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Trademark Appeal Case

定冠詞と一般名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−24074(T2004−24074/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「The Peptide」の欧文字を標準文字で書してなり、第30類「大豆ペプチドを配合した固形・粉末状・顆粒状・タブレット状・ペースト状・ゲル状・液状・カプセル状の加工食品」を指定商品として、平成15年10月15日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由

原査定は、「本願商標は、『The Peptide』の文字を書してなるものであるが、『Peptide』は、『2個以上のアミノ酸が結合した化合物の総称である「ペプチド」』を意味する語であるので、その語頭に英語の定冠詞『The』を付加させたとしても、『ペプチド』を強調したに止まるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の品質を誇称表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は、前記1のとおり、「The Peptide」の欧文字を標準文字で書してなるものであって、その構成自体に照らして、「The」と「Peptide」の2語からなるものと容易に認識され得るものである。

しかして、本願商標を構成する「The」の文字は、英語の定冠詞として知られている平易な単語であって、通常、「普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語」(広辞苑第5版)として理解されているものである。また、「Peptide」の文字は、「ペプチド結合によってアミノ酸二個以上が結合した化合物」(広辞苑第5版)である「ペプチド」を意味する英語であるが、この「ペプチド(peptide)」には、筋肉の修復、疲労回復や血圧の低下などの作用効果があることが知られており、近時、食生活の乱れや多様化、肥満や生活習慣病の増加等により、食品に対しても、健康に関する効果(食品機能)を求めるニーズが増える中、大豆ペプチド(大豆から抽出したペプチド)やサーデンペプチド(イワシから抽出したペプチド)などのペプチド成分を配合した栄養補助食品や飲料なども製造、販売され、人気となっているというのが実情であり、今や、この「ペプチド(peptide)」の語も、本願商標の指定商品を取り扱う健康食品業界においては、DHA(ドコサヘキサエン酸)、カテキン、ポリフェノール、コラーゲン、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸などと同様に機能性食品成分の一として、その名が知られているものといえる。

そうすると、本願商標は、かかる「ペプチド」を意味する英語の「Peptide」に、同じく英語の定冠詞「The」を付けたにすぎないものであって、その表示態様もごく普通のものであり、全体として、「Peptide」の語を強調したものと理解されるにすぎないから、本願商標をその指定商品である「大豆ペプチドを配合した固形・粉末状・顆粒状・タブレット状・ペースト状・ゲル状・液状・カプセル状の加工食品」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品が、上記作用効果を有する「ペプチド」(大豆ペプチド)を配合した商品であることを強調したものであると認識するものと認められる。したがって、本願商標は、商品の原材料又は品質を表示するものとして認識されるにとどまり、自他商品の識別力を有しないものといわざるを得ない。

(2)ちなみに、「ペプチド(peptide)」の文字(語)は、新聞記事及びインターネット情報等でも、以下のとおり使用されており、健康食品業界では、機能性食品の一成分として認識されていることが裏付けられる。

ア 1988年6月30日付け化学工業日報には、「健康食品協会、ペプチド利用食品の規格基準設定へ分科会設置」の見出しの下に、「食品のペプチドは、マクロファージ(貧食細胞)を活性化させるといった、食品の第三の機能を有する機能性食品物質として、厚生省をはじめ食品メーカーからも注目されており、今後、ペプチド含有食品開発が増えると予定される。」との記載がある。

イ 2004年7月20日付け朝日新聞(東京朝刊)には、「消化吸収の速いペプチド(体にきく話)」の見出しの下に、「最近、ペプチドという成分を売りにした健康飲料を見かけます。ペプチドとは、たんぱく質を構成する約20種類のアミノ酸が2〜10個程度組みあわさった状態をいいます。たんぱく質が1個1個のアミノ酸に分解される一歩手前のものと考えればいいわけです。・・・短時間でたんぱく質補給ができるので、筋肉の修復や疲労回復などの目的で主にスポーツ選手向けのサプリメントに使われてきました。それがここ数年、アミノ酸を含んだ健康飲料が人気を呼んでいることもあり、『より効果の高い成分を』とメーカー各社が開発に乗り出したとみられます。」との記載がある。

ウ 2005年1月1日付け日本食糧新聞には、「元旦号・第1部:識者が読む05年の食品界 『変化対応』3つの視点」の見出しの下に、「高齢化社会といったものが、食品産業にとって健康をテーマとした大きな市場であることは間違いないが、それのみならず、現在では社会全体が老若男女からベビーフードに至るまで健康志向となってきている。ここ数年ではざっと見ても、EPA、DHA、ファイバー、ベータカロチン、プロティン、カルシュウム、カテキン、ポリフェノール、ミネラル、コラーゲン、ペプチド、セサミン、ヒアルロンサン、コエンザイムなどの『〜入り』製品などがかなり出回ってきて、食品メーカーも健康を意識した補助食品の開発に力を注いでいる。」との記載がある。

エ 「東京ガス:食の生活110番Q&A:ペプチド飲料」と題するウェブページ(http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/note/419.html)には、「Q 最近“ペプチド”という名のついた飲料をよく見かけますが、ペプチドとはどんなものですか。」及び「A ペプチドとはたんぱく質がアミノ酸に分解される過程でできる中間物質で、アミノ酸の分子が複数個結合したものです。一般にたんぱく質はアミノ酸まで分解されて体内に取り込まれますが、実際にはその前段階のペプチドの状態で吸収されることがあります。ペプチドの形で体内に吸収されるということは、アミノ酸分子が数個分一度に取り込まれるので、吸収が早く効率がよいことになります。これを利用して、激しい運動をした後の疲労回復や筋力増強に役立つと言われ、大豆を原料としたペプチド飲料などが出回っています・・・」との記載がある。

