Trademark Appeal Case
結合商標の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−7694(T2005−7694/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「メンタルケアカウンセラー」の文字からなり、第41類「技芸、スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、平成16年3月9日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における平成16年11月24日提出の手続補正書により、第41類「心のケアをする助言者を育成するための知識の教授」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『メンタルケアカウンセラー』の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、『メンタル』の文字は、『心の、精神の』等の意味を有し、『ケア』の文字は、『世話、介護』等の意味を有し、また、『カウンセラー』の文字は、『助言者、相談相手』等の意味を有するところ、各種新聞記事データベースやインターネット情報によれば、これは、全体として『心のケアをする助言者』程の意味合いを容易に認識させるものであり、更に、心のケアを行うカウンセラーを育成する講座が多数存在することが認められることから、これを本願指定役務に使用する場合、単に役務の質を表すにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人は、本願商標が商標法第3条第2項の規定に該当する旨主張しているが、出願人が証拠として提出している甲各号証においては、『メンタルケアカウンセラー』の文字が、出願人の使用に係る商標として使用されていることが明示されていないなど、本願商標が出願人の提供する役務を表す商標として取引者・需要者間に広く認識されるに至っていると認めることはできない。」旨認定、判断し本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当について
本願商標は、上記のとおり、「メンタルケアカウンセラー」の文字からなるところ、その構成中の「メンタル」の文字は、「心的、精神的」等の意を、「ケア」の文字は、「介護、世話」等の意を、「カウンセラー」の文字は、「社会生活において個人が当面する悩みなどについて相談に応じ、適切な指導・助言をする人。特に精神医学・臨床心理学などを修めた専門家をいう。」等の意を有する語として(何れも、株式会社岩波書店「広辞苑第5版」)、それぞれ一般に理解、認識されていることから、これらの文字を結合した本願商標からは、「心のケアをする助言者(カウンセラー)」の意味合いが容易に認識されるとみるのが相当である。
そして、このことは、近年、心の病による自殺者の増加や少年犯罪の凶悪化などが社会問題化する中、心の健康を保つことの必要性が重視され、心のケア、すなわち、心の健康を保つためのケアの意味合いを表す語として、「メンタルケア」の文字が広く使用され、また、その心のケア(メンタルケア)に関するカウンセリングが、専門のカウンセラーにより広く行われていることからも、容易にうかがい知ることができる(原審説示の新聞記事及び以下の雑誌記事並びに新聞記事情報を参照のこと)。
(a)「メンタルヘルスケアサービス」の項(株式会社集英社「imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典」第1版 606頁)
企業への指導や個人へのカウンセリングなどを通じて、精神面でのケアを行うサービス
(b)「土石流1週間 疲労濃い避難生活 メンタルケア始まる/長野・岡谷」(2006.07.25 読売新聞 東京夕刊)
・・約190人が避難生活を送る市立湊小。高齢者らに疲労の色が濃くなっており、県などは25日から、カウンセラー、看護師らを派遣、被災者のメンタルケアに本格的に取り組み始めた。・・
(c)「新教育の森:心病む先生突出 全国上回る休職率、管理厳格化など底流に−−都教委」(2006.03.06 毎日新聞 東京朝刊)
・・都職員のメンタルケア事業を行っている都福利厚生事業団によると、専門カウンセラーによる面接相談年間約5000件のうち、教員が約半数という。・・
(d)「引きこもりなどの自助グループ発足 16日、つくばで初会合=茨城」(2005.04.05 読売新聞 東京朝刊)
引きこもりや不登校の子供を抱える親たちの自助グループ「こどもメンタルケアハウス」が発足することになり、ボランティアでカウンセリング活動を続けてきた市民らが、16日午後6時30分から、つくば市栗原の西公民館で初会合を開く。
呼びかけ人は、同市桜で手工芸教室を主宰する長谷川実さん(48)。長谷川さんは約2年前から、教室の生徒やその知り合いの相談相手を務めるうちに、引きこもりや不登校問題の深刻さを知った。日本メンタルケア協会のカウンセラー資格も取り、県南地方を中心に、直接各家庭を訪れるなどして相談に応じてきた。・・
(e)「東京福祉大と相互援助協定、小中学校でメンタルケア−伊勢崎市教委/群馬」(2004.12.07 毎日新聞 地方版/群馬)
◇小中学校でメンタルケア、臨床心理学院生受け入れ
伊勢崎市教委は6日、同市に本部を置く東京福祉大と相互援助協定を結んだ。臨床心理学を専攻する大学院生をスクールカウンセラーとして小中学校で受け入れ、子供たちへの「メンタルケア」で教育支援につなげていく。・・
また、本願の指定役務である「心のケアをする助言者を育成するための知識の教授」に関連して、「心のケア(メンタルケア)」を行うカウンセラーの養成について、複数の民間団体が資格認定事業を行い、その養成講座が多数存在することが、原審説示の新聞記事情報及び以下のインターネット情報等により認められる。更に、以下に例示の(b)医療福祉情報実務能力協会のホームページにおいて、「メンタルケアカウンセラー」の文字が、当該資格を説明する語として使用されていることが認められる。
(a)メンタルケア協会(http://www.mental-care.jp/yousei.html)
(b)医療福祉情報実務能力協会
(http://www.medin.gr.jp/exam_sche/exam_mental.html)
(c)日本カウンセルリング普及協会(http://www.jcsa-web.or.jp/)
(d)日本メンタルヘルス協会(www.mental.co.jp/ - )
(e)日本プロカウンセリング協会(http://www.prokan.co.jp/)
以上によれば、「メンタルケアカウンセラー」の文字からなる本願商標は、「心のケアをする助言者(カウンセラー)」の意味合いを容易に理解、認識させるものであり、加えて、心のケア(メンタルケア)を行うカウンセラーの養成講座が多数存在する実情からすれば、これを、本願の指定役務である「心のケアをする助言者を育成するための知識の教授」に使用するときには、その役務の質、用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当について
請求人は、意見書及び審判請求書において、本願商標が商標法第3条第2項の規定に該当する旨主張し、甲第1号証ないし甲第15号証を提出している。
しかしながら、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる商標とは、特定の者の出所表示として、その役務の需要者の間で全国的に認識されているものであることが必要であると解されるところ、請求人が証拠として提出している甲第1号証、甲第5号証ないし甲第10号証、甲第14号証及び甲第15号証において表示された「メンタルケアカウンセラー」の文字は、他の文字と結合したもの、資格の名称・資格取得のための講座の内容を説明するものなどであって、何れも商標の使用とはいうことはできない。
また、請求人からは、上記の証拠以外に、実際に使用している商標及び役務、使用開始時期、使用期間、使用地域、営業の規模、広告宣伝の方法・回数・内容及び一般紙・業界紙等における記事の掲載の回数及び内容等、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至ったことを示す客観的な事実を証明する証拠の提出もない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の規定に該当するものではない。
(3)以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条2項の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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