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Trademark Appeal Case

商標使用の証拠認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2006−30735(T2006−30735/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4667996号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4667996号商標(以下「本件商標」という。)は、「日本電力」の文字を標準文字で書してなり、平成14年7月19日に登録出願、第39類「電気の供給」を指定役務として、平成15年5月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1及び2を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定役務について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 被請求人は、「電気の供給を不特定多数にしている」旨述べていることから、自己の業務が一般の需要に応じ電気を供給する事業、すなわち、一般電気事業(電気事業法第2条第1項)であると主張しているものと思慮する。電気事業法によれば、一般電気事業を営もうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならないと規定されている(同法第3条第1項)ところ、被請求人は、経済産業大臣より一般電気事業の許可を受けていることを裏付ける証拠資料を何ら提出していない。

したがって、被請求人が不特定多数の者に電気を供給しているとの主張は、客観的根拠を欠いたものといわざるを得ない。

イ 乙号証における「日本電力」の表示について

乙第2号証ないし乙第5号証に表示された「日本電力」の文字が「電気の供給」についての使用といえるには、商標法第2条第3項第3号ないし同第6号及び同第8号に規定する使用に該当する必要があるところ、これらの表示は、以下のとおり、「電気の供給」についての使用に該当するとは到底認められるものではない。

(ア)乙第2号証は、市販の大学ノートであるところ、これは、「電気の供給」に際し直接的に必要な物ではなく、また、一般電気事業者が、通常このようなノートに自己の役務の内容等を記載して「電気の供給」の用に供することは想像し難いことから、該ノートは、「電気の供給」との関係において、上記商標法第2条第3項に規定する使用に該当するものではない。また、該ノートの表紙に「平成17年5月6日」と表示されているが、上記のとおり、該ノートは「電気の供給」と何ら関係のない物に該当するから、その日付をもって本件商標が「電気の供給」に使用されたことの客観的証拠とはなり得ない。

(イ)乙第3号証は、市販の無地封筒と思われるところ、乙第2号証と同様、「電気の供給」に際して、直接的に必要な物ではないから、該封筒は、「電気の供給」との関係において、上記商標法第2条第3項に規定する使用に該当するものではない。また、封筒の裏面に「日本電力」及び「平成7年6月8日」が表示されているが、そもそもその日付に該封筒がどのように使用されたのかも不明であり、さらに、「日本電力」の文字表示以外に発信者の住所又は連絡先に相当する記載が何ら存在しないのは、明らかに不自然といわざるを得ない。

(ウ)乙第4号証及び乙第5号証は、一般住居と思われる建物の一室の窓を屋外から撮影した写真であるところ、窓に貼られた白紙は、「電気の供給」に直接的に必要な物ではなく、また、単なる標章のみの広告、看板は企業広告であり、役務に関する広告には該当しないことから、該白紙は、「電気の供給」との関係において、上記商標法第2条第3項に規定する使用に該当するものではない。また、乙第4号証及び乙第5号証には、「’05 7 20」、「’05 7 22」の日付が表示されているが、撮影者が特定されておらず、その日付に撮影されたことを示す客観的証拠としては、信憑性に欠けるものである。

ウ 被請求人は、電気の供給をうけた人の証明書(乙第1号証)を提出したようであるが、当該証明書に個人情報が記載されているとの理由により、請求人には開示されていない。被請求人は、不特定多数の者に電気の供給をしていると主張しているにもかかわらず、特定の個人情報が記載された証明書しか提出できないのは、極めて不自然といわざるを得ない。

エ 以上のように、乙第1号証ないし乙第5号証における「日本電力」の表示は、単に不使用取消の審判を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為といわざるを得ないから、乙第1号証ないし乙第5号証における日付は、いずれも本件審判の請求の登録日(平成18年7月6日)前3年以内に、被請求人が本件商標を「電気の供給」に使用したこと及びその時期を客観的に裏付けるものではない。

(3)したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。(ただし、乙第1号証、乙第9号証及び乙第10号証は、個人情報保護法のため、正本1通のみを提出。)

(1)電気の供給は、不特定多数にしているが、その中から電気の供給をうけた人に電気の供給をうけた証明をしてもらい、その証明書を提出する(乙第1号証及び乙第10号証)。

(2)電気事業法によれば(注:審決で加筆。)、同じ建物の中の同じ部屋の中では電気の供給をしてもいいとある。したがって、同じ建物の中の同じ部屋の中で不特定多数に電気の供給をしたのでなんの問題もない。

