結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2005−90421(T2005−90421/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4862583号商標(以下「本件商標」という。)は、「THE CAT」の文字を標準文字により表してなり、平成13年11月20日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として平成17年5月13日に設定登録されたものである。
登録異議申立人が引用する登録第4249729号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり、やや図案化された「CAT」の文字からなり、平成5年5月10日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として平成11年3月12日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念において類似する商標であり、また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似する商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきものである。
当審において、平成18年7月18日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、「THE CAT」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成中の「THE」の文字は、英語の定冠詞を表したものと容易に理解し認識されるものであって、それ自体は独立して特定の意味合いを有せず、後に続く語を限定し強調するためのものとして認識されるに止まるものであるのに対し、「CAT」の文字は、「猫」の意味を有する英語としてよく知られ親しまれているものである。そして、本件商標は、その構成上も語義上も、「THE」の文字と「CAT」の文字とを常に一体不可分にのみ認識し把握されるべき特段の事情も見当たらないし、一般に、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、定冠詞と他の語とからなる商標が定冠詞を省略して取引に資されることも少なくない。
そうすると、本件商標は、親しまれた「CAT」の文字部分を捉え、これより生ずる「キャット」の称呼及び「猫」の観念をもって取引に資される場合も少なくないというべきであるから、「ザキャット」の称呼のほか、単に「キャット」の称呼及び「猫」の観念をも生ずるものである。
他方、引用商標は、やや図案化されているものの、「CAT」の文字が容易に読み取れるものであり、これより「キャット」の称呼及び「猫」の観念を生ずるものといえる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「キャット」の称呼及び「猫」の観念を共通にする類似の商標といわなければならない。
次に、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品についてみるに、本件商標の指定商品中「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」と引用商標の指定商品とは同一の商品といい得るものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」の商品については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
本件商標と引用商標との類否について検討する。
(1)外観上の類否について
本件商標は、英文字で「THE CAT」と横書きして成るのに対し、引用商標は、英文字で「CAT」と横書きしたものと思われる文字列の、Cの中間部からTの中間部にかかる部分を、三角形の図形の上に配して成るもので、Aの文字部分は、それのみを見た場合には、直ちにAの文字とは認識し得ない程度に図案化されているから、本件商標と引用商標は、外観上の違いは顕著である。
(2)称呼上の類否について
本件商標は、「ザキャット」の一連の称呼が生ずること明らかである。
その点について詳細に述べると、本件商標における「THE」は英文法上定冠詞かもしないが、それは定冠詞か否かに関係なく、商標上はあくまで商標の一構成要素であって、その構成態様上「CAT」と不可分に結合しているものである。
即ち、本件商標は、英文字を見た場合、3文字の「THE」と、同じく3文字の「CAT」とから成っていて、両者は共に短く且つ全く同等であるところからして、その前半部分を省略して把握されることは有り得ないと考えられる。殊に、本件商標の指定商品である被服等においては、需要者は商品を実際に目にして購入することが多く、当然のことながらその商標についても、目に入るものを以て商標として把握し、それに基づいて称呼することになり、本件商標については、全体的に短く且つ前半部と後半部とが同等であるため、これを「THE CAT」と一連且つ一体のものとして把握し、且つ、称呼することに疑う余地はない。これを「THE」「CAT」と分けてしまったら、それはもはや本件商標とは異なるものとなってしまい、勿論、それは商標採択者の意図に反するものとなる。そのように分離したものを個別に類否判断の対象とした場合には、それは本件商標についての類否の判断をしたことにはならない。
即ち、取消理由における認定は、判断の対象の把握を誤っており、その誤って把握された対象を以て行った判断が当を得ないものであることは言うまでもないところである。
取引の現実において一般需要者が当該商標を如何に把握するかを考察すると、上記のとおり、優劣のない「THE」と「CAT」とを連ねてなる本件商標に接した一般需要者が、これを一連のものと把握し、「ザキャット」と一連に称呼するであろうことに疑う余地はない。勿論、「ザキャット」なる称呼は冗長に過ぎることはなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
このように、本件商標の称呼は、「ザキャット」と一連のものとされるべきであり、それは、引用商標から生ずる、「ザ」を含まない単なる「キャット」又は「シーエーティ」なる称呼とは十分識別可能であることは明らかであり、本件商標と引用商標は、称呼上非類似の商標と認定されて然るべきである。更に、取消理由においても述べているように、「CAT」自体はよく知られた英語であるが、それはあくまで「CAT」単独での話であり、使用例が限られる「THE CAT」とは別である。換言すれば、「THE CAT」は、よく知られている単なる「CAT」とは異なるものとのイメージを以て感取され、「CAT(キャット)」について、「THE CAT(ザキャット)」と称呼された場合には、聴取者は違和感を覚えるものと考えられる。このことは、「THE CAT」と「CAT」とは称呼上誤認混同されることはなく、両商標は称呼上非類似であることを物語っている。この結論は、「CAT」が「CAT」単独にてよく知られていることから導き出されることでもある。よく知られているが故に、聴取者は、僅かな違いにも敏感に反応するようになるのである。
