Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90308(T2006−90308/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4942516号商標(以下「本件商標」という。)は、次に示す構成からなり、平成15年3月3日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成18年4月7日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第852071号商標(以下「引用商標」という。)は、「VALENTINO」の文字を書してなり、昭和43年6月5日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、昭和45年4月8日に設定登録されたものである。
(2)理由の要点
ア 「VALENTINO」、「valentino」又は「バレンチノ」のブランドが遅くとも1976年ころには婦人服、紳士服等のファッション関連分野において、取引者、需要者に周知されていたことは、東京高等裁判所の判決によっても認められているところであり、少なくとも「VALENTINO」の欧文字からなるブランドは現在も婦人服、紳士服等のファッション関連分野の商品に使用されて、取引者、需要者間に広く認識されている。
イ 本件商標は、これを仔細にみれば、その全体を「PENERO VALENTINO」と判読すべきものであるとしても、これに接する者は、直ちに「V」の文字と「ALENTINO」の文字を捉え(「V」の文字の方が「P」の文字の上で、二段に横書きされた欧文字は下段の方が注意を強く引くから)「VALENTINO」と看取する場合が決して少なくないとみるのが簡易迅速を尊ぶ取引の経験則に照らして自然である。したがって、本件商標は、その構成文字中「VALENTINO」の文字を可分なものと認識することは自然であるといわざるをえない。
ウ 本件商標の指定商品は、前述の周知されているブランド「VALENTINO」或は「バレンチノ」の使用に係る商品、婦人服、紳士服等を含むものであるばかりでなく、ファッション関連分野の商品で、かつ、前述の周知されているブランドの使用に係る商品と取引者、需要者を共通にするものである。
エ 本件商標は、その指定商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者に周知されているブランド「VALENTINO」或は「バレンチノ」を使用する申立人又はこれと緊密な関係にある営業主の業務に係る商品であることを連想、想起させ、その商品の出所について誤認混同を生じさせるものであり、ひいては、本件商標の登録が申立人の周知商標の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招来するものといわなければならない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
本件商標は、上掲のとおり、「P」と「V」とを籠字風に描き、前者に後者を重ねてモノグラム化して表した図形と、その右側に、「ENERO」と「ALENTINO」の黒色文字を二段に配したものである。
そして、図形と文字部分とは、視覚上明らかに分離し、配色や大きさにおいて相違するうえ、これらが一体として観念され、称呼されるとすべき格別の事情はない。
してみると、本件商標は、「エネロアレンチノ」の称呼を生じさせるものであり、また、特定の観念を生じるものとはいえない。
したがって、外観、称呼及び観念からみて、本件商標は引用商標に類似する商標とはいえない。
申立人は、本件商標について、全体を「PENERO VALENTINO」と判読すべきものであり、「V」と下段の「ALENTINO」とを結びつけて看取する場合が決して少なくないとみるのが簡易迅速を尊ぶ取引の経験則に照らして自然であるという。
しかしながら、全体を「PENERO VALENTINO」と判読するとの明確な根拠はみいだせず、また、図形と文字部分とは、それぞれ独立して看取され認識されるとみるのが相当というべきであり、あえて一体的なモノグラム中の「V」部分を抽出し、かつ、下段の欧文字「ALENTINO」と結びつけて看取するのが取引上自然であるとは、俄には認め難いというべきである。
しかして、本件商標に接する者が、引用商標や、「valentino」又は「バレンチノ」を想起するものとはいい難いものである。
そうとすれば、引用商標、「valentino」又は「バレンチノ」が、本件商標の出願時において、婦人服、紳士服等の取引者、需要者に広く認識されるに至っていた商標といい得るとしても、本件商標と引用商標とは、別異の商標と把握されるというべきものである。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合に、取引者、需要者が引用商標等を想起し連想して、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係にある営業主の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、商品の出所を混同するおそれがあるとすることはできない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえないから、その登録は維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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