Trademark Appeal Case
EM抗酸化建築工法の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−6799(T2006−6799/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「EM抗酸化建築工法」の文字を標準文字で書してなり、第37類に属する役務を指定役務として、平成17年5月31日に、登録出願されたものである。
そして、指定役務については、平成17年11月18日付け手続補正書により、第37類「建設工事,建築工事に関する助言」と、補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願商標は、「EM抗酸化建築工法」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、建築業界において「EM」の文字は、「[effective microorganisms]有用微生物群」である、EM菌を使用している役務の内容の略称(記号)を表したと認識され、「抗酸化工法」が、自然物質である酵素を培養した特殊な溶液を建材に加えることで、人体に有害なホルムアルデヒドなどの化学物質を分解・除去するものとして知られていることからすれば、自他役務の識別標識としての機能を果たすものでなく、全体として「抗酸化工法による建築に関する役務」であることを容易に認識させるので、これを本願指定役務に使用しても、それに接する需要者は、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「EM抗酸化建築工法」の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中、前半の「EM」の文字は、ありふれたローマ文字2文字であるほか、原審において提出された、平成17年11月18日付け意見書において述べられているとおり、本願指定役務との関係においては、「effective(有用な)、microorganisms(微生物群)の略称」を認識させるものである。
そして、「抗酸化」の文字は、「酸化を防ぐ」意味合いを認識させ、「建築工法」の文字部分は、「家屋、ビル等建造物の建設加工・工事などにおける造り方、組み立て方」を意味することから、これらを結合させた「EM抗酸化建築工法」の文字よりは、「有用な微生物群(EM)を使用し、物質の酸化を防ぐ加工を施した建設工事」程度の意味合いを認識させるといえるものである。
以上について、以下の新聞記事情報がある。
(1)「EM」、「有用微生物群」の語と「建築」との関係について
○ 2005年1月7日 朝日新聞 西部地方版/宮崎 27頁 「森林守るNPO(ポップ・ステップ定年ライフ:4)/宮崎」の見出しのもと、「『自然との共生を』と、中村さんが家を建てる時に採り入れたのが、有用微生物群(EM)だ。自然界の善玉菌を組み合わせたもので、環境浄化作用があるとされる。」との記載がある。
同様に、インターネット等によれば以下の情報がある。
(1)「EM」、「有用微生物群」の語と、「建築」との関係について
○「EM抗酸化工法による自然治癒力の家」として、「酸化(老化)を抑制して、家の耐久性、家族の健康や環境を配慮した家『EM自然治癒力の家』」、「このたびのOKUTA FamilyによるEM抗酸化工法自然治癒力の家は、 EM研究機構・ EM研究所・イーエム総合ネットの協力により実現したプロジェクトです。」及び「EMとは、有用微生物群の英語名、Effective Microorganisms (エフェクティブ・マイクロオーガニズムス) の頭文字から付けられた造語です。EMの形態は黒または茶色の液体状で、液中に複数の微生物を共生させた微生物資材です。」との記載がある(http://www.okuta.com/house/about.html)。
○「シックハウス症候群にEMがどのように効くか」として、「会田氏は自家製EM米ヌカ入浴剤で我が子のアトピーを治したことから、EM活用による抗酸化工法の開発事例を発表した。施工の際、ホルマリン系の接着剤を使用したビニールクロス処理に苦慮する折りに、EM抗酸化溶剤と接着剤を混合した壁紙シートが冷蔵庫の臭いを消したり、豆腐やモヤシを長持ちさせたりするなど、思わぬ現象を引き起こした。遊び感覚の実験から得たこのEMの抗酸化力と消臭力を応用した溶剤をクロスを貼る糊などに混ぜ、また複合フロリングの下地にバイオシーラーを塗布し、シックハウス特有の臭いの害を解消した。また珪藻土と組み合わせた土壁ペイントを床下に施した結果、除湿に特に効果があった。工法の効果を紹介。」との記載がある(http://www.emro.co.jp/interim/data/98/a5/a5.html)。
