Trademark Appeal Case
成分名と品質表示
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−3038(T2004−3038/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「エクストラセルラーマトリックスチャージ成分」の文字を書してなり、第1類「化粧品製造用化学品」を指定商品として、平成15年1月16日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、「エクストラセルラーマトリックスチャージ成分」の文字を書してなるところ、指定商品との関係では、「細胞外間(充)質を満たす(チャージ)成分からなる化粧品製造用化学品」の如き意味合いを表すものと看取されるものであるから、これをその指定商品中の「エクストラセルラーマトリックスチャージ成分からなる化粧品製造用化学品」等に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、証拠調べの結果を通知し、所定の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人からは何らの意見もない。
1 「エクストラセルラーマトリックス」の語が、我が国においては「細胞外マトリックス」「細胞外基質」とも称されていることについて
(1)「南山堂医学大辞典(株式会社南山堂 2001年4月10日発行)」において、「細胞外基質[英extracellular matrix(ECM)]《細胞外マトリックス》の項に「上皮細胞、非上皮細胞を問わず体細胞somatic cellの間に存在する物質で、単に組織の支持のみならず、すべての体細胞の生存に必要な内部環境の構成に関与している。」との記載がある。
(2)「分子細胞生物学辞典(株式会社東京化学同人 1997年7月7日発行)」において、「細胞外マトリックス[extracellular matrix]」の項に「組織中の、細胞外の空間を満たしている、生体高分子の複雑な集合体・・・結合組織に多量に存在するが、量を問わなければ、全ての組織に存在する。・・・構成分子としては、コラーゲン、エラスチンといった繊維性タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンといった複合糖質、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチンなどの細胞接着性糖タンパク質がある。・・・細胞外マトリックスは、骨、歯、腱、皮膚などに多く含まれることからわかるように、古くから知られている機能として、組織の支持・結合、物理的境界、力の吸収、弾性要素といった物理的役割がある。近年になって、細胞増殖、細胞移動、細胞内代謝、細胞分化、細胞の形態などを細胞の外から調節する生理化学的役割が明らかになってきた。発生、加齢、がんの転移、組織構築、創傷治癒、生体防御などの現象においても、細胞外マトリックスが機能している。」
(3)「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」の「細胞外マトリックス」の項において、「細胞外マトリックス(さいぼうがい-、Extracellular Matrix)とは生物において、細胞の外に存在する超分子構造体。通常、ECMと略され、細胞外基質、細胞間マトリックスともいう。」との記載(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E8%83%9E%E5%A4%96%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)。
2 「細胞外マトリックス」「細胞外基質」「エクストラセルラーマトリックス」と「化粧品」との関係について
(1)「アリスタライフサイエンス、抗老化ペプチド拡販、表皮再生などに効果」の見出しのもと、「アリスタライフサイエンスは、新製品の化粧品原料である抗老化ペプチド「コラキシル」(商品名)を積極的に拡販する。ヒトコラーゲン4と17に共通する配列をもとにデザインされた合成ペプチドで、真皮コラーゲンの合成、真皮表皮間結合、表皮再生と分化の三点で顕著な効果を示す。すでに大手化粧品メーカーにサンプル出荷を終えており、実用化に向けて働きかけていく。コラーゲンは、ヒトの真皮細胞外マトリックスを主に構成する不溶性の繊維状たん白質。細胞外マトリックスは、主にコラーゲン1,とコラーゲン3,で構成されており、絡まりあい、細長い繊維となって皮膚のハリを保つ役割をしている。」との記事(2004.12.10 化学工業日報 5頁)。
(2)「【もっと健康】ヒアルロン酸 毎日肌につければ若々しく」の見出しのもと、「ヒアルロン酸を含有した化粧品が肌をしっとり、ぷりぷりにすると、人気だ。・・・ヒアルロン酸は、ねばねばの本体として知られるムコ多糖類という物質の一種で、動物の体のどこにでもある成分。細胞と細胞をしっかりとつないで、体の構造をつくる細胞外マトリックスと呼ばれる構造体の重要な要素となっている。細胞外マトリックスは太くて長い繊維状のタンパク質で健康食品としても人気のコラーゲンが柱になっており、ヒアルロン酸は柱と柱の間を埋める“壁材”の役割をしている。・・・医薬品分野ではなく、化粧品や健康食品分野でクローズアップされたのは、細胞外マトリックスの主成分の一つだということだ。ヒアルロン酸も細胞外マトリックスの他の主成分であるコラーゲンと同様に年齢とともに減少することがわかってきた。そのために、肌につやと張りがなくなると考えられたのだ。」との記事(2004.10.15 サンケイ新聞大阪夕刊 5頁 経済サロン)。
(3)「第4回−細胞外マトリックス1−多機能な細胞のプロテクター」の見出しのもと、「化粧水、スキンクリーム、入浴剤、口紅、洗顔フォームなど、最近「肌の潤いを保つ」ことを謳い文句にしている化粧品や医薬部外品が、数多く出回っています。「潤いを保つ」主成分は何でしょうか?」「脊椎動物の細胞外マトリックスに普遍的に存在する、ヒアルロン酸と呼ばれる物質です。細胞外マトリックスは、細胞が分泌している物質で、細胞が正常に活動するための外部環境を提供しています。動物の体はそれぞれの種固有の形を持っており、ロボットとは対照的に、柔らかさ、しなやかさも兼ね備えています。こうした性質は細胞外マトリックスに由来し、さらにいえば、細胞外マトリックスに豊富に存在するヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸などのおかげと言っても過言ではありません・・・そして、そのなかでもヒアルロン酸は、体内における水分の保持に決定的な役割を担っており、その性質により「肌の潤いを保つ」ことを謳い文句にする化粧品や医薬部外品で広く利用されているのです。」との記載(http://www.seikagaku.co.jp/glyco/04.html)。
