Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90198(T2006−90198/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録4926121号商標(以下「本件商標」という。)は、「日本数学オリンピック」の文字を標準文字で表してなり、平成17年6月8日に登録出願、第16類「印刷物」及び第41類「数学の競技会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,数学の教授,数学に関する電子出版物の提供,数学に関する図書及び記録の供覧」を指定商品及び指定役務として、同年12月19日に登録査定、同18年2月3日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(コミテ アンテルナショナル オリンピック;「国際オリンピック委員会(IOC)」、以下「申立人」という。)の引用する登録第4117280号商標(以下「引用商標」という。)は、「OLYMPIC」の欧文字を書してなり、1993年4月1日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成5年10月1日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,スポーツの企画・運営又は開催,映画の制作」を指定役務として、同10年2月20日に設定登録されたものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は要旨次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第97号証を提出している。
1 商標法第4条第1項第6号について
本件商標は、1986年に開催された第1回アテネ大会から100年以上もの間継続して使用され、世界中の人々に知られている「OLYMPIC」標章と類似の商標である。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標を構成する「日本」の文字は、役務の提供場所等を示す地理的表示であり、「数学」の語は、役務の内容等を表示するにすぎない識別力のない語であるから、本件商標からは「オリンピック」単独の称呼が生じる。そして、本件商標は、その指定役務との関係では「IOC(国際オリンピック委員会)が行う数学のオリンピック」の観念も生じる。
これに対し、引用商標からも「オリンピック」の称呼及び観念が生じるから、本件商標と引用商標とは「オリンピック」の称呼・観念を共通する類似の商標である。
また、本件商標と引用商標とは、その指定役務(申立人は、「指定商品」と記載しているが誤りである。)も同一又は類似のものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人及びその関連団体の商標として広く一般に知られているから、本件商標がその指定商品・役務について使用された場合には、商品・役務の出所について、混同を生ずるおそれがある。
4 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
引用商標には、莫大な顧客吸引力が化体しており、引用商標を構成する「OLYMPIC(オリンピック)」の語は、顕著な特徴を有する語よりなるものである。しかして、本件商標は、引用商標と酷似するから、引用商標を剽窃したものに他ならず、本件商標は他人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものである。
5 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号、同第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当し、その登録を取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号について
本件商標は、前記第1に記載のとおり「日本数学オリンピック」の文字よりなるところ、その構成文字全体から申立人が主張するように「IOC(国際オリンピック委員会)が行う数学のオリンピック」を意味するものとして、直ちに理解するとはいい得ないものであり、その一方で、「オリンピック」の文字が他の文字と結合して、「技能オリンピック(国際職業訓練競技会の通称)」(「コンサイスカタカナ語辞典第3版」;株式会社三省堂発行、「オリンピック」の項参照)の用例に見られるように、「競技会」の意味を表す語として採択・使用されるものであり、その指定役務中の「数学の競技会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」との関係をも合わせ勘案すると、これよりは、全体として「日本における数学の競技会」程の意味合いを看取するというのが相当である。
そうすると、本件商標は、申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」と同一又は類似の商標とはいえないものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「日本数学オリンピック」の文字よりなるものであって、上記1のとおり全体もって、「日本における数学の競技会」程の意味合いを看取させる一連一体の商標というべきであるから、これよりは、「ニホンスウガクオリンピック」の称呼、及び「日本における数学の競技会」の観念を生ずるものというのが相当である。
そうすると、本件商標より「オリンピック」の称呼及び「IOC(国際オリンピック委員会)が行う数学のオリンピック」の観念を生ずるとした上で、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するとする申立人の主張は理由がないといわなければならない。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の事由は存しない。
したがって、本件商標は、引用商標とはその称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標というべきである。
3 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標は、上記1及び2のとおり、引用商標とは類似しない商標であり、かつ、申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」と同一又は類似の商標として直ちに理解し得ないものであるから、本件商標をその指定商品・役務について使用しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものではなく、また、国際信義に反するものでもない。
また、本件商標は、引用商標とは類似しない商標であって、申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」と同一又は類似の商標として直ちに理解し得ないものであるから、引用商標及び申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」を剽窃したものでもなく、不正の目的をもって使用するものでもないというべきである。
4 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上記1及び2のとおり、申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」と同一又は類似の商標として直ちに理解し得ないものであり、かつ、引用商標とは類似しないものであるから、本件商標をその指定商品・役務について使用しても、申立人及びその関連団体の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
5 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第6号、同第11号、同第7号、同第19号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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