Trademark Appeal Case
「アサイ」の普通名称性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90102(T2006−90102/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4914414号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年7月1日に登録出願され、第2類「食品染料,その他の染料,顔料」、第29類「加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,やし油,果実のチップ(菓子を除く。),糖衣果実,果実の皮,アルコール漬けその他の保存加工をした果実,果肉,果実の缶詰」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同17年11月8日登録査定、同年12月9日に設定登録されたものである。
2 当審が通知した取消理由
商標法第43条の8において準用する同法第56条第1項で準用の特許法第150条第5項に基づいてした職権による証拠調べによれば、「Acai」(「c」の文字部分の下部には仏語のセディーユ記号が付されている、以下同じ)の語(文字)に関して、以下の事実が認められる。
(1)辞書等によれば、「Acai」について、以下の事実が認められる。 ア 「現代ポルトガル語辞典」(1996年2月10日(株)白水社発行)には、「acai[asa ́i] [アマゾン地方の]ヤシ;その実;ヤシの実のジュース」と記載されている。
イ 「オックスフォード 植物学辞典」(2004年10月30日 (株)朝倉書店発行)には、「アサーイ assai → キャベツヤシ属」、「キャベツヤシ属 Euterpe」「ヤシ類で、多くは大型の高木になる。」「雌雄同株。ブラジルとパラグアイの、E.oleracea はアサイヤシassai palm と呼ばれ、肉質の果実壁からは人気のあるプラム色の飲料、アサーイが作られる。」と記載されている。
ウ 「世界有用植物事典」(1989年8月25日 (株)平凡社発行)には、「Euterpe Gaertn. キャベツヤシ属」の項中に、「単子葉植物、ヤシ科。」「(英)Assai Palm,Para Palm 高さ10〜20mになり、熱帯アメリカ(アマゾン流域)に分布する。若い花序や芯芽が食用にされ、果実も飲料(南米でAssai とよばれている)の原料にされる。ミルクよりも栄養価が高いという。ほかに、この属の数種の芯芽が食用に利用されている。」と記載されている。
エ 「有用植物 和・英・学名便覧」(2004年5月25日 北海道大学図書刊行会発行)には、「アサイやし(−椰子) (別)わかばキャベツ(若葉‐椰子)」「multistemed assai palm 食」と記載されている。
オ 「園芸植物大事典 5」(1989年12月20日 小学館発行)には、「ヤシ類:エウテルペ〔属〕」の項中に、「(和)ワカバキャベツやし/(英)assai palm」「ブラジル原産」「果実から採取する液は高級なアイスクリームの材料になり、またそう快味のある回復飲料がつくられる。先端の新芽は野菜として食用される。」と記載されている。
カ 「熱帯花木と観葉植物図鑑」(1998年5月21日 (株)誠文堂新光社発行)には、「キャベツヤシ属 Euterpe 中南米には54種ある。単幹、20m以上になる。雌雄同株。多くの種は果実と若葉は食用にされる。」、「キャベツヤシ」「原生地/ブラジル(アメリカ熱帯雨林気候区) 性状/単幹で30m になり生長は早い。葉は羽状葉で長さ3m になる。耐陰性があり、インドアプランツとして世界中で生産される。若芽は野菜として利用するのでこの名がある。」と記載されている。
(2)新聞記事情報及びインターネット情報において、「Acai」、「アサイ」及び「アサイー」の文字が使用されている事実。
ア 2004年6月2日付け共同通信には、「ブラジリアン柔術のすごさ 布施鋼治」の見出しのもと、「...会場ロビーでは南米で普及する栄養満点のアサイージュースが売られていた。...」との記事が掲載されている。
イ 2005年1月13日付け食品化学新聞には、「永和物産、アサイ果汁・エキス発売」の見出しのもと、「Ca、アントシアニン豊富/永和物産は、カルシウムやアントシアニンを豊富に含むブラジル産果実『アサイ』の濃縮透明果汁、エキスを発売した。アサイ(和名:ワカバキャベツヤシ)は、アマゾン流域、特にパラ州に広く自生しているヤシの一種である。20m程度の高さがあり、6月から12月にかけて小さな紫色の丸い果実をつける。アサイの果実は『アマゾンのミルク』と呼ばれるほどカルシウムが豊富で、鉄分やカリウムなどのミネラルのほか、アントシアニンを非常に多く含む。栄養価が高いため、古くからアマゾン流域のインディアンはアサイとブラジルナッツが育つ土地に好んで住むといわれている。永和物産は、ブラジル、サンタ・カタリーナ州のデュアスロダス社が加工したアサイの濃縮透明果汁およびエキスを販売する。デュラスロダス社は、ガラナなどのエキスでトップシェアを誇り、加工、殺菌など優れた技術を有している。同社独自のノウハウにより、アサイ果汁の透明化と安定した成分の規格化に成功、日本への輸出が可能となった。」との記事が掲載されている。
ウ 2005年1月26日付け健康食品新聞には、「デュラスロダス社製 機能性果汁「アサイ」を市場開拓」の見出しのもと、「永和物産(東京都千代田区)は、アントシアニンとカルシウムが豊富なブラジル産果実『アサイ』の果汁とエキスを、飲料やサプリメント向けに販売を進めている。また、マテ茶エキスをこのほど発売した。アサイ(和名:ワカバキャベツヤシ)は、アマゾン流域、特にパラ州に広く自生するヤシの一種。アントシアニン、カルシウムに富むことから『アマゾンのミルク』と呼ばれ、現地で長年利用されてきた機能性果実だ。永和物産が販売するアサイ素材は、ブラジル、サンタ・カタリーナ州のデュラスロダス社が加工したもの。」との記事が掲載されている。