○「未来を甦らせる『抗酸化環境』の創造」として、「建築物抗酸化工法保全整備」の項に「効果: 建物の原状回復工事、リフォーム等において使用される資材に関しては近年様々な化学薬品、有機溶剤等が使用され、その影響はシックビル症候群に代表され、施工後に入室される使用者のみならず、施工を実施している作業者の健康にもその影響を与えている化学薬品等の影響を低減するため、各資材の耐久性向上効果促進のため、あらゆる場面において、使用可能なEM抗酸化資材と室内空間への施工に影響を出さないドライ施工マイクロフラッシング技術がその方向性を安心健康へと導く。 」との記載がある(http://kosanka.com/03.htm)。
(2)「抗酸化工法」について
○「逆瀬川住研 抗酸化住宅」として、「宝塚市の総合住宅企業『逆瀬川住研』では、お客様へ快適な住まいをご提供いたします。抗酸化工法は、住む人の健康を育むだけでなく、その普及拡大によって地球の環境浄化をも実現。抗酸化溶液を住まいづくりに活用したものが抗酸化住宅です。」との記載がある(http://www.sakasegawa.co.jp/construct/original/anti_oxide.html)。
○「抗酸化工法によるいきいき健康回復住宅づくりはじめませんか?」として、「『抗酸化工法』は、バイオ技術で開発された抗酸化溶液を活用して、住まいの健康を回復させる本物のシックハウス対策工法です。抗酸化溶液は、北海道白老町に住む建築事務所経営のA氏が15年以上にわたる研究により開発した、発酵型微生物を培養して造る特殊酵素です。」との記載がある(http://www.interior-kawai.co.jp/public_html/technic/kosan.html)。
○「抗酸化溶液で環業革命を起こしている」として、「抗酸化溶液を住まいづくりに活用したものが『抗酸化工法』です。この普及に本格的に取り組み始めてから15年以上が経過し、現在、国内1200超の建築業者に普及しています。」との記載がある(http://www.barbarians.co.jp/method.html)。
○「抗酸化工法について」として、「『抗酸化』とは、酸化による腐敗を防ぐという意味で、抗酸化工法とは『抗酸化溶液』を使って、あらゆる腐敗の進行を食い止める工法。バイオの技術の力で『シックハウス』や化学物質過敏症の症状を解決し、住まいの健康を回復させる技術。それが『抗酸化工法』です。」との記載がある(http://www.mountainhomes.co.jp/health/sanka.html)。
上記の情報等によれば、「EM」の文字は、「有用微生物群の英語名、effective microorganisms (エフェクティブ・マイクロオーガニズムス) の頭文字から付けられた造語」であって、本願指定役務の提供にかかる業界においては、住む人や利用する人の健康や環境を配慮する工夫がなされ、「バイオ技術で開発された抗酸化溶液を活用して、住まいの健康を回復させるシックハウス対策」について、前記「EM(有用微生物群)」を利用する研究開発等がなされている実情がある。
そして、本願指定役務の提供者である多くの建築業者が、物質の酸化を防ぐ目的で「EM(有用微生物群)」を活用した工法を、「抗酸化工法」等と指称している事実がある。
そうとすれば、「EM」及び「抗酸化工法」の文字に、本願指定役務の内容を表す「建築」の文字を組み合わせて「EM抗酸化建築工法」と書した本願商標を、その指定役務について使用したときは、原審説示のとおり、何人かの業務にかかる役務であることを認識することができないものと判断するのが相当であって、かつ、「抗酸化のためにEM(有用微生物群)を利用した」建築工法以外の「抗酸化建築工法」について使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、「EM」の建築工事については、住宅関連は請求人が広く認識されている状況を勘案すれば、「EM」による「抗酸化建築工法」は、請求人独自の建築工法として認識されるに足ることから、本願商標が登録されるべきである旨、主張している。
しかしながら、「EM」及び「抗酸化工法」の文字は、今や役務の内容(質)を表すものであること前述のとおりであるから、「EM抗酸化建築工法」と書した本願商標をもってしては、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものといわなければならず、請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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