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Trademark Appeal Case

称呼類似と著名商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2006−90182(T2006−90182/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4925711号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4925711号商標(以下「本件商標」という。)は,後掲(1)のとおりの構成からなり,平成17年7月1日に登録出願,第18類「かばん類,袋物」を指定商品として,同18年2月3日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第730237号商標(以下「引用商標1」という。)は,「LANCEL」の文字を横書きしてなり,昭和40年5月12日に登録出願,第21類「かばん類,袋物,宝玉およびその模造品,その他本類に属する商品」を指定商品として,昭和42年1月18日に設定登録,その後,昭和52年6月6日,同62年1月22日及び平成9年5月16日の3回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

同じく,登録第2370811号商標(以下「引用商標2」という。)は,後掲(2)のとおりの構成からなり,昭和63年8月5日に登録出願,第21類「装身具,ボタン類,かばん類,袋物,宝玉およびその模造品,造花,化粧用具」を指定商品として,平成4年1月31日に設定登録,その後,平成14年2月19日に商標権の存続期間の更新登録がなされ,さらに,平成14年7月3日に指定商品を第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」,第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」とする書換登録がなされているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第15号,同第19号,同第8号及び同第7号に違反して登録されたものであるから,その登録は取り消されるべきものであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし同16号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は,黒塗りのダイヤ型の図形中央に,アルファベットの「L」と考えられる文字を白抜きにした図形部分と,その下段に「Lancelot」の欧文字を書した構成からなり,〔ランセロット〕の称呼が生じるものと考えられる。

引用商標1は,「LANCEL」の欧文字を通常の書体で書してなり,その構成から〔ランセル〕の称呼を生じるものと考えられる。

引用商標2は,アルファベットの「L」と考えられる記号を規則的に並べ,全体として,幾何学的な模様を構成しており,その中央に小さく「LANCEL」の欧文字が書され,その構成から〔ランセル〕の称呼を生じるものと考えられる。

そして,引用商標1及び引用商標2は,申立人が商品「かばん類,袋物」について,長年使用し,需要者等に広く知られた著名商標となっているものである。

また,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,指定商品「かばん類,袋物」において抵触している。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標1及び引用商標2は,本件商標の出願時及び査定時において,指定商品「かばん類,袋物」について,需要者等に広く知られた著名商標となっていたものである。

したがって,商標権者が本件商標をその指定商品について使用すれば,これに接する需要者等が申立人の業務に係る,あるいは,申立人と組織的・経済的に何らかの関係ある商品であると認識するおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第19号について

引用商標1及び引用商標2は,本件商標の出願時及び査定時において,指定商品「かばん類,袋物」について,海外のみならず日本においても著名性を獲得しており,本件商標と類似するものである。

商標権者は,現在のところ,かばん類や袋物をその業務に係る商品として製造,販売していないことよりすれば,引用商標1及び引用商標2の著名性にフリーライドする意図があったと推認され,本件商標は,不正の目的をもって使用するものということができる。

(4)商標法第4条第1項第8号について

本件商標は,申立人の著名な略称「LANCEL」を含むものである。

(5)商標法第4条第1項第7号について

本件商標は,申立人が長年にわたり使用している「LANCEL」を含むものであり,申立人の商標「LANCEL」が諸外国ではもちろんのこと,日本国内においても著名であることは,周知であり,商標権者は,それを承知の上で,申立人の業務上の信用にフリーライドする意図で出願・登録されたものであり,商標権者が現在指定商品についての業務を行っていない状況では,このような登録を認めることは,国際信義上も問題であり,商業道徳にも反するものであるから,公序良俗に反するものである。

(6)まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号,同第19号,同第8号及び同第7号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は,後掲(1)に示したとおり,黒塗りのダイヤ様の図形中央に,アルファベットの「L」と考えられる文字を白抜きにした図形と,その下段に「Lancelot」の欧文字を横書きに配した構成よりなるものであるのに対し,引用商標1は,「LANCEL」の文字を横書きしてなるものであり,また,引用商標2は,後掲(2)に示したとおり,アルファベットの「L」と考えられる記号を規則的に並べ,全体として,幾何学的な模様を構成しており,その中央に小さく「LANCEL」の欧文字を配してなるものである。

ところで,本件商標の構成中の「Lancelot」の文字は,我が国における一般的な辞書である「広辞苑(第四版 岩波書店発行)」,親しまれた英語の辞書である「新コンサイス英和辞典(三省堂発行)」等々によれば,ヨーロッパ,特に英国における親しまれた伝説「アーサー王物語」に登場する「円卓の騎士」の代表的な登場人物「ランスロ」又は「ランスロット」を指称するものとして広く親しまれ,我が国においても,文献,映画等で広く紹介されている事実を認め得るところである。

してみれば,該文字は,上記登場人物を表すものとして,全体として一体的に把握されるべきものであり,これよりは,「ランスロ」又は「ランスロット」の称呼を生ずるものというを相当とする。

これに対し,引用商標1は,「LANCEL」の文字よりなり,また,引用商標の文字部分は,「LANCEL」の文字よりなるものであるから,これよりは,「ランセル」の称呼を生ずるものというべきである。

そして,本件商標より生ずる「ランスロ」又は「ランスロット」の称呼と引用両商標より生ずる「ランセル」の称呼とを比較するに,両称呼は,構成音が明らかに相違し,十分に聴別し得るものである。

また,本件商標の当該文字部分と引用両商標を構成する文字「LANCEL」とは,外観において,相紛れるおそれがない程度に相違し,観念においては,本件商標の当該文字部分が「アーサー王物語に登場する円卓の騎士の第1の勇士『ランスロ』又は『ランスロット』」の観念が生ずるのに対し,引用両商標を構成する文字「LANCEL」は,申立人の著名商標の観念を生ずるものであるから,明白に相違する。

その他,本件商標と引用両商標とが類似すると見るべきところはない。

してみれば,本件商標と引用両商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれより見ても,何ら紛れるところのない非類似の商標である。

(2)商標法第4条第1項第15号について

前記(1)において認定したとおり,本件商標と引用両商標とは,何ら紛れるおそれのない別異の商標と認められるから,引用商標が申立人の業務を表すものとして広く知られているとしても,本件商標に接する取引者・需要者が申立人の業務に係る,あるいは,申立人と組織的・経済的に何らかの関係ある者の業務に係る商品であると認識するおそれはないものといわざるを得ない。

(3)商標法第4条第1項第19号について

同様に,本件商標は,引用商標1及び引用商標2と相紛れるおそれのないものであるから,その著名性にフリーライドする意図があったと認めることができず,不正の目的をもって使用するものということはできない。

(4)商標法第4条第1項第8号について

本件商標は,当該文字部分が「アーサー王物語に登場する円卓の騎士の第1の勇士『ランスロ』又は『ランスロット』」の観念において一体的な語というべきであるから,分離して観察しなければならない理由はなく,申立人の著名な略称「LANCEL」を含むものということもできない。

(5)商標法第4条第1項第7号について

本件商標は,当該文字部分が「アーサー王物語に登場する円卓の騎士の第1の勇士『ランスロ』又は『ランスロット』」を採択の意図とするものであると認められ,申立人の業務上の信用にフリーライドする意図で出願・登録されたものということはできず,商業道徳に反することもなく,公序良俗に反するものということもできない。

(6)結び

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第15号,同第19号,同第8号又は同第7号のいずれにも違反して登録されたものということはできないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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