Trademark Appeal Case
カプサイシンパワーの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−23299(T2004−23299/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「カプサイシンパワー」の片仮名文字を標準文字で書してなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年2月9日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における平成16年9月27日付け及び当審における平成19年2月6日付けの手続補正書により、最終的に、第29類「カプサイシン入りのカレー・シチュー又はスープのもと」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『カプサイシンパワー』の片仮名文字を横書きしてなるところ、該文字よりは、ダイエットなどに効果があるとされる『トウガラシの果皮に含まれる辛味成分』がもっている殺菌力、健胃力、肥満予防力の意味合いを理解させるものであるから、これを補正後の指定商品である『カプサイシン入りのカレー・シチュー又はスープのもと』に使用しても、商品の品質、効能を誇示、誇称したものとして看取、理解されるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における職権証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、「カプサイシンパワー」の文字(語)について、以下の事実が認められるとして、その結果を請求人に通知(平成18年12月12日付け)し、意見を求めた。
(1)新聞記事
ア 2002年6月26日付けのスポーツ報知には、「サッカーW杯準決勝 統一ドイツが初の決勝へ カーン4戦連続完封」の見出しの下に、「・・・疲れ知らずのカプサイシンパワー韓国代表がついに敗れた。唐辛子よりも熱く赤い応援のかいもなく負けてしまった。・・・」との記載がある。
イ 2002年11月13日付けの日本食糧新聞には、「日本給食サービス協会中部支部、韓国の現状を視察」の見出しの下に、「・・・日本では韓国メニュー、韓国食材が人気となっているが、韓国の食文化に直接触れて、ワールドカップサッカーで見た韓国パワーの源は毎日三食キムチを食する国のカプサイシンパワー(キムチの唐辛子に含まれる成分)であるとの考えを深くした。・・・」との記載がある。
(2)インターネット上のウェブサイト情報(平成18年12月7日「Google」にて検索)
ア 「【楽天市場】カプサイシンパワー炸裂旨味が違う本格唐辛子:スローフードのお店 Q’s」と題するウェブページ(http://www.rakuten.co.jp/qshoku/903205/919164/)には、「カプサイシンパワー炸裂 旨味が違う本格唐辛子」及び「辛党のあなたへ送る、旨味が違う本格唐辛子です。辛子高菜をもっと辛くしたい方はもちろん、鍋物・うどん・豚汁・ラーメン等のお料理にもおススメ!カプサイシンの働きでエネルギー代謝を高め、脂肪を燃焼し血行を良くすることで、『冷え』『むくみ』等を改善してくれる効果があります。」との各記載がある。
イ 「ふぐのキムチ鍋(チゲ)セット」と題するウェブページ(http://shop.gnavi.co.jp/Mall2/96/105272.html)には、「唐辛子のカプサイシンパワー全開!」及び「唐辛子のカプサイシンパワーで脂肪の燃焼効率もアップ!」との各記載がある。
ウ 「Yahoo!ブックス−トウガラシダイエットがすごい!カプサイシンパワーが効く/東潔/著」と題するウェブページ(http://books.yahoo.co.jp/book_detail/30525144)には、書籍名の欄に「トウガラシダイエットがすごい! カプサイシンパワーが効く」(同文書院、1999年4月発行)、書籍紹介の欄に「トウガラシの驚異の薬効メカニズム。エスニックなトウガラシ料理のレシピー付。」及び目次の欄に「第2章 トウガラシの驚異の薬効メカニズム(辛みの成分"カプサイシン" 脂肪をどんどん燃焼する ほか)」との各記載がある。
エ 「buynavi ショッピングモール カプサイシンパワー! ダイエットキムチスープ」と題するウェブページ(http://buynavi.jp/product.php?pid=741)には、「カプサイシンパワー! ダイエットキムチスープ」との記載がある。
