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結論

敗訴(請求棄却)

商標「ジャン・メルシー」の称呼の要部抽出(第4条第1項第11号|審判無効2006−89035(T2006−89035/J3))

審判番号
無効2006−89035(T2006−89035/J3)
審判種別
無効

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標「ジャン・メルシー」
争点(論点)
称呼の要部抽出
適用条文
第4条第1項第11号
指定商品・役務の区分
第16類・第29類・第30類・第32類
最終結論
請求不成立(敗訴(請求棄却))

この審決(審判無効2006−89035(T2006−89035/J3)・無効)は、本件商標「ジャン・メルシー」について、商標法第4条第1項第11号への該当性が争われた事例です。主な争点は「称呼の要部抽出」です。指定商品・役務は第16類・第29類・第30類・第32類に属します。特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」と判断しました(請求不成立)。類似する商標を出願する際は、本件の判断枠組みを踏まえて称呼・外観・観念や指定商品の重なりを事前に確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4916084号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジャン・メルシー」の片仮名文字と「Gens Merci」の欧文字とを二段に併記してなり、平成17年3月9日に登録出願、第16類、第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同17年12月16日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第586886号商標は、「メルシー」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和35年6月20日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同37年5月17日に設定登録、その後、4回に亘り商標権存続期間の更新登録がされ、指定商品については平成14年5月1日付けで第30類「菓子及びパン」に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第2705767号商標は、「MERCI」の欧文字を横書きしてなり、平成2年12月25日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年3月31日に設定登録、指定商品については、平成17年3月23日付けで第30類「菓子,パン」に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

以下、これらをまとめて「引用商標」という。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中の、第30類「菓子及びパン,ココア」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める、と申し立て、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

請求人は、世界的に有名な菓子メーカーであり、商標「MERCI」を付した菓子を日本をはじめとする世界各国で販売している。

ところで、本件商標は前記した構成からなるもので、片仮名文字「ジャン・メルシー」は、欧文字「Gens Merci」の読み仮名と認識されるものであるが、「ジャン」と「メルシー」の間に「・」(中ぐろ)が配されていることから、「ジャン」と「メルシー」とは明確に分離して看取されるものである。

また、「Gens」も「Merci」も、ともに仏語であるが、それぞれの意味は、「Gens」が「人々」の意味であるのに対し、「Merci」は「有難う、感謝、礼」といった意味合いを有するものであり、両者が結合して全体として1つの成語を形成するものではない。

したがって、本件商標よりは全体を仏語読みした「ジャンメルシー」のほかに、「ジャン」または「メルシー」のみの称呼をも生ずると認められるから、両商標は「メルシー」の称呼において類似する。

さらに、本件商標の指定商品中の第30類「菓子及びパン」は、引用商標の指定商品と同一であるし、また、本件商標の指定商品中の第30類「ココア」は、引用商標の指定商品と類似するものである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人は、答弁していない。

5 当審の判断

本件商標は、その構成上記のとおり、「ジャン・メルシー」の片仮名文字と「Gens Merci」の欧文字とを二段に併記した構成よりなるものである。

しかして、構成中「ジャン・メルシー」の片仮名文字は、欧文字「Gens Merci」の読みを表記したものと無理なく認識し得るところ、「ジャン」の片仮名文字部分は、欧米人(特にフランス人)の男性の名前として我が国において広く知られているといい得るから、構成中「Gens」の語が「人々」、「Merci」の語が「有難う、感謝、礼」の意味合いをそれぞれ有するフランス語であるとしても、これに接する取引者、需要者は、かかる各欧文字の意味合いを逐一詮索することなく、上記の「ジャン」の文字を含む上段に記し見やすい片仮名文字部分「ジャン・メルシー」の文字に着目し、欧文字部分と一体として欧米人(特にフランス人)の氏姓を不可分に表したものと認識し、把握するというのが相当である。

そして、本件商標の構成各文字は外観上まとまりよく一体として表現されており、これより生ずる「ジャンメルシー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。

そうすると、本件商標よりは、その構成文字の全体に相応し、「ジャンメルシー」の称呼のみを生ずるというのが相当であり、他に称呼は生じないというべきである。

請求人は、本件商標中の「ジャン」と「メルシー」の文字の間には、「・」(中ぐろ)が配されているから、両文字は明確に分離して看取されるものであり、また、両文字は結合して一体とした成語を形成するものではないから、これよりは、「ジャン」または「メルシー」のみの称呼をも生ずると主張しているが、本件商標は上記のとおりに判断するのが相当であるから、その主張は採用できない。

一方、引用商標よりは、その構成文字に相応し、「メルシー」の称呼を生ずること明らかである。

してみれば、上記「ジャンメルシー」と「メルシー」の両称呼は、語頭部分において「ジャン」の音の有無の明瞭な相違があるから、その構成音、構成音数の差により容易に聴別し得るものと認められる。

また、本件商標は、欧米人(特にフランス人)の氏姓を表したものと認識し、把握されるものであること上記のとおりであるから、「有難う、感謝、礼」といった意味合いを有する引用商標とは観念において相紛れるものということはできず、両商標は、外観において区別し得ること明らかである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れることのない非類似の商標といわなければならない。

なお、本件商標の指定商品中の「ココア」と、引用商標の指定商品である「菓子及びパン」(菓子,パン)とは、商品の用途、原材料、取引経路等を異にする非類似の商品と認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中の第30類「菓子及びパン,ココア」の登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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