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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2004−31011(T2004−31011/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2634908号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2634908号商標(以下「本件商標」という。)は、平成2年9月19日に登録出願、別掲のとおりの構成よりなり、第26類「英語に関する書籍」を指定商品として、同6年3月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べた。

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁及び審尋に対する回答の要旨

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第13号証を提出した。

1 答弁の理由

被請求人は、本件商標をその指定商品の「英語に関する書籍」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用している事実がある。

乙第1号証は、被請求人である財団法人日本英語教育協会が平成16年5月1日に発行した「RIC式 英文速読速聴講座 L&R ADVANCED COURSE TEXT I」の写しである。その記載内容から明らかなように、英語に関する書籍である。巻末の発行日、発行所の表示には、「発行所財団法人日本英語教育協会」と記載され、「2004年5月1日重版発行」と記載されていることから明らかなように、被請求人が平成16年5月1日に発行したものである。

使用商標は、「RIC式」「英文速読速聴講座」「L&R」の文字よりなるものであり、本件商標とは称呼、外観において一致し、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。なお、「ADVANCED」「COURSE」「TEXT I」の部分は、自他商品識別機能を営むものとはいえない。

乙第2号証ないし乙第8号証も、平成14年8月20日から平成16年5月1日にかけて、被請求人が発行した「RIC式 英文速読速聴講座 L&R」の文字を含む英語に関する書籍の写しであり、使用商標は、いずれも、本件商標と称呼、外観において一致し、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。

乙第9号証は、被請求人が平成16年に発行した「英語通信教育総合ガイド2004」の写しであり、「RIC式 英文速読速聴講座 リス二ング L&R リーディング」という英語通信教育講座の紹介がなされている。具体的には、同講座は、さらに「TOEICテストターゲット730 L&Rアドバンスコース」「TOEICテストターゲット550 L&Rスタンダードコース」「TOEICテストターゲット400 L&Rベーシックコース」に分かれることが示されている(11頁〜13頁)。そして、11頁から13頁にかけて、各コースの使用教材として乙第1号証ないし乙第8号証の教材が写真付きで紹介されている。ということは、平成16年に、これらの講座のテキスト教材として乙第1号証ないし乙第8号証の教材が使用されていたということになる。

なお、乙第9号証の4頁、11頁にあるように、「TOEICテストターゲット730 L&Rアドバンスコース」は、厚生労働省の「教育訓練給付」指定講座であり、厚生労働省が教材内容を審査しているのであるから、実際に写真に掲載されたテキストが発行されていたことは疑いをいれない。ちなみに、乙第10号証は、厚生労働省職業能力開発局作成の「教育訓練給付制度における指定講座の適正な運営について(依頼)」であるが、その中の「教育訓練給付制度有効指定講座一覧」によれば、「L&Rアドバンスコース」が平成13年10月1日から平成16年9月30日まで教育訓練給付の指定を受けていたことになる。ということは、遅くとも平成13年10月から、「RIC式 英文速読速聴講座 L&R ADVANCED COURSE TEXT I」等が使用されていたことになる。

乙第11号証は、被請求人が平成14年に発行した「英語通信教育総合ガイド2002」の写しであり、乙第12号証は、被請求人が平成14年に発行した「英語通信教育講座“目的別・レベル”40コース」の写しであって、いずれも、乙第9号証と同様に、「RIC式 英文速読速聴講座 リスニング L&R リーディング」という英語通信教育講座の紹介がなされている。

以上のように、被請求人が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内に、指定商品「英語に関する書籍」に使用していたことは明らかである。

2 審尋に対する回答

(1)販売ルートについて

乙第1ないし8号証の印刷物(以下これらを総称して「本件印刷物」という。)の入手ルートに関して説明すると、本件印刷物を入手するには2つのルートがある。1つは、乙第9 、11、12 号証のような、通信教育講座のパンフレットを見て、たとえば「L&Rアドバンスコース」に入会したいと考えた者が、綴じ込み葉書、電話、ファックス、インターネットによって、当該コースへの入会を申し込み、これに対し、被請求人が入会を承諾し受講登録された後に、当該コースのテキストとして郵送されてくる、というルートである(乙第9号証P3 、63 、64 、乙第11号証P8 、90〜96 、乙第12号証P46)。