オ 「株式会社SMC」と題するウェブページ(http://www.smc.ne.jp/09.html)には、「えごま油パワー + カプサイシンパワー! ピリ辛えごま油」の見出しの下に、「唐辛子の辛味成分をカプサイシンといいます。カプサイシンを取ると体はポカポカ。α−リノレン酸も同じような働きがあるので、カプサイシンとα−リノレン酸をたっぷり含んだピリ辛えごま油は、間違いなく貴方の生活をパワーアップしてくれるでしょう。」との記載がある。
カ 「ピリ辛!唐辛子 めかぶ茶♪簡易包装でお得な100−Yahoo!ショッピング」と題するウェブページ(http://store.yahoo.co.jp/isomaru2005/toumekabu1.html)には、「唐辛子のカプサイシンパワー! 脂肪の燃焼を助けダイエット♪ 脂肪の燃焼で体が冷えません♪」及び「唐辛子には【カプサイシン】(脂肪の燃焼を助け体を温める)が含まれています。」との各記載がある。
キ 「【楽天市場】唐辛子入り梅こんぶ茶:京・近江・ほっこり茶屋」と題するウェブページ(http://www.rakuten.co.jp/hokkori/471895/484476/)には、「唐辛子入り梅こんぶ茶 カプサイシンパワー炸裂 !」、「唐辛子に含まれる話題の成分【カプサイシン】が体にここちよい刺激 !」、「■話題のカプサイシンの作用で、体を芯から刺激し、冷え性でお悩みのあなたにもオススメです。」、「唐辛子のカプサイシンパワーにより新陳代謝が活発になります。」及び「カプサイシンパワー・唐辛子入り梅昆布茶」との各記載がある。
ク 「ナチュラルガーデン本店:」と題するウェブページ(http://www.w-direct.jp/welldirect/7.1/2447-1475/)には、「カプサイシンと発芽雑穀ギャバの旨辛ダイエットスープ!」、「ダイエットにカプサイシン!」及び「唐辛子に含まれる辛味成分で伝達系を刺激。カーッと汗をかくのはまさにカプサイシンパワーによるものです。」との各記載がある。
ケ 「唐辛子ダイエット|サプリメント専門店ナマサプリ」と題するウェブページ(http://fresh.namasupli.com/spl/c-1.html?link_id=01)には、「唐辛子の辛味成分である『カプサイシン』は、食後すぐに燃やし始めることからシェイプアップをサポートします。」及び「辛み成分のカプサイシンパワーで、ぽかぽかと内側から温める働きがあります。」との各記載がある。
コ 「株式会社山清/原料辞典」と題するウェブページ(http://www.yamasei.jp/jiten/togarashi.htm)には、「唐辛子のカプサイシンパワー −脂肪の燃焼を促進」の見出しの下に、「麺類、漬物、鍋物など、唐辛子は日本の食卓に欠かすことの出来ない調味料のひとつといえます。唐辛子は、料理の美味しいさを引き立たせるだけでなく、辛味成分・カプサイシンには脂肪を分解する酵素リパーゼを活性化させる働きがあります。皮下脂肪より深部脂肪を減少させる効果があり、唐辛子を食べるとぽかぽか暖かくなるなるのはこのカプサイシンの力で、肉類など脂肪の多い食物といっしょに食べることで肥満予防にも効果があるといわれています。」との記載がある。
サ 「GREEN HOUSE GROUP -WELLNESS情報館 管理栄養士の健康サポートマガジン」と題するウェブページ(http://www.greenhouse.co.jp/wellness/support/2005/guide_9.html)には、「カプサイシンとは?」の見出しの下に、「『カプサイシン』は、唐辛子に含まれている辛味成分です。」との記載が、また、「血行促進&脂肪燃焼?カプサイシンパワー」の見出しの下に、「カプサイシンは胃腸から吸収されると、副腎に作用してアドレナリンの分泌を促進させます。アドレナリンは刺激やストレスを感じると分泌されるホルモンで、筋肉に血液を集める作用によって血行促進、体温上昇、発汗など新陳代謝もアップさせます。このため、カプサイシンを継続して摂取すると、アドレナリンの働きでエネルギー代謝が盛んになり、体内の脂肪が減っていく、結果としてダイエットにつながる、と言われています。」との記載がある。
シ 「醤油」と題するウェブページ(http://www.earth-design.jp/ninjin/shop.cgi?Tk=sp2&Id=6192005174418&jid=20050627143203)には、「伝統の本格醸造醤油にカプサイシンパワーの『沖縄産島とうがらし』を合わせた刺激的調味料です。」との記載がある。