オ 「ペプチド【健康Salad】」と題するウェブページ(http://www.k-salad.com/dic_supple/peptide.shtml)には、「ペプチドはアミノ酸がいくつかつながった化合物で、ペプチドでアミノ酸分子の大きなものはたんぱく質と呼ばれます。アミノ酸を単体で摂取するのと比べ、ペプチドの方が効率良くアミノ酸を吸収できるのが特徴。近年、サプリメントや機能性飲料で人気があります。また、ペプチドには素材によっていくつか種類があります。大豆から抽出したたんぱく質を酵素分解して作られる『大豆ペプチド』は、基礎代謝を良くし、疲労を回復および脳機能を良くさせる働きがあるとして注目。いわしから抽出したたんぱく質から作られる『サーデンペプチド』は、いわしに含まれるバリルチロシンという成分がより吸収されやすくなり、血圧を正常化する働きをします。ほかにも、乳性たんぱくから作られる『ホエイペプチド』などもあります。」との記載がある。

カ 「imidas2007」(株式会社集英社 2007年1月1日発行、636頁)には、「ペプチド」の見出し語の下に、「peptide アミノ酸が複数個結合したもの。・・・ペプチドの生理機能には各種あるが、第一はミネラルの吸収の促進である。・・・第二は、血圧低下作用である。・・・イワシ、ノリ、小麦などのたんぱく質から製造したペプチドが特定保健用食品(→別項)の材料として利用されている。ペプチドはたんぱく質よりも吸収が速いので、アミノ酸を体内に補給したいときに効果的。スポーツ飲料に配合されるのはその例である。」との記載がある。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、特定保健用食品および市場品において、成分表示として「ペプチド」が単独で用いられることはなく、ましてや「ザ」や「The」を冠した「ザ・ペプチド」または「The Peptide」が「ペプチド結合によってアミノ酸2個以上が結合した化合物」を原材料とする商品の原材料や品質を表す語として需要者・取引者間で普通に使用される事実はない旨主張する。

しかし、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、取引者・需要者に指定商品の品質等を表示するものとして認識され得る表示態様からなる商標であるか否かによって判断されるべきものであるから、現実に使用されているなどの事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。本願商標は、前記(1)のとおり、機能性食品の一成分として、その名が知られている「ペプチド」の英語表示である「Peptide」に、同じく英語の定冠詞「The」を付けたにすぎないものであって、その表示態様もごく普通のものであり、全体として、「Peptide」の語を強調したものと理解されるにすぎないから、取引者・需要者に指定商品の品質等を表示するものとして認識され得る表示態様からなる商標というべきである。

したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

イ 請求人は、「ザペプチド」は、日本語に英語「The」を付加するところに意外性がある旨主張する。

しかし、本願商標は、「The」と「Peptide」の2つの英単語を「The Peptide」と標準文字で表示したものであって、日本語に英語の「The」を付加したものではないから、その主張は妥当でなく、採用することはできない。

ウ 請求人は、自己が有する登録4106848号「ザ・ペプチド\The Peptide」(30類)、登録4332292号「ザ・ペプチド\The peptide」(29類)、登録第4505015号「ザ・ペプチド\The Peptide」(32類)の各登録商標は、識別性が認められて登録されていること、また、真珠粉末を主原料とする加工食品を指定商品とした商標「ザパール」の他、「ザカリー」、「ザフンマツ」の登録例を挙げ、本願商標も登録すべきである旨主張する。

しかし、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に拘束される理由はない。

したがって、この点に関する請求人の主張も採用することができない。

エ 請求人は、インターネットの検索エンジン(google)を使用して「ザペプチド」を検索すると、179件のヒットがありその殆どすべてが出願人(請求人)又は出願人(請求人)の関連会社であるトーラク株式会社の製造・販売に由来するものであり、他社の商品は出てこず、当該商品は市場において一定の地位・信用を形成している旨主張する。

しかし、本願商標は、「The」と「Peptide」の2つの英単語を「The Peptide」と標準文字で表示したものであって、片仮名による「ザペプチド」ではないから、その主張は妥当でない。

さらに、請求人は、健康飲料「ザ・ペプチド」(黒缶)は、2004年4月から販売している商品であって、筋肉ミュージカルの公式飲料として採用されたり、MONOマガジンで第17回スーパーグッズ・オブ・ザ・イヤーの銅賞を受賞するなど話題性があり、2004年度だけで、80万ケースを販売している周知性の高いものであること、出願人(請求人)およびトーラク株式会社が販売する商品「ザ・ペプチド」は、大豆ペプチドを配合した、いわゆる健康食品若しくはこれと密接な関係の商品であり、需要者・取引者において周知であるから、「ザ・ペプチド」の商標は、単に商品の品質を誇称表示するに止まらず、立派に商品名として市場において認識されており十分な識別性を発揮していること、そして、これを英語表記した本願商標「The peptide」は、「ザ・ペプチド」と同一の称呼を生じ、上記商品にも付されているものであるから識別性を発揮している旨主張する。

しかし、本願商標は、「The」と「Peptide」の2つの英単語を「The Peptide」と標準文字で表示したものであって、「ザ・ペプチド」と表示したものではない。また、請求人の提出に係る証拠をもってしては、本願商標「The Peptide」が使用により識別力を有するに至った商標と認めることもできない。

したがって、請求人の上記各主張も採用することができない。

(4)以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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