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Trademark Appeal Case

ローマ字とカナの称呼同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2006−30498(T2006−30498/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4584624号商標の指定商品中、第29類「煮豆」についての登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4584624号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジャックと豆の木」の文字を標準文字で表してなり、平成13年9月19日に登録出願、第29類「加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),加工野菜及び加工果実,肉製品,かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同14年7月12日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

(1)請求の理由

請求人の調査したところによれば、本件商標については、その指定商品に係る第29類「煮豆」について、商標権者、使用権者のいずれもが継続して三年以上、日本国内において使用している事実は見受けられず、不使用について正当な理由があるとも考えられないので、商標法第50条第1項の規定により、本件商標に係る第29類「煮豆」については、その登録を取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人による平成18年9月19日付け答弁書には、本件商標に係る使用事実を証明する証拠が提出されているが、これら各証拠から被請求人が本件商標を予告登録前3年以内に日本国内で使用していた事実を示す証拠はないと言わざるを得ない。

本件商標の使用態様の変更は、標準文字(明朝体)によって切れ目なく横一行で書された「ジャックと豆の木」によって登録されたものであるのに対して、被請求人が答弁書によって、使用の事実を証明している商標の構成は、「JACK TO MAMENOKI」(以下「使用商標」という。)である。また、被請求人はその答弁書において、「JACK」が英語読みであるのに対して「TO」及び「MAMENOKI」がローマ字読みであることのアンバランスについて種々に論じているが、英語教育が義務教育として確立されているからこそ、上記使用商標に接した一般の消費者等においては、「TO」を「ト」ではなく英語読みの「トゥー」とし、直ちに「ジャック トゥー」と発音するものと考えるのが自然な観察であろうと思料される。更に続いて、当該使用商標に対し思考を巡らせた末に、「TO」が英語読みではなく、ローマ字読みであることに気づくのであるが、何か不自然さがある。

上記観察から、被請求人における使用商標の態様はもはや同一字形体、更には表音文字間の変更範囲を逸脱した範囲に至っているものであり、到底社会通念上同一と認められる範囲にはないものと言わざるを得ないのである。

なお、平成18年9月22日付け提出の答弁書(第2)に被請求人が主張する「黒豆ゼリー」及び「黒豆ムース」は実質的に煮豆であるとの点については、特許庁における商品認定を待つものとする。

(ウ)以上のように、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件商標の使用事実が認定できない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標の使用者

本件商標の権利者は被請求人である共立産業株式会社であるが、本件商標については平成14年8月1日に通常使用権が菊池食品工業株式会社に許諾されている。乙第1号証は通常使用権設定契約書の写しである。但し、この通常使用権については設定登録はされていない。

本件商標は通常使用権者である菊池食品工業株式会社(以下「通常使用権者」という。)によって本件審判請求前3年以内に日本国内においてその取り消しに係る指定商品「煮豆」について使用されている。

(2)本件商標はかたかな、ひらがな及び漢字を用いて「ジャックと豆の木」を一連に横書きしたものである。

これに対して、通常使用権者により使用されている商標の使用態様はローマ字を「JACK TO MAMENOKI」と一連に横書きしてなるものである。

両商標は同一ではないが、使用商標は本件商標に対して商標法第50条第1項に規定する「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当するものである。

使用商標のうち「JACK」は英語圏における男性の名前であり、日本においては古くからの英語教育、特に義務教育の冒頭の段階において“Jack&Betty”(ジャック アンド ベティ)として英語教科書に出てくる名前であり、従って英語圏での名前として日本人にとって最も馴染みがあり親しみのあるものであって、この「JACK」を「ジャック」と読めない者は殆ど皆無であると思われるし、これが(英語圏の)男性の名前であると大多数の者が認識するといっても過言ではない。

また、「TO MAMENOKl」は、英語教育が曲がりなりにも義務教育において行き渡っており、ローマ字についての素養も教育されている大半の日本人にとってはこのままでは英語ではないことが直ちに認識され、英語ではないならばローマ字読みをすることは自然の成り行きであり、しかして、併記されている絵柄も一緒に視認されることから、全体として「ジャックと豆の木」であると認識されるに到るのに大きな困難はなくまた多くの時間、多くの思考は必要としない筈である。

他方、「ジャックと豆の木」は内容を詳細に知らないとしても西洋(イギリス)の昔話のタイトルであること程度は、日本のお伽噺の「桃太郎」「金太郎」「浦島太郎」などと同様に殆どの日本人は年齢の高低に拘わらず、男女の違いに拘わらず知っている筈である。

かくして、使用商標は使用商標と併記されている絵柄とともに視認されることによって、「JACK TO MAMENOKI」が「ジャックと豆の木」と同一の称呼、同一の観念であると見る者によって認識されるものである。

これらのことから、使用商標は本件商標に対して商標法第50条第1項に規定する「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当するものである。

