sokuhyo

Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼・観念の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2006−60043(T2006−60043/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「アルバムの半製品」に使用するイ号標章は、登録第1547724号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1547724号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZOOM」の欧文字と「ズーム」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、昭和54年11月30日に登録出願、商品の区分第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和57年11月26日に設定登録され、その後、平成5年5月28日及び平成14年7月16日の二度にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。そして、指定商品については、平成15年12月10日に、第1類「試験紙」、第2類「謄写版用インキ,絵の具」、第5類「防虫紙」、第8類「パレットナイフ」、第9類「計算尺」、第16類「紙類,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」、第17類「コンデンサーペーパー,石綿紙,バルカンファイバー」、第24類「布製ラベル」、第27類「壁紙」及び第34類「紙巻きたばこ用紙」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

第2 イ号標章

被請求人が商品「アルバムの半製品」に使用する標章として請求人が示すイ号標章は、別掲のとおりである。

第3 請求人の主張の要旨

請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。甲第9号証ないし甲第12号証は答弁に対する弁駁の際に提出)を提出した。

1 理由の要約

本件商標は、「ZOOM/ズーム」の文字よりなるから、「ズーム」の称呼、「拡大」の観念を生ずるのに対し、イ号標章は、「ZOOM」の文字部分を要部とするものであり、その要部より「ズーム」の称呼、「拡大」の観念を生ずるものであり、両標章は、「ズーム」の称呼、「拡大」の観念を共通にする類似の標章である。

また、イ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」は、本件商標に係る指定商品中、第16類「文房具類」と同一若しくは類似する商品である。

2 判定請求の必要性

請求人は、本件請求に係る本件商標の商標権者であり、昭和61年1月頃より請求人の主力製品である「筆記具」について本件商標の使用を開始し(甲第1号証)、その後も20年以上継続して使用し、現在に至っている。そして、請求人は、本件商標の自他商品識別力維持のために、本件商標権が侵害されないよう市場をチェックしている。

請求人は、被請求人が商品「アルバムの半製品」に標章「zoom album」を使用していること(甲第2号証)を発見したので、平成18年7月21日、被請求人に対し、本件商標権を侵害するものである旨の書面を発信し(甲第3号証)、これに対し、平成18年7月29日付で被請求人から、「2006年7月、新たに『ZOOM+図形+ALBUM』(イ号標章)を採用することにした」との回答が到着した(甲第4号証)。

しかし、請求人は、本件商標とイ号標章とは類似するものであるから、依然として本件商標権を侵害するものである旨の書面を平成18年8月7日付で発送し(甲第5号証)、これに対しても、平成18年8月11日付で被請求人から、本件商標とイ号標章とは類似しないので、本件商標権を侵害するものではない、との回答が到着した(甲第6号証)ことから、本判定を求める次第である。

3 イ号標章の説明

被請求人は、平成6年9月頃より「zoom album」の文字からなる標章を付した商品「アルバムの半製品」を販売し、平成18年7月頃からは「zoom+図形+album」からなるイ号標章を付した同製品を販売している(甲第7号証)。

4 イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明

本件商標は、「ZOOM/ズーム」の文字よりなるから、これより「ズーム」の称呼及び「拡大」の観念を生ずるものであり、他方、イ号標章は、「ZOOM+図形+ALBUM」の文字と図形が結合されたものであって、「ALBUM」の語は商品の一般名称であるから、自他商品の識別力を生じさせるものとは理解されない。

また、図形部分は、イ号標章にかかる商品の完成品である「アルバム」を表したものと思われ、したがってイ号標章が使用されている商品との関係においてこの図形は自他商品識別機能を有するものではない。

そうすると、イ号標章構成中で商標の機能を発揮する要部は「ZOOM」の文字部分のみであり、そこより本件商標と同じ「ズーム」の称呼及び「拡大」の観念をも生ずるものである。

したがって、本件商標とイ号標章とは、外観が相違するとしても、「ズーム」の称呼及び「拡大」の観念を共通にし、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、類似の標章というべきである。

そして、イ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」とは、アルバム本体となるアルバムカバーと直接写真がプリントアウトできるアルバム用台紙とからなるもので、商品の購入者が専用ソフトをダウンロードし、甲第8号証に示すように、説明書に書いてある指示どおりに行うことでアルバムが完成するものである。

商品・役務審査基準によれば、「アルバム」は第16類の「文房具類」の範疇に属する商品であって、「アルバム」も「筆記具」も互いに類似の商品であり、また、ともに同じ文房具売り場等で購入可能な商品といえるから、

