Trademark Appeal Case
Dマークの類否と誤認
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90521(T2006−90521/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4970815号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成17年12月20日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年6月2日に登録査定、同年7月14日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標
登録異議申立人エス テー デュポン(以下「申立人」という。)は、本件商標についての取消理由として下記の(2)ないし(5)のとおりの構成からなる4件の登録商標を引用している。
(a)登録第1578573号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として昭和54年8月7日に登録出願、同58年3月28日に設定登録され、その後2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、更に第14類及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録が平成16年10月13日になされたものである。
(b)登録第1889449号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として昭和58年7月27日に登録出願、同61年9月29日に設定登録され、その後2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、更に第14類及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録が平成18年11月1日になされたものである。
(c)登録第1617743号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲(4)に示すとおりの構成よりなり、第27類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として昭和54年8月7日に登録出願、同58年9月29日に設定登録され、その後2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、更に第14類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録が平成15年12月24日になされたものである。
(d)登録第2074731号商標(以下「引用D商標」という。)は、別掲(5)に示すとおりの構成よりなり、昭和60年10月14日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年63年8月29日に設定登録され、その後商標権の存続期間の更新がされたものである。
(以下、これらの商標をまとめて「引用各商標」という。)
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、創業135年の歴史と伝統を有するフランス国法人であり、創業以来、貴金属工芸と漆工芸の技術を駆使した高級品を製造し続けており、特に、高級ライターに関しては、世界的に好評を博しているトップメーカーである。現在では、貴金属製の高級ライターをはじめ、時計、筆記具、皮革製のかばん類や財布・小銭入れ、貴金属製のネクタイピン・カフスボタン、眼鏡、被服等の高級嗜好品を業として製造し、フランス、日本を含め世界各国で販売しており、申立人の商品やカタログ、宣伝広告物等には、引用各商標のDマークが別個独立の商標として使用され、取引者・需要者の間において広く知られている(甲第4号証ないし甲第45号証)。
そして、「ライター,時計」等の主たる需要者である成年男女は、本件指定商品の需要者層とも共通している。
してみれば、本件商標は、引用各商標と相紛らわしい図形を目立つ態様で大きく表してなるものであり、しかも、その下に、小さく配された「d’icila」の文字部分が「今からその時まで」を意味するフランス語であることとも相俟って、本件商標がその指定商品に使用された場合には、需要者がその商品をフランス法人である申立人の業務に係る商品であると誤認するおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用各商標との類否について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、大きく表された筆記体の「D」と思しき文字の下に小さく「d’icila&co.(「a」の文字にはアクサン記号が付されている)」の欧文字を配した構成からなるところ、その構成中の「D」の文字部分は、筆の始点部分が活字体の「D」のステム(縦棒)の始点に近い部分から始まっており、その縦線が下端で折り返す部分も左側に僅かにはみ出す程度のものであり、その下端から右側部分に描かれる大きな半円弧状の曲線も縦線を僅かに越えた左部分で止められている。そして、描かれている線の太さも、部分的にやゝ細くなっている箇所があるものの、全体としてかなり太めの線をもって描かれているものである。
他方、引用各商標は、別掲(2)ないし(5)に示したとおりの構成からなるところ、その構成中の筆記体の「D」の文字部分は、筆の始点部分が「D」の半円弧状曲線の右上方外側から始まり、左下方に伸びる直線も緩やかな変化を持たせて描かれており、左下端の折り返し部分も横長の円弧となり、そこから右側部分に描かれる大きな円弧状の曲線は、上端から更に左方向に大きく伸びて内側に巻き込むようにして、始点部分から伸びる直線と平行するように、その中央付近で止められている。そして、描かれている線の太さも、極めて細い線と次第に太さを増していく線とが交互に現れるように描かれているものである。
そこで、本件商標と引用各商標の「D」の文字部分とを比較するに、いずれも、欧文字の「D」を筆記体風にデザイン化したものであるとしても、上記したとおり、その構成には明らかな差異があるばかりでなく、本件商標の「D」は、むしろやゝ縦長に描かれた活字体の「D」に近い構成であって、その下に書されている小さな欧文字とも相俟って、堂々とした力強い印象を与えるのに対して、引用各商標の「D」は、筆記体の「D」をかなり横長に描いた構成からなるものであって、極めて流麗な印象を与えるものということができる。
そうとすれば、本件商標と引用各商標の「D」の文字部分とは、構成態様において判然と区別し得る差異を有しており、この差異は、簡潔な構成よりなるこれら商標の外観に与える影響は大きく、その構成全体から受ける視覚的印象を明らかに異にするものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、少なくとも、本件商標は、その構成からみて、単に「ディー(D)」の称呼・観念をもって取引に供されるものとは認められないから、本件商標と引用各商標とは、称呼及び観念については比較すべくもない。
なお、申立人は、審決例等を挙げているが、それらの審決例等で争われている商標は、本件とは商標の構成を異にするものであって、事案を異にするものというべきであるから、上記認定に影響を及ぼすものとは認められない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記したとおり、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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