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Trademark Appeal Case

商標不使用取消と使用の真実性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−31378(T2005−31378/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4604717号商標(以下「本件商標」という。)は、「FLORA GARD」の欧文字と「フローラガード」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成13年11月5日に登録出願、第1類「肥料,植物成長調整剤類,化学品」及び第5類「薬剤」を指定商品として、同14年9月13日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。

(1)請求の理由

請求人の調査によれば、本件商標はその指定商品につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。

また、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないから、使用権者による使用ということも問題にならないので、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録取消審判を請求する。

(2)答弁に対する主な弁駁

乙第1号証は、被請求人のインターネットホームページであるが、その中の「主力商品」において、「ハイポネックス」、「マグァンプ」、「プロミック」の商標はみられるが、「フローラガード」はなく、その余のページ(商品カタログ)にも見当たらない(甲第3号証)。

乙第2号証は、送り状、納品書、請求書等を基に販売証明書を作成し、これを公証人が認証したもので、一見正常に行われた商取引のように見受けられる。しかし、取引先の「三宮物産(株)」の住所(芦屋市東芦屋町18番26号)は、被請求人の前取締役であった村上博太郎(平成17年11月11日死亡)の住所と同一であり、同じく、取引先である「村上物産(株)」の住所(東京都世田谷区経堂二丁目6番6号)は、被請求人の東京営業所内にあり、その大阪支店と被請求人の本店は住所を同じくし、更に、被請求人の元取締役であった上記村上博太郎及び現在の代表取締役である村上恭豊も同社の取締役として兼任している、いずれも同族会社といわれるものの間の取引である(甲第4号証ないし甲第6号証)。

これらの取引が作為的と思われるのは、請求人の国際登録第809016号に本件商標が引用され拒絶されていることを上記取引(平成17年3月)以前の平成16年7月の時点で知っていたこと(甲第7号証及び甲第8号証)、また、取引に係る納品書や請求書が商品コードや得意先コード、納期等もなく手書きで処理されていること等から明らかである。

被請求人のこの一回限りの取引は、相手が同族会社であるから否定しているのではなく、一般の取引と同じく継続して(繰り返して)何回か第三者の目に触れる形でなされていれば問題なく、提出に係る物証が取消審判が請求されるのを予知していたかの如く準備されている所に問題があり、まして公証人による認証があれば即、客観的取引であると証明されたかのような答弁は逆に不自然な印象を与えるものである。

被請求人の平成17年3月の取引が商標法第50条第3項にいう、いわゆる「かけ込み使用」に該当するものではないが、譲渡交渉後の使用であり、同族会社間の取引を「準備」しておく行為も広義には、「かけ込み使用」であり、通常の商取引や一般市場での売買とは異質の行為と判断せざるを得ない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

(1)答弁の理由

被請求人は、大阪市福島区海老江5丁目1番1号を主たる事務所(本社)の所在地として、主に園芸肥料(家庭用・生産者用)及び園芸資材などの輸入・製造・販売を行う営業主体である(乙第1号証)。

本件商標は、本件取消請求に係る指定商品中の「肥料」について使用されている。

平成17年3月17日の確定日付が付与された公証人山本恒己より私署証書の認証を受けた販売証明書において確認されるとおり(乙第2号証)、被請求人は、商標「フローラガード」を個々の包装袋、梱包箱及び取引書類に目立つ態様で表示した商品「園芸用土」(内容量:5リットル/袋)について、東京都世田谷区経堂所在の村上物産株式会社より同商品の発注を受けたため、平成17年3月9日に、被請求人の本社より佐川急便株式会社に同商品の運送を依頼し、同日、10袋分を村上物産株式会社に納品している。納品後の翌10日には、村上物産株式会社に対して請求書を発行している。

また、兵庫県芦屋市東芦屋町所在の三宮物産株式会社からも同商品の発注を受けたため、平成17年3月11日に被請求人の本社より佐川急便株式会社に同商品の運送を依頼し、同日、10袋分を三宮物産株式会社に納品している。納品後の15日には、三宮物産株式会社に対して請求書を発行している。