もう、1つの購入ルートは、一般の書店で、本件印刷物を手にして、その内容を吟味して購入するというルートである。当初は、通信あるいは通学講座のテキストとしてのみ配布され、市販されていなかった印刷物が、その後、需要に応じて、書店で市販されるというケースはよくあるところである。本件印刷物についても、一般書店で販売されるに至ったのである。しかも、包装パックなど施されず、完全にオープンな状態で書店に陳列されていた。乙第13号証は、返品計算書控であるが、平成16年7月まで、本件印刷物が東京旭屋書店で販売されていた事実を示すものである。この入手ルートの場合は、購入者は、通信教育の受講ということと離れて本件印刷物を購入しているのである。

(2)印刷物の内容について

本件印刷物は、確かに、通信教育のテキストとしても利用できるが、その内容、体裁からいって、通信教育と離れて利用しても、全く不自然でなく、支障がない。乙第1号証を例にとる。乙第1号証はレッスン1からレッスン8で構成されている。個々のレッスンをみると、さらにPartIからIIIに分かれている。PartIはリーディング、PartIIはリスニング、PartIIIはボキャブラリーに関するものである。具体的内容については乙第1号証に記述されている。

そして、購入者は、乙第1号証の内容だけを手がかりに問題を解いていくことが十分可能となっている。また購入者は、乙第1号証(及び付属のCD)を繰り返し学習するだけでリスニングの勉強としては完壁といえる。なお、乙第2号証は乙第1号証の続編に当たるもので、内容面での特徴は乙第1号証と同一である。乙第1、2号証を購入した者は、その内容からみて、当該印刷物(及び付属のCD)だけで完壁にTOEICの学習をできるわけである。

(3)印刷物の体裁について

印刷物の体裁についていうと次のとおりである。乙第1号証を例にとると、この印刷物の体裁そのものについてみれば、通信教育講座の受講を前提にした部分は全くみられない。まず、乙第1号証は加除不可能である。次に、乙第1号証は、無駄な余白を設けることなく記述されている。講座受講を前提にしたテキストにあっては、講義において指示言及された事項を記入するための余白欄が設けられることが多いが、乙第1号証はそうではない。

次に、本件印刷物の奥付に「非売品」という表示がある点についてであるが、これは、決して本件印刷物が市販されないという意味ではなく、ばら売りされないという意味にすぎない。そして、ばら売りされないからといって、本件印刷物が通信教育講座と独立して取引されないということにはならない。

第4 審尋の要旨

本件取消審判事件において、被請求人は答弁書を提出し、本件取消請求に係る指定商品「英語に関する書籍」の使用を証明する証拠書面として乙第1号証ないし同第12号証を提出した。

しかしながら、前記各証拠であるこれらの印刷物は、その表紙の表示や前書きの記載、講座利用方法の記載あるいは奥付における「非売品」の表示等からみれば、いずれも「RIC式 英文速読速聴講座 リスニング L&R リーディング」という英語通信教育講座における各コースの教材として使用されてきたものであることが認められる。

そうすると、これらの印刷物は、専ら、被請求人が開設している英語通信講座の教材として用いられることを予定して製作されたものであり、当講座を離れ、独立して一般市場で取引の対象とされる印刷物とは認められないから、これをもって商標上の商品ということはできない。

よって、前記各乙号証は、いずれも役務「通信教育による英語の教授」に関するものであり、本件取消請求に係る指定商品「英語に関する書籍」を商品として実際に取引していた事実を証する書面とは認められない。

しかして、被請求人は、本件商標をその指定商品「英語に関する書籍」について使用している旨主張しているところである。

したがって、被請求人においては、上記主張を証明する書面(本件審判請求の予告登録前3年以内の書面)を提出されたい。

第5 当審の判断

1 商標法第50条第1項に規定する商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人が証明するか、又は、使用していないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取り消しを免れない。

