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Trademark Appeal Case

一文字違いの称呼・外観

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90407(T2005−90407/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4862842号商標の登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件登録

本件登録第4862842号商標(以下「本件商標」という。)は、「SURF」の文字を横書きしてなり、アメリカ合衆国における2001年2月1日の商標登録出願に基づきパリ条約による優先権を主張して平成13年7月30日に登録出願され、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を指定商品として、平成17年5月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人が引用する登録第4712409号商標(以下「引用商標」という。)は、「SIRF」の文字を横書きしてなり、平成9年1月14日に登録出願され、第9類「グローバル・ポジショニング(地球上の人または物体の位置を算出し、その正確な位置を示す衛星技術)用及びワイアレス・システム用コンピューターハードウェア及びソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成15年9月26日に設定登録されたものである。

3 本件商標に対する取消通知

当審において、商標権者に対し平成18年6月27日付けで通知した本件商標の取消理由は、次のとおりである。

(1)本件商標は、「海岸・岩などに砕ける)打ち寄せる波、砕け波」等の意味を有する英語を表したものであって、「サーフ」の称呼を生ずるものといえる。他方、引用商標は、親しまれた観念を有する既成の語を表したものとはいえず、かかる場合、我が国において最も普及している外国語である英語の発音に倣って称呼されるのが自然であるから、例えば「sir」が「サー」と、「sirloin」が「サーロイン」とそれぞれ発音されるところに倣えば「SIR」の綴り部分を「サー」と発音し、語尾に「F」を綴ってなるから、「SIRF」の文字からは「サーフ」と称呼されるというべきである。そうすると、本件商標と引用商標とは、その称呼を同じくする類似の商標といわなければならない。

(2)次に、両商標の指定商品の類否についてみると、本件商標の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」は、引用商標の指定商品と同一のものといえる。また、同じく「電気通信機械器具」に含まれる「乗物用ナビゲーション装置」には、引用商標の指定商品に含まれる「グローバル・ポジショニング(地球上の人または物体の位置を算出し、その正確な位置を示す衛星技術)用コンピューターハードウェア及びソフトウェア」が搭載されているのが通例であり、両者は、完成品と部品という密接な関係があり、その機能、用途、製造業者、流通系統等を共通にする場合が多いことから、類似する商品というべきものである。さらに、「電気通信機械器具」には、上記「乗物用ナビゲーション装置」の上位概念たる「無線応用機械器具」を始め、「放送用機械器具」、「無線通信機械器具」、「映像周波機械器具」等が含まれており、これらの商品と引用商標の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に含まれるといえる「電子管、半導体素子、電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路)」とは、やはり、完成品と部品という密接な関係があり、その機能、用途、製造業者、流通系統等を共通にする場合が多いことから、類似する商品というべきものである。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見

前記取消理由に対して、商標権者は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない旨、その意見を要旨次のとおり述べている。

(1)本件商標は、「SURF」の欧文字を明朝体で横書きした構成からなり、他方、引用商標は、「SIRF」の欧文字をゴチック体で横書きした構成よりなるものであるところ、両商標は、その第2文字において「U」対「I」の差異を有するものである。

両商標は、第1文字「S」、第3文字「U」及び第4文字「F」を共通にするものの、共に4文字の構成文字数からなる簡潔な構成であるから、このような簡潔な構成にあっては、前記「U」対「I」の差異により、外観上相紛れるおそれはないものである。特に、両商標は、その構成文字の差異と相俟って、外観上明確に区別して取引されるものである。

(2)前記取消理由においては、英語の「sir」が「サー」と、「sirloin」が「サーロイン」とそれぞれ発音されるところから、引用商標は「サーフ」と称呼されるというべきであると断じているが、引用商標は「SIRF」は、親しまれた観念を有する既成語ではないことからすれば、単に前記の例のみを取り上げて、称呼を認定するのは不適当である。

