Trademark Appeal Case
著名商標の類似性と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90160(T2006−90160/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4923168号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示するとおりの構成よりなり、平成17年6月27日に登録出願され、第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成18年1月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立理由の要点
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)所有の別掲(2)及び(3)に表示する登録第4317439号商標、登録第4864681号商標(以下、これらを「引用商標」という。)と類似し、引用商標は周知・著名であるので、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号に該当する。また、本件商標権者は、引用商標の著名性にフリーライドする目的で本件商標を使用するものであり商標法第4条第1項第19号に該当するから、その商標登録は取り消されるべきであるとして、本件登録異議を申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号
引用商標は、特有の書体の欧文字NとYをモノグラムとして重ね合わせ、Nの縦方向の両側の線が相互に対向するように内側に反っており、該Nの中心部とYの中心が交差するという構成を有する。
これに対して、本件商標は、同様に、欧文字Nの縦方向の両側の線が相互に対向するように内側に反らせ、縦方向に二本の線が相互の内側に反った状態で延びており、引用商標と同一の書体の欧文字Nの中心部を上記二本の線が交差するという構成を有する。
したがって、本件商標と引用商標とは外観において酷似している。
引用商標は、米国メジャーリーグの周知著名な球団であるNEW YORK YANKEESのチームロゴであり、該チームを指標し、また該ヤンキースに関する商品・役務の販売を促進するために使用されているものである。
引用商標は、人気スポーツ「MAJOR LEAGUE BASEBALL」の人気球団「ニューヨーク・ヤンキース(「NEWYORKYANKEES」)のチームのロゴとして世界的に広く知られ、米国のみならず我が国の需要者にとっても記憶深い商標である。引用商標は、我が国のみでなく世界各国で多区分の指定商品及び指定役務において商標登録出願及び商標登録されており、本件商標登録出願時前から周知、著名であることは明らかである。
引用商標は、特有の書体の欧文字NとYをモノグラムとして重ね合わせ、Nの縦方向の両側の線が相互に対向するように内側に反っており、該Nの中心部とYの中心が交差するという構成を有する。
これに対して、本件商標は、同様に、欧文字Nの縦方向の両側の線が相互に対向するように内側に反らせ、縦方向に二本の線が相互の内側に反った状態で延びており、引用商標と同一の書体の欧文字Nの中心部を上記二本の線が交差するという構成を有するから、引用商標の、上述の周知著名性を考慮すると、本件商標に接した需要者は引用商標と混同を生じるおそれがあり、外観において類似する。
さらに、本件商標の指定商品は、洋服、帽子等引用商標が永年にわたって使用されてきた商品と同一若しくは類似する商品である。
したがって、本件商標は周知著名である先行引用商標と外観において類似するものであり商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当する。
また、上述のところから、本件商標が周知著名である引用商標と外観において類似していることから、混同のおそれが生じるものであることは明らかである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号
本件商標に接した需要者は、引用商標の著名性故に、引用商標を想起するものであり、本件商標権者は明らかに著名な引用商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する目的で使用するものであるといえる。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 本件商標の取消理由
当審において、商標権者に対して平成18年11月1日付取消理由通知書をもって、本件商標の商標登録を取り消す旨通知した取消理由は、次のとおりである。
〈取消理由〉
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成17年6月27日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同18年1月20日に設定登録されたものである。
一方、引用商標は、別掲(2)又は同(3)のとおりの構成よりなるものであり、申立ての理由及び申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標は、米国のプロ野球のメジャーリーグに所属する球団・ニューヨークヤンキース(以下「ヤンキース」という。)が帽子やユニホームに使用しているチームロゴであると認められる。
