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Trademark Appeal Case

図形商標の類否と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89009(T2006−89009/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4770894号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成15年9月25日に登録出願、第1類「化学品,工業用粉類,人工甘味料」、第5類「薬剤,乳糖」及び第30類「調味料」を指定商品として、同16年5月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第533225号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和32年7月31日に登録出願、第20類「車輛、船舶、その他運搬用機械器具及びその各部」を指定商品として、同34年2月17日に設定登録され、その後に、昭和55年2月29日、平成1年2月27日及び同10年11月17日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

その他、請求人を商標権者とする、商標の態様は別掲(2)と同じ構成からなる登録第1026594号商標の外13件の登録商標を引用しているものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。

第3 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第34号証(枝番を含む。)を提出している。

1 請求の理由

(1)本件商標から生じる外観について

本件商標は、右端が離れている3本の円弧を中心に黒く塗りつぶした三稜星を配してなる。

一方、引用商標は、円弧の内側に黒く塗りつぶした三叉の星又は円弧の内側に、該輪郭の中心から上方及び下方左右斜めに形成される三個の陰影を施した稜角又は黒く塗りつぶした稜角を内接させた星を包含するものである。 そこで、本件商標と引用商標の外観を比較検討してみると、両商標は、円の内側に黒く塗りつぶした三稜星を包含するという点で共通する。確かに、これらの両商標の図形は、細部にわたって子細に見れば、円弧の一部が欠けていることや円弧本数について、若干の相違が認められる。しかしながら、両商標に共通するかかる黒く塗りつぶした三稜星と円弧は、これら商標を強く印象づける特徴であるため、時と場所を異にする取引において、かかる特徴に基づいて、需要者は商品を探すことから、需要者は必ずしも両者を明確に識別することができるとは言い難く、逆に見誤るおそれの可能性が極めて高い。

因みに、三叉の図形の類似性について、甲第17ないし第21号証の異議決定において、請求人の主張を裏付ける判断がなされている。

(2)出所の混同の生ずるおそれについて

本件商標は、請求人のハウスマークであり、世界的にも著名な商標である「スリーポインテッドスターマーク」と類似している。そして、著名性の認定に当たっては、「防護標章登録を受けている商標又は審決若しくは判決で需要者の間に広く認識された商標と認定された商標については、その登録又は認定に従い需要者の間に広く認識された商標と推認して取り扱うもの」とすると審査基準に規定されているところ(甲第22号証)、請求人の「スリーポインテッドスターマーク」は、実際に防護標章登録されているため(甲第23号証)、著名であると推認される。

よって、請求人の「スリーポインテッドスターマーク」は、著名商標であって、本件商標とは類似する。

そして、請求人は、ドイツ国内のみならず、世界的にも認知度の高い企業であり、自動車にとどまらず、船舶・航空機・自転車・被服・玩具・スポーツ用品・銀行・信販会社・コンサルティング業など幅広い分野で事業を展開している。従って、本件商標の指定商品「化学品」等についても、請求人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがあると考えられるのみならず、請求人が幅広い分野で事業を展開しているため、本件商標の使用によって、請求人と経済的又は組織的に何等かの関係があるものの業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがある。

よって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

2 答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標と引用商標とは類似しない旨主張している。しかし、本件商標と引用商標との相違は、「右部の一部が欠けた三重の円」と「一重の円」部分の相違のみである。

さらに、本件商標の「右部の一部が欠けた三重の円」は、その三重の円の幅が狭く、円の一部欠けた部分も開いた幅が狭く、その表示の仕方によっては、「一重の円」と見紛うものである。例えば、小さく表示されたり、遠距離からの観察であったり、離隔観察等による場合は、簡易迅速をはかる商取引において、需要者・取引者は、円が三重か一重であるかに大きな注意を払うものではない。

需要者・取引者にとって、本件商標と引用商標とが何らかの関連があると連想・想起されるか否かは、本件商標に係る指定商品と請求人の事業展開に係る商品、役務の知名度との関係によるところが大である。請求人は、鋭意企業努力を続け、引用商標を使用し続け、世界的に多大なる信用を蓄積してきている。その信用により、円内に三稜からなる星の図(スリーポインテッドスターマーク)といえば、「ベンツ、メルセデスベンツ」であり、「世界のMercedes−Benz」を連想させるに至っているものである。

請求人の事業展開は、審判請求書で述べたばかりでなく、化学品においては、請求人が指定する油脂類(オイル、ブレーキ液、クラッチ液、ラジエータ液、バッテリー液等)をメンテナンスのサービス提供時に使用している(甲第24及び第25号証)。

また、ドイツのメルセデスベンツの博物館の中に設けられた喫茶室を起源とした「Mercedes CAFE」は、ドイツ、イタリア等でベンツショップに併設されており、その中で提供される砂糖のパッケージに「Mercedes−Benz」のマークを使用し、カップやソーサー、グラスに前記スリーポインテッドスターマークを使用するなど、本件商標に係る指定商品と同一の商品を扱っている(甲第26ないし第31号証)。

更に、2002年12月に日本に上陸した、イタリアの有名なスイーツブランド「BABBI」と業務提携し、前記「Mercedes CAFE」のダブルネームでチョコレートを大々的に広告し、販売を行っている(甲第32及び第34号証)。

したがって、これらの請求人に係る商品やサービスに接した需要者・取引者は、本件商標と引用商標とが何らかの関連があるものと連想・想起するのは必定である。

第4 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第3号証を提出している。

(1)本件商標は、右部の一部が欠けた三重の円内に、黒く塗り潰した三稜からなる星の図を最も内側の円より若干離して配した図形よりなるものであるのに対し、引用商標は、いずれも一重の円内に、この円に当接させて、黒く塗り潰した三稜からなる星の図を配してなるものである。