そして、商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として同法第2条第3項及び第4項所定の行為がされることを要するものと解される。

2 そこで、被請求人が提出した乙各号証をみるに、乙第1号証は、被請求人が平成16年5月1日に発行した「RIC式 英文速読速聴講座 L&R ADVANCED COURSE TEXT I」の写しであり、その表紙には、中央部分に「RIC式/英文速読速聴講座/L&R」の各文字が三段に表されており、該文字の上部には「教育訓練給付制度厚生労働大臣指定講座/CORRESPONDENCE ENGLISH COURSE」と表示され、また、下部には「ADVANCED/COURSE/TEXT I」と表示されている。そして、そのまえがきには、「・・・長年,英語の通信教育および出版・事業に携ってきた当協会でこのたび開発・製作されたのがこの『RIC式英文速読速聴講座L&R・アドバンスコース』です。この講座の第1の特徴は,リスニング・リーディング力養成の専修講座であること。この2つの分野はスピーキング・ライティングの分野とそれぞれ相関関係がきわめて高く,リスニング・リーディングの英語力測定から,スピーキング・ライティング能力を十分に推定できるわけです。本講座では,信頼性(reliability)と妥当性(validity)が高く,客観的な評価を得ることのできる分野である,リスニングとリーディングに焦点を絞った系統的集中トレーニングを行っていきます。第2は,英教独自の開発によるRIC方式を採用したTOEICスコア730点を目標とするスコアアップ・トレーニングコースであること。RIC方式により,英文を聴きながら読みながら,文の頭から語順通りに理解していくことが可能になり,英文内容を英語で考えていく習慣が自然と身についてきます。第3は,復習テスト,英語力判定テストでリスニング・リーディング力を徹底分析し,スコアに応じた学習法・アドバイスを行います。特にプリテスト,修了テストの結果から,受講前と受講後の実力の伸びぐあいが把握できるほか,復習テストも学習のペースメーカーとして役立てることができます。・・・」と記載されている。また、この講座の効果的利用法の項においては、教材の構成と内容として、「乙第1号証のテキスト、ドラマ仕立てのストーリー『WORKING LIKE A DOG』、プリテスト・レビューテスト・終了テスト及びCD」が記載されており、テキストの効果的な学習法、学習スケジュール、テストの出し方、質疑応答、終了についての説明がなされており、奥付には「非売品」と記載されている。

乙第2号証ないし乙第8号証も被請求人が発行した印刷物であり、乙第2号証は、平成16年5月1日に発行された「RIC式 英文速読速聴講座 L&R ADVANCED COURSE TEXT II」の写しであり、乙第3号証は、平成16年5月1日に発行された「RIC式 英文速読速聴講座 L&R ADVANCED COURSE WORKING LIKE A DOG」の写しであり、乙第4号証は、平成16年5月1日に発行された「RIC式 英文速読速聴講座 L&R STANDARD COURSE TOEIC テスト ターゲット550 TEXT」の写しであり、乙第5号証は、平成16年5月1日に発行された「RIC式 英文速読速聴講座 L&R STANDARD COURSE TOEIC テスト ターゲット550 SCORE UP TRAINING」の写しであり、乙第6号証は、平成15年10月1日に発行された「RIC式 英文速読速聴講座 L&R BASIC COURSE TOEIC テスト ターゲット400 TEXT」の写しであり、乙第7号証は、平成14年8月20日に発行された「RIC式 英文速読速聴講座 L&R BASIC COURSE TOEIC テスト ターゲット400 GRAMMAR BUILD−UP」の写しであり、乙第8号証は、平成15年10月1日に発行された「RIC式 英文速読速聴講座 L&R BASIC COURSE TOEIC テスト ターゲット400 VOCABULARY BUILD−UP」の写しである。

