Trademark Appeal Case
称呼類似と著名商標の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90371(T2006−90371/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4952141号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成17年9月27日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年3月22日に登録査定、同年5月12日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)引用商標
登録異議申立人、スリーエム カンパニー(以下「申立人」という。)は、下記の5件の登録商標を引用している(以下、これらの商標をまとめて「引用各商標」という。)。
(a)登録第601478号商標は、「スリーエム」の文字と「3M」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和36年5月26日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同37年11月24日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成14年12月4日に指定商品の書換登録により、第6類、第9類、第16類、第19類及び第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
(b)登録第1100492号商標は、「3 M」の文字と「スリーエム」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和45年9月8日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同49年12月16日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成17年12月21日に指定商品の書換登録により、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
(c)登録第1499118号商標は、「スリーエム」の文字と「3M」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和53年5月26日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年2月26日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成14年7月31日に指定商品の書換登録により、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
(d)登録第3121127号商標は、太字で表した「3」と「M」の文字をその一部が接するように近接させて横書きしてなり、平成5年1月21日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年2月29日に設定登録されたものである。
(e)登録第4211324号商標は、太字で表した「3」と「M」の文字をその一部が接するように近接させて横書きしてなり、平成5年1月21日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年11月13日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成からみて、「3」と「M」との組み合わせ部分が要部であることは明らかであり、「3」が「M」の中央上に設けられていることから、「3M」と認識されるものである。
したがって、本件商標からは「スリーエム」の称呼を生じ、引用各商標からも「スリーエム」の称呼を生じるものであるから、本件商標と引用各商標とは共に「スリーエム」の称呼を共通にする類似の商標であり、外観においても類似する商標であって、互いの指定商品も抵触する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第8号について
「3M」は、審判平11−17295号(甲第2号証)においても認められているように、申立人の著名な略称であり、本件商標は、申立人の名称の著名な略称である「3M」を含むものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
申立人の「3M」商標は、申立人及びその日本子会社である住友3Mの出所に係る商品及び役務を示すものとして使用されており(甲第4号証)、申立人の2005年度の売上げは210億ドル(約2兆5000億円)、住友3Mグループの2005年度の売上げは約2500億円にも上る(甲第5号証、甲第6号証)。また、申立人の「3M」商標は、日本国周知・著名商標にも挙げられており(甲第7号証)、我が国及び世界各国において著名な商標である。そして、申立人らは、広範な事業分野にわたる極めて多数の商品・役務を取り扱っており(甲第4号証、第5号証及び第8号証)、申立人らの事業分野にはオフィス用品や日用品も含まれ、その需要者は、本件商標の指定商品の需要者と同じ一般消費者である。これらの点を考慮すると、本件商標がその指定商品に用いられるときは、申立人の商品又は役務との間で商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれが特に高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(5)よって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲に示したとおり、「M」の文字を大きく表し、その「M」の文字のV字状の部分の間に、やゝデザイン化した数字の「3」を右に緩やかに傾斜させて表し、また、「M」の文字の下には、極めて小さな文字をもって、「M」の文字に接するかのように「ENTERTAINMENT」の文字を配した構成からなるものである。
他方、引用各商標は、上記のとおり、「スリーエム」の文字と「3M」の文字あるいは、太字で表した「3」と「M」の文字をその一部が接するように近接させて横書きした「3M」の文字からなるものである。
そこで、本件商標と引用各商標の外観を比較するに、これらの商標は、いずれもアルファベットの「M」と数字の「3」を構成要素としている点において共通するところがあるとしても、本件商標は、「M」の文字の中にやゝデザイン化して表した数字の「3」を取り込んだかの如き印象を与えるものであって、「M」と「3」とが不可分一体的に構成されている一種独特な構成からなるモノグラムよりなるものということができる。これに対して、引用各商標は、「スリーエム」の文字と「3M」の文字あるいは、太字で表した「3M」の文字からなるものである。
そうとすれば、両者は、その構成態様において顕著な差異を有しており、この差異は、比較的簡潔な構成からなるこれら商標の外観に与える影響は大きく、商標全体から受ける視覚的印象を全く異にするものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において紛れるおそれはないものといわなければならない。
次に、両者の称呼についてみるに、本件商標は、上記したとおりの構成よりなるものであるから、本件商標から直ちに特定の称呼を生ずることはないものとみるのが相当である。してみれば、本件商標から「スリーエム」の称呼を生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用各商標とが称呼において類似するものとする申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき理由は、見出せない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。
(2)商標法第4条第1項第8号及び同第15号について
甲各号証によれば、本件商標の登録出願時において、「3M」の標章が申立人の著名な略称であり、引用各商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたものであることが認められる。
しかしながら、上記したとおり、本件商標は、「3M」の文字を含む商標とはいえないから、本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当する旨の申立人の主張は採用できない。
また、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る全く別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(4)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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