「アルバムの半製品」と「文房具類」とは同一若しくは類似の商品である。

以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用に係る商品と指定商品も類似する商品であるから、被請求人が商品「アルバムの半製品」に使用するイ号標章は本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。よって、請求の趣旨のとおりの判定を求める。

5 答弁に対する弁駁

(1)被請求人の「イ号標章中『ZOOM』は写真・光学用語として周知の表記である」との主張の当否について

イ号標章は「ZOOM+図形+ALBUM」の構成からなるが、「ALBUM」の語は被請求人も答弁理由において自認するように商品の普通名詞であり、また図形も製品の形状を示すに止まる図形であって識別力を欠くものであるから、イ号標章にあっては専ら「ZOOM」の部分が自他商品識別力を発揮する部分であり、要部である。

被請求人は「『ZOOM』は一般的な写真・光学用語として周知の表記及び称呼であり、被写体の『拡大』、『縮小』を意味する用語として定着している。イ号標章は、他ならぬこの意味において『ZOOM』を用いており、事実として写真の被写体の『拡大』、『縮小』ができることから使用しているものであり...」と主張し、その証拠として写真印刷物の用例を表紙の例・ページの例として乙第1号証を提出しているが、この書証は写真用語でいうところのZOOM(拡大・縮小)を単に表したものと思われる。写真のサイズに合わせてイ号標章の使用に係る商品が拡大・縮小(zoom)できることを証明するものでなければ、イ号標章中「ZOOM」の語が識別力を有しないとの証拠とはならない。

また、この点について被請求人は答弁理由において、イ号標章「ZOOM ALBUM」は自他商品識別力を有する旨主張しているが、もしそうであるとすると、その要部は「ZOOM」にほかならないから、被請求人はやはり「ZOOM」が識別力を有すると自認したとしか思われない。

さらに、被請求人は答弁理由において、「図形の配置がZOOMとALBUMとを分離認識させ、本件商標と同分野の商品として混同のおそれありとの判定であれば、図形の削除を考慮することも吝かではない」と述べているのは、とりもなおさずイ号標章が本件商標と類似することを暗黙裡に自認していることを示すに他ならない。

なお、イ号標章が将来において補正されるか否かは、本件判定事件になんら影響を及ぼすものではなく、またイ号標章がたとえ「ZOOMALBUM」と補正されるとしても、それの要部は依然として「ZOOM」にあるのであるから、その補正された標章はやはり本件商標の効力の範囲に属するものである。

既述した請求人の主張は、本件と同様に、後半部分が商品の普通名称であるため、前半部分が要部と判断され、前半部分と同一の先登録商標に類似するとして拒絶した特許庁の審決例も示すところであり、その主張が正しいことを裏付けるものといえる。

(2)被請求人の「イ号標章の使用に係る商品は本件商標の指定商品『文房具類,紙類』に該当するものではなく、写真印刷物製作用の部材キットであるから、それぞれが使用される商品が相違し、混同のおそれはない」との主張の当否について

被請求人は、「文房具類」としてのアルバムは、台紙に写真を貼り付け整理するための帳面をいうのであり、アルバムはすべて「製品」であって、請求人が主張する「アルバムの半製品」は「文房具類」ではなく、その印刷用紙も「紙類」には属さないと主張している。

確かに辞書によれば、「アルバム」は写真などを貼り保存する帳面であることは請求人も認めるところである。しかしながら、特許電子図書館(IPDL)の検索サービス「商品・役務名リスト」によれば、「アルバム台紙」や「写真用台紙」は、文房具類と同じ商品類似群(25B01)に属すると判断された前例がある(甲第9号証)ことから、これらの商品と同様にアルバムの半製品も、文房具類の範疇に属する商品と判断されることは明らかである。同様にIPDLのデータによれば、「印刷用紙」は全て紙類と同じ商品類似群(25B01)に属すると判断されているのである(甲第10号証)から、写真印刷専用の印刷用紙も同様に紙類に属すると判断されて然るべきである。

したがって、イ号標章の使用に係る商品は「製品」としてのアルバムではないとしても、本件商標の指定商品と同じ商品類似群に属する類似の商品であることは明らかといえる。

なお、被請求人は答弁理由において、イ号標章の使用に係る商品の完成品は写真立てとしても使用可能であるから、写真立ての部材ともいえる、と主張しその証拠として乙第3号証を提出している。

しかしながら、これは「アルバム」として完成された商品が写真立てのようにも使えるという例であって、決して写真立てのみとして販売されることを証明しているものではなく、イ号標章の使用に係る商品が写真立てのための製作用部材でないことは明らかである。

