Trademark Appeal Case
著名商標と結合商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成4年審判第12125号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、1990年3月21日フランス国においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条の規定による優先権を主張して平成2年9月18日に登録出願、商標の構成を「LANCEL POLO CUP」の欧文字とし、指定商品を第17類「被服,布製身回品,寝具類」とするものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、本願商標は商標法第4条第1項15号に該当するとの理由により、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1) 本願商標の構成
本願商標は、「LANCEL POLO CUP」の欧文字よりなるところ、構成中の「LANCEL」の文字部分は請求人(出願人)「ランセル ソジェディ」(以下、「ランセル社」という。)の取扱いに係る商品(主として「バッグ」類)を表示するものとして需要者間において広く知られた、いわゆる周知標章と理解し得るものであり、また、構成中の「POLO」及び「CUP」の各文字は、それぞれ「ポロ競技」(騎上競技の一)及び「飲み物容器、スポーツなどの賞杯」を意味する英語と容易に理解されるものものである。そして、前記「ポロ競技」は我が国においては、必ずしも、一般に親しまれているスポーツとはいえない状況よりして、これら各文字(語)を並べることにより、全体で固有の意味合いを表現し得るものとはいい難く、むしろ、これら各文字を任意的に組み合わせたものとして認識し把握されるものとみるのが相当である。
(2) 「POLO」商標の著名性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行の「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行の「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」の前身,以下、「ポロ社」という。」)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国において、ラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」(又は「Polo」)の文字又は同文字に「by RALPH LAUREN」の文字及びポロ競技者の図形を組み合わせた商標(以下、これらを一括して「POLO商標」という。)が用いられ、この商標は「ポロ」の称呼(略称)をもって呼び交わされていることが認められる。
そして、株式会社洋品界昭和55年4月発行の「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行の「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」、「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行の「dansen男子専科」、前出の「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行の「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行の別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行の「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出の「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年6月発行の「流行ブランド図鑑」に「POLO」、「Polo」、「ポロ」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
なお、ポロ社又はラルフ・ローレンに係る「POLO」「ポロ」「Polo」の商標について、「眼鏡、時計等」の商品に関して、上記認定とほぼ同様に認定した東京地方裁判所判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上、認定の事実を総合し、かつ、上記判決の趣旨も併せ考慮するに、「POLO商標」は、我が国においては、遅くても昭和55年頃にはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、衣料品、靴及びかばん類等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。
(3) 商品の出所の混同のおそれについて
前述(1)の如く看取される、本願商標は、その構成中に前記(2)において、その著名性を認定した「POLO商標」の基幹商標ともいうべき「POLO」の文字を有してなるものであり、かつ、「POLO商標」の著名性はわが国において、衣料品を中心とするいわゆるファッション関連の各種商品分野に及んでいる状況であるから、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、その著名性ゆえに、「LANCEL」の文字部分と同程度の注意力をもって、「POLO」の文字部分に着目し、ポロ社又はラルフ・ローレンに係る「POLO商標」を連想・想起する場合も少なくないとみるのが相当であり、したがって、あたかも該商品がランセル社とポロ社ないしはラルフ・ローレン両者の事業提携(共同出資事業)に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(4) 請求人の主張について
請求人(出願人)は、請求の理由において、本願商標は「LANCEL POLO CUP」の英文字を、同書同大に一連に横書きした構成よりなる商標であるから、中間に配置されている競技の一般名称である「POLO」の文字のみが抽出されることはなく、また、「LANCEL」の文字は、フランス国パリに所在するバッグ・メーカーとして周知・著名なランセル社を認識させるものであり、「POLO CUP」の文字は、ポロ競技会に提供されるカップ(賜杯)を表示したに過ぎないから、商標全体の観念としては「ランセル社が主催してカップを提供しているポロ競技」の意味となる、分離されない性質のものであって、全体を一連に発音する「ランセルポロカップ」の称呼が自然に生ずる商標である。従って、如何にアメリカのトップデザイナーであるラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、ネクタイ等を表示する標章として本願出願時に既に著名に至っていた「POLO」の文字を含んでなるとしても、商標法第4条第1項第15号には該当しない旨主張し、甲第1号証及び甲第4号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出している。
しかしながら、提出に係る甲各号証からは、請求人(出願人)に係る「LANCEL」の標章がバッグ類の商品分野において需要者に広く認識せられた商標であり、また、「LANCEL」、「POLO」及び「CUP」の各文字を三段に書した標章或いは該標章とマレット(ポロ競技用打球棒)とを結合させた標章が、パジャマ、タオル、靴等について使用されていることが認められるとしても、前記三段書き商標に係る製品が我が国において、どの程度の販売実績があったのかその具体的な取引状況は不明というほかなく、また、「LANCEL」商標又は前記三段書き商標が本願指定商品「被服」を含む衣料品分野において「POLO商標」を越えて周知性を獲得したものとする客観状勢は認め難く、かつ、その証拠も見出せないから、それら提出証拠をもって、本願商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所混同を生ぜしめないとする根拠とすることはできない。
また、請求人(出願人)は、「LANCEL」の周知著名性は過去の審査例においても承認されているとして、甲第2号証ないし同第3号証(異議決定書写し)を提出しているが、商標自体の構成と本願指定商品の分野における需要者一般の注意力及び「POLO商標」の著名性に照らし、本件については前記認定判断を相当とするから、それら事例をもって本件における混同可能性の有無の判断基準とすることは妥当でない。
したがって、これら請求人(出願人)の主張は採用することができない。
(5) 結語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、その理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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