Trademark Appeal Case
キャッチフレーズの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−19075(T2005−19075/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「うるおいあげましょ」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成16年10月8日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『うるおいあげましょ』の文字を標準文字により書してなるものであるところ、例えば目に関係する薬剤(目薬等)の中には『目(眼球)に潤いを与える商品』が流通している実情からすれば、本願商標をその指定商品中、『潤いを与える成分を含有してなる商品』に使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、商品の宣伝、広告語句の一つと認識、理解するにすぎず、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「うるおいあげましょ」の文字よりなるところ、該構成文字の前半部分の「うるおい」の文字部分は、「潤い」の語義を、また、「あげましょ」の語が「与える」の丁寧語と意志・勧誘・推量の意を表す「ましょ(う)」とからなるものであることから、本願商標からは「潤いを与えます」程の記述的な意味合いが理解されるものと認められる。(この点は請求人も否定していないところである。)
ところで、企業においては、その取扱商品や企業イメージに関して、消費者や需要者に親しみや好感、信頼感などの良い印象を抱いてもらうよう日常的に心掛けているといえるところ、その一手段として、標語(キャッチフレーズ)などを採択し、それを通して商品の広告、宣伝や企業イメージの向上に努めているのが実情といえる。
そして、これらの中には、端的な宣伝語句であるもののほか、商品や企業のイメージを向上させることを目的とする観念的、抽象的表現の標語も採択されているところである。
また、近年、電子メディアの普及に伴い、家庭や職場におけるテレビ画面の大型化やパソコンや携帯電話の普及により液晶ディスプレイ等を見続けることに伴う眼精疲労も多く見られるところである。
そうすると、上記の実情から、これを本願の指定商品中の例えば「目薬」に使用した場合、取引者、需要者は、当該商品を購入し使用することで目に潤いを与えることができる、若しくは目に潤いを補給することができる商品であることを、また、当該企業がそのような商品の開発に取り組んでいることを端的に表現した一種の標語として認識するに止まるものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品中の「目薬」との関係において、人の注意を引くように工夫した商品の品質(効能)、特徴等の簡潔な宣伝文句を表したものとして理解されるものであり、商品の提供者が、その提供に係る商品の特徴を端的に表し、需要者の注意を引くためのキャッチフレーズとして用いられているものというべきであるから、これが本願指定商品中の「目薬」について使用されても、自他商品を識別することができず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものといわざるを得ない。
請求人は、本願商標「うるおいあげましょ」は、本願商標を構成する語句の有する意味合いから、その商品が「潤いを与える」ものであるということを暗示させはするが、「潤いを与える成分を含有してなる」という商品との関係において、一般的に使用されているものでもなく、且つ、上記内容を謳うためには特異であって不自然な表現であるが故に将来的にも必ず一般的に使用されるというべきものではないため、自他商品識別力を十分発揮し得る。また、「うるおいあげましょ」或いは「潤いあげましょ」の語が、商品が「潤いを与える成分を含有してなる」ということを謳う表現として使用されている例は全く見当たらなかったこと及び商品を流通過程或いは取引過程におく場合に必要な表示・表現とは言えず、請求人にその登録を認めることにつき、商品の流通・取引過程において何人にも特段の不利益は生じないといえるから、独占適応性も備えている、旨主張している。
確かに、「うるおいあげましょ」の語句がキャッチフレーズとして現に使用されていることを示す証拠は見あたらないといえる。しかしながら、本願商標において問題となるのは、「うるおいあげましょ」の語句に接した取引者・需要者が、これを自他商品の識別標識として認識するのか、それとも、これをキャッチフレーズとして理解するのかということである。このことは、この語句がキャッチフレーズとして現に一般に使用されているか否かのみによって決せられるものではないというべきである。
本願商標は、「うるおい」の語句と「あげましょ」の語句を組み合わせて作られたものであり、「うるおい」とは、「潤いを」を、「あげましょ」とは、「与えます」をそれぞれ意味することは、上記のとおり一見して明らかというべきである。
そして、これらの意味を有する語句を簡潔に組み合わせた「うるおいあげましょ」の語句が本願商標の指定商品である「目薬」に関して用いられた場合には、この語句に接した取引者、需要者は、それを妨げる何か特別な事情がない限り、この語句の有する上記の意味を想起したうえで、ごく自然に、「目に潤いを与える」「目に潤いを補給する」という「目薬」に関して提供される商品の効能、効果等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズとして認識、理解することになるものというべきであり、このことは、実際の使用例の有無を検討するまでもなく明らかである。そして、上記認識、理解を妨げる特別の事情を見いだすことはできない。
そうとすれば、「うるおいあげましょ」の文字に接した取引者、需要者は、これを「目薬」に関する商品の効能、効果等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズであると認識、理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識しないものという以外にないものというべきである。
また、請求人は、流通過程においても、何人にも特段の不利益を生じないから、本願商標は独占適応性を備えている旨主張するが、当該商標が登録できるものであるかどうかは個別に判断されるべきであり、自他商品の識別標識として、一般の取引者、需要者に認識されていると認めるに足りる証拠は見いだせないから、これらの事情が、本願商標の自他商品の識別性の有無についての判断を左右するものということはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。