また、ノートと封筒の「日本電力」の表示は広告であり、本件商標が使用された証拠である。

ノートの日付は、その日から記入するために記載されているものであり、封筒の日付は、その日から書類を入れるために記載されているものであって、いずれの日付もその当日に記載したものであり、同日付で本件商標が電気の供給に使用された証拠である。

そして、電気メーターは電気盤(乙第6号証)の中にあり、電気盤の中のコンセントから電気の供給をするものである。

4 当審の判断

(1)使用の事実を示す証拠について

ア 乙第1号証は、東京都豊島区目白2−27−13−159に所在のA(なお、上記住所は、商標権者と同一の住所と認められる。)が、平成17年5月5日に、被請求人(商標権者)より電気を購入したことを証明した平成18年7月15日付けの証明書と認められる。乙第10号証は、大阪市城東区関目5−13−15に所在のBが、平成17年5月6日に、被請求人(商標権者)より携帯電話器の電池パック(バッテリー)の充電をして、その代金100円を支払ったことを証明した、平成19年2月9日付け証明書と認められる。

しかしながら、両証明書は、いずれも、その記載内容を裏付ける客観的な証拠の提出はない。

イ 乙第2号証は、手書きで「日本電力」、「平成17年5月6日」と書された大学ノートの表紙(写し)であり、また、乙第3号証は、同じく手書きで「日本電力」、「平成17年6月8日」と書された無地の封筒(写し)と認められるところ、これら大学ノート及び封筒は、取引者、需要者に対して配布等する役務に関する宣伝広告物や取引書類とはいえないものであり、また、これらが現に「電気の供給」の取引に際し使用されたとの事実も認められないから、これら証拠方法が本件請求に係る指定役務である「電気の供給」に関し、どのような関係を有するものであるか不明であるといわざるを得ない。

ウ 乙第4号証及び乙第5号証は、手書きで「日本電力」と書された紙片が貼付された家屋の窓を屋外から撮影した写真であり、乙第7号証及び乙第8号証は、「日本電力」の文字とその左側に小さく「電気の販売のことなら」の文字を書し、さらに被請求人の住所、氏名、電話番号を表示した屋外に設置された看板を撮影した写真と認められる。

しかし、これら乙各号証には、「日本電力」や「電気の販売のことなら」といった文字等が表示されているものの、これらは、被請求人が「電気の供給」を提供していることの具体的な事実関係を示すものではないから、これによっては、本件商標が「電気の供給」について使用されたことを証明し得たものということはできない。

エ 乙第6号証は、屋内の壁面に取り付けられた白いボードの基盤上に組み付けられた電気盤の写真と認められるところ、同電気盤の左上部には、「日本電力」及び小さく表示した「電気の販売のことなら」の文字を記した白い紙を貼った電気メーターが取り付けられ、その電気メーターの左側の延長コードは左側壁面の外に延び、同右側の延長コードには8個の2口コンセントが接続され(電気メーターの右側の接続線には黒い小さな電気器具が取りつけられ、また、一番右下のコンセントにはアダプターのような電気器具が差し込まれている。)、そして、同電気盤の右上部には「日本電気」の文字と小さく表示した「電気の販売のことなら」の文字及び被請求人の住所、氏名、電話番号が記載された大きめの白い紙が貼付されている。

しかるに、電気の供給等の電気事業の運営に当たっては、おおよそ発電設備、変電設備あるいは送電設備等を要するのが一般といい得るところ、乙第6号証には、上記のとおり、屋内の壁面に取り付けれられた白いボードの基盤上に組み付けられた電気盤が表示されているにすぎないものであり、しかも、この電気盤の左側の延長コードが如何なる電気設備(発電設備等)と接続されているのかも不明であって、結局、これによっては、被請求人の取扱いに係る役務(電気の供給)の内容自体が具体的に明らかにされたものとはいえないものである。

そうすると、乙第6号証によっても、被請求人が、本件商標を「電気の供給」について使用している事実を証明し得たものということはできない。

そして、提出された証拠によっては、被請求人が、請求人のいう電気事業法に定める電気事業者(第2条)等であったということもできない。

(2)上記アないしエによれば、被請求人が提出した乙各号証をもってしては、使用に係る商標「日本電気」が被請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして、市場において自他役務の識別標識として使用されたと認めるには、きわめて不十分であるといわざるを得ず、したがって、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を請求に係る指定役務について使用したものと認めることはできない。

他に、上記認定を覆すに足りる証拠の提出はない。

(3)むすび

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内

に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務について、登録商標の使用をしていたことを証明したということはできない。

また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務に使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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