ス 「新陳代謝促進食堂 辛辛 吉祥寺店/ホットペッパー.jp」と題するウェブページ(http://www.hotpepper.jp/A_20100/strJ000025483_hmd1.html)には、「九州・博多の有名店『辛辛〜カラカラ〜』がついに吉祥寺にもOPEN!!辛辛の一番人気メニューは『コプチャンチョンゴル(韓国式石焼ホルモン鍋)1人前1260円』唐辛子に含まれるカプサイシンで脂肪燃焼効果を、ホルモンのコラーゲンで美白効果を体の芯まで補給!甘辛ダレで辛いのが苦手な方でも大丈夫♪コラーゲン効果も◎で美容と健康に良いと特に女性に大人気★年末・年始もカプサイシンパワーで元気に!!・・・」との記載がある。
4 証拠調べに対する意見
請求人は、前記3の証拠調べに対し、要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)本願商標は、その他の説明語句を伴って使用されることにより何らかの効能を暗示させる場合があるとしても、「カプサイシンパワー」の語単独では、具体的な効果効能を直接的に表示するものではない。
そもそも、薬事法においては、医薬品としての許可を得ていない食品(いわゆる健康食品も含む。)について、医薬品的な効能効果を標ぼうすることは禁じられており、同様に、健康増進法においても、健康の保持増進の効果等についての虚偽誇大広告等が禁止されている。その点からすると、証拠調べ通知書に記載された各事実については、ほとんどの事例において医薬品的な効能効果を標ぼうしていることから、これらは本願指定商品とは非類似の「医薬品」であるか、許可表示の方法は限定されるものの一定の効能表現を用いることのできる「特別用途食品」や「保健機能食品」であるか、あるいは薬事法や健康増進法違反のおそれのある食品であると思われるが、その内容を見る限り、「医薬品」や「特別用途食品」、「保健機能食品」等ではないように思われる。
このような違法性の疑いのある使用例については、証拠調べの証拠として引用すべきでなく、これらを除外して本願商標の登録適格性を判断すべきである。
(2)本願商標と同様の構成(「原材料や物質の名称」と「パワー」の文字を結合した語)よりなる登録例が多数存在することからも、本願商標は十分に自他商品の識別力を有するものである。
(3)「カプサイシン」の効果効能が明白であり、これを示す必要がある場合は、明瞭に「カプサイシン効果」などの表現を用いればよいため、「カプサイシンパワー」の語には独占適応性がある。
(4)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
5 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「カプサイシンパワー」の文字よりなり、補正後の指定商品を第29類「カプサイシン入りのカレー・シチュー又はスープのもと」とするものである。
本願商標の構成文字であり、また、補正後の指定商品にも記載されている「カプサイシン」とは、「トウガラシの果皮に含まれる辛味成分。食欲の増進、脂肪の分解、血圧の抑制などの効果がある。」(株式会社三省堂提供「大辞林第2版」(インターネットの「Yahoo!辞書」より))、「トウガラシの果皮に含まれる辛味成分。」(株式会社三省堂「コンサイスカタカナ語辞典第3版」239頁、2005年10月20日第2刷発行)、「とうがらしの辛味を特徴づける辛味物質」(株式会社同文書院「総合食品事典ハンディ版」178頁、平成10年4月5日第6版新訂版第5刷発行)、「唐辛子の、体を熱くさせる素がカプサイシン。血行をよくしたり、消化液の分泌を促す。また、体脂肪を燃焼させ、エネルギー代謝を促進させる作用によるダイエット効果が注目されている。」(株式会社自由国民社「現代用語の基礎知識2007」1495頁)などと記載されているとおり、「唐辛子に含まれる辛味成分」を意味する語であって、かつ、この辛味成分であるカプサイシンには、食欲の増進、脂肪燃焼、血行促進などの作用効果があることも知られているところである。また、「パワー」は、「力」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第5版」)の意味を有する平易な外来語である。
そうすると、「カプサイシン」と「パワー」の文字からなる本願商標に接する取引者・需要者は、全体として、「カプサイシン(唐辛子に含まれる辛味成分)のパワー(力)」程の意味合いを容易に理解するとともに、その「カプサイシンのパワー(力)」が意味するものは、上記のようなカプサイシンの作用効果(食欲の増進、脂肪燃焼、血行促進など)であることも容易に認識することができるものというべきである。