そして、乙第2号証ないし乙第8号証の表紙部分にも、乙第1号証と同様、中央部分に「RIC式/英文速読速聴講座/L&R」の各文字が三段に表されており、該文字の上部には「教育訓練給付制度厚生労働大臣指定講座/CORRESPONDENCE ENGLISH COURSE」(乙第3号証ないし乙第8号証は欧文字部分のみ)と表示され、また、下部には上記した各コース名の表示がなされており、いずれも、奥付には「非売品」と記載されている。

また、乙第9号証は、被請求人が平成16年に発行した「英語通信教育総合ガイド2004」の写しであり、乙第11号証は、被請求人が平成14年に発行した「英語通信教育総合ガイド2002」の写しであり、乙第12号証は、被請求人が平成14年に発行した「英語通信教育講座“目的別・レベル”40コース」の写しであって、いずれも、「RIC式 英文速読速聴講座 リスニング L&R リーディング」という英語通信教育講座の紹介がなされている。そして、この英語通信教育講座は、例えば、「TOEICテストターゲット730 L&Rアドバンスコース」、「TOEICテストターゲット550 L&Rスタンダードコース」、「TOEICテストターゲット400 L&Rベーシックコース」等々ように分かれており、各コースの使用教材として、乙第1号証ないし乙第8号証の教材やCD、テスト用紙等が写真付きで紹介されている。

さらに、乙第13号証は、被請求人の2004年7月21日付けの返品計算書控の写しであり、品名として「新版 実用英語講座 1級クラス」、「改訂版 英検1級対策講座」、「L&R ベーシックコース」、「実用英語オーラル講座 1級クラス」等、定価として「41900」、「40850」、「21950」、「41900」等と記載されている。

3 上記において認定した事実によれば、被請求人は、長年にわたり、英語の通信教育に携ってきた団体であり、目的別・レベル別に数多くのコースが設けられていることを認めることができる。そして、本件印刷物は、その表紙の表示やまえがきの記載、講座利用方法の記載あるいは奥付における「非売品」の表示等からみれば、いずれも、「RIC式 英文速読速聴講座 リスニング L&R リーディング」という英語通信教育講座における各コースの教材として使用されてきたものであることが認められる。

そうとすれば、本件印刷物は、専ら、被請求人が開設している英語通信教育講座の教材として用いられることを予定して製作されたものであり、当該講座を離れ、独立して一般市場で取引の対象とされる書籍とは認められないから、これらをもって商標法上の商品ということはできない。

また、それらの表紙に付されている「RIC式 英文速読速聴講座 L&R」の記載部分は、それぞれ、「RIC式 英文速読速聴講座 L&R ADVANCED COURSE」、「RIC式 英文速読速聴講座 L&R STANDARD COURSE TOEIC テスト ターゲット550」あるいは「RIC式 英文速読速聴講座 L&R BASIC COURSE TOEIC テスト ターゲット400」等という名称の講座の教材であることを示す記載の一部分にすぎないから、当該講座に係る役務の出所又は、その役務の内容を表示するものであって、本件印刷物自体の識別表示と解することはできないから、本件印刷物について本件商標の使用がされたということもできない。

そして、他に、本件商標がその指定商品である「英語に関する書籍」について使用され、市場において独立して商取引の対象として流通に供されていたことを認めるに足りる証拠も提出されていない。

なお、被請求人は、当初は、通信あるいは通学講座のテキストとしてのみ配布され、市販されていなかった印刷物が、その後、需要に応じて、書店で市販されるというケースはよくあるところであり、本件印刷物についても、一般書店で販売されるに至った旨主張し、証拠として乙第9号証、乙第11号証ないし乙第13号証を提出している。しかし、これらの証拠によっても、本件印刷物は、品名、定価、内容等から英語通信講座の教材として用いられるとみるのが相当であり、一般市場で独立して取引の対象とされる書籍であることを立証するに不十分なものであるから、その主張は採用できない。4 してみると、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標を本件審判請求の登録(平成16年8月23日)前3年以内に日本国内において、取消請求に係る本件商標の指定商品「英語に関する書籍」について使用していたものと認めることはできない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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