そして、我が国においても、該メジャーリーグの野球の試合は、テレビを通じて数多く放映され、その結果などは新聞・雑誌等に掲載されているところであり、また、ヤンキースなどメジャーリーグに所属するチームのチームロゴを付した帽子やTシャツなどの商品が百貨店、小売店を通じて販売されていることは一般に知られているところであるから、引用商標は、ヤンキースのチームロゴとして取引者・需要者の間に広く知られ、著名性を獲得していると認められる。
そこで、本件商標を上記著名と認められる引用商標と対比すると、引用商標は、別掲(2)及び同(3)に示すように、「N」の文字の両側の縦線が相対するように内側に反り、これを連結する斜めの線がやや波を打って表され、その中央付近に「Y」の文字が配された構成よりなるものである。
これに対し、本件商標は、別掲(1)に示すように、「N」の文字が両側の縦線が相対するように内側に反り、これを連結する斜めの線をやや波を打って表され、その中央付近にやや内側に反った2本の縦線を配した構成よりなるものであり、「N」の文字の縦線の反り具合、両端部の角度、斜めの線の波打つ方向・程度など極めて酷似した態様で表されており、また、斜めの線の中央付近に配された2本の縦線も、上部がやや開かれて描かれ、引用商標の「Y」の文字の上部と近似しているという印象を受けるものである。
そうすると、本件商標の指定商品が帽子などのファッション関連商品であり、また運動用特殊衣服、運動用特殊靴を含むものである点を併せ勘案すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者は、これより直ちに引用商標を連想・想起し、該商品がヤンキースに関連する商品あるいはヤンキースのチームロゴに関するライセンス商品であるかのように、商品の出所について混同するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
(1)本件商標は、前記ヤンキースチームロゴとは非類似として商標登録を受けたとおり、NとYを組み合わせ、しかも全体として独自の特徴を有するNYマークではなく、NとHとを組み合わせたNHマークであり、決してヤンキースのYの文字は採用していない。
(2)そもそも、本件商標は、ヤンキースチームロゴに意図的に似せたものではなく、カジュアルウェアブランドの一つとして採用した「NEIGHBOR HOOD・ ... 」のNとHとを合わせてグラフィックデザインして作り上げた出願人オリジナルなマークで、ヤンキースチームロゴに意図的に似せたものではない。
(3)しかし、意図的でないにせよ、本件商標は、ヤンキースチームロゴと類似していないにしても、その著名性から商品の出所混同が生じるおそれがあるとされたので、改めて本件商標について再検討したが、本件商標には前述のように肝心のYの文字は存在しない。ニューヨークヤンキースは、ニューヨークをフランチャイズとするメジャー球団だから、「ニューヨーク」 は地名であって他のニューヨーク球団にメッツもあり、「ヤンキース」として有名です。その有名なチーム名であるヤンキースの頭文字のYの文字がないマークを、ヤンキースチームロゴと見誤ることは決してない。
例えば、ジャイアンツのGの文字がなくHの字に変わっているマークを読売ジャイアンツの関連グッズと見誤るとは思えない。
ヤンキース関連グッズであるか否かを判断してこのグッズをヤンキース関連と考えて購入するにせよ、見誤ってヤンキース関連グッズと誤認購入してしまうにせよそのような消費者や取引者は、野球ファンか松井ファンか少なくともスポーツファンであり、このような消費者や取引者にとってヤンキースは確かに有名なアメリカのメジャーリーグのチーム名であり、そのチームロゴは周知であると思う。
しかし、それだからこそヤンキースのYの字が存在しない本件商標がヤンキースチームロゴと間違われてしまうとは到底考えられないし、また、似ているからヤンキースチームロゴのライセンスを結んでいるいわばヤンキース関連グッズと見誤るとは到底考えらない。
Yの字のないヤンキースチームロゴがあるとは到底考えられないし、Yの字のない本件商標を見てもヤンキース関連グッズとは思わない。
(4)また、本件商標の図形中のNの字の左右が反り返っている点や、Yの字の上部が少し上部に開き加減で二つに分かれている点がHも上部では同じように分かれている点など全体としてヤンキースチームロゴに似ているとしているが、似ている点は確かにあるかと思う。どんな商標も特に図形商標の場合、似ている点を挙げればいくつかあるケースは多いと思う。しかし、逆に相違する点もある。Nの部分だけを見れば似ているが、そのNにYの字を重ねるヤンキースチームロゴに比して、本件商標はNの変形に呼応するようにヤンキースチームロゴとは違ってHをあしらう二本の縦線がNと同じく左右に夫々一本づつ内側に反らせて交差させており、この二本とも上から下まで貫いてNと統一一体感をもって配したマークで、むしろヤンキースチームロゴのYと違って逆にもっとNにマッチし、非常に交差イメージが強くそれでいて各太線の長さをうまく設定して全体として密にして丸く描かれたマークである。