以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の予告登録日より3月以前で、かつ3年以内に、本件商標に係る指定商品「肥料」に属する商品「園芸用土」の販売を行っており、当該商品の包装袋、梱包箱及び取引書類には本件商標と社会通念上同一の商標「フローラガード」が明瞭に表示されている。

したがって、本件商標は、商標法第50条第2項の規定により、その登録を取り消されるべきものではない。

(2)弁駁に対する主な答弁

(ア)請求人は、被請求人による乙第2号証において確認される取引(以下「本件取引」という。)からは、被請求人の以下の(a)ないし(d)を根拠として、本件商標の「使用」を客観的に推認し得ないとする一方で、本件取引が、本件商標の「使用」に該当することを前提とした主張も行っており、その主張は一貫性を欠くものと言わざるを得ない。

(a)「継続して何回か第三者の目に触れる形でなされていないこと」について

請求人は、本件商標の「使用」の立証には、第三者の目に触れる取引を継続して複数回なされる必要があると主張しているが、ここでいう「使用」とは、「3年間のうち一度でも『使用』の事実があれば商標法50条第1項の適用はない。」(特許庁「工業所有権法逐条解説 第16版」)のであるから、請求人の主張は失当である。

(b)「納品書や請求書が手書きで処理されていること」について

請求人は、被請求人の通常の取引における伝票類はコンピュータで集計可能な態をなしており、本件取引に係る納品書及び請求書が手書きであるのは不自然であると主張しているが、本件商標を付した商品のような未だ量産化が決定していない初期段階の新商品の販売に際しては、コンピュータ処理の準備が完了するまでの間、手書きで伝票等の取引書類を作成しているのが実態であるから、請求人の主張は、具体的根拠を欠くものである。

(c)「取引が注文書もなく一方的に被請求人から商品と納品書と請求書が送られ、実際に代金が支払われたのか等疑問であること」について

請求人が主張するところの注文書の存在や入金確認、返品事実の有無といった事情は、商標法第2条第1項第2号及び第8号において規定されている本件商標の「使用」とは全く関係がないものであるから、請求人の主張は、法律の解釈を誤った、または、法律根拠を欠くものである。

(d)「請求人の国際登録第809016号に本件商標が引用され拒絶されていることを本件取引以前に知っており、譲渡交渉後に、取消審判が請求されるのを予知していたかの如く準備されていること」について

請求人の主張が適当とすれば、譲渡交渉が物別れに終わった商標権者によるその後の「使用」は、全て「本件取消審判が請求されるのを予知していたかの如く準備されている」ことになりかねず、所定の「かけ込み使用」に限って「使用」に該当しないことを定めた商標法第50条第3項の規定趣旨を没却しかねないものであるから、請求人の主張は失当である。

(イ)以上を要するに、請求人が「被請求人が提出した乙各号証は本件商標が請求に係る商品に使用されていることを客観的に推認し得るものとはいえず、不使用による取り消しを免れるための名目的使用と思われる。」との反論とした前記(a)ないし(d)の根拠は、いずれも取引の実情や業界の実態を無視したものであり、また、法律の適用・運用を誤ったものである。

したがって、このような請求人の主張をもって、乙第2号証において明確かつ客観的に確認される本件商標の指定商品「肥料」における「使用」が、客観的に推認し得ないことはあり得ず、これにより、不使用による取り消しを免れるための名目的使用に到底該当するものではない。

4 当審の判断

(1)被請求人の提出に係る乙第2号証によれば、以下の事実を認めることができる。

平成17年3月9日付の佐川急便株式会社発行の「お客様控え」によれば、ご依頼主として「(株)ハイポネックスジャパン」の名称、お届け先として「東京都世田谷区経堂所在の村上物産株式会社」の名称が記載され、品名欄には「元肥入り園芸用土5L『フローラガード』」の品名が記載されており、「その他」の箇所に丸が付けられている。また、次葉の株式会社ハイポネックスジャパンが村上物産株式会社に宛てた「納品書」によれば、出荷日として「2005.3.9」、出荷した品名欄に、「元肥入り花の園芸用土5L『ブロッサム』」及び「元肥入り園芸用土5L『フローラガード』」が記載されている。そして、同月10日付の株式会社ハイポネックスジャパンが村上物産株式会社に宛てた「請求書」によれば、請求明細の品名欄には、「元肥入り花の園芸用土5L『ブロッサム』」及び「元肥入り園芸用土5L『フローラガード』」の各商品名が記載されている。