このような造語からなる引用商標の称呼については、原則、引用商標が、現実に市場においてどのように称呼されているのかにより特定すべきである。

この点、異議申立書に徴しても、何故引用商標を「サーフ」と称呼するかについては言及は無い。そして、引用商標の構成中には、その読みを特定させる片仮名文字が含まれているものでもない。

誰しもが馴染みのない、造語からなる引用商標については、これをローマ字読みした「シルフ」と称呼するものとみるのが自然であると考える。

(3)引用商標から生じる称呼を「シルフ」とすれば、本件商標の称呼「サーフ」とは、その第1音及び第2音を異にするという大差を有するものであるから、両称呼が相紛れるおそれはない。

仮に、引用商標から「サーフ」の称呼が生じるような場合があるとしても、特定の観念を認識させない引用商標に対し、本件商標よりは容易に「海岸・岩などに砕ける)打ち寄せる波、砕け波」といった観念を認識させるものであるから、両商標は観念上明確に区別されるものであるし、前記のように、両商標は外観上大差を有するものであるから、称呼、観念及び外観を総合的に比較すれば、両商標が相紛れるおそれはないものである。

(4)以上のとおり、本件商標は、引用商標とは、その称呼、観念及び外観の何れにおいても非類似であるから、仮に、両商標の指定商品が類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。

5 当審の判断

本件商標についてした先の取消理由は妥当なものであって、本件商標と引用商標とは、「サーフ」の称呼を生ずるものであり、その称呼において互いに相紛らわしく、同一又は類似の商品に使用する場合、その出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標といわなければならない。

(1)引用商標の称呼について、

商標権者は、意見書において、英語の「sir」が「サー」と、「sirloin」が「サーロイン」とそれぞれ発音されるところから、単に前記の例のみを取り上げて、称呼を認定するのは不適当である旨述べているが、英語の発音にあって、「u」及び「i」を含め母音字と「r」を結合させた綴り字は、語末あるいは他の子音字の前にある場合は「アー」のように発音されるのが原則といえる。すなわち、「ir」の綴り字は、前記例ほか、「fir(もみの木)」「stir(かき回す)」「unfair(不当な)」「bird(鳥)」「shirt(シャツ)」「birthday(誕生日)」「girl(少女)」等の発音に倣って「アー」のように称呼されるのが自然である。

また、商標権者は、誰しもが馴染みのない造語からなる引用商標については、これをローマ字読みした「シルフ」と称呼するものとみるのが自然であると述べているが、これが訓令式やヘボン式等のローマ字表に依ることをいうのであればラ行は「r」と母音が組み合わされて「ru(ル)」と表記されており、「f」の用例は覧られない。

そうすると、「SIRF」の綴り字から「シルフ」の称呼が全く生じないとまでいうことはできないとしても、これが「サーフ」の称呼を越えて取引に資される格別の事由も明らかでないから、この点を述べる商標権者の意見は採用できない。

(2)そして、商標権者は、仮に、引用商標から「サーフ」の称呼が生じるような場合があるとしても、称呼、観念及び外観を総合的に比較すれば、両商標が相紛れるおそれはないものである旨述べている。

しかし、本件商標と引用商標とは、「サーフ」の称呼を同じくするものであり、かつ、両者の指定商品は同一又は類似のものであって、その指定商品の一般的取引等において、口頭による対面取引のほかにも電話等による取引がされる場合を否定することができないから、その外観及び観念において異なるところがあるとしても、「サーフ」の称呼を同じくする両商標に接する取引者、需要者は、その出所について誤認混同するおそれがあるものといわなければならない。

(3)以上のとおり、商標権者の述べる意見はいずれも採用し得るものでなく、その他、商標権者が述べる意見は、いずれも商標権者の内心的事情というほかなく、これをもって両者間において商品の出所の混同を生ずるおそれのない事由ともいい難い。その他、前記認定を覆すに足りる事由及び証左は見出せない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、「サーフ」の称呼を同じくする類似の商標といわざるを得ず、かつ、両者の指定商品は同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであって、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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