(以下「本件商標」という。)は、平成15年9月1日に登録出願され、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第25類「帽子」を指定商品として、同16年5月14日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の2件である。

(1)登録第1038256号商標(以下「引用1商標」という。)は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、昭和42年12月12日登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同48年10月15日に設定登録されたものであるが、その後、3回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については、平成16年8月4日付けで、第25類「被服」とする書換登録がされたものである。

(2)登録第1533062号商標(以下「引用2商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和44年2月14日登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同57年8月27日に設定登録されたものであるが、その後、商標権存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については、平成15年11月26日付けで、第25類「被服」とする書換登録がされたものである。

以下、一括していうときは、「引用商標」という。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第128号証(枝番を含む。)を提出している。

1 請求の理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、円輪郭の図形部分には自他商品識別力がないから、本件商標の要部は、「Heads」の文字にあるというべきである。

そして、当該「Heads」の文字と引用商標中の「HEAD」の文字とは、小文字と大文字の差異及び末尾の「s」文字の有無の差異しかないために、外観において類似する。

また、本件商標からは「ヘッズ」の称呼及び引用商標からは「ヘッド」の称呼が生ずることから、両商標は、称呼において類似する。

さらに、両商標は、「頭」の観念を共通にする。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において類似する商標であり、指定商品も同ー又は類似するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

(ア)請求人及び引用商標の著名性について

請求人は、オーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、1950年の創業以来50年あまりにわたり世界中において大規模な事業展開をしてきた一流スポーツメーカーである(甲第40号証)。

請求人は、スキー用具、スノーボード用品、テニス用具、その他運動用バッグ、ウェア、アクセサリー等を世界中で大々的に販売し、請求人のハウスマークである引用商標を、これら多岐にわたる商品に大々的に使用してきた。これにより、引用商標は、請求人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきた(甲第41号証ないし同第105号証)。

本件商標の指定商品と類似する商品についてはもちろん、同一の商品、すなわち「帽子」についても、甲第41号証ないし同第105号証に示すとおり、日本において大規模な広告宣伝及び販売活動を行っている。

(イ)混同のおそれについて

本件商標中、図形部分はありふれた図形であり、その印象が非常に弱いこと及び引用商標が「被服、帽子、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」などについて著名であることから、本件商標に接した取引者、需要者には、「Heads」の部分が強く印象付けられ、「Heads」部分が記憶され、商品選択をするといえる。

そうすると、本件商標に接した取引者、需要者は、引用商標を想起し、請求人の製造、販売に係る商品であると誤認混同するおそれがある。

特に、引用商標が際立って著名となっているスポーツであるテニスやスキーでは、スポーツ時に「サンバイザーやビーニーなどの帽子」を使用するのが一般的である。現に、請求人は引用商標を付した帽子を多数製造販売している(甲第122号証)ため、引用商標は、これら帽子についても充分に著名である。

(ウ)まとめ

本件商標を、本件商標の指定商品に使用すると、請求人が提供する商品の1シリーズ又は「HEAD社と経済的又は組織的に何等かの関係があるものが提供する商品」であるかのごとく、その出所について取引者、需要者が誤認、混同する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号について

引用商標が「スポーツ用品や被服」について世界的に著名であることよりすれば、被請求人は、引用商標を知っているものと容易に推認し得る。

そして、本件商標と引用商標とが類似していることよりすれば、被請求人は、不正の目的をもって、本件商標を登録出願したものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

2 答弁に対する弁駁

(1)商標法第4条第1項第11号について

(ア)被請求人は、「本件商標は、構成中の『heads』の文字が指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を具備しない文字部分と認定され、登録されたものである。」と主張している。

しかしながら、「Heads」が「帽子」を意味する言葉として使用されている事実又は認識されている事実はない。

被請求人が乙第4号証ないし同第11号証の2において種々証拠を挙げているが、これらの証拠は、「headwear」「headgear」が帽子をあらわす言葉として使用されていることを示すものにすぎず、「head」が帽子の略称であることを示すものは何一つ示されていない。

