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Trademark Appeal Case

造語商標の外観・称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89033(T2006−89033/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4895641号商標(以下「本件商標」という。)は、「XXiREM」の文字を標準文字で書してなり、平成17年1月13日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年9月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第4411850号商標(以下「引用商標」という。)は、「XYREM」の文字を標準文字で書してなり、平成11年6月15日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年8月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第29号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

(ア)外観

本件商標と引用商標の差異は、前者が冒頭に「X」が2個であるのに対し、後者は1個である点と、「X」の次の文字が前者は「i」であるのに対して、後者は「Y」であるという点である。

そして、両商標は、全体で5文字又は6文字という極めて短い商標中4文字の「X」「REM」を共通にする。特に、本件商標中「i」の文字は、文字幅が狭く、小文字であるため目立たず、さらに、本件商標の中心部に置かれていることからその他の文字の共通性が際立ち、両商標は、外観上類似する。

(イ)称呼

本件商標及び引用商標は、共に造語である。両商標のように母音と音を表す文字が混合してなる商標においては、一つの単語のように称呼しようとすることが一般的である。辞書によると、接頭辞「xy」を含む、例えば、「xylem」、「xylene」、「xylograph」、「xylophone」、「xylonite」(甲第2号証ないし甲第6号証)の語の発音は、すべて「ザイ」で始まっている。

また、「xylophone」は「ジロフオン」とも称呼されるから、接頭辞「xy」は、「ザイ」又は「ジ」と発音され、引用商標全体からは「ザイレム」、「ジレム」の称呼が生じる。

一方、「XX」が冒頭にある過去の登録例をみると、「XXERISTAR ゼリスター」(甲第7号証)、「XXERT/エグザート」(甲第8号証)は、その片仮名表記から「ゼリスター」、「エグザート」と称呼され、語頭の「X」は、その後に続く「XE」の発音を強調するために置かれているといえる。また、英和辞書によると、「xi」の語は、ギリシャ語アルファベットの第14文字で、「ザイ」、「サイ」と称呼され(甲第9号証)、さらに、接頭辞「xi」を含む11の語(甲第10号証)のうち、7つの語が中国の地名を英語表記したものであり、「Xi」部分を「シー」と発音し、4つの語のうち発音記号が付されている「xiphoid」(甲第11号証)は「ジフォイド」と称呼される。以上を踏まえると、本件商標の「XXi」からは、「ザイ」、「サイ」、「シー」、「ジー」の称呼が生じ、本件商標全体からは、「ザイレム」、「サイレム」、「シーレム」、「ジーレム」の称呼が生じると考えられる。

したがって、本件商標の称呼「ザイレム」、「サイレム」、「ジーレム」、「シーレム」と引用商標の称呼「ザイレム」、「ジレム」は、「ザイレム」、「ジ(ー)レム」と称呼される場合に同一で、本件商標が「サイレム」と称呼される場合であっても、引用商標の称呼「ザイレム」と類似し、本件商標が「シーレム」と称呼される場合でも引用商標の称呼「ジーレム」に類似するものである。

(ウ)以上のことから、本件商標は、引用商標と外観及び称呼において類似する商標であって、その指定商品も引用商標の指定商品中に含まれるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

(ア)引用標章の著名性

「XYREM」の文字よりなる商標(以下「引用標章」という。)は、請求人の業務に係る商品「薬剤」について使用されている。具体的には、ナルコレプシーと呼ばれる睡眠障害の治療薬(以下「請求人商品」という。)である。ナルコレプシー(narcolepsy)とは、日中において場所や状況を選ばず起きる強い眠気の発作を主な症状とする精神疾患(睡眠障害)であり、日中反復する居眠りが毎日、何年間にもわたって続く。ナルコレプシーに罹っている患者は、米国に14万人、日本にも2000人程度いるといわれ(甲第12号証ないし甲第14号証)、機械や自動車の運転中に発作が起きると重大な事故の原因となるため、これらを使用できないなど社会生活上の制限も大きく、通常の生活を送ることが困難である。請求人商品が開発されるまではナルコレプシーに対する有効な治療薬は存在しなかったため、請求人商品の開発は注目を集め、新薬申請及び承認が心待ちにされた。2002年7月17日にアメリカの米国食品医薬品庁(FDA)により使用が承認され、2002年10月に販売が開始された。請求人商品の売上高は、2002年度に25万ドル(2900万円)、2003年度に393万ドル(4億5600万円)、2004年度に1057万ドル(12億2600万円)と飛躍的に伸びた(甲第12号証の2)。これは、請求人の宣伝努力(甲第15号証)及び初めてで唯一の脱力発作の治療薬として注目されたためである。

わが国においても、請求人商品への関心と期待が高く、未開発であるもののその認知度は高い(甲第16号証ないし甲第18号証)。

以上のように、引用標章は、商品「薬剤」について、少なくとも本件商標の登録出願日までには、日本国内外において周知・著名となっていた。

請求人は、係る周知・著名な商標を保護すべく、アメリカ、カナダをはじめ、世界各国で、引用標章を指定商品「薬剤」について登録を受けており、その他出願中の商標を有している(甲第19号証ないし甲第29号証)。

