Trademark Appeal Case
代理人による冒認出願
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90407(T2006−90407/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4954993号商標(以下「本件商標」という。)は、「ABTRONIC」の欧文字と「アブトロニック」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成17年10月27日に登録出願、第10類「業務用美容マッサージ器,医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」及び第28類「運動用具,筋力トレーニング用機械器具,その他の運動用機械器具」を指定商品として、同18年5月26日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当するから、その登録は取り消されるべきであるとし、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出している。
(1)「ABTRONIC」について
申立人は、EMS、すなわち、「電気的筋肉刺激を利用して筋肉を鍛える機器」を2001年5月から製造販売している者である。
そして、申立人は、米国、カナダ、ドイツ、香港、チリ、ブラジル、中国等において、「ABTRONIC」について、第28類「運動用具」及び第10類「医療機械器具」を指定商品とする商標登録を得ている。
また、アルゼンチン、オーストラリアほか多数の国へ輸出しており、わが国の累計販売数は1,345,740台であって、全体の三分の一に近く、価格にして約170億円にも達している。
以上のとおり、申立人は2001年5月から本件商標「ABTRONIC」を付した商品(本件機器)を世界的に販売し、また、各国においても商標登録を得ているものである。
(2)商標法第4条第1項第7号
本件商標の出願人(本件商標権者)である株式会社プライムは、申立人のわが国における代理人であったにもかかわらず、申立人に無断で出願し登録を得たものである。現在、本件商標権者は、「ABTRONIC」を販売していない。既に「ABTRONIC」の取扱いを止めたにもかかわらず、本件商標を出願し登録を得たものである。その目的は、申立人が本件機器を販売できぬよう商標の使用を妨害すること以外に考えられないものであり、かかる取得目的が不正なものであることは明らかである。
以上のとおり、本件の商標権者は、申立人の我が国における代理人であったにもかかわらず、申立人に無断で出願し登録を得たものであって、かかる出願により登録を得る行為は、申立人の代理人に対する信頼を裏切るものであり、公序良俗に反する。
(3)商標法第4条第1項第10号
本件商標は、申立人が我が国及び海外において使用した結果、我が国及び世界各国の需要者の間において広く認識されている商標と類似であって、その商品又はこれに類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号
本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号
本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は海外における需要者の間に広く認識されている商標と類似であって、不正の目的、すなわち申立人の使用を妨げる目的をもって使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号について
商標の構成において、公序良俗を害するおそれがない場合であっても、出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くものがあり、これを登録することが商標法の予定する秩序に反すると認められるときには、商標法第4条第1項第7号に該当する場合があると解される。
しかるところ、申立人提出の全証拠によっても、本件商標について、出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くとすべき事情等を推認させ得る的確な証左はみい出せないから、これを認めることはできない。
その他、本件商標は、その構成上、公序良俗を害するおそれがあるものとは認められないから、結局、商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第19号について
(ア)申立人提出の証拠によれば、2006年11月のTVショップ四国のホームページには、「アブトロニック」の表記とともに、本件機器及びその使用方法と思われる写真が掲載され、「いま、話題の、EMS効果!アブ・トロニック」と記載されている(甲第1号証)。
また、「ABTRONIC」の文字からなる商標が、申立人を名義人として、米国、カナダ等で登録されていることが認められる(甲第2号証ないし甲第16号証)。
そして、商標権者のホームページの「沿革」欄には、「2002年」として、「・1月/年末年始、全国『アブトロニック』一大プロモーションを実施、大成功を収める。」「・6月/アブトロニックのミリオンセラーにより、第7期決算・・を達成する。」の各記載が認められる(甲第17号証)。 また、ブログ「ひまな店長日記/平成14年5月〜6月」中には、「ABTRONIC」及び「アブトロニック」の記述があり(甲第18号証)、その他、ホームページ上に「アブトロニック、アブジムニック、アブソニック 話題のEMSマシン徹底比較!」との記載、「ニューアブトロスリムプロ ★一世を風靡したEMSマシン『アブトロニック』と同様!!」との記載が認められる(甲第19号証及び甲第20号証)。
2006年9月のウェブサイト「プライムショッピンク」(甲第21号証)には、「アブトロニック」「ABTRONIC」の記載はみあたらない(甲第19号証)。(なお、証拠中には、申立人と本件商標権者との関係を示す資料は見い出せない。)
(イ)そうすると、これら全証拠を総合しても、申立人がその使用を主張する商標が、本件商標の出願時に我が国の需要者の間において広く認識されるに至っていたと認めることはできない。
また、我が国以外において、本件商標の出願時に申立人の使用を主張する商標が、需要者の間において広く認識されるに至っていたと認めるに足りる証左もない。
(ウ)してみると、本件商標は、需要者の間に広く認識されていた商標ということができないから、当該条項の他の要件に論及するまでもなく、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と申立人の主張に係る商標が、仮に、その構成文字において近似するものがあったとしても、申立人の主張に係る商標について、その周知性を認め得ないことからすれば、本件商標をその指定商品について使用したとしても、これに接する需要者をして申立人の主張に係る商標を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものと誤信し、商品の出所について混同するおそれがあるものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(4)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものということはできないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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