(3)被請求人の「イ号標章の使用に係る商品は、デジカメ・パソコンユーザー向けの商品であり、文房具類とは販売店を異にする」との主張の当否について

被請求人は、イ号標章の使用に係る商品はデジカメとパソコンとプリンタを必要とする商品であるから、デジカメ及びパソコンユーザー向けに販売促進活動を行っており、その販売はヨドバシカメラ等の家電量販店等での販売が主であり、文房具売場での販売は稀有である、と主張している。

しかしながら、その証拠として提出された乙第4号証によると、被請求人の製品は去る7月7日〜9日に開催された「第16回 国際文具・紙製品展」に出品されていることになっている。この事実は、被請求人の製品が文具の一種であることを示すものと思われる。

被請求人は、その製品の取扱店舗の一覧を乙第5号証として提出しているが、たとえばその取扱店舗の一部として挙げられているヨドバシカメラにおいて請求人が確認したところ、その一隅においてアルバム・フィルム等の写真用品と共に、ノートや定規といった文房具も販売されている事実がある(甲第11号証の1ないし3)。また、同じく被請求人の商品の取扱店として記載されている、東急ハンズにおいては手作り製品の一種である被請求人の製品に限らず、その他のアルバムやノート等の文房具が同一店舗内で販売されていることはもちろんである。

他方、デジカメやパソコンの普及に伴い、文房具を中心に扱っているいわゆる文房具店でも、デジカメやパソコンの関連商品を取り扱っているのが現状であり、事実請求人は文房具店でデジカメ用の写真用紙を購入した(甲第12号証の1及び2)。ちなみに、この文房具店に限ったことではないが、最近の文房具店では写真用紙以外にもパソコン用プリンタの印刷用紙やUSBケーブル等のパソコン関連商品も取り扱われることは決して珍しくない。

以上のとおり、被請求人の主張のように、その商品を取り扱っているデジカメやPC販売業者においても文房具が販売されている事実があり、その逆に文房具店でもPC関連製品が販売されている事実を確認できたのであるから、両商品の販売経路が相違するから混同を生じない、との被請求人の主張は容認できない。

(4)以上詳述したように、イ号標章は本件商標に類似し、またその使用に係る商品も本件商標の指定商品と類似であるから、イ号標章は本件商標の商標権の効力の範囲に属するものであるとの判定を求めるものである。

第4 被請求人の答弁の要旨

被請求人は、本件判定請求は成り立たない、との判定を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

1 イ号標章の「ZOOM」は写真の「拡大」、「縮小」の事実を指すとの説明

「ZOOM」は一般的な写真・光学用語として周知の表記及び呼称であり、被写体の「拡大」、「縮小」を意味する用語として定着している。

イ号標章は、他ならぬこの意味において「ZOOM」を用いており、事実として写真の被写体の「拡大」、「縮小」ができることから使用しているのであり、判定請求書にいうところの「拡大」の観念を生じさせる、あるいは「拡大」の観念を共通にするという抽象的な意味で使用しているのではない。したがって、「ズーム」の呼称が共有されていても、イ号標章は、写真・光学用語の「ZOOM」であり、本件商標が文房具類に使用した観念としての「ZOOM/ズーム」との相違は自ずと明らかである(乙第1号証)。

2 イ号標章の使用に係る商品が「文房具類」、「紙類」に属するものではないとの説明

「文房具類」(25B01)としてのアルバムは、帳面の各ページに写真を貼り付け整理するための帳面をいうのであり、アルバムは全て「製品」であり、判定請求書にいう「アルバムの半製品」は「文房具類」ではない(乙第2号証)。

イ号標章の使用に係る商品は、写真を貼り付けるための製本された帳面ではなく、写真印刷物を作るための部材キットである。部材キットの印刷用紙は写真光沢紙であり、写真印刷専用の印刷用紙であって、単なる印刷用紙でも写真添付用の用紙でもない。すなわち、イ号標章の使用に係る商品は、デジカメとPCとインクジェットプリンタを使って写真を印刷し、オリジナルな写真印刷物を作ることができる写真印刷物製作用の部材である。

したがって、イ号標章の使用に係る商品は、印刷物(26A01)の製作用部材キットであり、本件商標の指定商品「文房具類」、「紙類」とは異なり、混同を惹き起こすおそれはない。

また、イ号標章の使用に係る商品は、写真を立てて鑑賞できるようにするため、ハードカバー製本用部材を使用しており、制作した写真印刷物を製本したものは、複数の写真を収録した写真立てとして使用される。したがって、「写真」、「写真立て」(26D01)のための製作用部材でもある(乙第3号証)。

