Trademark Appeal Case
著名邸宅名の周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90503(T2006−90503/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4965845号商標(以下「本件商標」という。)は、「グレイスランド」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成17年11月16日に登録出願され、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」を指定商品として、同18年6月30日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立ての理由を、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、アメリカが生んだ著名なロックンロール歌手「エルビス・プレスリー」が生前住んでいた邸宅の名称として世界的に知られる「Graceland」(以下「引用標章」という。)、また、その片仮名表記である「グレイスランド」と同一又は類似であり、相続人等の承諾を得ないで出願されたものであって、公の秩序又は善良の風俗を害するから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件邸宅名を商標とするライセンス商品が世界で多数販売されている現状から、その指定商品があたかも相続人等によって許諾を受けているなどのごとくに誤認を生ぜしめるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件登録の指定商品が、あたかも本件邸宅に使用されているもの、あるいはそれらと均等な物であるかのように、品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審の判断
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、引用標章は、著名なロックンロール歌手「エルビス・プレスリー」が生前住んでいた邸宅の名称であり、博物館として一般公開されており、観光地情報として紹介されていることが認められる(甲第1号証ないし甲第7号証)。そして、小泉前首相が、平成18年(2006年)6月に、グレースランドを訪問したことが認められる(甲第9号証ないし甲第11号証)。
しかし、本件商標の「グレイスランド」の文字については、広辞苑、コンサイスカタカナ語辞典、コンサイス外国地名事典にも掲載されていないことなどからすると、これに接する取引者、需要者が、「エルビス・プレスリーが生前住んでいた邸宅の名称」を表したものとして直ちに認識し、理解するとは言い難いから、引用標章が我が国において著名になっているものとは認められない。
(2)そして、本件商標の指定商品は、「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」であって、引用標章とはおよそ関連性のないものであり、一般に、請求人を含む建築材料を取り扱う業者が、引用標章との関連する商品を取り扱うものと認識される可能性は極めて少ないといわざるを得ない。
(3)このような事情の下において、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、その指定商品があたかも相続人等によって許諾を受けているなどのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)同様に、本件商標をその指定商品に使用しても、あたかも本件邸宅に使用されているもの、あるいはそれらと均等な物であるかのように、品質の誤認を生じさせるおそれはないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものではない。
(5)さらに、上記(1)のとおり、引用標章は、「エルビス・プレスリーが生前住んでいた邸宅の名称」を表示するものとして、我が国において取引者、需要者間に広く認識されていると認められないところであるから、本件商標は、引用標章の周知著名性に便乗して登録出願され、登録を受けたものというべきではなく、かかる行為が、個人の名声、名誉を傷つけるおそれがあるとは言えない。さらに、本件商標の登録については、その名声に便乗し、公正な取引秩序を害し、ひいては国際信義に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するものでもない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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