Trademark Appeal Case
「のどごし」の品質表示性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−18475(T2004−18475/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「のどごし」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成15年11月27日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『のどごし』の文字を横書きしてなるところ、該文字よりは、『飲食物が喉をくだる時の感覚』の意味合いを理解、認識させるものであるから、これを本願の指定商品『喉をくだる時の感覚がいい菓子及びパン』に使用するときは、単に、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審において通知した審尋
当審において、本願商標について改めて証拠調べを行った結果、本願商標が、商標法第3条第1項第6号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、商標法第56条において準用する特許法第150条の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した審尋書の要旨は、以下のとおりである。
本願商標は、「のどごし」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「飲食物が喉をくだる時の感覚。」(「広辞苑 第五版」株式会社岩波書店:発行)の意味を有するものである。
ところで、本願指定商品の「菓子及びパン」の業界である、製菓・製パン業界にあっては、その食味、味わいの表現要素として、「パン」にあっては、例えば「香り、歯応え、のどごし」の語が、また、「菓子」にあっては、例えば「香り、風味、口溶け、口あたり」の語が、それぞれ用いられているところ、近時においては、それらの語の一つである「のどごし」の語が、「かき氷、葛きり、ぜんざい」等或いは「米穀や天然酵母を原材料とするパン」等の品質(性状)を表現するものとして、以下の日本食糧新聞等3紙記事横断検索(G−Search)やインターネットのウェブサイトにおいて、採択・使用されていることが認められる。
(1)「黄(旧字)八堂、滋養に富む夏の涼味『葛氷(くずこほり)』黒みつ付、4月から発売」の見出しのもと、「(株)黄(旧字)八堂...葛の持つ繊細な風味、味わいのほか巧妙な色合いを堪能でき、のどごしもつるりとよく、微妙な食感を楽しめる。...葛は日本古来の自然食品で、...伝統のある和菓子の代表格で、透き通った色合いは夏の風物詩ともなっている。...」との記載が認められる。(日本食糧新聞 1996.03.15)
(2)「パン特集:主要パンメーカー動向=第一屋製パン」の見出しのもと、「第一屋製パン(株)の業績は、...売り筋商品は、老麺種製法を用いて、豊かな味わいと、のどごしなめらかな食感の食パン『むぎゆたか』(写真)で、...」との記載が認められる。(日本食糧新聞 2002.06.24)
(3)「山崎製パン、総菜パンがヒット! スティックタイプ『デリスティック』を発売」の見出しのもと、「...山崎製パン(株)...『デリスティック』は、同社独自の技術でソフトでしっとり感のある生地に仕上げ、具材のおいしさが引き立つように工夫を加えた、生地と具材のバランスがベストマッチでのどごしの良い軽い食感が特徴。...」との記載が認められる。(日本食糧新聞 2005.02.09)
(4)農林水産省 北陸農政局のウェブサイトの「行政・施策の情報 食料」の項中に、「...(有)ケン・リッチでは、...数日かけて天然酵母を培養し、一晩かけてゆっくりと発酵させたパンを焼いた結果、独特の深い味わいと香りで、中は『もちもち』、表面は『さくさく』、しかも『しっとり』としてのどごしがよい『こしひかりパン』が完成し、商品化に成功しました。...」との記載が認められる。(http://www.hokuriku.maff.go.jp/policy/food/riceland2005/un38.html)
(5)有限会社ケン・リッチのウェブサイトの「商品の紹介 パンの購入」の項中に、「米粉100%使用 天然酵母のこしひかりパン...間違いなく米粉100%です!『モチモチ』『サクサク』『シットリ』とのどごしがいい!...」との記載が認められる。(http://www.kenrich.jp/shop/index.asp)
(6)農林水産省 中国四国農政局のウェブサイトの「統計・農業情報 地元産特別栽培米を100%使用した『こめっ娘(こ)パン』が大好評(愛媛県西条市)」の項中に、「...『こめっ娘パン』の特徴は、もっちりした食感としっとりしたのどごしで、米粉独特の風味も抜群、しかも低カロリーということもあって健康志向の女性客を中心に大好評を得ている。...」との記載が認められる。(http://www.chushi.maff.go.jp/joho/genchi/josei/46.htm)
(7)第一屋製パン株式会社のウェブサイトの「商品カタロク 食パン」の項中に、「むぎゆたか 老麺種製法により、豊かな味わいと、のどごしなめらかな食感を実現しました。...」との記載が認められる。(http://www.daiichipan.co.jp/product/catalogue/catalogue/shoku05.html)
(8)天河製菓株式会社のウェブサイトの「加賀ふ万頭」の説明中に、「加賀ふ饅頭は...ツルッとしたのどごしと適当な甘さの笹でくるんで...」との記載が認められる。(http://www.katayamazu.net/shop_view.asp?s=1078)
(9)Yahoo!グルメのウェブサイトの「汁菓子 siruka」の項中に、「のどごしを楽しむ豆腐のようなお菓子を意味する汁菓子。夏はかき氷、冬はお汁粉など...」との記載が認められる。(http://gourmet.yahoo.co.jp/0000666665/M0013011240/)
(10)合資会社 塩瀬総本家のウェブサイトの「和菓子のご紹介」の項中に、「栗ぜんざい・葛きり...本葛ならではののどごしの良いお味です。...」との記載が認められる。(http://www.shiose.co.jp/wagashi_intro_08.html)
以上のとおり、製菓・製パン業界にあっては、和菓子、食パンの食味、味わいを表現するものとして「のどごし」の語が、採択・使用されている実情が認められることから、この種業界においては、「のどごし」の文字は、食感を表現するための語として使用され、浸透している一般的な語であると認められる。
そうとすると、「のどごし」の文字よりなる本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は「食感を表現するための語」であると把握、理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであるから、結局、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することはできない。
なお、原査定は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定しているが、同法第3条は、自他商品・役務の識別力についての登録要件に関する条項であって、同第1項第6号は、同項第1号から第5号までの総括規定と解されるものであり、当審においては、本願商標はその指定商品について、商標登録の要件を欠く商標に該当するという共通の結論に至るものであるから、同法第3条第1項第6号に該当するものと判断した。
4 当審の判断
前記3の審尋書に対し、請求人からは所定の期間を経過するも、何らの応答もなかった。
そして、本願商標について行った当審の証拠調べの結果とそれに基づく先の認定・判断は、妥当であって、本願商標をその指定商品に使用するときは、需要者・取引者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものといわざるを得ないから、これと同趣旨の「本願商標は、その指定商品について商標登録の要件を欠く商標に該当する」との理由により、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、他の登録例等を挙げて、本願商標は登録されるべきである旨主張しているが、該登録例等は、商標の構成等において、本願とは事案を異にするものであって、本願の判断を左右するものではなく、本願商標については上記認定のとおりであるから、請求人の主張は、採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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