(4)「SHANEL」の「レクティフィアンス アンタンス セラム」の商品説明において、「加齢が気になり始めた肌のキメを整え、若々しさを保つ美容液 シャネル リサーチ&テクノロジーの最新の研究から生まれたレクティフィアンス アンタンス セラムは、エクストラ セルラー マトリックスに働きかけて、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンの生成を助けます。これによって、紫外線や加齢によるしわや表情じわを総合的に和らげ、キメの整ったなめらかな肌へと導きます。」との記載(http://www.chanel.com/fb/um.php?la=jp&lo=jp&re=chanelcom&ws-action=http://um.chanel.com/product.php?chsetdefgnav%3d8%26chsetdefgnavdiv%3d104%26landing%3ds%26chnprd%3dskpre57n%26la%3djp%26lo%3djp%26re%3dchanelcom~~~G!004315D77AB6!5kW0r37g%252brwd%252bKllvg%3d%3d~product~~~@http://syndicator.chanel.com.edgesuite.net/chanel/chanel-um)。
(5)「プロトポリン マトリクスジェル」の商品説明において、「肌細胞の働きを助ける「細胞外マトリクス」に着眼 コラーゲン生成のコンディションを整え、持続性を高めます。・・・お肌の水分を保ち、乾燥から守ることで、肌細胞本来のチカラを引き出し、トラブルに負けない状態を保ちます。・・・マトリクス(matrix)とは、「発生・成長の母体、基盤」を表す言葉です。生体生理学では細胞間質という意味で細胞と細胞の間のコラーゲン中心組織のことで、美肌作りには重要なポイントの一つです。」との記載(http://www.kenkoujyouhou.com/shopping/csm/protoporin.htm#2)。
(6)特許第3748941号「老化防止化粧料」の【発明の詳細な説明】中、「【産業上の利用分野】本発明は、皮膚線維芽細胞の増殖を活性化し、細胞外マトリックス産生を増加させることにより、皮膚のはり・しわを改善する皮膚老化防止効果に優れた老化防止化粧料に関する。」との記載(http://www6.ipdl.ncipi.go.jp/Tokujitu/tjsogodbk.ipdl)。
3 「チャージ成分」の語について
「チャージ成分」の語は、次の(1)ないし(3)のような化粧品関係の記述からすれば、「・・・を満たす要素、物質」の意味合いで使用され、取引者、需要者に認識されているということができる。
(1)「アテニア 基礎化粧品シリーズ リニューアル新発売」の見出しのもと、「日中用保湿乳液共通成分の表中の機能として「エネルギーチャージ成分・・・細胞内のエネルギー産生により、遺伝子レベルでコラーゲンなどのタンパク質やコラーゲン合成酵素の働きを高めて、日中の肌ストレスに負けない元気な肌を維持するため、細胞内にエネルギーをチャージする」との記載(http://www.attenir.co.jp/corporate/news/data/basicskincare.pdf#search=%22%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%B8%E6%88%90%E5%88%86%E3%80%80%E5%8C%96%E7%B2%A7%E5%93%81%22)。
(2)「イリューム(illume)バイタライジングフォーム」の商品説明において「3つのパワーチャージ成分(“ビタミンB3”“プロビタミンB5”“ビタミンE”)が、角質の奥まですみやかに浸透して、ふっくらとしたハリのある輝くような肌へと導きます。」との記載(http://www.cosme.net/product/product/product_id/274761)。
(3)「ニベア花王、夜用ボディークリームを発売」の見出しのもと、「同商品には、スターフルーツ葉エキス、月桃葉エキスの植物性潤いチャージ成分のほか、潤いを保つセラミドEやCo−R(ビオチン)を配合。」との記事(2004.08.09 化学工業日報 3頁)。
第4 当審の判断
上記第3で述べた事実によれば、本願商標の構成中「エクストラセルラーマトリックス」の文字(語)が、化粧品関係の分野においても、肌の主要な要素を表す語として、細胞外マトリックス及び細胞外基質の語と共に使用されていること、また、当該要素にその主成分である「コラーゲン」「ヒアルロン酸」等の物質を多く取り入れることを目的とする商品が開発ないし流通している実情にあることが認められる。
そして、これに、上述の「チャージ成分」の語とを結合させた本願商標をその指定商品中、例えば、ヒアルロン酸等に使用しても、これに接する需要者等は、「細胞外マトリックスを満たす要素、物質」程の意味合いを容易に理解し、単に商品の用途、品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品識別標識としては認識しないものというべきであり、また、これをその指定商品中、前記照応する商品以外の商品に使用した場合、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるというのが相当である。
したがって、上記認定と同趣旨で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号にに該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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