また、平成17年3月11日付の佐川急便株式会社発行の「お客様控え」によれば、ご依頼主として「(株)ハイポネックスジャパン」の名称、お届け先として「兵庫県芦屋市東芦屋町所在の三宮物産株式会社」の名称が記載され、品名欄には「元肥入り園芸用土5L『フローラガード』」の品名が記載されており、「その他」の箇所に丸が付けられている。また、次葉の株式会社ハイポネックスジャパンが三宮物産株式会社に宛てた「納品書」によれば、出荷日として「2005.3.11」、出荷した品名欄に、「元肥入り花の園芸用土5L『ブロッサム』」及び「元肥入り園芸用土5L『フローラガード』」が記載されている。そして、同月15日付の株式会社ハイポネックスジャパンが三宮物産株式会社に宛てた「請求書」によれば、請求明細の品名欄には、「元肥入り花の園芸用土5L『ブロッサム』」及び「元肥入り園芸用土5L『フローラガード』」の各商品名が記載されている。

そして、乙第2号証に添付されている2005年3月4日付の写真には、梱包箱の側面に「フローラガード」の商標が表示されており、梱包箱に収められている商品の包装袋には「あらゆる植物に使える/元肥入り園芸用土」の表示とともに、「フローラガード」の商標が大きく表示されている。

(2)上記において認定した乙第2号証によれば、被請求人は、「フローラガード」の商標を付した「元肥入り園芸用土」を本件審判の請求の登録日(平成17年12月6日)前3年以内である平成17年3月9日に東京都世田谷区経堂所在の村上物産株式会社に、また同じく、平成17年3月11日に兵庫県芦屋市東芦屋町所在の三宮物産株式会社に販売したもの認められる。

そして、使用に係る商標「フローラガード」は、本件商標の片仮名文字部分の使用であり、本件商標の欧文字部分からも「フローラガード」の称呼を生ずるものであるから、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであり、また、使用に係る商品「元肥入り園芸用土」は、本件取消請求に係る第1類「肥料」の範疇に属する商品と認められるものである。

(3)請求人の主な反論について

この点について、請求人は、(ア)被請求人の取引は同族会社との一回限りの取引であること、(イ)提出に係る物証が取消審判が請求されるのを予知していたかの如く準備されていた印象があり、納品書や請求書も商品コードや得意先コード、納期等もなく、手書きで処理されており、不自然な印象を与えるものであること、(ウ)譲渡交渉(平成16年7月)後の使用であって、このような取引も広義には「かけ込み」使用であり、通常の商取引とは異質の行為であることを挙げて反論している。

しかしながら、被請求人と村上物産株式会社及び三宮物産株式会社との取引は、同族会社間の取引ではあるが(請求人も該取引が同族会社間の取引ではあるが故に否定しているのではない旨述べている)、該取引自体は、通常一般に見られる取引の形態であり、商標法第50条第2項の使用の事実の証明としては、充分なものというべきである。

そして、乙第2号証の「納品書」及び「請求書」は、手書きの書面ではあるが、全体の体裁からみて、積極的に疑念を抱かせる不自然なところは見当たらず、その成立を否定するに足る証拠も提出されていない。

また、確かに、甲第7号証及び甲第8号証によれば、請求人との関係は定かではないが、日本ジフィーポット・プロダクツ株式会社と被請求人との間において、平成16年7月当時、請求人の国際登録第809016号商標に関連した交渉が行われていた事実を認めることができる。

しかしながら、そうであるからといって、被請求人と村上物産株式会社及び三宮物産株式会社との間の取引が取消審判による取り消しを免れるための形式的な取引であったことを認めるに足る証拠もなく、また、事業者としては、将来、取消審判が請求される可能性があるとすれば、取消審判に対応するための書類を予め準備しておいたとしても強ち不自然なこととはいえず、そのことをもって、使用の事実を否定する理由とすることもできない。

そうしてみると、請求人の上記主張は、いずれも理由のないものというべきである。

(4)まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を、取消請求に係る商品に含まれる「元肥入り園芸用土」について使用していたものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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