いずれにしてもNだけ見れば似ているもののこれに交差させるHの二本線が非常に変わっており、全体として類似する商標ではない。
(5)本件商標は、このように非類似であると共に、前述のようにYの字はないマークで、しかも、このYはないけれどもHがこのYに似ているのではとの理由も少し無理があると言わざるを得ない。すなわち、たとえ上部が二本であっても下部がそのまま二本で貫いている以上、似ているという理屈は成り立ってもYがあるかのように見えたり、全体として見誤るほど似ているマークではないと考える。
特に前述の相違点並びに本件商標のデザイン特徴を考慮すれば、非類似であるだけでなく、見誤る程の近似性もないと考える。
してみると、Yの字が無く、Yの字を意識することもできない本件商標の構成が、ヤンキースチームロゴのNYマークに見えることは決してありえない。たとえ購入する最年少の野球少年でもYの字のないマークを見てヤンキースチームロゴと見誤ったり、関連グッズと誤認識することは決してないと考える。
(6)以上から、NとHとを組み合わせ、全体としてNの反りとHの二本の縦線の反りを調和させて統一感があり、NにHの縦線を密に重ねることで交差感も強く、またその各長さ位置の設定によって全体として丸みを帯びたデザインロゴに仕上げた商標であって、決してヤンキースのYの字のない本件商標が、たとえヤンキースチームロゴ(NYマーク)が著名であったとしても、本件商標を採用した商品がヤンキース関連グッズと出所混同が生じてしまうようなおそれは、決してないと確信する。
したがって、本件商標が商標登録なされたことに過誤はなく、商標法第4条第1項第15号に違反している商標登録でない。
5 当審の判断
(1)ニューヨークヤンキースの著名性について
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)メジャーリーグの球団ニューヨークヤンキース(NEW YORK YANKEES)は、1901年に設立され、100年以上の歴史を有する名門球団であり、190l年以来日本を含め世界中でヤンキースの略称で称呼され親しまれてきたものである。
(イ)引用商標は、1909年以来(途中使用を中止された期間もあるが)、ヤンキースの選手その他の関係者によって着用されているユニフォーム、帽子に顕著に表記されているものである。
(ウ)我が国においても、メジャーリーグの野球の試合は、テレビを通じて数多く放映され、その結果などは新聞・雑誌等に掲載されているところであり、2004年には、ヤンキースの開幕試合が東京ドームで開催され、10万人以上のメジャーリーグファンが観戦し、新聞、インターネット等で大々的に報道された。該開幕試合では、ヤンキースの松井秀喜選手が最優秀選手に選ばれた。これらのイベントでは、他の試合等の際と同様に引用商標が付されたヤンキース・グッズが販売されていた。
(エ)ヤンキースは、過去26回ワールドシリーズで優勝しており、2000年のニューヨークメッツと対戦したワールドシリーズを初め、過去39回ワールドシリーズに出場しており、アメリカンリーグ優勝を39回果たしている。
(オ)ヤンキースは、その設立以来、米国一番の大都市であり日本でも最も人気のある都市の一つであり、日本からの観光客の多いニューヨークを本拠地としていることから日本でもよく知られており、特に、日本人選手である松井秀喜が入団した2003年以来、ファンも飛躍的に増えている。過去においても、野球殿堂入りした選手中34名がヤンキースでプレイをしており、その中にはベーブリレース、ルー・ゲーリック、ジョー・ディマジオ、ミッキー・マントル等が含まれている。
(カ)ヤンキースのホームグラウンドであるYANKEES STADIUMでは、毎年多数の人が試合を観戦しており、その他の球場でもヤンキースの試合を少なくとも数百万の人が観戦している。引用商標は、かかるホームグラウンドである球場のショップ等で販売されているヤンキース・グッズに使用されており、また、ホームグラウンドである球場には、ホームプレート、メッツのダッグアウトの屋根、球場の外の旗等に引用商標が表記されている。また、日本その他の国から野球観戦にくる旅行者も多い。
(2)上記事実に加え、ヤンキースなどメジャーリーグに所属するチームのチームロゴを付した帽子やTシャツなどの商品が百貨店、小売店を通じて販売されていることは一般に知られているところであるから、引用商標は、ヤンキースのチームロゴとして取引者・需要者の間に広く知られ、本件商標登録出願日前に著名性を獲得していると認められる。
(3)本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標は、別掲(1)に表示すとおり、欧文字の「N」の両側の縦線が相対するように内側に反り、これを連結する斜めの線をやや波を打って表し、その中央付近に相互にやや内側に反った2本の縦線を配した構成よりなるものである。
引用商標は、別掲(2)及び(3)に表示するとおり、欧文字「N」の文字の両側の縦線が相対するように内側に反り、これを連結する斜めの線をやや波を打って表し、その中央付近に「Y」の文字が配された構成よりなるものである。