(イ)出所の混同

前述したように、本件商標と「XYREM」の文字よりなる商標は、外観及び称呼において類似する商標であるため、本件商標が「薬剤」に使用されると、市場において出所の混同が生じるおそれが高い。特に、本件商標の指定商品「薬剤」が取り扱われる医療に関わる分野、例えば病院等の医療の現場において、薬剤はその商標の称呼又は薬剤の包装箱や包装用袋に示された商標の外観から薬剤を特定して使用されることが多いため、医療現場において使用される商標については、外観及び称呼の相紛らわしい商標の登録及び使用は避けられるべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、前記3の請求人の主張に対し、何ら答弁するところがない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

(ア)外観

本件商標は、前記のとおり、「XXiREM」の文字を書してなるものである。

これに対し、引用商標は、前記のとおり、「XYREM」の文字を書してなるものである。

そうすると、本件商標と引用商標は、構成するアルファベットの文字の数において相違するばかりでなく、本件商標は、前半の2字「XX」と後半の3字「REM」の各大文字の間に小文字の「i」を配してなるものであるから、該「i」の文字は、中間部に位置するとしても、看者の注意を強く引き、印象に残るものであって、これが本件商標の構成全体に与える影響は大きいといえるのに対し、引用商標は、大文字5文字を羅列したものにすぎない。

してみると、本件商標と引用商標は、たとえ、語頭の「X」及び後半部分の「REM」の各文字を共通にするものであるとしても、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるそれはないとみるのが相当である。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観上類似する商標ということはできない。

(イ)称呼

本件商標を構成する文字は、一見して、わが国では馴染みのない文字の配列であり、わが国で比較的親しまれている英語には、「XXi」の綴り文字から始まる単語は見出せない。そして、本件商標のように、わが国では馴染みのない文字よりなる商標や発音しづらい商標に接する取引者、需要者は、様々な読み方をもって称呼を特定しようと試みることが予測されるところ、畢竟、本件商標を使用した商品の取引がスムーズに運ぶことを考慮し、多くの取引者、需要者が一番理解しやすい称呼を選び出し、これを特定するとみるのが相当である。

そうすると、本件商標中、発音しづらい「XXi」の文字部分をアルファベット読みにし、「REM」の文字部分を英語読みに「レム」と称呼し、全体として、「エックスエックスアイレム」と称呼して、商品の取引に当たる場合がむしろ多いとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、商取引の実際において、これより生ずる自然の称呼は、「エックスエックスアイレム」であるということができる。

一方、引用商標を構成する文字は、特定の読みを持たない造語と認められるところ、英語の「xy」の綴り文字から始まる単語で、わが国において親しまれているものは多くなく、「xylem」、「xylene」、「xylograph」、「xylophone」、「xylonite」(甲第2号証ないし甲第6号証)のほか、わが国においても親しまれている「oxygen」、あるいは、虫歯の予防効果がある天然甘味料としてわが国でよく知られている「xylitol」を「キシリトール」と発音するように、「xy」の部分を「キシ」又は「ザイ」と発音する場合が多いとみるのが相当である。

そうすると、引用商標は、構成全体から生ずる自然の称呼は、「キシレム」又は「ザイレム」とみるのが相当である。

してみれば、本件商標より生ずる「エックスエックスアイレム」の称呼と引用商標より生ずる「キシレム」又は「ザイレム」の称呼は、構成する音数において著しい差異を有するばかりでなく、構成する各音の音質等の差により、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、互いに紛れるおそれはないといわなければならない。

なお、本件商標から生ずる称呼に関し、請求人は、英語の辞書に掲載されている「xi」の文字より始まる英単語をもとにして、引用商標の称呼を特定しているが、請求人の挙げた英単語は、いずれもわが国においては馴染みのないものであり、わが国の需要者が「xi」の文字より始まる英単語をもとに、本件商標の称呼を特定するものとは到底みられないところである。

(ウ)観念

本件商標と引用商標は、いずれも造語よりなるものであるから、観念においては比較することができない。

(エ)むすび

したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

甲第12号証(枝番を含む。)、甲第15号証ないし甲第17号証によれば、引用標章は、請求人の業務に係る商品「睡眠障害治療薬」(請求人商品)について、本件商標の登録出願前より米国で使用されていたことが認められ、請求人商品のような新薬の開発については、わが国におけるこの種の専門家の間では、ある程度知られていたことは窺い知れるとしても、請求人商品は、わが国においては未開発である上に、甲第16号証及び甲第17号証のみをもってしては、引用標章が請求人商品を表示するためのものとして、本件商標の登録出願前よりその需要者の間に広く認識されていたとまで認めることは、困難であるといわざるを得ない(仮に、引用標章がわが国において著名であるというのであれば、少なくともその片仮名表記や読み方に関する広告等があって然るべきであるところ、この点に関する証拠の提出はない。)。

そして、前記(1)で認定したとおり、本件商標は、「XYREM」の文字よりなる引用商標とは、商標それ自体非類似のものであり、したがって、引用標章とも商標において異なるものであることは明らかである。

そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、これより引用標章を想起又は連想することはなく、本件商標をその指定商品について使用しても、該商品が請求人又はこれと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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