そうとすれば、本件商標の要部は、「Heads」にあるというべきである。

(イ)被請求人は、「本件商標は、『帽子を被った顔』を想起させる円輪郭と欧文字を組み合わせた図形を主要部としてなるものである。」と主張している。

しかしながら、本件商標中、円輪郭は、識別力を有さない単純な図形にすぎない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

被請求人は、「引用商標等が世界的に周知、著名になっているとしても、本件商標と引用商標とは、別異の商標というべきである。」と主張している。

しかしながら、仮に本件商標と引用商標が類似しないとしても、類似しないことをもって混同が生じる可能性を否定することは出来ない。

特に、引用商標は、甲第41号証ないし同第112号証で立証したとおり、世界的に著名となっているものであることから、本件商標に接する取引者、需要者が、本件商標の要部「Heads」に着目し、要部「Heads」から請求人の引用商標を連想することは想像に難くない。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第14号証(枝番を含む。)を提出している。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標中「Heads」の文字は、「人の頭部」を意味する語であるが、指定商品との関係において、「頭に被るもの」「頭に乗せるもの」を想起させる語句である。

帽子を取り扱う業界では、「全てのタイプの帽子」を総称する語として英語の「headwear」が使用されている。

また、「帽子」の範疇に属する防護用の「縁のある帽子」又は「縁なしのひさし付きの帽子」は、英語で「headgear」と称し「head」の文字が使用されている。

これらのことから、帽子業界において、「headwear」や「headgear」の文字中、帽子の品質、用途を示す「wear」(身につける、被る)や「gear」(用具、品物)などを省略して、単に「head」又は「heads」の語が、「ファッション、防暑、防寒あるいは防災などのために人体頭部に用いるところ」とされている。

すなわち、「head」又は「heads」は、商品との関係においては、「帽子を着用するところ」を示す表現として理解されている。

そのため、本件商標構成中の「heads」の文字は、自他商品の識別標識としての機能を具備しない文字部分と認定され、登録されたものである。 したがって、本件商標からは、特定の称呼を生じないものである。

また、本件商標は、頭部を表す円輪郭の図形と帽子のひさしに見立てた文字部分よりなるものであるから、指定商品「帽子」との関係においては、特定の観念を生じないものである。

強いて、本件商標より観念が生ずるとすれば、「帽子を被った顔」の観念が生ずる。

(2)引用商標について

引用商標は、その構成文字に相応して「ヘッド」の称呼を生じ、「頭、頭部」等の観念を有するものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

(ア)称呼について

本件商標からは称呼が生じないことから、称呼については比較することができない。

仮に、本件商標より「ヘッズ」の称呼が生ずるとしても、引用商標より生ずる「ヘッド」とは、極めて短い3音の簡潔な称呼であり、差異音の「ズ」と「ド」はいずれも弱音で促音「ッ」の次に位置し、誇張され強く発音されるため、称呼の全体に及ぼす影響が大きく、両称呼を一連に称呼しても語感が著しく異なり、明確に聴別されるものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛れるおそれがないものである。

(イ)観念について

本件商標は、その文字部分より「帽子」の観念を生ずるものである。

また、本件商標は、その図形部分からは特定の観念を生じないか、強いて、本件商標より観念が生ずるとすれば、「帽子を被った顔」の観念が生ずるものである。

他方、引用商標からは、「頭、頭部」等の観念が生ずるものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、観念において相紛れるおそれがないものである。

(ウ)外観について

本件商標と引用商標とは、一見して外観上明確に区別され得る差異を有している。

(エ)まとめ

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において非類似であるので、指定商品が類似の関係にあるとしても、商標法第4条第1項第11号には該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号について

本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において非類似のものであるため、引用商標が世界的に周知、著名になっているとしても、別異の商標というべきである。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、請求人の製造、販売にかかる商品であるかのように、誤認、混同を生ずるおそれはない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第19号について

本件商標と引用商標は、非類似であるばかりでなく、不正な意図や目的をもって登録出願・登録したものでない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第15号について

