Trademark Appeal Case
複合商標の称呼判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90674(T2006−90674/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4992685号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成17年10月25日に登録出願、第3類、第5類、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年8月1日に登録査定され、同年10月6日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
1 引用商標
登録第2310216号商標(以下「引用商標」という。)は、「クラリス」の片仮名文字と「CLARITH」の欧文字を二段に書してなり、昭和62年10月12日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年5月31日に設定登録されものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品について、平成14年4月17日に第1類ないし第5類、第8類、第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
2 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり「Clise International」の欧文字よりなるが、「Clise」が特定の意味を有しない造語であるに対して、それに続く「International」が「国際的な」の意味にて広く知られている英語であること、さらに、両者が分離して表示されていることから、簡易迅速を重んじる取引の実際おいては、本件商標は「クライスインターナショナル」のみならず「クライス」とも称呼されて取り引きされることは明らかである。
他方、引用商標は、その構成より「クラリス」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「クライス」と引用商標の称呼「クラリス」を比較すると両称呼の相違点は「イ」音と「リ」音のみである。これらの相違音が、強く発音される「ラ」音に続いて発音されること、いずれも母音「イ」を共通にする清音であることから、本件商標と引用商標とをそれぞれ一気に称呼する場合、「イ」と「リ」の母音である「イ」の部分が明瞭に発音され、かつ、強く印象に残るものとして聴取されるものであるから、全体的な語韻語調が極めて相似たものとなる。
したがって、本件商標と引用商標とは称呼において類似する商標であり、指定商品についても抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る「抗生物質製剤」に平成3年の発売以来使用され、その売上高は2002年度が259億円、2003年度が271億円、2004年年度が276億円、2005年度が274億円、そして2006年度が275億円(甲第8号証)であり、マクロライド系抗生物質における市場占有率37.7パーセン(2004年)と第一位(甲第9号証)であり、少なくとも本件商標の登録出願時である2005年10月には我が国を代表する抗生物質製剤として取引者、需要者に広く知られているところになっていた。
したがって、本件商標がその指定商品である第5類の「薬剤」に使用された場合には、これに接する取引者及び需要者をして、その商品が申立人の取扱い係る商品と誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれの充分ある商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり、「Clise International」(「Clise」の「s」の文字はやや図案化されている。)の文字を書してなるものである。
しかして、本件商標は、構成中の「Clise」の文字と「International」の文字との間が約半字程度間隔を有しているとしても、これは英単語二語を表記する場合の一般的表記方法であり、また「Clise」の文字中「s」の文字がやや図案化されているとしても、構成各文字は同じ書体でまとまりよく外観上一体的に表されているばかりでなく、これより生ずると認められる「クライスインターナショナル」の称呼も格別冗長とはいえないものであって無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、かかる構成よりなる本件商標にあっては、構成文字全体に相応して、「クライスインターナショナル」のみの称呼を生ずる一体不可分の一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
他方、引用商標は、前記の構成からなるものであるから、下段の「CLARITH」の発音を表記したものと認められる上段の片仮名文字「クラリス」の文字に相応して、「クラリス」の称呼を生ずるというのが相当である。
そうとすれば、本件商標から生ずる称呼と引用商標から生ずる称呼とは、その音構成、構成音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。また、両者は、外観においても明らかな差異があり、観念においては比較できないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る甲第3号証ないし甲第7号証を徴すると、本件商標とは商標を異にする審決例である。
また、甲第8号証及び甲第9号証よりすると、申立人が引用商標を商品「抗生物質製剤」に相当程度使用していると認められるが、上記のとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品中、第5類の「薬剤」に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
3 まとめ
したがって、本件商標の登録は、登録異議申立てに係る指定商品中、第5類の「薬剤」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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