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Trademark Appeal Case

標語の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−22360(T2004−22360/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、線書きの四角形輪郭内に「美味」の文字と「献上」の文字とを二行に縦書きしてなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年1月27日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、その後、同年8月13日付け手続補正書において、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『美味』の文字と『献上』の文字を二行に縦書きしてなるところ、『美味』の文字部分は、『うまい味の食物』の意味合いの語を、『献上』の文字部分は、『さしあげること』の意味合いの語を連綴したものと認められ、全体として、これよりは、『うまい味の食物をさしあげます』程度の意味合いを理解、認識させるものであるから、これを本願の指定商品に使用しても、需要者が何人の業務に係る商品であるかを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記1のとおりの構成からなるものであるところ、その構成中「美味」の文字は、「うまい味。また、その食物。」(株式会社岩波書店 「広辞苑第五版」)の意味を有する語として一般によく知られたものであり、同じく「献上」の文字は、「与える」の謙譲語である「さしあげること。たてまつること。」(株式会社岩波書店 「広辞苑第五版」)の意味を有し、「献上品」、「献上菓子」のように使用されて、目上の人にさしあげることを意味する語として一般によく知られているところである。

そうすると、本願商標の構成は、ありふれた線書き四角形輪郭内に「美味」と「献上」の両語を二行に縦書きしてなるものと容易に理解し得るものであり、また、「美味献上」の文字は、一体として特定の熟語的意味合いをもつ成語とは認められないものであるが、「美味」及び「献上」の語、それぞれの意味より構成全体から「うまい味の食物をさしあげる」程の意味合いを理解するものである。

ところで、企業においては、その取扱商品や企業イメージに関して、需要者等に親しみや好感、信頼感などの良い印象を抱いてもらうよう日常的に心掛けているといえるところ、その一手段として、標語(キャッチフレーズ)などを採択し、それらを通して商品の広告、宣伝や企業イメージの向上に努めているのが実情といえる。そして、これらの中には、端的な宣伝語句であるもののほか、商品や企業のイメージを向上させることを目的とする観念的、抽象的表現の標語も採択されているところである。

そこで、これを本願の指定商品である食品を取り扱う業界についてみると、近年の高級志向あるいは本物志向を背景に、素材や産地へのこだわり、高品質、希少性等の価値ある商品であること、または、それらの信頼がおける商品を取り扱う企業であること等を端的に表して、文字のレタリングやその配置等にも配慮し、需要者の注意を引くような工夫を凝らした説明文ないしキャッチフレーズ等が付されて取引されることが、少なくないといい得るものである。

そして、食品を取り扱う業界において、「美味献上」および「美味」と「献上」の文字が、標語(キャッチフレーズ)などとして、宣伝広告等において用いられていることは、例えば、以下のインターネットのホームページ情報の掲載例により窺い知ることができる。

(1)「こだわり珍味総合商社 サクマフーズ株式会社」の見出しのもと「美味献上とは・・・『おいしいね!そんなささやきが聴こえる製品づくり』をモットーに、原料から製品を厳選し、本当に『おいしい』と自信をもてるものだけを揃え、おすすめできる製品の印、『美味献上(びみけんじょう)』が、目印です。」および「旬の味 美味献上 素材厳選 おいしいね!そんなささやきの聴こえるような商品を・・・素材にこだわってお届けしたいと願っています。 味の逸品 さくま」(http://www.sakuma-foods.co.jp/special.php?special_id=12)

(2)「STORE ECO」の見出しのもと、箱入り商品「健康茶 秘宝」の紹介写真において「厳選材料配合 美味献上 ものいわぬのに雄弁 良い商品は口伝えに拡がります。職人たちの情熱に磨きぬかれた「本物」だけがもつ不思議な魅力。 健康茶 秘宝」(http://store.yahoo.co.jp/eco/hihou.html)

(3)「有限会社サムツインズ」のホームページ(http://www.sam-twins.com/)における「へぎそば」の項のファイルに「秘技・美味献上 新潟の『へぎそば』・・・土産用乾麺・・・新潟名産へぎそばを是非ご家庭でお楽しみ下さい。お中元や、おみやげ用にご利用できます。・・・このたび新潟県小千谷の『へぎそば』を皆様にご紹介することとなりました。新潟を訪ねた折り、たくさんのおいしいものを口にいたしましたが、中でも印象的だったのが『へぎそば』です。・・・確かに、あの香り、歯触り、のど越し、どれをとってもNo.1のそばなのです。・・・」