(3)使用商品

100%の黒豆の煮汁をゼリー状に仕上げてその中に黒豆の煮豆を入れた「黒豆ゼリー」及び黒豆を皮ごと丸々潰したものをペースト状にしてそれに黒豆の煮豆の粒とごく少量の生クリームを加えてムースとしたものを夫々容器に入れた製品を夫々6個ずつ箱詰めした詰め合わせ商品として、この商品を「JACK TO MAMENOKI」とそれに併記した絵柄のブランドにより、数年前より現在に至るまで季節の詰め合わせギフト商品あるいは通販商品として販売されている。

通常使用権者が本件商標を付して使用している商品は上記のとおりであり、その商品「黒豆ゼリー」及び「黒豆ムース」は実質的に黒豆の煮豆である。

すなわち、黒豆を水で煮しめただけの豆及び煮汁だけを用いて、賦形と味付けのために極く僅かの他の成分を加えた殆ど純粋の煮豆の加工食品である。

ただ、従来の既成の概念からする煮豆、即ち「豆類を砂糖・醤油で煮しめたもの(広辞苑)」あるいは「味をつけて煮た豆(大辞林)」とは多少趣をことにしている商品であることも事実である。従来の概念での煮豆は豆自体が原形をとどめていて豆そのものの存在が主体であると考えることも出来る。

しかしながら、商品は日々進歩、変遷し、新しい商品が開発され提供されていくものであり、本件使用商品も従来からの既成概念の煮豆をより食べやすくした新しいタイプの煮豆商品である。

本件における使用商品も実質的には煮豆の範疇に属すべき商品であると考えるが、もし仮に語句「煮豆」として定義されることが従来の観念からして必ずしも馴染まないとしても、本件の使用商品は商標法において定められている煮豆が属する類似群(32F04)の加工野菜及び加工果実の範疇に属すべき商品であることは商品の実体からして間違いないところである。

(4)証拠の説明

乙第1号証は、本件商標権の通常使用権が商標の使用者である菊池食品工業株式会社に許諾されていることを示す通常使用権設定契約書の写しである。

乙第2号証は、上記の使用商品として説明した商品を示す写真である。2種類の煮豆の商品を詰め合わせた商品として現在も通信販売により販売されている。

乙第3号証の1は、大手スーパー「ダイエー」(以下「ダイエー」という。)の販売カタログ(抄コピー)。2003年中元時期(2003年6、7月期)において消費者に頒布されたものである。

このカタログには上記において説明した使用商品が掲載されており(第2ページ、商品番号:YFD−06,0471−344,「菊池食品黒豆デザート」)、カタログの頒布時期、商品の販売時期が2003年中元時期(2003年6、7月期)であることが表示されている。

乙第3号証の2は、乙第2号証の1のカタログの発行者であり、使用商品の販売者である「ダイエー」の食品商品供給本部デイリー部の小西善久氏による証明書。

この証拠は、乙第3号証の1の販売カタログが「ダイエー」により消費者に対して頒布されたカタログであること、及びそのカタログに記載された当該使用商品が当該時期に販売者により仕入れられ、販売された事実を、当時及び現在の販売者の仕入れ担当者により証明するものである。証明書に添付されている商品写真は現在においても通信販売により販売されている使用商品の写真であるが、写真撮影に使用した商品を証明者のもとに持参して写真の商品はカタログに掲載されておりその時期に販売された商品と同等のものであることを証明者が確認した上でこの証明書は作成されたものである。

乙第4号証の1は、「ダイエー」の販売カタログ(抄コピー)。2003年歳暮時期(2003年11、12月期)において消費者に頒布されたものである。

このカタログには上記において説明した使用商品が掲載されており(第45ページ、商品番号:YFD−06,0471一344,「菊池食品黒豆デザートセット」)、カタログの頒布時期、商品の販売時期が2003年歳暮時期(2003年11、12月期)であることが表示されている。

乙第4号証の2は、乙第3号証の1のカタログの発行者であり、使用商品の販売者である「ダイエー」の食品商品供給本部デイリー部の小西善久氏による証明書。

この証拠は、乙第4号証の1の販売カタログが「ダイエー」により消費者に対して頒布されたカタログであること、及びその販売カタログに記載された当該使用商品が当該時期に販売者により仕入れられ、販売された事実を、当時及び現在の販売者の仕入れ担当者により証明するものである。証明書に添付されている商品写真は現在においても通信販売により販売されている使用商品の写真であるが、写真撮影に使用した商品を証明者のもとに持参して写真の商品はカタログに掲載されておりその時期に販売された商品と同等のものであることを証明者が確認した上でこの証明書は作成されたものである。

乙第5号証の1は、「The Bistro(ザ・ビストロ)」2004年、第9巻(カタログ番号:04050553)通信販売カタログ(抄コピー)。2004年6,7月期における通信販売のカタログとして販売者であるロイヤルステージ株式会社の顧客宛てに頒布され、また不特定の消費者にも郵便、宅配などにより頒布された。

