Trademark Appeal Case
称呼類似と要部認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−1977(T2006−1977/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「せいちゃんの讃鶏湯」の文字を書してなり、第29類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成17年3月18日に登録出願され、その後、指定商品については、同年11月9日付の手続補正書により、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,内臓を取り除いた鶏に高麗人参・餅米等を詰め入れ調味してレトルトパウチされた鶏肉製品,その他の肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録第4581998号商標(以下「引用商標」という。)は、「セイチャン」の文字を標準文字で書してなり、平成13年10月19日登録出願、第28類、第29類、第30類、第32類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同14年6月28日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「せいちゃんの讃鶏湯」の文字を書してなるところ、「せいちゃん」の文字と「讃鶏湯」の文字とを格助詞「の」で結合したものであることは、語句の構成自体から明らかである。
ところで、本願の指定商品のように直接人体の健康等に影響を与える商品(食品)を取り扱う業界においては、当該商品(食品)の生産者、材料、効能等を理解しやすくするため、商品の包装や説明書等に生産者表示あるいは専門家によって推奨される商品の如く販売促進等に用いることが普通に行われている実情がある。そして、生産者自身が実際にその商品を取り扱っている例もあることから、その者が販売あるいは取扱の主体となっているものと取引者、需要者に認識されることも少なくないものである。
上記の実情からすると、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「せいちゃん」の文字部分が「せいちゃんの取扱に係るもの」ないし業務主体としての「せいちゃん」であることを表したものと認識し、把握するというべきであるから、「せいちゃん」の文字部分を当該業務主体を表す代表的出所標識部分(いわゆるハウスマーク)として、かつ、構成中の「讃鶏湯」の文字部分を「せいちゃん」の取扱に係る個別標識(いわゆるペットネーム)としてそれぞれ認識し、把握するとみるのが相当である。
請求人も、「せいちゃん」は開発者の愛称であり、「讃鶏湯」は福岡産の地どりである「はかた地どり」を原材料に使用した料理であると述べているものである。
そして、実際の取引の場にあっては、この種商品の取引者、需要者が数ある同種商品の中から特定の商品を選択購入するに際して、その代表的出所表示部分のみ、又は、代表的出所表示部分を除いた個別標識をもって簡便な取引に資する場合も少なくないものである。
そうすると、本願商標は、その構成文字全体に相応して「セイチャンノサンケイユ」の一連の称呼を生ずるほか、「せいちゃん」の文字を代表的出所標識部分として「セイチャン」あるいは「讃鶏湯」の文字を個別標識部分として「サンケイユ」のそれぞれの称呼のみをもって取引に資される場合も決して少なくないものといわざるを得ない。
他方、引用商標は、「セイチャン」の文字を表してなるものであるから、該構成文字より「セイチャン」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは「セイチャン」の称呼を同一にするものである。
また、本願商標は、「せいちゃん」の文字をもって取引にあたる場合のあること上述したとおりであり、引用商標も「セイチャン」の文字をもって取引に資されるものといえるから、取引者、需要者が時と処を異にしてこれらに接する場合には、当該構成文字が平仮名と片仮名の違いはあるとしても外観上近似した印象、連想等を生じさせるおそれがあることも否定できない。 なお、請求人は、商標の構成要素の分断における審査の例として、本願商標と同様に、商標の一部の語が同一の称呼を生じ、その語と他の語とを格助詞「の」で結合した商標と、当該他の商標とは非類似商標であるとして共に登録になっているものとして登録例を挙げて本願商標の登録適格性を主張しているが、それらの事例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであり、それら事例をもって本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切でなく、また、本件については前記認定を相当とするものであるから、その主張は採用することができない。
また、請求人は、近年の取引の形態から、ファクシミリ、電子メール、インターネット等による電子商取引など文字(画像)を主とした、視覚的な確認(認識)を要する取引が主流となってきている。このような取引の実情を鑑みると、各商標に接する一般的な取引者・需要者は、各商標を画面や文字を見て判断することが多く、商標においても視覚的に認識されるところであるので、外観及び外観から生じる観念の相違は重要である、旨主張しているが、本願商標に係る指定商品は、前記1のとおりであるところ、これらの商品は、その記載から明らかなとおり、広範囲にわたるものであるから、同種の商品を製造、販売する企業が多数存在することは容易に推認できるところであり、そのような多数の企業の中から取引先を選択する過程においては、新聞や雑誌等の各種媒体による宣伝広告、報道、記事等を通じて本願商標を記憶し、その記憶を通じて、取引に資するものと考えられる。
そして、その際には、本願商標は、上記で述べたとおり、その構成中の「せいちゃん」の文字部分、「讃鶏湯」の文字部分のそれぞれが常に一体不可分のものとしてのみ認識される特段の事情は見いだし得ないものであるから、これに接する取引者、需要者は、その構成全体の前半部に表され、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「せいちゃん」の文字部分に着目し、これをもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
また、当該商品の取引において、請求人の主張するように、FAXや電子メールといった通信手段を用いて取引が行われる場合があることは否定するものではないが、そのような場合があることをもって直ちに、請求人の主張するように、当該通信手段による取引形態が一般的で主流となっているとまではいい難く、むしろ簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、極めて簡便な電話等を用いた口頭による取引を行う場合も決して少なくないと考えられる。
そして、前記のような口頭による取引を行うに当たっては、その取引において使用される商標から生ずる称呼が商品の識別に際し重要な要素となり得るところ、本願商標と引用商標とは、上記で述べたとおり、類似する商標というべきである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「セイチャン」の称呼を共通にし、外観上もある程度近似した印象を与えるものであって、全体として類似する商標というべきであり、かつ、その指定商品も同一又は類似するものであるから、結局、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、登録すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。