上記両図形の構成よりすると、これらの図形は、円内に三稜からなる星の図形が配されているという点においては共通性を有するかもしれない。

しかしながら、本件商標の図形は、右部の一部が欠けた三重の円から離れた中央の位置に三稜からなる星の図が配されていて、全体としてやゝまとまりを欠いたようにも見えるものであり、やゝ重みのある構成よりなるという印象を受けるものである。

これに対して、引用商標は、いずれも一重の円に接するように三稜からなる星の図が配されていて、全体としてシンプルで極めてまとまりがよく、スマートな印象を受けるものであるから、本件商標と引用商標の構成より受ける印象は、自ずと異なるということができる。

なお、本件商標と引用商標のいずれとも、一種の幾何図形を表したものと看取し得るものであり、特定の称呼・観念を生ずるものとは認め難いことから、外観以外のこれらの点については比較することができない。

してみれば、本件商標は、引用商標とは、外観・称呼・観念のいずれの点においても類似するものとは認められない。

(2)請求人は、異議決定例において、請求人の主張を裏付ける判断がなされている旨主張している。

しかしながら、請求人の挙げた甲第17ないし第21号証に示される商標は、いずれも本件商標とは、外観・称呼・観念のいずれの点においても同一又は類似するものとは認められないこと、いずれも本件商標の指定商品とは、関連性の希薄な異質な商品であることから、請求人の主張には根拠がない。

むしろ、請求人の主張とは逆に、本件商標と極めて近似している登録第1285537号商標の登録無効審判事件(昭和57年審判第15337号)及び昭和57年商標登録願第13742号拒絶査定に対する審判事件(昭和60年審判第11694号)についての審決では、請求人の主張とは反対の結論が下されている(乙第1及び第2号証)。

さらに、本件商標に対して行われた請求人による登録異議申立て事件についての異議の決定においても、請求人の主張とは反対の結論が下されている(乙第3号証)。

(3)請求人は、自動車業界に止まらず、船舶・航空機・自転車・被服・玩具・スポーツ用品・銀行・信販会社・コンサルティング業などの事業を展開しているものと認められる。

しかしながら、請求人が事業展開している商品、役務は、本件商標の指定商品とはその生産部門、取引経路、機能、用途、業種、事業者等の点からみて、関連性の希薄な、異質な商品、役務であるということができる。

してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者・需要者がこれより引用商標を直ちに連想、想起するものとは到底認められない。

それ故、本件商標は、請求人又は請求人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものである。

第5 当審の判断

本件商標は、別掲(1)のとおり、右部の一部が欠けた三重の円内に三稜からなる星の図を配した図形よりなるものであるのに対し、引用商標は、別掲(2)のとおり、一重の円内に三稜からなる星の図を配してなるものである。

上記両図形の構成よりすると、これらの図形は、円内に三稜からなる星の図形が配されているという点においては共通するものの、本件商標の図形は、右部が欠けた三重の円から離れた中央の位置に三稜からなる星の図が配されていて、全体としてやゝまとまりを欠いた構成よりなるという印象を受けるものである。これに対し、引用商標の図形は、一重の円に接するように三稜からなる星の図が配されていて、全体としてシンプルで極めてまとまりのよい構成よりなるという印象を受けるものであるから、両商標の構成より受ける印象は、自ずと異なるものということができる。

また、少なくとも、本件商標は、一種の幾何図形を表したものと理解・認識されるものであって、これより特定の称呼・観念を生ずることはないものと認められるから、両商標の称呼・観念について比較することはできない。

そして、本件商標の指定商品は、前記のとおり、第1類「化学品,工業用粉類,人工甘味料」、第5類「薬剤,乳糖」及び第30類「調味料」であるところ、請求人の提出に係る甲各号証によれば、請求人は、自動車業界に止まらず、金融業界にも参入しており、また、請求人の日本法人であるダイムラークライスラー日本株式会社は、キーホルダー、コーヒーカップ等をも取り扱っていることが認められる(甲第31号証)。

しかして、これらの請求人が事業展開している商品・役務は、本件商標の指定商品とその生産部門、取引経路、機能、用途、業種、事業者等の点からみて、関連性の希薄な異質な商品、役務ということができる。

この点について、請求人は、化学品や「Mercedes CAFE」の中で提供される砂糖のパッケージに「Mercedes−Benz」のマークを使用するなど、本件商標に係る指定商品と同一の商品をも扱っている旨主張している。

しかしながら、甲第24及び第25号証(インターネットによる検索情報)によれば、保証適用除外事項として、「ダイムラー・クライスラー純正部品及び同指定油脂類(オイル、ブレーキ液、クラッチ液、ラジエータ液、バッテリー液等)以外の使用」等の記載があるのみであって、請求人が具体的に引用商標を使用して油脂類の販売等の業務を行っている事実は把握できない。また、甲第27ないし第29号証(インターネットによる検索情報)によれば、「Mercedes CAFE」の中で提供されている砂糖の包み紙に「Mercedes−Benz」の文字が使用されていることは認められるが、請求人が具体的に引用商標を使用して砂糖の販売等の業務を行っている事実は把握できない。更に、甲第32ないし第34号証(インターネットによる検索情報)によれば、イタリアのチョコレート製造販売会社である「BABBI」が請求人と業務提携し、「BABBI」と「Mercedes CAFE」のダブルネームでチョコレートを販売している旨の記述は認められるとしても、前面に出ているブランドは「BABBI」であって、請求人が具体的に引用商標を使用してチョコレートの販売等の業務を行っている事実は把握できない。

そうとすれば、引用商標が請求人の業務に係る自動車の商標として広く知られていることは認められるとしても、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、加えて、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品・役務との関係をも併せ考慮すれば、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が請求人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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