なお、異議申立書において証拠として挙げられている例は、いずれも語頭の「THE」に続く語は長くて「THE」と同等とは言い得ないものであり、また、「CAT」のように一般的に用いられている種類の語ではなく、更に、指定商品も異なっていて、それらは本件商標の場合と事情を異にしている。
(3)観念上の類否について
需要者が実際に目にし、かつ、手に取って選択することが多い被服等においては、商標の観念は主にその外観から生ずると言うことができるところ、上記のとおり本件商標と引用商標との外観上の相違は顕著であるので、観念の観点から、需要者が両商標を誤認混同する事態は生じ得ないと考えられる。
両商標の観念を考察すると、上記のとおり、「CAT」はよく知られた語であって、多くの人が直ちに「猫」を想起すると考えられるが、それは単に漠然とした「猫」のイメージである。これに対し、必ずしも一般的ではない「THE CAT」の場合は、単なる漠然とした「猫」ではなく、「何か特定の限られた範囲の猫」、ないし、「特定の個性を持った猫」、または、そのグループを想起し、それは単なる「猫」とは違うイメージである。
したがって、両者間において、観念上誤認混同を惹起するおそれはない。
因みに、引用商標のロゴは、世界的に著名な商標「キャタピラ」の所有者である異議申立人の所有に係るものであることからすると、引用商標に接した需要者又は取引者は、引用商標からは「CAT・猫」よりも、むしろ、異議申立人の業務に係る商品等を表示する商標「キャタピラ」を想起するであろうことは、十分に考えられることである。
一方、本件商標「THE CAT」に接した需要者又は取引者が、本件商標から、上記「キャタピラ」を想起することは有り得ない。この点からも、両商標は観念上非類似と考えられる。
(4)全体的な商標の類否について
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの観点からも非類似であり、全体的にも非類似と認定されるべきものと考える。この結論は、東京高裁平成7年3月29日判決、平成6年(行ケ)150号の判例からも、十分に是認できるものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号違反の取消理由はないものである。
本件商標と引用商標との類否について検討する。
(1)外観上の類否について
商標権者は、本件商標と引用商標は、外観上の違いは顕著である旨述べているが、本件商標は、英文字で「THE CAT」の文字を標準文字によりなるところ、前記4の取消理由で述べたとおり、その構成中の「THE」の文字は、英語の定冠詞を表したものと容易に理解し認識されるものであって、それ自体は独立して特定の意味合いを有せず、後に続く語を限定し強調するためのものとして認識されるに止まるものであるのに対し、「CAT」の文字は、「猫」の意味を有する英語としてよく知られ親しまれているものである。そして、本件商標は、その構成上も語義上も、「THE」の文字と「CAT」の文字とを常に一体不可分にのみ認識し把握されるべき特段の事情も見当たらないし、一般に、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、定冠詞と他の語とからなる商標が定冠詞を省略して取引に資されることも少なくない。
そうとすると、本件商標は、その構成中の「CAT」の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を有するというべきである。
他方、引用商標は、前記4の取消理由で述べたとおり、やや図案化されているものの、「CAT」の文字が容易に読み取れるものである。
そこで、本件商標の自他商品の識別標識としての機能を有する「CAT」の文字部分と引用商標とを対比すると、三角形の図形の上にやや図案化されたAを配して成るものの、英文字3字からなり、そのうち語頭の「C」と語尾の「T」は、同一の英文字であるから、外観上、称呼及び観念の類似性に影響を与えるような顕著な差異を有しているとまではいえないものである。
(2)称呼上の類否について
商標権者は、本件商標の称呼は、「ザキャット」と一連のものとされるべきである旨述べているが、本件商標は、前記(1)のとおり、その構成中の「CAT」の文字部分も自他商品の識別標識としての機能を有するから、該文字に相応して「キャット」の称呼をも生ずるものであり、他方、引用商標は、該文字部分に相応して、「キャット」の称呼を生じるものであるから、本件商標と引用商標とは、「キャット」の称呼を共通にする類似の商標である。
(3)観念上の類否について
商標権者は、本件商標は、「何か特定の限られた範囲の猫」、「特定の個性を持った猫」又はそのグループを想起し、それは単なる「猫」とは違うイメージである。他方、引用商標は、世界的に著名な商標「キャタピラ」の所有者である異議申立人の所有に係るものであることから、「CAT・猫」よりも、むしろ、異議申立人の業務に係る商品等を表示する商標「キャタピラ」を想起する旨述べているが、指定商品「被服,履物」等との関係及び「CAT」は、中学校初級程度の平易な英語で日本人の英語力を基準とすれば、「猫」の意味を有する英語としてよく知られ親しまれているから、日常親しまれた「猫」を想起、観念するものとみるのが相当である。
(4)全体的な商標の類否について
商標権者は、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念のいずれの観点からも非類似であり、全体的にも非類似と認定されるべきものと考える旨述べているが、上記(1)から(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、「キャット」の称呼及び「猫」の観念を共通にする類似の商標であること、外観上その称呼及び観念の類似性に影響を与えるような顕著な差異を有しないこと、及び「被服,履物」等の一般的取引等において、口頭による対面取引のほかにも電話等による取引がされる場合を否定する特殊な取引の実情が存するという理由及び証左は見出せないことから、両商標に接する取引者、需要者は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
(5)以上のとおり、商標権者の述べる意見はいずれも採用し得るものでなく、その他、前記認定を覆すに足りる事由及び証左は見出せない。
してみれば、本件商標は、その指定商品中「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」の商品については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
また、本件商標は、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、取り消すべき理由がないものであるから、商標法第43条の3第4項の規定により登録を維持する。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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