(1)引用商標の著名性について

甲第41号証は、厳選された486ブランドの一流商品2237点が収録されている「男の一流品大図鑑’86年版」であり、そのなかに、請求人の商標「HEAD」が付されたスキー板が1986年のニューモデルとして掲載されている。

甲第42号証は「男の一流品大図鑑’94年版」であり、テニスラケットについて請求人の商標「HEAD」の掲載が認められる。

そして、上記の書証は何れも発行日等は明確ではないが、’86年版、’’94年版であるところから、何れも本件商標の出願前の1986年、1994年前後に発行されたものと推認されるものである。

さらに、上記のスキー板、テニスラケットのほか、本件商標の登録出願前に発行された雑誌において、スキーウェア(甲第77号証ないし同第91号証及び同第93号証)、テニスシューズ(甲第84号証、甲第93号証)などについて、商標「HEAD」が使用されていることが、上記甲各号証ほかにより認めるられる。

また、’76年、’80年、’85年、’90年、及び’94年の各「世界のスキー用具」(別冊『山と渓谷』skierほか)(甲第99号証ないし同第103号証)において、それぞれ商標「HEAD」が掲載され、スキー用具などに使用されていることが認められる。

1993年(平成5年)4月13日付けの日経産業新聞に「スポーツ用品進出へ」の項目の下「スキー板やテニスラケット、ゴルフ用具などで知られる総合スポーツ用具メーカー『ヘッド』・・・(後略)・・・」の記事がある(甲第104号)。

以上の事実を総合的に勘案すると、引用商標は、スキー用具及びその他スポーツ用品について、本件商標の登録出願前はもちろんのこと登録査定時においても、わが国において広く知られた商標と認めることができる。

(2)出所の混同について

(ア)本件商標について

本件商標は、別掲(1)のとおり、ややレタリングされた「Heads」の欧文字を右上あがりに傾斜して表示し、当該文字を挟むように、円輪郭の図形を描いてなるところ、「Heads」の文字部分と円輪郭の図形部分とを常に一体のものとして把握しなければならないとする格別の事情も認められないから、「Heads」の文字部分は、独立して自他商品の識別標識としての機能を有するというのが相当である。

そうすると、本件商標構成中「Heads」の文字部分より、「ヘッズ」の称呼を生ずるものである。

なお、被請求人は、「『Heads』の文字(語)は、『帽子を着用するところ』の意味を有するものであるから、当該文字部分は自他商品識別標識としての機能を有さない。」旨主張している。

しかしながら、「Heads」が上記意味合いを有することの証拠は、何ら提出されておらず、また、それを認めるに足る事実も発見できないことから、被請求人の当該主張は採用できない。

(イ)引用商標について

引用商標は、それぞれ前記のとおりの構成よりなるものであるから、顕著に表示された「HEAD」の欧文字より、その構成文字に相応して「ヘッド」の称呼を生ずるものである。

(ウ)本件商標と引用商標について

上記(1)で述べたとおり、引用商標は、取引者、需要者に広く知られていると認められるものであるから、引用商標の称呼は、取引者、需要者の耳に馴染まれているということができるものである。

そして、本件商標より生ずる「ヘッズ」の称呼と引用商標より生ずる「ヘッド」の称呼とを比較するに、両者は、ともに促音を含めた3音よりなり、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含めた2音「ヘッ」を同じくするものであるから、称呼上極めて近似した商標であるということができる。

(エ)商品の関連性について

引用商標が使用されている「テニス用ラケット、スキー板、テニス用衣服、テニス用靴、ゴルフ用具など」と本件商標の指定商品である「帽子」に包含される「テニス用の帽子、スキー用の帽子、ゴルフ用の帽子など」は、同時に使用される場合が多く、また、需要者の多くを共通にするものであるから、両者は密接な関連を有する商品であるということができる。

(3)むすび

以上を総合勘案すれば、本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が請求人の製造、販売に係る商品であると連想、想起し、請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

2 したがって、本件商標は、請求人のその余の主張について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号に基づき、その登録を無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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