3 イ号標章が自他商品識別機能を有するとの説明

イ号標章のZOOM及びALBUMは、異分野の用語がその本来の意味を表しつつ「ZOOMALBUM」(呼称;ズームアルバム)という造語であることによって、自他商品識別機能を有するものと捉えている。

イ号標章の図形は、ハードカバー製本を象徴的にデザインしたものであり、ZOOMとALBUMの間に配置することで、図形と文字の一体的デザインによる自他商品識別機能の強化を図ったものである。

しかしながら、図形の配置がZOOMとALBUMを分離認識させ、本件商標と同分野の商品として混同のおそれがあるとの判定であれば、図形の削除を考慮することも吝かではない。

4 イ号標章の使用に係る商品が文具売場向けの商品ではないことの説明

イ号標章の使用に係る商品はデジカメとPCとインクジェットプリンタを必要とする写真印刷物製作用の部材であるため、発売当初から、デジカメ及びPCユーザー向けに販売促進活動を行ってきた(乙第4号証)。

発売から、2年を経過するが、家電量販店・カメラ量販店・クラフト部材販売店・PC教室での店頭販売と、PC及びカメラ販売業者・印刷業者のインターネット販売が主であり、文具売場での販売は稀有といえる(乙第5号証)。

イ号標章の使用に係る商品は、そもそも商品特性として「文房具類」、「紙類」に属す商品ではないが、販売においても「文房具類」、「紙類」としての流通を前提とした商品ではない。すなわち、イ号標章の使用に係る商品は、PCやデジカメ等の電子機器及びソフトウェアと同様の流通経路での販売を前提に、価格設定をし、商品化したものである。

「文房具類」、「紙類」の販売事業者が、こうした流通の問題を解決してイ号標章の使用に係る商品を販売したとしても、また、どの売場で販売したとしても、それは販売事業者の新商品販売の事業戦略においてであり、イ号標章の使用に係る商品の商品分野になんらの影響を及ぼすものではない。

5 よって、答弁の趣旨ののとおり判定を求める。

第5 当審の判断

1 本件商標とイ号標章の類否について

本件商標は、前記第1のとおり、「ZOOM」と「ズーム」の各文字を二段に横書きしてなり、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有するものとして、現に有効に存続しているものである。

そして、その構成文字に相応して、「ズーム」の称呼及び「画像を急激に拡大、縮小させること」等の観念を生ずるものである。

一方、イ号標章は、別掲のとおり、同一書体で、字体の異なる「ZOOM」と「ALBUM」の文字の間に、製本され、開かれたアルバム様の図形を配した構成よりなるものである。

しかして、上記構成からみて、共にサンセリフ書体よりなるものの、斜めになった字体(イタリック体)の「ZOOM」と、正体(立体)した字体(ローマン体)の「ALBUM」の両文字は、視覚上、分離して認識し得るものであり、また、両文字は分離しては認識し難い程に不可分な観念上まとまりのある意味合いを有するものとも認められないばかりでなく、「ALBUM」の文字は、上記の図形とも相俟って、イ号標章の使用に係る商品である「アルバムの半製品」との関係において、「アルバム用」程の、商品の品質、形状、用途を表示するにすぎないと看取されるものであるから、商取引の実際においては、これに接する者は、構成中、語頭にあって、字体を異にし、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすと判断される「ZOOM」の文字部分に着目し、該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないというのが相当である。

そうすると、イ号標章よりは、その構成文字に相応して「ズームアルバム」の称呼を生ずるほか、「ZOOM」の文字部分より、単に「ズーム」の称呼及び「画像を急激に拡大、縮小させること」等の観念をも生ずるというべきである。

したがって、本件商標とイ号標章とは、上記のとおりの構成の差異より、外観において区別し得るとしても、「ズーム」の称呼及び「画像を急激に拡大、縮小させること」等の観念を共通にする類似の商標といわなければならない。

2 本件商標の指定商品中「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」とイ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」の類否について

本件商標の指定商品についてみるに、本件商標は、昭和54年11月30日に登録出願され、商品の区分第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和57年11月26日に設定登録されたものであるが、その後、指定商品については、平成15年12月10日に、第1類、第2類、第5類、第8類、第9類、第16類、第17類、第24類、第27類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換登録がなされたものであって、その指定商品の書換登録の結果、本件商標の第16類の指定商品中に、「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」が含まれているところである。

そして、商品及び役務の区分に属する商品及び役務を掲げた商標法施行規則別表によれば、第16類に属する商品中に、「文房具類」が明記されており、その下位概念として「紙製文房具」等があり、さらに、その「紙製文房具」の下位概念に「アルバム」等が記載されていることを確認し得るものである。

