Trademark Appeal Case
成分名商標の識別力と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90215(T2006−90215/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4929780号商標(以下「本件商標」という。)は、「ESTER−C」の欧文字と「エスターシー」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成15年10月22に登録出願、第3類「香料類,化粧品,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」を指定商品として、同18年2月17日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)「高野勝弘」は、「ESTER−C」と「エスターシー」の文字からなる本件商標を、その指定商品中「ESTER−C(エスターシー)を原材料とした商品」に使用するときは、単に商品の原材料、品質を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、その指定商品中「ESTER−C(エスターシー)を原材料としない商品」に使用するときは、あたかも、「ESTER−C(エスターシー)を原材料とした商品」であるかの如く、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本件商標の登録は、取り消されるべきものであると申立て、証拠方法として甲第1号証を提出している。
2 申立人「ジラ ニュートラシューティカルズ インコーポレイテッド」は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号又は第16号に該当するものであるから、取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標と申立人及びそのライセンシー(以下「申立人等」という。)が使用する「ESTER−C」、「Ester−C」及び「エスターC」からなる各商標(以下「引用商標」という。)とは、称呼又は外観を共通にする同一又は類似の商標であり、引用商標は本件商標の登録出願時において、本件商標の指定商品と同一あるいは類似の商品に使用される商標として需要者の間に広く認識されている商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と申立人等が使用する引用商標とは、称呼又は外観を共通にする同一又は類似の商標であり、引用商標は本件商標の登録出願時において、サプリメントに使用される商標として需要者の間に広く認識されている商標であって、本件商標をその指定商品に使用した場合、申立人等の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものである。
(3)商標法第4条第1項第16号について
本件商標と申立人等が使用する引用商標とは、称呼又は外観を共通にする同一又は類似の商標であり、引用商標は申立人が開発した特許技術に基づいて製造されたビタミンC成分を表象する商標として、この成分が配合されたサプリメントや化粧品に使用された結果、本件商標の登録査定時において、サプリメントや化粧品の分野では需要者の間で広く認識されているので、本件商標をその指定商品に使用した場合商標であって、本件商標をその指定商品に使用すると、申立人に係るビタミンC成分が配合されたものと誤認されるおそれが高い。
第3 本件商標に対する取消理由の要点
当審において、平成18年12月19日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
1 申立人の提出した甲各号証及び申立ての全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1)件外の「ESTER−C」の文字からなる申立人の商標が、平成13年10月31に登録出願され(商願2001−97883号)、第5類「ビタミン及びミネラルを成分とする粉末状・顆粒状・錠剤状の薬剤」を指定商品として、平成17年9月30日に審決され、同年12月16日に登録第4915114号商標として設定登録されていること(甲第5号証及び甲6第号証)。
申立人又は申立人の関係者は、「ESTER−C」又は「Ester−C」あるいは「エスターシー」の文字からなる標章(以下「引用標章」という。)を、少なくとも平成15年3月18日(甲第5号証中の「手続補足書の写し」の提出日)以前にサプリメントや肌用の化粧品に使用していたこと(甲第5号証A1ないしA12)。
(2)引用標章の中の「ESTER−C」は、オートトラリア、カナダ、フランス、ドイツ等40カ国で商標登録がなされており、2002年の世界各国に対する原料売上額はおよそ、US$26,000,000、広告費は、およそUS$6,000,000であったこと(甲第6号証b1)。
(3)「日経ヘルス サプリメント事典2006年版」(2006年3月1日 日経BP社発行)の38頁に「エスターC」の表題の下に「体に吸収しやすいように加工されたビタミンC。...米インター・カル社が開発、世界各国で利用されている。」(米インター・カル社は、申立人の前身の名称の略)と掲載されていること(甲第9号証及び甲第2号証)。
(4)「日経ヘルス」(2002年12月号)の30頁に「吸収効率のいいのは、カルシウムで中和したタイプをさらに改良した『エスターC』という特許成分。また最近米国では脂溶性タイプの人気が高い。...」、また31頁に「Ester−C」のラベルが貼附されている現物の瓶容器の写真とともに、「エスターC(個人輸入で)」の見出しの下に「アアスコルビン酸カルシウムをベースに、マグネシウムなどの微量ミネラルも含む特許成分。...」と掲載されていること(甲第11号証)。
(5)本件商標の登録査定日後であるが、「エスターC」を付したサプリメント及び肌用の化粧品がウェブページで紹介されていること(甲第21号証ないし甲第27号証)。
2 これらの事実を総合すると、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、我が国の薬剤、サプリメント及び化粧品の取引者、需要者の間で広く認識され、周知・著名であったとみるのが相当である。
3 そして、本件商標は、前記第1のとおり、「ESTER−C」、「エスターシー」の文字からなるのに対し、引用標章は「ESTER−C」、「Ester−C」あるいは「エスターシー」の文字よりなるものであるから、本件商標の「ESTER−C」、「エスターシー」と、引用標章の「ESTER−C」、「エスターシー」とは、同一の構成文字よりなり、「エスターシー」の称呼を共通にする類似の商標というべきものであり、また、本件商標の指定商品中「化粧品」は、「肌用の化粧品」と同一又は類似の商品ということができる。
さらに、前記したとおり引用標章が「肌用の化粧品」に使用され、本件商標の登録出願前より周知・著名であったこと、「ESTER−C」、「エスターシー」の語が一般に知られた既成語とはいえないものであること、本件商標の指定商品中「香料類」は化粧品と生産者、販売場所、需要者を共通にする場合が多く、かつ、その中でも「香料」は化粧品の原料となること、また、近時の大型ドラッグストア等においては、医薬品、健康食品(サプリメント)、化粧品、家庭用あるいは衣類手入れ用の日用品等が同一店舗内にて普通に販売されていること等を総合すると、本件商標は、これをその指定商品中の「香料類,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」に使用する場合は、該商品が申立人又は申立人と営業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれが、登録出願時及び登録査定時にあったものといわなければならない。
4 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものである。
第4 商標権者の意見
商標権者は、前記第3の取消理由に対し、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
本件商標は、前記第3の取消理由により、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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