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Trademark Appeal Case

著名題号の商標登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2006−90321(T2006−90321/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4942491号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4942491号商標(以下「本件商標」という。)は、「DaVinci Code」の欧文字と「ダビンチコード」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成17年5月31日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,定期的に刊行される電子出版物」及び第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」を指定商品として、平成18年4月7日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第58号証(枝番を含む。)を提出している。

1 商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人の著作である世界的ベストセラー小説に基づく商品化事業に係る著名商標「THE DA VINCI CODE」と実質的に同一である。書籍、映画等の題号が本件商標の指定商品のように娯楽を目的とする商品の商標として使用されることは一般的に行われていることであり、また、本件商標の指定商品と申立人の前記著名商標が使用される商品とは、その需要者、用途及び目的において高い関連性を有すること等から、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用すれば、これに接する取引者及び需要者は、それら商品が、本件商標を使用することにつき申立人から許諾を受けている等、申立人と関係のある営業主の業務に係る商品であるかの如く、出所について誤認、混同を生じるおそれがある。

2 商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、日本国内外で著名となっていた申立人の商標「The Da Vinci Code」と実質的に同一であり、本件商標権者はかかる申立人の著名商標に類似する本件商標を、申立人による我が国市場への参入を阻害し、申立人の商標の著名性へのただ乗り、その出所指標力の希釈化等、申立人に損害を与える不正の目的をもって使用するものといわざるを得ない。

3 商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、申立人の著作である世界的ベストセラー小説及びその高い知名度を知悉した本件商標権者が、当該小説の題号と実質的に同一の商標を、申立人に無断で登録したものであって、剽窃的といわざるを得ず、本件商標を容認し、これを放置することは、前記小説の著作者たる申立人又は申立人から許諾を受けて当該語を使用しようとする者の利益を害することとなる。さらに、商標制度を利用してこのような剽窃的行為が横行することを許すならば、社会的にも、公正な取引を重んずる商秩序及び商道徳を乱すこととなって、社会一般の道徳観念に反するものであり、公の秩序又は善良の風俗を害することとなる。

第3 本件商標に対する取消理由の要点

当審において、平成18年12月14日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。

1 申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第20号証の3及び甲第41号証の1ないし17によれば、以下の事実を認めることができる。

(ア)申立人は、2003年(平成15年)3月に、米国で発売された小説「The Da Vinci Code」(ザ・ダ・ヴィンチ・コード)(以下「本件著作物」という。)の著者であること、本件著作物は、概略、歴史上著名な人物であるレオナルド・ダ・ヴィンチの創作に係る絵画に秘められた謎などを解明し、イエス・キリストに関わる真実を明らかにするという内容の物語であって、その内容の奇抜さや宗教上の問題などから、発売当初より世界中で注目され、話題を集めた小説であること。

(イ)本件著作物は、2004年8月の時点で、米国で約800万部の売上を記録し、わが国においても、2004年5月の発売以来、2004年8月の時点で60万部を突破する売上を上げていること。

(ウ)本件著作物の話題性の高さ故に、レオナルド・ダ・ヴィンチに関わる絵画などの美術関連の本や本件著作物に関連する本などが多数出版されたこと、本件著作物の内容に関わるTV番組がわが国で制作され、放送されたこと、また、本件著作物の映画化が決定されされた(2006年5月日本公開)こと、さらには、本件著作物の登場する都市などのツアーが旅行会社によって企画されたことなど、出版業界や放送・映画業界等に大きな経済的効果を及ぼしたこと。

(エ)本件著作物の題号は、これが発刊されるまで一般に親しまれていた言葉とはいえないこと。

2 前記1で認定した事実によれば、本件著作物の題号である「The Da Vinci Code」(ザ・ダ・ヴィンチ・コード)は、本件商標の登録出願時にはすでに、申立人の著作に係る小説の題号として、わが国の需要者の間に広く認識されていたものであって、その登録査定時においては、その著名性はさらに増大していたものと認め得るところである。

3 本件商標は、前記第1のとおり、「DaVinci Code」と「ダビンチコード」の各文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の片仮名文字部分は、欧文字部分を単に片仮名で表したものと理解されるにすぎないものである。そして、本件商標中の欧文字部分は、本件著作物の題号である「The Da Vinci Code」(ザ・ダ・ヴィンチ・コード)と、英語の定冠詞である「The」の文字の有無の差異を有するにすぎないものであり、本件著作物の題号中、強い識別力を有する「Da Vinci Code」(ダ・ヴィンチ・コード)と同一の綴り字よりなるものである。なお、本件商標中の片仮名文字部分における「ビ」は、本件著作物の日本語表記の「ヴィ」と差異があるとしても、これは、欧文字「Vi」を「ビ」で表すか、あるいは「ヴィ」で表すかの表記上の差異にすぎないものであるから、本件商標と本件著作物の題号との差異に影響を及ぼすものではない。

そうすると、本件商標は、本件著作物の題号ときわめて近似した称呼を生ずるばかりでなく、本件著作物の題号中、需要者に強い印象を与える「Da Vinci Code」(ダ・ヴィンチ・コード)とほとんど同一の称呼を生ずるものといわなければならない。また、本件商標は、著名な本件著作物と同一の観念を生ずるものある。さらに、両者は、外観においても類似するというべきである。

したがって、本件商標は、本件著作物の題号と称呼、観念及び外観において類似するものと認めることができる。

4 ところで、「題号は,当該著作物の標識というべきものであるから,その著作物を他の著作物から識別する機能を有するとともに,当該著作物の評価や名声がその題号に化体し,著名な著作物についてはその題号自体が大きな経済的価値を有する場合があり,本件著作物のような世界的に著名な題号が有する経済的な価値は,計り知れないものがある。本来万人の共有財産であるべき著作物の題号について,当該著作物と何ら関係のない者が出願した場合,単に先願者であるということだけによって,当該指定商品等について唯一の権利者として独占的に商標を使用することを認めることは相当とはいい難く,商標登録の更新が容易に認められており,その権利行使は半永久的に継続されることになることなども考慮すると,なおさら,かかる商標登録を是認すべき必要性は低いというべきである。そうすると,本件著作物のように世界的に著名で,大きな経済的な価値を有し,かつ,著作物としての評価や名声等を保護,維持することが国際信義上特に要請される場合には,当該著作物と何ら関係のない者が行った当該著作物の題号からなる商標の登録は,『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標』に該当すると解することが相当である。」(東京高等裁判所平成18年9月20日判決、平成14年(行ケ)第10349号)との判示がある。

前記2で認定のとおり、本件著作物は、本件商標の登録出願時にはすでに、世界的に著名となっていたものであり、本件商標の査定時までには、本件著作物に関連する書籍などが発売され、また、本件著作物に登場する都市のツアー企画がされたこと、さらに、映画化が決定されるなど、出版業界や放送・映画業界のみならず、旅行業界等に与える経済的効果は著しく高いものと認められる。そして、本件商標は、一般に親しまれた成語ではなく、申立人の創作に係る語と認められ、わが国有数の出版会社である本件商標権者が本件著作物の存在を知らなっかたとは考え難いことなどを総合勘案すると、本件著作物の題号と称呼、観念及び外観において極めて近似する本件商標を申立人の承諾を得ないで登録出願し、登録を得た商標権者の行為は、社会の一般的道徳観念に反するものであり、かつ、公正な取引秩序に反するものというべきであって、このような商標権者の行為に基づいて登録された本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といわなければならない。

5 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものと認める。

第4 商標権者の意見

商標権者は、前記第3の取消理由に対し、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断

本件商標は、前記第3の取消理由により、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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