エ 2005年3月29日付け神戸新聞WebNewsには、「69.フルッタフルッタ(神戸市中央区)ジューススタンド展開」の見出しのもと、「『アサイ』『カランボーラ』『マラクジャ』...。緑や白を基調にしたスタンドには、日本ではあまりなじみのない名前の果物のジュースが並ぶ。...特に...『アサイ』という果物は鉄分、食物繊維などが多く、ブラジルのスポーツ選手らも栄養補給にとる。『日本で紹介しよう』と決めた。」との記事が掲載されている。(http://www.kobe-np.co.jp/rensai/migake/69.html)
オ 2005年6月20日付け朝日新聞 東京朝刊23頁には、「南米果実が人気 アサイーやモラ、ジュースで」の見出しのもと、「...アサイー、モラ、クプアス...。アマゾン流域など南米産の聞き慣れない名前の果物が、ジューススタンドに登場している。...ヤシ科のアサイーとバナナを混ぜたジュースを注文した女性会社員(47)は『すぐに栄養補給できるので便利。体に良さそうで、通りかかった時によく飲みます』...アサイーはブルーベリーよりひとまわり大きい果実。ジュースはお汁粉のような色で、とろっとした口当たりが特徴だが、味は濃くない。同社によると、果肉100グラムあたりのポリフェノールは赤ワインの約30倍、鉄分はレバーの約3倍、食物繊維はゴボウの約3倍という。...『フルッタフルッタ』では02年の神戸を皮切りに、この3年で千葉、大阪など関東、関西にジュースバー8店を展開、1杯400円前後で販売している。甘酸っぱいクプアスや、甘い花の香りがするタペレバなど約10種類があるが、売り上げの4割はアサイーだ。カフェチェーンの「タリーズ」も、同社と提携し、アサイーのスムージーを販売している。...」との記事が掲載されている。
カ 2005年7月23日付け毎日新聞 東京夕刊4頁には、「BSCSガイド:ブラジル音楽を浴びよう−−ミュージック・エア・ネットワーク」の見出しのもと、「...同局が制作したブラジル音楽20曲を集めたCD『アサイー!』(アサイーはブラジルのフルーツの名前)=写真=の発売(今月20日)記念番組。...」との記事が掲載されている。
キ 2006年5月29日付け 読売新聞 東京朝刊9頁には、「アマゾン風味のフローズン飲料、2種を夏季限定発売/タリーズコーヒージャパン」の見出しのもと、「タリーズコーヒージャパンは、フローズンドリンク「プレミアムスムージー」を、7月中旬ごろまでの夏季限定で発売した。アマゾン産の希少な果物「アサイー」を使った「アサイー&ミックスベリーヨーグルト」=写真=と、...」との記事が掲載されている。
ク アマゾン群馬の森通信のホームページにおいて、「第6回 アサイ」の見出しのもと、「伯名: Acai/和名: ワカバキャベツヤシ/今回はヤシ科の植物を紹介します。アサイは南米北部に分布し、当地パラー州でも主要産物の一つに数えられます...果実から採取する液(黒紫色で、そのものには甘さはありません)は油分が豊富に含まれており、アイスクリームや種々の飲料に加工されます。シリアルやタピオカの粒を混ぜて食べてもおいしいです。...」との紹介が掲載されている。(http://amazon-gunma.hp.infoseek.co.jp/j-forest-watching06.htm)
ケ IKOVE(イコヴェ)ONLINE SHOPのホームページにおける「アサイシャンプー」の商品紹介として、「アサイシャンプー / ACAI SHAMPOO 250mlいつまでも美しい頭髪を保つ熱帯のアサイシャンプー。ローズマリーやラベンダー、ニオイスミレなどのエキスも配合され、頭髪に働きかけ潤いとしなやかさを保ちます。」の記載がある。(http://ikove.shop-pro.jp/?pid=855751)
以上によれば、「Acai」、「アサイ」及び「アサイー」は、キャベツヤシ属に属する単子葉植物(ヤシ)で熱帯アメリカ(アマゾン流域)に分布しており、その若い花序や芯芽が食用にされ、その果実は、我が国においても、ジュース、アイスクリーム、スポーツ選手等の栄養補給ためのサプリメントの原材料及びシャンプーの原材料として本件商標の登録査定前(上記2(1)及び(2)のアないしク)及び登録査定後において普通に使用されていることが認められる。
そうすると、「Acai」の文字よりなる本件商標は、これをその指定商品、第2類「食品染料,その他の染料,顔料」、第29類「加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,やし油,果実のチップ(菓子を除く。),糖衣果実,果実の皮,アルコール漬けその他の保存加工をした果実,果肉,果実の缶詰」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」中、「Acai」を原材料として用いている商品に使用しても、これに接する需要者は、単に商品の原材料、品質を表示するにすぎないものと認識するにとどまるものといわなければならない。また、「Acai」を原材料に使用していない商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものというべきである。
3 当審の判断
本件に関し、審判長は、商標権者に対し、平成18年9月7日付けで、上記2の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もなかった。
そして、上記2の取消理由は、妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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