(4)「まじめに安い!!☆激安365日☆プラスワンショップ」の見出しのもと「数の子1kg 美味献上!・・・味ひとすじの心意気と時代にふさわしい風味を求める丹精こめた銘品です。」(http://store.yahoo.co.jp/plus1shop/j10-201-003.html)

(5)「深海 −美味献上−」の見出しのもと、「大将のこだわり 地元の素材を中心とした料理。味はもちろんのこと目でも楽しむことができるよう一品一品に真心こめて工夫をこらしております。何よりもお客様が笑顔で喜んで帰っていただけることが私の喜びでもあり、一期一会の出会いを大切にしております。深海では『おいしい・鮮やか・お値打ち・楽しい』をモットーとし、お客様が『深海にまた行きたい』と思っていただけるよう最高のおもてなしを心がけております。ご来店お待ちしております。」(http://gogoshinkai.moo.jp/)

(6)「タツマ」の見出しのもと「注文フォーム」の項に「k06. 小沢逸品米・・・このお米は、小沢町でその年とれたお米の中で、一番美味しいお米を選び、お客様に献上する気持ちで作りました。」(http://www.tatuma.co.jp/)

(7)「活魚・寿司・郷土料理 てんがめ 天亀」の見出しのもと「宴会料理」の項に「宴会料理・・・大切なお客様のおもてなしに四季折々の美味を献上致します。」(http://www9.ocn.ne.jp/~tengame/main/enkai/enkairyori2.htm)

以上の事情を総合的に勘案すると、構成文字全体から「うまい味の食物をさしあげる」程の意味合いを理解する本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、自他商品の識別標識として認識するというよりは、むしろ、「(その企業あるいは店は)おいしい食物を(お客様に)提供させて頂きます。」程の意味合いを端的に表現し、企業の営業理念(モットー)を表したものとして認識、理解するということができる。

ところで、商標法第3条第1項第6号については、「商標法3条は、商標登録の要件を定めたものであって、・・・。このような商標法3条の規定の仕方及び内容にかんがみると、同条1項は、登録出願された商標が、『需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標』、すなわち、自他商品識別力を有していない商標である場合には、商標登録を受けることができないものとしているのであり、同項1号から5号までの規定は、当該商標の構成自体から『需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない』と認められる典型的な商標を例示的に列挙するとともに、同項6号において、同項1号から5号まで例示的に列挙された商標以外の『需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標』、すなわち、自他商品識別力を有していない商標を総括的、概括的に規定し、・・・・と解するのが相当である。したがって、同項6号にいう『需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標』としては、構成自体が商標としての体をなしていないなど、そもそも自他商品識別力を持ち得ないもののほか、同項1号から5号までには該当しないが、一応、その構成自体から自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないと推定されるもの、及び、その構成自体から自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものと推定はされないが、取引の実情を考慮すると、自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものがあるということができる。」(平成17年(行ケ)10651号 知財高裁 平成18年3月9日判決言渡参照)と判示されている。

これを本件についてみるに、本願商標は、上記、(1)ないし(7)の取引の実情を考慮すると、これを指定商品に使用しても、全体として上記意味合いを認識するものであり、人の注意を引くように工夫した商品の品質、企業の姿勢等を簡潔に表したキャッチフレーズないし宣伝文句として把握、理解されるものと判断するのが相当であって、結局、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。

なお、請求人(出願人)は、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、請求人が主張する過去の登録例に係る商標は、本願商標と審査又は審理における判断時、または、構成文字等を異にするものであって、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に拘束される理由はない。したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。

さらに、請求人は、インターネットのホームページ上での使用例をもって、安易にその文字の識別機能について論ずるのは適切ではない旨主張しているが、近年のインターネットによる商品等取引の普及の程度を考慮すると、各社の商品の品質表示、キャッチフレーズ等のホームページにおける使用例が、市場の実情と著しく乖離しているともいい得ないとみるべきであって、本願指定商品を取り扱う業界においても、あらゆる商品が、各社のホームページで紹介されていて、需要者等が、その情報のもとに、直接、当該商品を購入できる取引形態が普通に行われているところ、その種の取引形態において「美味献上」および「美味」と「献上」の文字が、実際に、宣伝広告等において用いられている実情は、上記のとおりであるから、この点に関する請求人の主張も採用することができない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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