このカタログには上記において説明した使用商品が掲載されており(第18ページ、商品番号:030459,「黒豆ムース&黒豆ゼリーセット」)、カタログにはこのカタログが2004年5月に発行され、商品の販売時期が2004年6、7月期であることが表示されている。

乙第5号証の2は、販売者、ロイヤルステージ株式会社のカタログ販売のための商品の仕入れ担当責任部課である管理部の課長伊与嗣勝氏による証明書。

この証拠は、乙第5号証の1のカタログが販売者、ロイヤルステージ株式会社が2004年5月に発行したものであること、及びそのカタログに掲載されている当該使用商品が当該時期に販売者により仕入れられ、通信販売されたことを証明するものである。証明書に添付されている商品写真は現在においても通信販売により販売されている使用商品の写真であるが、写真撮影に使用した商品を証明者のもとに持参して写真の商品はカタログに掲載されておりその時期に販売された商品と同等のものであることを証明者が確認した上でこの証明書は作成されたものである。

また、乙第2号証の写真の商品は、箱詰めの商品であるが、その包装用の箱は、一般的に化粧箱と称しているものであって、底部(本体部)と蓋部とより構成されており、底部と蓋部とが一体的に連結していないタイプのものである。蓋部は底部より僅かに大きく、蓋部を底部に覆い被せるもので、このような包装箱は常套的なものである。

(5)結論

以上により、本件商標が本審判請求前3年以内に、商品「煮豆」に使用されていることは明らかであり、本件商標は商標法第50条第1項によって取り消されるべきではない。

4 当審の判断

本件商標は、前記のとおり「ジャックと豆の木」の文字を書してなるところ、被請求人は、通常使用権者である菊池食品工業株式会社によって、本件審判請求前3年以内に日本国内において、その取り消しに係る指定商品「煮豆」について使用していると述べ、その証拠として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出しているので、以下検討する。

被請求人の提出に係る前記証拠についてみるに、2003年ダイエーのお中元カタログ(乙第3号証の1)に「兵庫産・丹波種黒豆から抽出したエキスをそのまま『デザート』にしました。」、「菊池食品 黒豆デザート」の記載とともに使用商品が箱に入った状態の写真を掲載、2003年ダイエーのお歳暮カタログ(乙第4号証の1)に「菊池食品 黒豆デザートセット」の記載とともに使用商品が箱に入った状態の写真を掲載、2004Vol.9「The Bistro」(ザ・ビストロ)のカタログ(乙第5号証の1)には、乙第3号証の1及び乙第4号証の1と同一の箱に入った使用商品の写真とともに「煮豆専門メーカーだから実現した『黒豆ゼリー』は、黒豆の煮汁100%。また、黒豆100%ペーストに生クリームを加えた『黒豆ムース』は二層仕上げで、和と洋の2種類の味わいがとても新鮮なデザートです。」との記載がある。

そうすると、通常使用権者が使用しているとする商品は、黒豆の煮豆そのものではなく、黒豆やその煮汁を原材料とした「黒豆ゼリー」及び「黒豆ムース」であり、しかも、上記のとおり、通常使用権者は、使用商品が「デザート」として紹介していることが認められるところである。

そして、広辞苑第5版の「デザート」の項には「西洋料理で、食事の最後に出す菓子・果物など。」との記載、「ゼリー」の項には「水で溶いたゼラチン・寒天・ペクチンなどに、砂糖・水飴などを加え、流し固めた菓子。」及び「ムース」の項には「ピューレ状にした材料に泡立てた生クリーム・卵白などを加えて、口当りがなめらかで、ふんわりとした感じに仕上げた料理・菓子。」との記載があり、例えば、「チョコレートムース」、「ムース菓子」、「フルーツゼリー」等が第30類「菓子」の範疇に属する商品と認められることから、使用商品は、「菓子」の範疇に属する商品とみるのが相当であって、同広辞苑の「煮豆」の項には「豆類を砂糖・醤油などで煮しめたもの。」との記載があることから、使用商品は、煮豆とはいい難いものである。

してみれば、乙第2号証、乙第3号証の2及び乙第4号証の2で示す商品写真の包装箱の上蓋に表示されている「JACK TO MAMENOKI」の文字が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求の登録前三年以内に日本国内において使用していたとしても、被請求人が提出した証拠によっては、通常使用権者により「菓子」についての使用を証明する証拠であるといわざるを得ないから、本件商標は、通常使用権者により、継続して本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中、請求に係る商品「煮豆」について使用しているとはいえなく、また、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていないといわなければならない。

なお、被請求人は、本件の使用商品は商標法において定められている煮豆が属する類似群(32F04)の加工野菜及び加工果実の範疇に属すべき商品であることは商品の実体からして間違いないところである旨主張しているが、本件については前記認定のとおりであるから、この点に関する被請求人の主張は採用の限りでない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中第29類「煮豆」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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