ところで、商品「アルバム」とは、「写真を纏めて破損、紛失を防ぎ、永く保存するためのものであって、その形態は、折本型、大和綴、洋本型があり、その主な材料(構成部材)は、表紙、台紙である」旨の記述が、この種業界関係の書籍に認められるところである(「文具と事務機の事典 1971年度版」;株式会社ニチマ 発行、「紙製品 アルバム」の項参照)。

そうとすると、「アルバム」には、装幀・製本された完成品ばかりでなく、その主な材料である表紙、台紙の一つである、カバー(表紙)用台紙、アルバム(補充)用台紙が、その部品(構成部材)として存在しているものとみるのが自然である。

一方、イ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」についてみるに、請求人の提出する甲第2号証、甲第7号証及び甲第8号証、被請求人の提出する乙第4号証及び乙第5号証を総合すれば、該商品は、使用者がデジタルカメラ等で撮影した電子画像等を取り込み編集した後、その電子画像等を専用の印刷用紙に直接印刷し組み立てることにより、冊子状態のアルバムを容易にかつ短時間で作成できる、いわゆるアルバム作成用キットであり、カバー台紙、カバー用紙、専用の印刷用紙、補助テープ等の部品がセットされ、パッケージされた商品であると理解、認識されるものであるから、イ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」は、「アルバム作成用の印刷用紙」、「アルバム作成用のカバー台紙」、「アルバム作成用のカバー用紙」及び「アルバム作成用のテープ」の、アルバムの構成部品とみられる各商品からなると判断されるものである。

そうとすると、本件商標の指定商品中「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」に包含される「アルバム」と、イ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」である、上記の「アルバム作成用の印刷用紙」、「アルバム作成用のカバー台紙」、「アルバム作成用のカバー用紙」及び「アルバム作成用のテープ」とは、完成品と部品の関係にあり、かつ、「文房具類」と「アルバム」は、上記のとおり、商品の概念を同じくし、通常、文房具店、文房具売場等の販売場所を同一にすることに加え、近年、カメラ等の大型量販店等では、同一フロアにおいて、文房具類とアルバム等の写真用品が販売されている実情が見られるところであり、そのことは、請求人の提出に係る甲第11号証によっても見受けられるものである。

してみれば、本件商標の第16類の指定商品中の「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」とイ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品(「アルバム作成用の印刷用紙」、「アルバム作成用のカバー台紙」、「アルバム作成用のカバー用紙」及び「アルバム作成用のテープ」)」とは、同一又は類似の商品であるといわなければならない。

3 まとめ

上記1及び2の本件商標とイ号標章の類否及び本件商標の指定商品中「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」とイ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」の類否を勘案すれば、本件商標とイ号標章とは、外観上の相違を考慮しても、構成中、「ZOOM」の文字部分より生ずる「ズーム」の称呼及び「画像を急激に拡大、縮小させること」等の観念を共通にする類似の商標であり、また、イ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品(「アルバム作成用の印刷用紙」、「アルバム作成用のカバー台紙」、「アルバム作成用のカバー用紙」及び「アルバム作成用のテープ」)」と本件商標の第16類の指定商品中「文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」とは、同一又は類似の商品である。

したがって、商品「アルバムの半製品(「アルバム作成用の印刷用紙」、「アルバム作成用のカバー台紙」、「アルバム作成用のカバー用紙」及び「アルバム作成用のテープ」)」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。

なお、被請求人は、イ号標章に関して、「『ZOOM』は写真の『拡大』、『縮小』の事実を指すものである」旨及び「ZOOM及びALBUMは、異分野の用語がその本来の意味を表しつつ『ZOOMALBUM』という造語であることにより、自他商品識別機能を有する」旨述べているけれども、イ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」との関係において、「ALBUM」の文字及び上記図形は、商品の品質、形状、用途を表示するにすぎないものであること、また、「ZOOM」の文字は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると判断されること上記のとおりである。同じく、イ号標章の使用に係る商品について、「『文房具類』、『紙類』に属するものではない」旨及び「文具売場向けの商品ではない」旨述べているけれども、イ号標章の使用に係る商品「アルバムの半製品」は、「アルバム作成用の印刷用紙」等からなり、本件商標の指定商品中「文房具類」に包含される「アルバム」とは、完成品と部品の関係にあり、かつ、「文房具類」と「アルバム」は、商品の概念を同じくし、販売場所を同一にすること、さらに、近年、大型量販店等では、同一フロアにおいて、文房具類とアルバム等の写真用品が販売されている実情が見られること上記のとおりであるから、被請求人のかかる主張は、いずれも採用できない。

よって、結論のとおり判定する。

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