(2)そして、本願商標に関して行った前記3の証拠調べの各事実によれば、「カプサイシン」とは「唐辛子に含まれる辛味成分」である旨紹介されていること、唐辛子及び唐辛子を使用したスープ・ふぐのキムチ鍋(チゲ)セット・えごま油・めかぶ茶・梅こんぶ茶・サプリメント等において、「・・・唐辛子を食べるとぽかぽか暖かくなるなるのはこのカプサイシンの力で、肉類など脂肪の多い食物といっしょに食べることで肥満予防にも効果があるといわれています。」と紹介されているものがあるほか、「唐辛子のカプサイシンパワーで脂肪の燃焼効率もアップ!」「唐辛子のカプサイシンパワーにより新陳代謝が活発になります。」「辛み成分のカプサイシンパワーで、ぽかぽかと内側から温める働きがあります。」「唐辛子のカプサイシンパワー −脂肪の燃焼を促進」などのように、「カプサイシンパワー」の文字自体が、カプサイシンの作用効果を表示する熟語として使用されていることが認められるものである。
(3)してみれば、「カプサイシンパワー」の文字からなる本願商標を、補正後の指定商品である「カプサイシン入りのカレー・シチュー又はスープのもと」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その商品がカプサイシン入りの商品であるとともに、その成分の効能、品質を強調表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(4)請求人は、前記4(1)のとおり、「カプサイシンパワー」の語単独では、具体的な効果効能を直接的に表示するものではないし、また、そもそも薬事法や健康増進法との関係で、違法性の疑いのある使用例については、証拠調べの証拠として引用すべきでなく、これらを除外して本願商標の登録適格性を判断すべきである旨主張する。
しかし、本願商標「カプサイシンパワー」は、補正後の指定商品である「カプサイシン入りのカレー・シチュー又はスープのもと」の効能、品質を表示したにすぎないものであって、取引者・需要者が、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであることは、上述のとおりであるし、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、指定商品等の取引の実情に基づき、取引者・需要者の認識を基準として、個別具体的に判断されるべきものであるから、仮に、今回通知した証拠調べの証拠の中に、薬事法や健康増進法との関係で、違法性の疑いのある使用例があったとしても、それによって上記判断が左右されるものではない。
また、請求人は、本願商標と同様の構成(「原材料や物質の名称」と「パワー」の文字を結合した語)よりなる登録例が多数存在することからも、本願商標は十分に自他商品の識別力を有するものである旨主張する。
しかし、登録出願に係る商標が自他商品の識別力を有するものであるか否かは、指定商品等の取引の実情に基づき、取引者・需要者の認識を基準として、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の挙げた登録例があるからといって、本願商標が登録されるものであるということにはならない。
さらに、請求人は、「カプサイシン」の効果効能が明白であり、これを示す必要がある場合は、明瞭に「カプサイシン効果」などの表現を用いればよいため、「カプサイシンパワー」の語には独占適応性がある旨主張する。
しかし、「カプサイシン」の効果効能を表現するのに、「カプサイシン効果」などの代替表現があるとしても、そのことから直ちに、「カプサイシンパワー」の語に独占適応性があるとはいい得ない。前記3の証拠調べの各事実に照らし、「カプサイシンパワー」の語は、食品業界においては、「カプサイシン」の効果効能を表現するものとして多数使用されているものと認められるのであって、そうである以上、当該語もまた、取引に際し必要適切な表示として何人にもその使用を開放しておくことが適当であって、その中の特定の者のみに当該商標の使用を独占させるのは公益上望ましくないというべきである。
したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(5)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものとすべきであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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