(イ)そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標が、連結する斜めの線の中央付近に配された2本の縦線が下側まで貫いているのに対し、引用商標が、連結する斜めの線の中央付近に配された「Y」の下部が1本の縦線と見られる点に差異を有するが、両者は「N」の文字の縦線の反り具合、両端部の角度、連結する斜めの線の波打つ方向・程度など極めて酷似した態様で表されており、また、連結する斜めの線の中央付近に配された2本の縦線も、上部がやや開かれて描かれ、引用商標の「Y」の文字の上部と近似しているという印象を受けるものである。さらにそれぞれの「N」の文字及び「連結する斜めの線の中央付近に配された2本の縦線」と「Y」の文字を含め各先端部分は尖ったまま表され、全体として基本的な構成部分を共通にするものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とが同一又は類似の商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、両商標が基本的な構成を共通にするものであることに惹き付けられ、それらの商品が同一の者又は何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると認識することが少なくないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、商品の出所について混同を生じさせるおそれのある類似の商標といわなければならない。
(ウ)本件商標と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品は、前記1のとおり帽子などのファッション関連商品であり、またその指定商品中に「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」を含むものである点を併せ勘案すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者は、これより直ちに引用商標を連想・想起し、該商品がヤンキースに関連する商品あるいはヤンキースのチームロゴに関するライセンス商品であるかのように、商品の出所について混同するおそれがあるものといわなければならない。
(4)商標権者の主張
(ア)本件商標は、NとYを組み合わせ、しかも全体として独自の特徴を有するNYマークではなく、NとHとを組み合わせたNHマークであり、決してヤンキースのYの文字は採用していない。そもそも、本件商標は、ヤンキースチームロゴに意図的に似せたものではなく、カジュアルウェアブランドの一つとして採用した「NEIGHBOR HOOD・... 」のNとHとを合わせてグラフィックデザインして作り上げた出願人オリジナルなマークで、ヤンキースチームロゴに意図的に似せたものではない、旨主張している。
しかしながら、本件商標の採択の意図が何であれ、これを商標として採択し使用したときに取引者、需要者がどのように認識するのかとの観点から審理するのを相当し、本件商標については、前述のとおり全体として基本的な構成部分を共通にするものであり、かつ、指定商品もスポーツに関連する「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」を含むものである。
すなわち、商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である(平成10年(行ヒ)85号、平成12年7月11日最高裁判決)、と判示されていることからも、本件商標は、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認定、判断したものであって、商標権者の主張は採用することができない。
(イ)また、商標権者は、その有名なチーム名であるヤンキースの頭文字のYの文字がないマークを、ヤンキースチームロゴと見誤ることは決してない。Nだけ見れば似ているもののこれに交差させるHの二本線が非常に変わっており、全体として類似する商標ではない。NとHとを組み合わせ、全体としてNの反りとHの二本の縦線の反りを調和させて統一感があり、NにHの縦線を密に重ねることで交差感も強く、またその各長さ位置の設定によって全体として丸みを帯びたデザインロゴに仕上げた商標であって、決してヤンキースのYの字のない本件商標が、たとえヤンキースチームロゴ(NYマーク)が著名であったとしても、本件商標を採用した商品がヤンキース関連グッズと出所混同が生じてしまうようなおそれは、決してない、旨主張している
しかしながら、本件商標は、全体として特定の観念が生ずるものではなく、引用商標はヤンキースが選手その他の関係者によって着用されているユニフォーム、帽子に顕著に表記され著名性があることは前記したとおりであり、しかも、メジャーリーグの球団名やロゴマークに関して商品化事業が行われている取引の実情を考慮すれば、本件商標が引用商標を表したものとして認識される蓋然性は高いものというべきである。
そうすると本件商標がその指定商品に使用された場合、本件商標に接した取引者、需要者は、その商品がヤンキース球団と親子会社、系列会社ないし商品化事業を営むグル−プ企業の提供に係る商品であろうと認識することが少なくないものと認めざるを得ない。
(5)以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標といわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。